著者
中野 泰
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

成果は、現在検討中であるが、要点は以下のようにまとめられる。1.韓国全羅南道木浦においては鮮魚販売が中心であり、活魚については、現在においても競売制度は整備されてなく、活魚市場は存在しないと言える。だが、刺身団地では近隣地域から輸送された活魚の販売を行い、特にナクチやオドリと称するイイダコ・エビの生食が顕著である。2.木浦の活魚販売店は、ナクチを中心に通年の販売を行う傾向があり、ナクチ生産の中心地の一つ務安郡は、海岸部が湿地帯であるにも関わらず、その環境の構造的制約を越えてナクチ生産に特化している。3.務安郡で行われる儀礼については、村行事はキリスト教の影響により簡素化されているが、祖先祭祀については現在も良く行われている。4,ナクチの生食は朝鮮時代より行われ、ことわざも少なからず伝承され、身体強壮の意義を有している。ナクチは生食ではないが、古くから祖先祭祀にも供されてきた。エビの生食は、植民地時代に伝えられた漁業法により.捕獲され、オドリという日本語による命名がなされている。5.上記の生食は、現在でも、高価なため、日常ではなく、来客時や飲酒時などの非日常的な場に食される傾向がある。以上から、韓国における活魚市場の形成は、朝鮮戦争後に進み、南海岸の釜山が先駆け、木浦などの西南海岸、及び、束草市などの東海岸がそれに続いたものと考えられる。生食は、生産者の習俗として古くから行われている。東海岸の発酵食品(シッケ)やイイダコは朝鮮時代に遡る食文化であり、現在も食文化の地域性が明瞭に窺える,活魚市場の形成は、植民地時代にもたらされた日本漁業を支えにしてはいるが、生食が顕著な食習慣となった高度経済成長期以後と認められる。活魚生産に特化した生産者の生業や民俗文化の様相は、観光客に対応した漁民達の生活戦略の賜物と考えられる。
著者
松村 和則 伊藤 恵造 佐藤 利明 山本 大策 山本 由美子 村田 周祐 植田 俊
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1) 松村和則「人々の『創造力』とは何か-レジャー開発と環境保全への社会学的接近-」(2) 伊藤恵造「スポーツをめぐる住民組織の変容とその論理-郊外化する手賀沼周辺を事例として-」(3) 村田周祐「地域スポーツイベントと地域社会をめぐる関係性と象徴性-手賀沼トライアスロン大会を事例として-」(4) 植田俊「スポーツクラブによる地域環境保全活動の展開-手賀沼ヨットクラブを事例に-」(5) 山本大策「開発主義国家における地域格差と地域社会の能力的貧困:経済地理学からのアプローチ」(6) 山本由美子「ゴルフ場開発問題をめぐる紛争と地域的対応-長野県北安曇郡松川村・神戸原扇状地の事例-」
著者
嶺井 明子 関 啓子 遠藤 忠 岩崎 正吾 川野辺 敏 水谷 邦子 森岡 修一 福田 誠治 松永 裕二 澤野 由紀子 大谷 実 高瀬 淳 木之下 健一 タスタンベコワ クアニシ デメジャン アドレット ミソチコ グリゴリー アスカルベック クサイーノフ セリック オミルバエフ 菅野 怜子 サイダ マフカモワ 伊藤 宏典 アブドゥジャボル ラフモノフ ズバイドゥッロ ウバイドゥロエフ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中央アジア4カ国は独立国家樹立後、国連やユネスコ加盟を果たし、脱・社会主義、民主的法治国家の樹立をめざし教育改革に着手した。国外からの協力と援助(ユネスコ、国際援助機関、ロシアなど)、及び国内事情(多民族国家、イスラム的伝統、都市と農村の格差、経済の人材需要など)の葛藤の中で教育政策が推進されている。初等中等教育の高い就学率、教育の世俗制、多民族への配慮などソ連時代からの正の遺産を多く継承しているが、教育へ市場原理が導入され競争的環境が強化されている。高等教育ではボローニャ・プロセスに対応した改革が進んでおり、無償制は後退している。
著者
今野 雅裕
出版者
筑波大学
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.3-25, 2000-03

ご紹介いただきました今野でございます。政策研究大学院大学という新しい大学に務めております。併任ということで、文部省の生涯学習局の調査官もしております。政策研究大学院大学といってもご存知ない方も多いと思います。国立で1番 ...
著者
坂井 直樹
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.65, pp.32-35, 2003-06

2002年12月16日版の筑波大学新聞には、1ページ全面を使って農林技術センターに関する特集記事を掲載していただいた。さまざまな方からこの記事を読んだ感想がもたらされたが、これまで農林技術センターの存在自体は知っていても、 …
著者
山本 拓 佃 良彦 和合 肇 斯波 恒正 森棟 公夫 国友 直人
出版者
筑波大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

研究成果を便宜上、理論的分析、実証分析、に大きく分類しよう。計量理論についての研究としては程島氏の一連の論文をまず挙げることができよう。同氏は構造変化が存在する場合における計量経済モデルの推測理論を研究し構造変化が存在する場合、制限情報にもとづく新しい最尤推定法を提案している。計量経済モデルの推定・検定・予測問題については森棟・佃両氏が漸近理論の立場から考察を加えている。森棟・佃・和合の各氏は構造変化が存在する場合の計量経済モデルの推測理論を現在研究を継続中である。さて構造変化の定式化としてはさまざまん考え方がありうる。例えば経済主体の期待形成について考えると、いわば連続的に構造変化が起こっていると捉えることが可能である。こうした立場から計量経済分析における予想形成と経済構造との問題については国友氏の一連の論文が考察を加えている。実証分析の中では特に斯波氏は日本の貨幣需要関数について詳細な検討を加えている。林氏は主として日本における消費関数・投資関数を中心として、その安定性を考慮している。また日本経済の外国との関係の分析に目を転ずれば、竹内・山本論文は日本における外国為替市場の効率性について詳しく検討を行っている。この論文では多変量時系列モデルを用いているために比較的、構造変化の存在に対して頑健(Robust)な検定方法と結論している。以上、極めて簡単であるが、本プロジェクトの研究成果は理論面及び実証面の多岐にわたっているがいずれも本プロジェクトにおける連絡・討論やコンファレンスから発展し、深化したものが少なくない。加えて、内外の専門家とのコンファレンスと通じた交流は意義深いと云うことができよう。こうした意味で、本プロジェクトが当初意図していた計画は相当部分において達成されたと云ってもあながち過言ではないであろう
著者
Shimizu Senjo
出版者
筑波大学
雑誌
Tsukuba journal of mathematics (ISSN:03874982)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.283-350, 1994

This paper provides eigenfunction expansions associated with the stationary problems for elastic wave propagation in stratified media R3. The eigenfunction expansion is given in terms of generalized eigenfunctions corresponding to incident, reflected, refracted and Stoneley waves.
著者
佐々木 建昭 櫻井 鉄也 加古 富志雄 稲葉 大樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近似イデアルに基づいて近似グレブナー基底の理論を構築し、部分終結式様の理論を作成して厳密用算法を浮動小数で実行する場合の不安定性を解明し、ブッフバーガー算法を安定化して近似グレブナー基底の構成算法を呈示した。微小摂動のため多変数多項式イデアルの次元が減少した系として近似特異系を定義し、次元を元に戻す操作として近似特異系の特異化の算法を考案し、近似特異型の悪条件代数方程式系の良条件化法を与えた。線形制御理論で近似無平方分解・有効浮動小数・近似因数分解の有用性を示した。モデルに基づく開発への利用を念頭に、パラメータ係数の疎な線形方程式系の誤差低減解法と系の特徴抽出法などを提案した。
著者
田中 統治 藤田 晃之 根津 朋実 井上 正允
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

最終年度に当たる18年度は、才能教育とリーダー育成の両面において大きな教育効果が期待される文化祭の行事をカリキュラムとして単元開発することを試みた。まず、文化祭の運営を通じたリーダー育成の機能を明確にするため、各参加団体の企画と運営を担った在校生の「デコ責(デコレーション責任者)」に対して集団面接を行い、彼らが獲得している能力要素を検討した。次に、とくに起案力と調整力について職種や分野による有用性の違いを確認するため、卒業生(平均年齢45.3歳)に対し集団面接を実施した。これらの調査結果をもとに18年度の文化祭ではその単元を改善する形で試行してみた。すなわち、学級別による高2生の参加形態を「組」別に再編し、選択性と専門性をより高めて、そのカリキュラムとしての評価を教員への質問紙調査によって実施した。教員からの評価によれば、先を見通す力、事務処理能力、および問題処理能力の発揮において「組」の間で大きな差異が生じていた。そして、この差異を生み出す要因として、とくに信頼関係を築く上でリーダーの必須条件である「丁寧な合意形成」の重要性が確認された。3年間に及ぶ本研究の成果として、中高一貫校における才能教育とリーダー育成に向けたカリキュラム開発の条件が次のように導き出された。すなわち、(1)生徒の自主的な活動が展開されるように学習環境を整えるとともに、(2)リーダー経験の機会を豊富にして、より多様な役割を経験させ、(3)仲間との間で粘り強く合意の形成を求めて活動する経験内容を充実することなどが必要である。
著者
山本 眞理子 宮本 聡介
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

友人関係の進展に肯定的な期待を抱いているか否かによって,友人関係の広がりの速さや深さが違ってくることは想像に難くない.友人関係の発展に対する期待に顕著な文化差が存在すると,異文化間交流に重大な影響を及ぼすことにもなる.本研究の目的は,友人関係の進展に対して人々が持っているイメージ(メタ期待)の文化差を明らかにすることであった.3年間の補助金交付期間に,主に2種類の調査を実施した.調査の主たる目的は,自分とは面識はないが自分の友人と親しい関係にある他者に対してどのようなかかわり方を期待しているかを明らかにすることであった.第1の調査(学生食堂パラダイム)では,自分とは面識はないが自分の友人と親しい関係にある他者(Aさん)と学生食堂で偶然対面するという場面想定法をもちた.このときどのような振る舞いをするかを回答者に尋ねた.分析の結果,アメリカ人は日本人よりもその相手と親しい関係を作りたいと回答する一方,日本人はアメリカ人よりもその相手を避けようとする傾向が強いことが明らかにされた.第2の調査では自分の友人の友人とは親しい関係を作りたいというユニット志向と,友人の友人と自分とは別々の関係であると考える自律志向の概念を提出し,友人関係のメタ期待を測定する尺度を作成・検討した.分析の結果,友人関係志向には,ユニット志向,関係配慮,自律志向の3つのメタ期待が存在することが示唆された.このうちユニット志向は日本人よりもアメリカ人のほうが強いことが示された.以上の点から,友人関係のあり様に対する明確な日米差が存在することが示された.今後は,友人関係の維持および崩壊過程で,その関係にたいする振る舞い方の日米差を明らかにすることが期待される.
著者
井田 哲雄 MARIN Mircea
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

折紙における「折る]過程を研究し,以下の成果を得た.(1) 折る過程を抽象的に表現する代数的グラフ書換系を定義し,グラフ書換を記述・実行する言語処理系を開発した.(2) グラフ書換操作から代数系へと変換するアルゴリズムの開発とその正当性の検証を行った.(3) 研究の進展に応じてコンピュータによる折紙実行システムの拡張を行い,折紙幾何定理の証明の高速化と多くの定理の自動証明を可能とした.
著者
秋山 英三
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本プロジェクトでは、様々なゲーム状況における戦略の進化を比較・検証し、特に、ゲーム構造と評判の効果の関係を分析した。分析は、進化ゲーム的手法とシミュレーションにより行い、また、シミュレーションでは、プレーヤーのモデルとして意思決定機構を有限状態オートマトンとして記述し、その進化の様子を分析した。その結果、囚人ジレンマがさらに拡張された状況の評判の効果に関する一連の発見があったほか、指導者ゲームの分析によるリーダーシップ論の進化的解釈の可能性が示され、また、確率過程によるモデル化により華厳ゲームの新たな進化的分析が行われるなど、研究の様々な発展可能性が示された。
著者
漆原 秀子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究はモデル生物として知られる細胞性粘菌Dictyostelium. discoideumにおいて発生分化を支配する遺伝子間の制御関係をゲノムワイドに解析することを目指し、上流プロモーター領域の取得とデータベース化、遺伝子の発現特性による階層的グループ化、発現グループに特徴的な制御エレメントの抽出等による遺伝子間の制御ネットワークの解析を行った。プロモーター領域については転写開始点のばらつきを考慮してORF開始点を基準にとることとし、全予測遺伝子についてその配列を取得してデータベース化した。また、情報量の不足していた有性生殖期を中心にRNAを調製してアレイ解析を行い、これまで発現が確認されていなかった新規遺伝子約1,300個についての発現パターンを取得した。そのうち、性的成熟に伴って発現レベルが2倍以上に誘導される遺伝子が40個、1/2以下に抑制される遺伝子が123個、1/5以下になるものが51個であった。2倍以上に誘導される遺伝子と1/5以下に抑制される遺伝子についてリアルタイム定量PCRを行い、各々24個、13個について発現レベルの変化を確認することができた。MEMEプログラムによって特異的配列を抽出したところ、aggtc(t/a)aの配列が配偶子特異的遺伝子の上流に複数回出現していることがわかった。一方、細胞内シグナル伝達に関わるras遺伝子ファミリーの解析を行い、これまでに解析されているRasGグループとはやや系統的に隔たったRasXグループの6遺伝子(rasU, rasV, rasW, rasX, rasY, rasZ)が有性生殖期に特異的に発現することを見出し、シグナル伝達の仕分けを示唆することができた。これらの遺伝子がゲノム中にクラスターとして存在することを利用して4遺伝子と6遺伝子の多重破壊株を作製した。これらの破壊株において増殖と無性発生は正常であった。
著者
古田 博司
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.64, pp.88-91, 2003-03

筑波大学に赴任した当時から、選択科目の東洋政治思想という講義を担当している。3年目あたりから学生が増え続けてきたが、最近では履修者がようやく200名程度で落ち着いてきた。講義棟は一学H棟の大教室を割り当ててもらっている。 …
著者
岡 瑞起
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

長い間人間の時間的振る舞いはランダムな過程(ポワソン過程)に従っていると思われていた.しかし,2005年にアルバート・バラバジを中心とする研究グループが、人間の行動は間欠的な振る舞い(バースト)がより顕著であると考え,そうしたバースト的な振る舞いの重要性を説いた.本研究は,ウェブ上のソーシャルメディアからの大量データを分析することで,バーストの詳細なメカニズムを明らかにすることを目的とした.分析の結果,バーストが起こるメカニズムを内因的バーストと外因的バーストに分類し,これら2つのバーストを分ける臨界的な揺らぎの閾値が出現することを明らかにした.
著者
山中 弘 木村 勝彦 木村 武史 笹尾 典代 寺石 悦章 松井 圭介
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、宗教の適応的変容と再構築の側面を教会や社寺、自然的景観、迫害や殉教が起こった場所など、様々な「トポス」がもつ「聖性」に焦点を当せながら、その変容を、それを促す大きな要因の一つと考えられる「ツーリズム」との関わりのなかで明らかにしようというものである。近代社会における、交通網の発達、テクノロジーの飛躍的発展は、本来的に「聖なる場所」がもっていた限定性、秘匿性を無意味化し、だれでもがそこにアクセスすることを可能にした。とくに、ツーリズムの発展は「場所の聖性」の性格やあり方に容赦ない変更を加え、それを観光の新たな「商品」に仕立て上げようと試みている。長崎県の外海、平戸、五島列島といった地域において、これまでごく少数の人々にとってしか特別な意味をもっていなかったキリシタンの殉教地や聖地さえも、容赦なく「観光のまなざし」に曝されることになったのである。しかし、その過程で、教会や社寺、殉教地などの「場所」をめぐる新たな「語り」や「伝統」を再構築させる契機となっているようにもみえる。それは、沖縄のように、場所の聖性のもっともアーカイック形態である「御嶽」を、沖縄の根本的な宗教・伝統文化という「語り」のなかに包摂することで、自らの文化的アイデンティティを積極的に構築していこうとする試みにもつながっていく。もちろん、ツーリズムはつねに伝統的な聖地を変化させるわけではなく、ツーリズムに密接に関わる関連産業が聖地のもつ「真正性」、「歴史性」を利用して、伊勢神宮の参道に誕生した商店街のように、新たなマーケットの開拓をおこなう場合もある。さらにまた、出雲地域の「神在祭」のように、現代的ツーリズムの影響とは直接関わりなく、祭りとその場所が様々な要因によって歴史的に変化している場合もあり、「場所の聖性」の変容は必ずしも近代的現象でないことは注意する必要があろう。
著者
谷口 綾子
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では,ベビーカー連れの外出の難易度認知について移動時満足度(STS)を用いて評価するとともに,ベビーカー連れのSTSに周囲の人々の対応がどの程度関係しているのかを探索的に検証し,欧州の先進国と我が国の比較を行った.その結果,我が国ではベビーカー連れの移動時に周囲からの支援を受けた経験が欧州各国よりも少ないこと,ベビーカー連れの移動の認知的幸福感は,一般にSTSが低いとされる通勤目的よりもさらに低いことが示された.また,ベビーカー連れでの移動時に周囲の人々から受けた支援の経験や,記述的規範の知覚が,ベビーカー連れのSTSに正の影響を与えていることが示された.
著者
大戸 安弘 梅村 佳代 川村 肇 木村 政伸 天野 晴子 八鍬 友広
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は概ね以下の三つの方向で行われ、それぞれにおいて一定の成果を収めたということができる。(1)古文書資料合同調査、(2)刊本資料分担髑査、(3)視点別個別研究調査の三っである。このうち中心となったのは(1)と (2)であるが、(3)についても、本格的な展開は今後を待たねばならないとはいえ、注目すべき成果を得ている。(1)の目的は、前近代日本における識字状況を解明するために、民衆の花押(白署)をともなう資料、たとえば、人別帳・起請文・村掟・契約書などを収集することにある。2002年8月から2005年11月にわたって、各地の歴史資料所蔵機関を訪問し、花押を有する原文書ないしはその複製資料を調査し収築した。花押を有する資料は概ね17世紀以前のものであり、貴重資料に属するものが多い。報告書に掲載した資料は、すべてこの調査によって収集されたものの一部であり、識字資料としての花押原型が磯認できるよう、有力な資料を可能な限り採録した。(2)の目的は、公刊されている諸文献のなかに、花押を有する有力な資料、とくに民衆の花押を有する資料を確認することにある。それらのなかには、短期間で原文書を確認することが困難であったり、あるいはすでに原文書が滅失したりしているものも少なくない。「平安遺文」「鎌倉遺文」などの綱羅的資料群、各県で編纂されている自治体史を分担して調査し、数多くの資料を収集した。(3)は、調査結果によりながら、職業・宗教・女性・地域・学問・花押と印章などの観点から、研究代表および各研究分担者において個別に研究を深めた成果である。