著者
神田 晶申
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では、グラファイト超薄膜に各種原子分子のインターカレーションや表面吸着を施すことによって新機能性を発現させ、それをゲート電圧によって制御することを最終目標としている。インターカレーション(表面吸着)させる物質として、アルカリ金属であるカリウムを選定した。カリウムは、バルクのグラファイトにインターカレート(C8K)すると極低温で超伝導となり劇的な物性変化をもたらすことが知られている。グラファイトを原子レベルまで薄くしたグラフェンでは、低次元化とゲート電界印加により、C8Kからの物性変調が期待される。特に、超伝導転移温度の上昇やゲート変調が観測されると興味深い。一方で、単体カリウムやC8Kは空気中で不安定であるために、電気伝導測定用グラフェン試料の作製プロセス、測定プロセスをカリウム試料に最適化する必要がある。本研究では、以下に示す手順によって、試料作製・極低温測定を行う方法を確立した。(1)配線済みグラフェン試料上面にカリウムを蒸着、(2)不活性ガスで満たしたグローブボックスに試料を搬送し、必要に応じてチューブ炉でアニール(3)紫外線硬化接着剤を用いて試料を不活性ガスでシール、(4)試料を低温冷却装置まで搬送、(5)低温冷却装置を真空にし、冷却・測定を実行。4Kまでの測定で、カリウム蒸着によって移動度が減少すること、電荷中性点(キャリア密度が最小になるゲート電圧値)がマイナスに移動することが観測された。これらのことは、カリウムによって電子がドープされるとともに、荷電不純物が増えることで散乱、電荷中性点での状態密度が増えたことに起因すると考えられる。今後、希釈冷凍機を用いて極低温測定を行うとともに、試料作製プロセスの更なる改良を行う予定である。
著者
塚田 泰彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、「創発的綴り(invented spelling)」の生産的な事例を体系的に記述研究することと、その記述のための基礎研究として、日本語表記体系の習得過程の実態を発達段階を想定して捉えることである。この2つの研究については、先行研究がなく、本研究はこの方面のパイロット的な研究となる。はじめに、準備研究として試行的に収集したデータに基づき7段階の日本語綴りの能力の発達段階(仮説)を設定し、日本語綴りの習得の実態を把握する体系的な調査問題を作成した。この調査問題について、幼稚園・小学校1年生を対象に、調査協力校でデータ収集を行い、その分析結果に基づいて、発達段階の確認と創発的綴りの生産的な側面について、言語学的・教育学的視点で考察を行った。調査協力校の実績は、幼稚園1校(1カ年1回)、小学校3校(2カ年2回、6月前後と12月前後)である。結果として、次の点が確認された。1) 仮説的に設定した7段階の発達段階は基本的に支持された。2) 複数の協力校での比較によって、学校ごとに発達段階上の実態の差異も確認された。3) 創発的綴りについては生産的側面と非生産的側面について相対的な評価が難しい例が確認されたが、これらの解釈を「教育的意義」の視点で検討することが、重要であることが明らかになった。4) 幼稚園での実態、特に習得段階の個別差の大きい点が明らかになった。創発的綴りの体系的記述については記述方法など、課題も残された。
著者
西田 正規 マブラ オグックス スプレイグ デービッド MABULA Audax マブラ オダックス 伊藤 太一 マゴリ C.C. 安仁屋 政武
出版者
筑波大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

今日のアフリカ狩猟採集社会は原初的人類社会の理解に不可欠の情報源である。だがこれらの社会は農耕・牧畜社会と接触し変容してきた歴史があり、原初的社会のモデルにすることに疑いがある。本研究は農耕・牧畜以前のサバンナ狩猟採集社会を復元することでこの問題に解答する。またこの目的を果たすため、タンザニアのセレンゲティ国立公園の地表面に散乱している後期石器時代の石器の分布状況を把握することから約1万年前の狩猟採集社会の空間と資源利用パターンを復元する方法を開発する.3年間の調査でおよそ10000平方キロの範囲を踏査し、50メートル四方の方形区を126ヶ所、それ以外のポイントを約200ヶ所設定し、位置をGPS測量し、地表の石器を採集し、地形、植生、土壌特性を記録した。採集した石器約1万点を筑波大学に持ち帰り分析中である。諸データをGISデータベースに入力中である.すでに把握した点は以下のとおり。1)公園の地表面には前期石器時代から金属器時代までの数十万年にわたる文化遺物が散乱しており、中期および後期石器時代石器の密度が高い。2)前期および中期石器時代石器には公園内に産出するクオ-ツァイトが、後期石器時代石器には黒曜石とクオ-ツが主に使われている。黒曜石の原石は公園内になく、大地溝帯の火山帯から運ばれたと推定できる。3)後期石器時代の石器の分布密度は平方kmあたりおよそ1万点である。4)石器密度は調査方形区により0点から500点以上まで大きく変化する。5)特に高密度に分布する場所を4カ所発見した。いずれも大きな岩に囲まれた場所であり頻繁に人の訪れるキャンプサイトと予想できる。6)河川や池に近い場所の石器密度は比較的高い。7、地表水から遠く離れた場所にも比較的低い密度の分布がある。以上の点を手がかりにGIS上でさらに解析を進め初期の目的を達成する。
著者
畔上 泰治
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1. 本年度においては,「第三帝国」期における「保護教育」の実態を中心に研究し、研究報告書(約200頁)の作成を中心に作業を進めた。2. ナチ政権下で「保護教育」の名の下に行なわれた、「非社会的」少年・少女に対する取り組みは、「問題のある」少年・少女を教育・福祉施設から追放し、強制的に収容所に隔離することを中心に進められた。この時代の社会・福祉教育は、当該者自身にとっての福利・厚生という観点以上に、治安・警察的観点が前面に出されて行なわれた。「少年保護収容所」という名の下に、モーリンゲン及びウッカーマルクに少年強制収容所が造られた。そこでは、少年・少女たちに対して犯罪生物学的選別や遺伝状況に関する検査が行なわれ、「教育」という言葉の下に、過酷な労働が強いられていた。3. ナチ政権下でのこうした手段には、既に伏線があった。ヴァイマル共和国時代から既に、取り分け世界恐慌による経済危機の中で、経済性・効率性の追求は社会・福祉教育にも及んでいた。教育理念・方法への反省には触れることなく、それまでのこの分野における大きな成果の欠如の原因は、「問題のある」少年・少女自身へと還元された。彼らを強制的に施設に収容するための法整備を求める運動が進められていた。また他方において、ナチ時代のこの思想・方法は、戦後ドイツの少年政策の領域においても唱えられていた。ナチ政権下で大きな影響力を持っていた人間が、戦後もこの分野において活動しつづけていたのである。4. ドイツの少年「保護」政策における連続性という観点からは、ナチ政権下での「強制保護」思想は、過去からの流れの中に位置付けられ、また、戦後も、部分的とはいえ、引き継がれて行く。ネオ・ナチ問題が深刻となっている現在、その対策として講じられる少年政策が、いかなる思想・理念に基づき講じられているのか、今後詳しく研究する必要がある。
出版者
筑波大学
雑誌
つくばね : 筑波大学図書館報 (ISSN:02850117)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.2-4, 2000-06

筑波大学芸術学系と附属図書館の共催による「日本美術の名品」と題する展示会が5月22日から6月9日まで開催され,学内はもとより近県や遠くは北海道,鹿児島県など全国各地から約4,300人もの来場者がありました。 この展示会は,狩野探幽・尚信,田村直翁の筆になる屏風の発見という劇的な出来事により,当初の企画から開催規模も内容も大きく様変わり ...
著者
岸本 一男
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,政党得票数データから単純に方程式を解くことで政党と選挙区の政策座標が同時に定まることを指摘する.実データで検証したところ,日本の国政選挙では選挙区の都市農村度を示す指標と座標値の間に,英国国政選挙では自営と失業を結ぶ軸と座標値の間にほぼ0.7程度の高い相関が検出され,その有効性が立証された.これにより,空間的投票理論での未解決問題であった政党座標の座標位置決定問題の一解決法が完成した.当初からの技術的な懸案である3つの問題も成功裏に解決できた.1.本手法の適用に当たっては,数理的に困難な高次元多峰性関数の最大値探索問題を解く必要がある.計算時間と計算精度のトレードオフが発生するが,本研究では,現実的な選挙の問題について実用的な時間内に正しい解を安定して得られる実用的プログラムの作成に成功した.2.本研究のモデルでは,選挙区での有権者の意見分布をア・プリオリに仮定する,この分布として正規分布を用いているが,正規分布から多様な自由度のt分布に変えても,政党の並び順序は僅かな影響しか受けなかった.3.日本と英国(イングランド)の最近の国政選挙について,政党の並び順序も得られた選挙区特性と政策位置との間の相関も安定している.計算に当たっては,我が国選挙関連数値データの整備の遅れが問題となった.モデルの計算と製行して,市区町村別得票数データ,国勢調査データのデジタル化を進めた.この一応用としての簡単な計算から,歴史学上の既存の事例研究を補完す.る新たな事実が見つかった.本研究でのデータの整備は,本手法を離れて政治史としても有用である.デジタルデータは整備の上広くネット上で公開の準備中である.
著者
大庭 一郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、経営学の組織論と人的資源管理の理論を活用しながら、日米の公共図書館における専門的職務と非専門的職務の区分について分析・考察し、日本の公共図書館における新しい職員制度のあり方を解明することである。研究の結果、日米では労務管理と公務員制度に違いがあるが、図書館の専門的職務と非専門的職務を区分し、専門的職務とそれに必要な専門的知識を明確にし、図書館員が専門的職務に専念できる体制を整備する必要があること、が明らかになった。
著者
松村 和則 柳沢 和雄 前田 和司 甲斐 健人 西原 康行 矢崎 弥
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究は、以下のような構成でまとめられた。序:松村和則「白いスタジアムのある風景-「開発とスポーツ研究」序説-」I 鹿島の開発とW杯柳沢和雄「鹿島開発とワールドカップ-外発的発展の必然としてのワールドカップ-」橋本政晴「『地域』へとコンテクスト化されるメディアイベント-鹿嶋市S地区におけるT氏のサポーター活動を事例として-」石岡丈昇「農業退出者の軌道とサッカー開発-地元旅館業者からみたワールドカップと鹿島-」II 「在日」とW杯鈴木文明「2002FIFAワールドカップと在日朝鮮人-大阪生野区・コリアタウンにおけるワールドカップ観戦会を通して-」III 札幌の開発とW杯大沼義彦「五輪開催都市からW杯開催都市ヘ-札幌市におけるメガスポーツイベント誘致と都市開発-」前田和司「2002FIFAワールドカップと都市開発-札幌ドーム建設をめぐって-」IV 招致問題とW杯甲斐健人「ワールドカップキャンプ招致のシナリオと国際交流-三重県鈴鹿市の事例-」矢崎弥「キャンプ誘致と地域づくり・地域活性化-新潟県十日町市クロアチア共和国代表チームキャンプの事例-」西原康行「ワールドカップ新潟開催の遺産-あるボランティアの活動から見えるもの-」調査資料Richard Light"The 2002 FIFA World Cup on Youth sport and Identity石岡丈昇・松村和則「中津江村住民意識調査」
著者
齊藤 愼一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は、持久性運動後に低下した筋グリコーゲンの回復について、炭水化物摂取タイミングの栄養効果をヒトで明らかにすることに加えて、もっと簡便にその効果を知ることのできる方法の開発にある。平成9年度には、夕方の練習で低下した筋グリコーゲンを翌朝の早朝練習の前までに充分回復させるために、夕食のタイミング(練習終了後から夕食まで)のあり方に目標を絞って、以下の様に検討した。すなわち、健康な成人男子を用いて、1週間の間隔をとって2回、2日間づつの実験日を設けた。いずれの実験でも第一日の夕方に10キロメートルを負荷し、その直後にウエイトトレーニングを負荷した後に、調製した夕食を運動負荷終了後1時間以内と、3時間後の場合の2つに分けて実験を行った。いずれの実験でも一夜安静に休養させた後の翌朝の朝食前に大腿筋より筋サンプルを採取した。また、前日の運動直後にも大腿筋より筋サンプルを採取した。これらのサンプルの筋グリコーゲンを分析した。その結果、運動直後に夕食をとると翌朝の筋グリコーゲン量は高くなり有意に回復したが、運動3時間後に夕食をとると回復が不完全なものが認められた。したがって、夕方の練習で低下した筋グリコーゲンを、翌朝の朝練習前までに回復させるには確実性が高いことがわかった.平成10年度は、平成9年度とほぼ同じ実験をおこなった.第一日の夕方のトレーニング後に、調製した夕食を運動負荷終了2時間後にとる条件で、1つは運動直後に高糖質食のコーンフロステをとる場合ととらない場合の2つに分けて実験を行った。いずれの実験でも一夜安静に休養させた後の翌朝の朝食前に血液を採取し、その後に調整食をとらせ、その後15,30,60,90分に採血した。その結果、運動直後に高糖質の補食をとっても翌朝の朝食後の血糖反応に差はなかった。
著者
タック川崎 レスリー
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

第23回参議院選挙では、候補者の90%以上がホームページを持ち、85%がFacebookページを、候補者の72%がTwitterを利用していた。2013年4月の公職選挙法改正でインターネットが解禁となり、選挙運動の方法として、今後候補者のインターネットとソーシャルメディアの利用割合が高くなる可能性がある。第24回参議院選挙における候補者では選挙運動中のメディアチャンネルとしてのホームページやソーシャルメディアの利用は減少していた。この傾向は、候補者が選挙戦におけるメディア戦略にソーシャルメディアを統合し続けてはいるが、それだけに依存しているわけではないことを示唆している。
著者
濱本 真輔
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

これまで、選挙制度改革の議員や政党に対する影響を検討している研究では、選挙制度と議員・政党に関する分析枠組みとそれに基づく体系的な実証研究が不足しており、選挙制度改革の評価も分かれている。これに対して、本研究は自民党議員を取り巻く環境、議員の認識と行動、政党組織を選挙制度改革前後で比較し、選挙制度改革の効果を網羅的に検証するものである。研究実施計画(平成21年度)では、前年度の資料収集およびレビューに基づいて、政党組織に関する論文を執筆することであった。具体的には、結党以来の自民党の党改革を4つの期間に分けて分析し、論文を執筆する予定であった。しかし、資料収集やレビューの不足もあり、リクルート事件以降の政治改革の過程と選挙制度改革後の党改革を比較した。分析では、選挙制度改革という制度変化だけでは広範な組織変化が発生しなかったことを明らかにした。また、組織変化の方向性を探る上でも、制度条件だけでなく、議員が並立制を受容し、(1)議員-政党間の目標の共有部分が拡大したこと、(2)選挙での敗北と世代交代などによって、小選挙区制に見合った政党組織改革(公募制度の導入、シンクタンクの創設、メディア対策)が進展していることを指摘した。前年度までの分析を含め、選挙制度改革は議員の認識や行動、政党組織改革に影響を及ぼし、自民党の集権化を促す要因となっていること、またその持続性を支持する結果が出ていることを明らかにした。
著者
木村 達雄
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.104-107, 1996-11
著者
小川 栄一
出版者
筑波大学
雑誌
日本語と日本文学 (ISSN:02856352)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.28-46, 1981-06
著者
板野 肯三 中田 育男 和田 耕一 井田 哲雄 佐々 政孝 田胡 和哉
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

高水準言語によるプログラミングを効果的に支援するためには、道具としての言語処理系がきめ細かくプログラミングの過程をサポ-トすることが不可欠であることは勿論であるが、言語処理系の処理速度も重要な要素である。一方、現在の半導体技術の著しい進歩は、非常に複雑なアルゴリズムを1つのチップとして実現することを可能にしており、LSI化するのに適したハ-ドウェアの設計が与えられれば、物理的な実現は原理的にはそれほど困難ではない。一般に、ハ-ドウェアで実現すれば、汎用の計算機ア-キテクチャ上で実行するのに比較して、100ー1000倍に実行速度を高めることが可能でありこともある。しかし、ソフトウェアのアルゴリズムを単にマイクロプログラム化するだけで、このような性能を達成することは難かしく、方式の見直し、場合によってはアルゴリズムそのものの見直しも必要である。本研究では、このような状況を踏まえて、言語処理系をLSIとして実現するための設計技術の確立を目標とした。とくに、インタプリタの高速化を前提にしたプログラミングシステムを実現するためのハ-ドウェア設計に重点をおき、今年度は、シリコンコンパイラが使用可能になったので、シリコンコンパイラによるLSIの設計を行った。具体的には、手続き型言語PLOの解析木インタプリタと論理型言語のインタブリタの2つのprojectを取り上げて、具体的な設計を通じて、いろいろな経験を蓄積し、実際に言語書理系に関連したLSIをつくるための基礎技術を模索した。LSIの内部では、並列性を採用する一方、制御やデ-タの流れの局所性を高めることが重要であり、また、できるかぎり系統的に設計できることが望ましい。このような前提で、アルゴリズムレべルのハ-ドウェアの設計から始め、フルカスタムのパタ-ン設計とシミュレ-タによる検証を行った。
著者
久保 徹
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.71, 2005-11

大学時代、一人の友人がいた。無器用にぎこちなく世界と向き合っていた。何事にも打算なく真っ正直に向かってゆく奴だった。まだ学生運動の燻りが残るなか、学業と活動のはざまで為すすべもなくもまれていった。文学部の学生の心情は破天荒だと信じていた私は、痛々しいほどに潔癖なその人柄に共感していた。よくそいつの下宿で酒を飲んだ。 ...
著者
飯塚 恵理人
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学平家部会論集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.2-11, 2000-12

伊勢物語の解釈が鎌倉期・南北朝期に二条家・冷泉家といった和歌の家の人々によって講釈の形で師匠から弟子に伝えられ、それが常に「秘伝」として他に教えないと言う誓約書つきで行われたことは、今日広く知られている。それらの講釈の内容が ...
著者
村田 聡一郎
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的はトロンボポエチン投与による血小板増加によって肝障害抑制、肝線維化抑制効果を持続させ、肝細胞癌を抑制することである。ヒト肝癌細胞株にトロンボポエチンを添加し、明らかな増殖効果のないことを確認した。また肝細胞癌の自然発癌モデルであるPten肝臓特異的ノックアウトマウスを用いてトロンボポエチンの肝細胞癌抑制効果を検討した。その結果メスにおいてのみ有意に発癌を抑制したため、トロンボポエチンによる血小板増加効果およびエストロゲン増加作用が考えられた。トロンボポエチンは肝細胞癌抑制効果を有する可能性が示唆された。
著者
右田 玲子
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.4-6, 2001-06

スライドを作るために竹園の写真屋に寄り、6車線の道路を前にしたベンチで、「筑波大学中央行き」のバスを待った。小春日和の太陽の暖かさが伝わり、木の葉を通りすぎる風の音が心地よい昼下がりだった。バスを待つ70代の女性に話しかけた。 …