著者
原 未季 一ノ瀬 友博
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.77-81, 2009

神奈川県横浜市及び鎌倉市において里山保全活動を行う市民団体の特徴と課題をアンケートとヒアリングによって調査した。調査対象としたのは、横浜市は新治市民の森で活動する「新治市民の森愛護会」、鎌倉市は広町緑地で活動する「広町森の会」である。ヒアリングとアンケートの結果、どちらの団体も会員の高齢化が進み、次世代の担い手を以下に取り込むかが課題であることが明らかになった。しかし、近隣で活動する他の市民団体では栽培した農作物を利用した収穫祭や自然体験イベントを通して、子供を持つ30~40代の世代を取り込んでいる状況が見られ、里山保全活動においても活動に楽しみを見いだしたり、意義をを感じやすくするプログラムを取り込むことによって幅広い世代の参加を促すことが示唆された。
著者
前田 陽子 瀬田 史彦
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.559-564, 2012

都心に近接した長屋混合型密集市街地のなかには、近年、その独特の雰囲気と若者による店舗進出を背景に新しく魅力的なまちとして大いに注目を集めている地区がある。この研究の目的は、大阪中心部に位置する中崎地区を対象として、長屋再生型店舗の集積形成過程を分析し、中崎地区が地域ブランド化していく変遷をたどり、さらに新しい店舗経営者と従前から存在する地域コミュニティとの関係性について明らかにすることである。新しい店舗経営者の多くは外部からの若者で、地元住民との近所づきあいにもさほど積極的とはいえない。しかし最近では、自発的に地元の地域振興会に加わり、地域活動に貢献する店舗経営者も現れ始め、中崎地区の店舗と既存コミュニティの関係性は新しい段階に入りつつあると考えられる。
著者
須永 大介 村木 美貴
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.769-774, 2012
被引用文献数
1

地球温暖化問題への対策は極めて重要なテーマである。CO2排出量は業務、家庭、産業、交通部門での発生量が高く、排出量の削減が重要な問題となっている。本稿では、CO2排出量の削減を目指したロンドンの交通政策、特にEVの普及促進について論じる。研究にあたり、まずロンドンの気候変動、計画、交通政策について整理を行い、次にEVに関する政策について詳細を整理した。分析の結果として、ロンドン市長の強力なリーダーシップの下、総合的な資金制度を活用してEVの充電施設が増加してきたことが明らかとなった。また、EV向け駐車施設に関する規制とCar Club会員の増加がCO2排出量削減に寄与していることを明らかにした。
著者
松村 暢彦
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.373-378, 2012

本研究では、地域活動を通して形成される地域住民間のネットワークの現状と、活動への参加が個人に与える影響を明らかにするため、戦後に開発されたオールドニュータウンである兵庫県川西市大和地区の住民を対象にアンケート調査を行った。その結果、地域活動への参加頻度とパーソナル・ネットワークの拡大には正の相関関係があり、地域でのネットワーク形成を促進していくためには、活動への積極性を高めていくことが必要であることがわかった。しかしそれと同時に、地域住民が地域と関わりを持つまでの間には、「人付き合いの敬遠」や「他者への無関心」といった困難な課題が存在することも明らかとなった。また、参加する地域活動の違いが個人の「地域に対する態度」と「生活満足度」にどのように影響を及ぼしているかを検証するため、共分散構造分析を用いてモデルを作成した結果、参加する活動領域やその組み合わせの差異によって、個人の生活満足に影響を与えるまでのプロセスに様々な差異が見られることがわかった。
著者
西山 直輝 室町 泰徳
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.352-357, 2015

本研究では,首都圏鉄道を対象に,震災発生後における帰宅ODを,臨時ダイヤを基にした時空間ネットワークに配分することによって,駅構内の混雑により列車に乗車することができない駅滞留者数を推計した.また, 震災発生後における円滑な首都圏鉄道の運転再開に向けて,駅滞留者の過剰発生を抑制する方策,すなわち勤め先等で待機しつつ,駅滞留者が過剰に発生しない程度に少しずつ帰宅行動を開始する方策について検討を行った.その結果,首都圏鉄道が全線運転再開した場合において,鉄道利用者が一斉帰宅する場合に比べ,遂次帰宅する場合の方が駅滞留者数のピークが緩和されることが示された.また,遂次帰宅を行う場合において,一斉帰宅を行う場合と比較して,7割程度の鉄道利用者が乗車時刻を30分程度後ろの時間帯にシフトさせることにより,駅滞留者の過剰発生を抑制し,震災発生後における首都圏鉄道の円滑な運転再開にする寄与する可能性があることが示された.本研究で示した遂次帰宅ケースを何らかの形で実現できれば,駅滞留者を過剰発生させることなく,円滑に運転再開を行うことが可能となると考えられる.
著者
Junichiro ASANO Peter LEE Vlad MYKHNENKO
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
Urban and Regional Planning Review (ISSN:21873399)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.135-152, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Natural Disaster gives serious impact and damage to city structure not only by disaster itself but also by reconstruction project after this. In depopulation era like in Japan, it is necessary to consider reconstruction plan in urban shrinking context with future low demand. This study clarifies reconstruction situation after eruption disaster of Mt. Unzen and recent urban shrinking in Shimabara City in order to consider urban resilience lesson. This study takes empirical method with official planning documents research, interview to key persons, questionnaire survey, and so on, and clarifies as follows. Since the residents' intention and consciousness for reconstruction needs to be intensified in reconstruction from a large-scale disaster, the reconstruction plans tend to be expansion-oriented. However, it is an illusion that temporary reconstruction projects bring the recovery of population in local cities in Japan. As the case from Shimabara, the followings can be pointed out as the concrete necessity. First, it is necessary to prepare a plan for housing developments for survivors which considers the future maturation of the development areas (especially the selection of their locations and the necessity of public transportation) and to carry out land readjustment considering demand for land after completion. In addition, as symbolically indicated by the abolishment of a Shimabara Railroad line after its reconstruction, it is necessary to prepare reconstruction plans of public transportation based on a strict demand forecast. Furthermore, reconstruction projects should be incorporated into city planning considering its sustainability.
著者
藍谷 鋼一郎 有馬 隆文 高山 達也 松山 加菜古
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.589-594, 2012-10-25
参考文献数
10

阿波踊りは、もともとは徳島に伝わる盆踊りであったが、今では徳島市から徳島県全域に広がるだけでなく、関東圏を中心に商店街の振興イベントや町おこしの起爆剤として全国的に拡がっている。祭りは一時的な賑わいを生み出し、都市の重要な要素となっている。徳島市においては開催期間の4日間に、延べ130万人もの来訪者があるという。来訪者の数においては本場徳島を凌ぐ勢いのものが関東の三都市における阿波踊り、高円寺阿波踊り、南越谷阿波踊り、神奈川大和阿波踊りである。本研究では、四都市における阿波踊りの運営組織や運営方法を比較分析し、それぞれの運営方法と祭りの空間特性や持続性について明らかにし、継続的なイベントとして成功させる知見を見いだす。
著者
北崎 朋希
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.583-588, 2011-10-25
参考文献数
7
被引用文献数
3

本研究は、都市再生特別地区による公共貢献と規制緩和の実態と課題を明らかにしたものである。都市再生特別地区は、2010年12月末時点で全国51件指定されており、約7割が東京都、大阪市、名古屋市において活用されている。事業者から提案された公共貢献には、制度創設初期は従来の規制緩和手法で用いられていた「広場・通路」などのハード面の取組みが中心であった。しかし近年では、「防災、環境・景観」などの社会的要請の高まりに対応した取組みが増加しており、さらに「地域貢献施設」のようにソフト面の取組みを重視するものが増加している。一方、規制緩和によって同水準の不動産価値が付与された事業の公共貢献を比較すると、公共貢献と不動産価値との間には一定の関係性がみられなかった。この公共貢献の評価と規制緩和の決定は、非公開の事前協議において実質的な審査が行われており、第三者が審査経緯を把握することは困難となっている。そのため、正式提案後の審査手続きである都議会都市整備委員会や都市計画審議会においても、事前協議の審査内容は公開されておらず、規制緩和の公平性及び公正性の担保不足が指摘されている。
著者
坂本 壮 森本 章倫 大門 創
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.774-779, 2015

人口減少フレームにある我が国では,人々が徒歩や自転車、公共交通を中心として生活が可能な都市機能集約型のまちづくりであるコンパクトシティが地方都市で進められている.富山市では,LRTなどの公共交通を軸とした拠点集中型のまちづくりが進められており,LRT沿線地域への居住を推進している.そこで,LRT導入都市の人口変動に着目し,都市の人口とLRT沿線の人口の2つの観点から,今後のコンパクトシティ戦略におけるLRT導入の必要性を検討する.本研究では,欧州のLRTが運行している27都市について,LRT導入前後での都市人口の変動を分析した.さらに,その中の4都市に着目し,LRT沿線の人口分布を詳細に分析することで,LRT導入が人口変動にどのように影響しているかを考察する.
著者
樋野 公宏 阿部 成治
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.43-47, 2004

平成15年9月30日に高知地裁が、高知市内のイオンSC内へのシネコンの建築を不許可とした市の判断には「裁量権を逸脱・濫用した違法がある」として、不許可の取消を命じた。シネコンは翌年7月17日に開業した。本研究では、本件の背景と経緯を整理し、判決の根拠となった「例外許可の許容性(当該用途地域規制の目的を阻害するおそれの程度)」、「例外許可の必要性(公益上の観点から当該建物を建築する必要性)」を視点に考察を加え、マスタープランの拘束性、中心市街地活性化の公益性、市民コンセンサスの判断基準などの問題が提起した。
著者
大村 謙二郎 有田 智一 小俣 元美
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.58-58, 2003

本稿では、長い地方自治の伝統があり、基礎自治体である市町村の都市計画権限が大きく、自治体毎に独自性を持った計画文化を維持してきたドイツを対象として、自治体都市計画プランナーの職能形成の実態を明らかにすることを目的とする。ボッフム、ドルトムント、デュイスブルグ、ミュンスター及びハノーバーの5都市を対象とし、都市計画行政を実際に担当する職員を対象として実施したアンケート及びヒアリングの結果に基づき、(a)ドイツの自治体都市計画プランナーの組織と人事システム、(b)自治体都市計画プランナー職能形成の実態、(c) 今後の自治体都市計画行政の方向性と都市計画プランナーの関わりについて明らかにした。
著者
阿部 成治
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.38-43, 2007

人口減少社会への入口に立つわが国では、人口フレームによる新規住宅用地算出は限界に近づきつつあり、市街化調整区域の規制で発展を止められた小規模集落の扱いも問題である。そこで、1970年代に人口が自然減に転じたドイツに関し、Fプランにおける住宅用地設定を検討した。対象としたのは、ルール地方のデュイスブルクとドルトムントと、南ドイツの環境都市フライブルクである。ドイツでは、人口増加に加え、住宅地の密度低下現象を基礎に新規住宅用地が算出され、量的には後者の影響がはるかに大きく、当該都市の住宅フローやストックを基礎に新規住宅用地面積が算定されている。また、日本では市街化区域が設定されていない規模の集落にも住宅用地を設定し、既存の集落を維持発展させようと努力している。
著者
大平 啓太 浅野 純一郎
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.549-554, 2013

本研究は、地方都市における暫定逆線引き制度の運用状況と課題を明らかにするものである。アンケート調査やヒアリング調査、現地視察等を通じた実証的手法により、同制度の運用は1982年の特定保留区域制度創設以前に市街化区域編入された未計画的整備地区に対する運用が主であり、近年の運用は少ないこと、過去の同制度運用地区では、場所性と指定方針が概ね相関しており、行政の指定解除方針に妥当性が見られること、を明らかにした。他方で、現在の暫定逆線引き地区には課題が山積しており、用途存置予定地区では、地権者の土地利用意向が市の指定方針と異なるか、明確でないため暫定逆線引き解除に行政が踏み切れないこと、市街化区域編入予定地区では、人口フレームの減少により短期間に地権者の事業合意形成を得なければならない難しい状況にあること、用途地域解除予定地区では、開発が進んだため地権者間で土地利用意向が異なり、市街化区域編入、用途地域解除共に地権者の合計形成が難しく、暫定逆線引き解除が困難であることを明らかにした。
著者
柿本 竜治 金 華永 吉田 護 藤見 俊夫
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.321-326, 2014
被引用文献数
4

本研究は,予防的避難の阻害要因と促進要因を探ることを目的とする.そこで,阿蘇市および南阿蘇で行った避難意識に関するアンケート調査を用いて,防護動機理論に基づいて避難の意識構造分析を行った.その結果,阻害要因は,避難移動や避難所で過ごすこと等の負担,すなわち,避難行動を起こすことに伴う負担感であることが分かった.一方,促進要因となっているのは,どれくらいの確率で被災するか,どの程度の被害かといった自然災害に対する脅威であることが分かった.さらに,熊本市龍田地区の北部九州豪雨災害時の避難行動の調査結果を用いて,災害に対する不安度モデルを推定した.災害に対する不安度モデルの推定結果より,災害が差し迫っていない早い時間の避難の呼び掛けでも避難を促す効果があることが分かった.
著者
小杉 理理子 伊藤 史子
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.70-75, 2009

近年、都市における交通手段として自転車利用を促進する動きがあり、日々の生活で自転車利用することの意義は高まっていると考えられる。よって、本研究では、市街地における自転車走行ルートに関するネットワーク分析を行った。まず、実走行により自転車速度と坂道勾配の関係を求めた。 次に、自転車利用者が選択したルートとネットワーク分析により求めた3つのルート(最短距離ルート・最短時間ルート・勾配制限を与えた最短時間ルート)を比較・分類し、走行ルート選択の傾向を把握した。さらに、クロスM関数を用いて空間解析を行い、坂道勾配によるルート選択の法則性を見出した。以上のことから、自転車ルートの傾向を得て、市街地における自転車ネットワークの考察を行った。
著者
いぇ 京禄
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.48-51, 2010

欧州ランドスケープ条約は、ランドスケープに関わる国際条約としては世界初めてのものであり、2000年欧州評議会で採択されて以来、ヨーロッパの30ヶ国が批准、7ヶ国が署名している。本条約の目的は、欧州大陸のランドスケープの持つ役割の重要性を認識し、地域のランドスケープの質を守るために、欧州全住民・政府の役割と責任を規定することにある。2008年の国土利用計画ではランドスケープと言う用語が初めて公式用語として登場しているが、そのきっかけとなった欧州ランドスケープ条約の内容や意義について紹介されて例は数少ない。本研究では、欧州諸国が当条約を取り入れるようになった社会的背景と意義、ランドスケープの用語定義に焦点を当て、既往研究・資料を基に諸議論の内容・結果を分析する。
著者
平 修久 西浦 定継
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.96-99, 2007

土地利用規制により地価が減少した場合、政府は土地所有者に保障しなければならないという法案37が、2004年にオレゴン州で住民投票の結果、可決した。政府は財政難のため、補償の代わりに土地利用規制を解除した。そのため、土地利用規制を主体とするオレゴン州の成長管理政策は危機を迎えた。2007年に、州議会は、公聴会を経て、法案37修正法案を可決し、それを諮問的レファレンダム(法案49)として住民投票にかけ、61%の賛成を得た。同法案は、1-10軒の住宅建設の権利と、請求権の移転を認める一方で、農地や森林の保全のため、請求に基づく大規模開発は禁止した。このように、法案37は、民主的なプロセスで土地所有者との妥協を図る形で修正された。
著者
ファン ル 松本 邦彦 澤木 昌典
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.866-871, 2015

2008年5月に中華人民共和国四川省汶川県でマグニチュード8.0の四川地震が発生した。水磨鎮は震源地から5kmの距離に位置する甚大な被害を受けた被災地の一つである。地震の前は農業や工業が主な産業であったが、地震の後は町の持続的発展を目的とした観光開発による復興が計画され、2008年から2010年にかけて建物の再建、新たな商業街区の整備、被災者の移転・入居などの様々な事業が実施された。その結果、水磨鎮は人気の高い観光地となったが、2012年以降は観光業がやや不振に陥り、店舗の経営状況の悪化、新設住宅での居住環境上の問題などが見られる。 そのため本研究では、水磨鎮における震災復興の背景やプロセスを調べた上で、新規に観光を導入した地域復興の状況を把握する。その上で、店舗経営者及び住民の居住環境に対する満足度、観光開発に対する意見・評価を把握し、居住上・経営上の問題を明らかにすることを目的とする。そして、現存する問題の解決策を検討し、今後の観光産業の振興に基づく被災地復興計画に参考となる知見を得る。
著者
片山 健介 大西 隆 城所 哲夫 瀬田 史彦
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.817-822, 2003-10-25
被引用文献数
2

本論文では、地域統合の進展に伴う空間計画制度の変容に関する研究のケーススタディとして、イギリスの空間計画制度におけるEUの空間政策・計画の影響について論じている。はじめに、EUレベルでの地域政策・空間計画の展開について整理している。第3章では、(1)主としてEU地域政策の影響によるリージョナリズムによって、地域レベルの組織が設立されたこと、(2)EUレベルの政策・計画がRPGにおいて考慮されていること、を述べている。第4章では、National Planという考え方が、ESDPの最終合意の後に現れてきていることを示している。結論として、EUレベルと地域レベルの重要性が高まるにつれて、国レベルの計画は、地域計画の枠組みとしての機能とともに、EUレベルと地域・地方レベルの「導管」としての役割を求められている。
著者
依藤 光代 松村 暢彦 澤田 廉路
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.487-492, 2011-10-25

地方都市の商店街ではにぎわいを喪失しており、商業の活性化が課題となっている。長期間にわたる商店街活性化に関する活動や組織の変化を追跡するだけではなく、まちづくりの担い手間の関係に着目することにより、まちづくり活動の担い手の継承の要因について考察した結果、次のように考えられた。(1)1993年以降、担い手となるセクターは、行政組織、地元市民組織、新規市民組織、広域市民組織の順に変遷してきた。(2)担い手が継承されるための要因は、地縁・志縁の担い手間のネットワークや、問題意識および課題解決の方向性が担い手間で共有されること、課題を解決するためのスキルを担い手が提供できること、活動の場としての組織の存続が担保されていること、の4つが考えられた。共通して重要であるのは、志縁の関係が行われるような、実践的な活動が積み重ねられることである。