著者
三井 紀子 酒井 豊子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.391-398, 1984-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2

Through the questionnaire survey reported in Part 1, followings have become clear about boys' uniforms.1. School uniforms of close buttoned jacket type are very popular for boys, and blazer or business suit type come second.2. Most of the close buttoned jackets are black, and blazers or business suits are dark blue.3. The proportion of blazers or business suits to close buttoned jackets has increased with the years.4. Various wool/polyester blended fabrics are used for boys' uniforms more than for girls' uniforms, especially in summer.5. Regulations of private and national boys' schools are less rigid than those of private and national girls' schools.For 83 % of the schools which prescribe their uniforms, teachers affirm the prescription of uniforms. For 30 % of the schools which have no uniform, teachers feel the necessity of uniforms. These suggest that most teachers expect some educational effects of school uniforms.
著者
田村 朝子 加藤 みゆき 大森 正司 難波 敦子 宮川 金二郎
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.1095-1101, 1994-12-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2

後発酵茶の一種である阿波番茶, 碁石茶, 石鎚黒茶それぞれの, 各製造工程から微生物を分離し, 同定を行った.(1) 阿波番茶, 碁石茶, 石鎚黒茶から嫌気性菌, 好気性菌, カビがそれぞれ分離され, その形状, 諸性質より Lactobacillus, Streptococcus, Bacillus, Pseudomonasなどの存在が明らかとなった.(2) 阿波番茶, 碁石茶からの分離菌株 Pseudomonas aeruginosa および P.cePaciaを用いて至適温度, 至適pH, 耐熱性試験を行った.その結果至適温度はそれぞれ40℃, 37℃, 至適pHは5.5, 5.0~7.0, 耐熱性は70℃および80℃までそれぞれ増殖が可能であった.
著者
大浦 律子 吉川 清兵衛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.207-212, 1989-03-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Redox potentials of various bleaching agents and the fiber model substances were measured in order to estimate the oxidizing power of them.Bleaching agents used were sodium hypochlorite, hydrogen peroxide, sodium percarbonate, sodium perborate and sodium hydrosulfite. On the other hand, glucose and glutathion were adopted as the model substance of cellulose and wool fibers respectively.Results obtained were as follows.1) The redox potential of sodium hypochlorite was higher in plus value than that of hydrogen peroxide. That is to say, the bleaching agents of perchlorite series had more intensive oxidation power than that of peroxide series.2) Every redox potentials of peroxide bleaching agents used in these experiments were nearly equal. Sodium hydrosulfite exhibited minus potential.3) The potential of these bleaching agents lowered with the increase of pH, with point of infection appearing in diagram.4) The potential of glucose and glutathion were lower than that of peroxide series, and with the increas of temperature the potential of that became lower.
著者
伊東 哲代 安藤 孝雄 市川 邦介
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.170-173, 1968-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

甘藷の加熱処理法と糖生成量との関係を求めるため、甘藷の擂砕物、搾汁および粗酵素を用いて検討した結果は次のごとくであった。1 甘藷の擂砕物および搾汁においては、基質でんぷんのα化とも関連して、80℃附近において糖生成量が最大となった。またその糖化は、100℃に達するまでの時間が10~20分間あれば十分である。2 予め、基質をα化した場合、糖化は60℃附近において最も大であった。
著者
冨岡 和子 梁 善雅 遠藤 金次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.11-16, 1993-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2

代表的な食肉および魚肉の加熱調理過程でのイノシン酸の量的変化に及ぼす昇温速度および食塩とショ糖の添加の影響について検討した。その結果は次のように要約できる.1) 急速 (7.5℃/min) または緩慢 (0.8℃/min) に昇温加熱した場合, 肉中のイノシン酸の分解率は肉の種類によって異なるだけでなく, 加熱速度依存性を示す両加熱速度におけるイノシン酸分解率の比も肉の種類によって異なった.2) 加熱過程での肉中のイノシン酸分解率と肉中のイノシン酸分解酵素活性との間に正の相関関係の存在することが認められた.3) 加熱過程での肉中のイノシン酸分解の加熱速度依存性と肉中のイノシン酸分解酵素の変性温度との間に正の相関関係の存在することが認められた.4) イノシン酸の分解はショ糖の濃度にほぼ比例して抑制されたが, 食塩の影響は肉の種類によって異なるだけでなく, 切り身のままとそれをすり潰したものとの間で異なった.
著者
市毛 弘子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.465-473, 1986-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

“Sakubei” was imported from China to Japan with Buddhism in the Ancient Times. It was made from wheat flour and rice powder, and was eaten with salt, vinegar, Miso and Hishio. It had been called “Muginawa” from the Ancient Times on to the 13th century, but very often it was called “Sakubei” in the Middle Ages. It was made certain that the custom of eating Sakubei on the 7th July had been carried on since the end of Heian era, and continued to the Middle Ages. Moreover it was kept on to the 17th century in the Imperial Court. Soumen became known as food of tea ceremony in the 14th century. Priest of temples ate it between meals, which was called “Tenjin.”By and by Soumen became widely used as food. Sakubei however, was not eaten by many people except high society people. Until the 17th century Soumen and Sakubei were different kinds of food. But afterwards people became to think that Sakubei, Muginawa and also Soumen were all the same things. The reason is supposed as follows : Some investigations published books concerning such kinds of food without satisfactory explanation because of the lack of enough study about the old documents.
著者
高橋 久美子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.59-67, 2003-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
17
被引用文献数
4

性意識のなかでもとくにセックス観に注目し, 父親と母親のセックス観が性教育に及ぼす影響について検討した.分析の対象は中学生の子どもをもつ188組の父親と母親である.主要な分析結果は以下のとおりである.取り上げた5項目のセックス観の全てにおいて, 父親に比べて母親は否定的で禁欲的な考え方をもっていた.父親と母親の意識の差は, とくに快楽の肯定と男性による女性の道具視の項目で大きかった.母親では, 禁欲の必要性の項目が快楽の肯定や女性の道具視の項目との間で関連が認められた.父親と母親のいずれも, 性に関する会話への抵抗感をもつ者が半数いた.子どもとテレビ視聴時のラブシーン場面において平静という者は予想外に多く, 母親でも半数いた.父親と母親のいずれも, 性教育の内容として取り上げた10項目のうち, 家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目はほぼ同数の5項目であった.しかし, 家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目の内容は対照的であった.家庭で実際になされた項目は少なく, 2~3項目でしかなかった.父親と母親のいずれも, 家庭での性教育の必要性の意識と性教育の実践とは関連が認められた.性教育の実践に対し, 父親では性に関する会話抵抗感は直接に関連し, 母親では家庭での性教育の必要性の意識を通して関連していた.さらに, セックス観のなかでも禁欲の必要性の意識と性に関する会話抵抗感との問で関連が認められた.
著者
安部 テル子 佐藤 幸 玉田 あかり 石井 邦彦 築城 文明
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1035-1039, 1997-11-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
2

牛すね肉スープにおけるすじの効用を明らかにするため, すね肉からすじを除いた肉およびすじ入りの肉からとったスーフ.のペプチド, 核酸, ゼラチンや遊離アミノ酸等の成分を測定し, 味覚試験の結果と合わせ, 比較検討した。その結果次のことが明らかになった.(1) 牛すね肉すじの入ったスープはすじを除いた肉からとったスープに比べ, ゼラチン, ペプチドの溶出が多く, 逆に, クレアチニン, クレアチン, 核酸および糖は, すじを除いた肉から取ったスープの方に多く検出された.(2) 遊離アミノ酸量は, セリン, スレオニン, グルタミン, アラニン, グリシン, アスパラギン酸, グルタミン酸, ヒスチジン, アルギニンはすじ入り肉のスープに多く存在した.一方, 味と強く関係あるとされるジペプチド, カルノシン, アンセリンはすじなし肉から多く抽出された.(3) 味覚試験では, すじ入り肉からのスープの方が旨味, まろやかさが強く感じられ, すじなし肉スープは酸味, 渋味が顕著に強く感じられた.総合的には 1% の危険率で有意にすじ入り肉の方が好まれた.
著者
Fumiko NAITO Setsuko TAKAHASHI Yukinori SATO Shun NOGUCHI Hiroshi NAITO Tadayoshi TANAKA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.153-159, 1996-02-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9
被引用文献数
2

真空調理法によるイカ肉の物性および食味特性を通常調理法と比較し, 真空調理については加熱温度や加熱時間の影響を物性, クッキングロスおよびスペースロス, 肉中のプロトン緩和曲線から検討し, 官能評価との関連性をみた.結果は次の通りである.(1) 真空調理時の加熱温度は40, 50, 60, 70および80℃について検討したところ, 温度の上昇に伴うイカ肉の硬さは40, 50, 60℃と上昇するに従い軟らかくなり, 60℃で最も軟らかい値を示した.さらに60℃を越すと加熱温度の上昇とともに硬くなることが認められた.クッキングロスは温度の上昇に伴い大となった.(2) イカ肉の真空調理の加熱時間の影響を20分間から50分間加熱について比較したところ, その差は認められなかった.(3) イカ肉中の水の動きの変化は60℃付近から起こり, 水分含量の減少や緩和時間丁2値の上昇は70℃加熱の肉に認められた.(4) 官能評価においては外観や食感に関する食味特性および嗜好について検討したが, 60℃および80℃加熱はともに好まれない傾向を示し, 70℃-30分間加熱により嗜好性の向上が認められた.(5) 以上の結果から, イカ肉の真空調理に適した加熱温度は約70℃であり, 加熱時間は20~30分間が適当と考えられた.(6) 真空調理法によりイカ飯を調製したところ, 煮込み調理に比べて官能評価の食感の項目でより好まれる傾向を示した.また調理操作の面では加熱中の攪拌が不必要であり, 少量の煮汁で加熱が可能であるなどの利点が認められた.
著者
早川 文代 馬場 康維
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.447-456, 2002

"まったり" について, 京都・滋賀地方でのアンケート調査および京都市内での専門家による聞き取り調査を行い, 前報の首都圏のデータと比較し, 以下の結果を得た.<BR>(1) "まったり" は, 京都高年層には方言として用いられているが, 京都若年層には, 首都圏若年層の流行語と同様に用いられている.<BR>(2) 方言としての "まったり" は, 食物名による尺度化の精度が悪く, 食物名で "まったり" を説明することは困難であるが, "まったり" している可能性が高い食物は, 栗きんとん, 白味噌などである.<BR>(3) 方言としての "まったり" は, 良いイメージをもつ誉め言葉であり, 感覚用語というよりも, 感性を表現する用語である.まろやかで, 口にゆっくり広がる, 穏やかで, 深みがあり, ほのかに甘い感覚である.<BR>(4) 若年層に用いられている流行語としての "まったり" は, 食物名による尺度化が可能で, カスタードクリームやバタークリームなどの, まろやかで, 口にゆっくりと広がる, ねっとり, こってりした感覚である.
著者
難波 敦子 Moe Moe NYEIN Sanda Ye WIN 宮川 金二郎
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.639-646, 1999-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16

A continuation of the study on post-heated fermented teas that are distributed in south-west of Yunnan, China and in the northern part of Southeast Asia is reported. These teas seem related to Awa-bancha and Goishi-cha, fermented teas produced in Shikoku, Japan. In Shan State of Myanmar, Lepet-so that is a kind of edible pickled tea fermented by bacteria under anaerobic conditions, and its dried forms, which are used for drinking (Lepet-chin-chauk), are widely produced on a large scale. The pickled teas are produced on a small scale, one beeing fermented by fungi and bacteria in a small vinyl bag or in a bamboo tube and using matured tea leaves. The hard matured tea leaves are softened by the action of the fungi. The pickled tea fermented by fungi and bacteria may be similar to Japanese Goishi-cha that is similarly fermented. Some non-fermented edible teas in Myanmar are also discussed.
著者
橋本 恵美子 山崎 久生 宮坂 広夫 向山 恒治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.86, 2003 (Released:2004-05-25)

[目的]一般的な柔軟仕上げ剤で処理した繊維の水分および熱の移動特性については種々研究されている1)が、カチオン界面活性剤(以下、カチオン)にシリコーンを併用した柔軟仕上げ剤に関してはほとんど検討例がない。本報ではカチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤で処理した各種繊維の水分移動特性を詳細に検討し、更に処理衣類着用時の快適性について評価した。[方法]評価には、予め前処理した綿、ポリエステルの試験布または衣類を用いた。カチオンのみの柔軟仕上げ剤を対照として、カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤の濃度を変化させて処理した各種繊維の、吸水性および蒸散性を接触吸水法により測定した。また、処理衣類着用時の快適性は、発汗時の衣服内温湿度を測定することにより評価した。[結果]一般に、綿繊維の吸水性能は柔軟剤の使用により低下するが、主基材であるカチオンの種類やシリコーンと併用することでこの低下が軽減するとの報告がある2)。カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤に関して、シリコーンの量を増加させると吸水性が向上し、綿については柔軟剤非使用と同程度になることが明らかとなった。一方、ポリエステルに関しては、柔軟仕上げ剤を使用すると非使用と比較して吸水性が向上し、シリコーンの併用によりこの効果は更に増大した。また、これら水分移動特性が良好な衣類を着用した場合、発汗時においても衣服内の湿度を低く保つなど、着用時の快適度が高いことが明らかになった。1)井上ら,繊維学会誌,53,p.226(1997)他2)橋山ら,日本家政学会第54回大会要旨集,p.179(2002)他
著者
角野 猛 佐久間 久仁子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.118-124, 1983-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

保存料 (安息香酸ナトリウム, ソルビン酸カリウム, デヒドロ酢酸ナトリウムおよびプロピオン酸ナトリウム) およびグリシンの, 腸内細菌 (S. enteritidis, E. coli, C. freundii, K. aerogenes, P. vulgaris, E. cloacaeおよびS. liquefaciens) の発育抑調作用に対する供試培地の pHおよび薬剤濃度の影響を調べて, 次の知見を得た.1) 保存料の誘導期および発育菌量に及ぼす影響は, pH5>6>7の順に強かった.2) P.vulgarisは安息香酸ナトリウムおよびデヒドロ酢酸ナトリウムに対して, S. liquefaciensはソルビン酸カリウムに対して強い抵抗性を示した.K. aerogenes, はいずれの保存料に対しても抵抗性が弱かった.3) グリシンの誘導期および発育菌量に及ぼす影響はpH8>7>6の順に強かった.4) グリシンに対して (S. enteritidis, E. coli K. aerogenesおよびE.clacaeは抵抗性が弱かった.
著者
丹野 郁
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-10, 1978-01-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
32
著者
岡村 浩
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.375-382, 1977-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2
著者
丸山 悦子 西 千代子 宮田 康子 梶田 武俊
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.253-258, 1981-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
4

1) 電子ジャー電気炊飯器を用い, 炊飯中における還元糖を定量した結果, 60℃で炊飯前の約 2 倍になり, その後 80℃までは量的にほとんど変化せず, 保温ランプ点灯時および消火後に顕著に増加した.2) α-アミラーゼ活性は炊飯中50℃で最大活性を示したが, 糖化型アミラーゼは生米に最も活性が高く, 温度が上昇するにつれて低下した. また, 蒸らし期における還元糖の生成にも酵素が関与することが示唆された.3) 炊飯中, 少なくとも2種のマルトース生成アミラーゼが作用しており, 両者の至適pHは5.0~5.4であったが, 耐熱性が異なり, 熱に不安定な酵素はSH酵素であることが推定された.
著者
大羽 和子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.715-721, 1990-08-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
5

(1) 野菜の部位によりVC量が異なり, キャベツでは球の内側菜より外側葉に, レタスでは成熟葉より幼若葉に, カイワレダイコンでは胚軸より子葉に, ニンジンでは髄より皮層に多かった.(2) キャベツを線切りにして水洗すると, 細かくきざむほどVC量の減少が多く, 浸漬したほうが水洗いだけよりVC量の減少が多かった.(3) キャベツを切断し室温に放置するとVC量が減少したが, ニンジン, ダイコン, ジャガイモ, サツマイモを切片にして放置すると総VC量が増加した.総VC量の増加はAAO活性のないイモ類で顕著であった.(4) 市販のサラダ用切断野菜の総VC量は, 新鮮野菜に比べて細かくきざんで販売されるキャベツやニンジンで顕著に少なかった.ニンジンではデヒドロAsAの含量が多くなっていた.しかし, キュウリ, カイワレダイコン, レタス類では差がなかった.(5) AAO活性を測定するにあたり, 他の酸化酵素の影響を少なくするよう酵素の調製方法を改良した.(6) 野菜を切断・放置するとAAO活性が増大した.AAO活性のないイモ類を切断・放置しても活性は現れなかった.
著者
安田 淑子 下村 道子 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-32, 1976-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

白米を多量の水とともに加熱し, ゆで汁を捨てて蒸す炊飯方法を湯取り法とよび, 普通炊と湯取り法による米飯の性状について比較した. その結果は次の通りである.1) 湯取り法による炊飯中の水分は, ゆでている間に増加し, 蒸すことによる増減はほとんどなかった.2) 米飯粒の膨潤は, 普通炊と比較して湯取り法では長さ方向の伸びが大きく, 幅はむしろ減少していたが, 全体としては, 水中落下速度が小さいことから, 膨潤しているといえよう.3) テクスチュロメーターによるテクスチャーの測定では, 硬さは55~50℃で湯取り方の方が大きく, 25~20℃では普通炊の方が大となる. これは粘りのためと思われる. 弾力性は湯取り法の方が小さく, 付着性, そしゃく性, ガム性も小さい.4) かびの発生状態を37℃の恒温器中で18日間観察した結果, 湯取り法の米飯には, 普通炊よりかびの発生が少なかった.5) ゆで汁中のでんぶんのアミロースの割合は28.9%で, 白米のそれより多く, アミロースはゆで汁中に溶出しやすい.6) 官能検査では湯取り法と普通炊の飯における, 好みについては有意差がなく, つやとねばりに1%の危険率で有意差が認められた.