著者
菅根 幸裕 菅谷 祐輔
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.56, pp.1-28, 2017-07

近世における六十六部廻国聖に着目し、宝暦年間全国を行脚した安房国長狭郡平塚村(千葉県鴨川市)の高梨吉左衛門の日記から、巡拝の実態を探ろうというものである。この聖は、全国をおよそ三年間かけて廻ったが、日記には具体的な泊所・報謝の様子がわかり貴重である。今回は紙数の関係から原文の紹介に留まるが、詳細な分析については稿を改めて行いたいと考えている。
著者
本田親雄(男爵会長)
巻号頁・発行日
vol.本田親雄書簡 槇村正介宛, 1906-12-30
著者
アーサー、デビットソン(イギリス侍従武官)
巻号頁・発行日
vol.アーサー、デビットソン(イギリス侍従武官)書簡 長崎省吾宛, 1906-03-21
著者
ビスピンク ラインハルト シュルテン トアステン 榊原 嘉明
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.153-175, 2014

ドイツにおいて協約拘束がしだいに低下し,また一般的拘束力の意義が失われたことによってさらにその傾向が強まったことを背景に,ここ数年,どの程度,(法)政策的な改革を通じてドイツの労働協約システムが再び安定化されうるかについての議論が,盛んに行われるようになってきている。その議論は,いまやドイツの政治的課題にまで達しており,2013年9月の連邦議会選挙前における野党各党からは,それぞれ,一般的拘束力宣言の内容的拡大と手続的簡素化を指向する提案がなされた。もっとも,このような提案は,伝統的に協約自治の思想をその大きな特徴としてきたドイツの労働協約システムにとって,ある種,国家が担うべき役割をより大きなものへと転換することを意味している。 本稿は,今日的な一般的拘束力宣言改革論議の背景にあるドイツ労働協約システムの空洞化と一般的拘束力宣言の利用低下の諸相を明らかにするとともに,その改革論議を整理・検討した書き下ろし論稿の翻訳である。
著者
林 俊斉 齋藤 淳 宮里 心一
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.178-184, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
10

本研究はコンクリートの乾燥収縮に各種粗骨材の品質が及ぼす影響を明らかにすることを目的として、岩種および産地の異なる粗骨材を用いて実験的検討を行った。特に粗骨材の品質の内、吸水特性に着目し、一般的な吸水率に加えて、吸水・放水時の膨張・収縮ひずみや化合水についても検討した。その結果、粗骨材の吸水膨張ひずみが岩種によらずコンクリートの乾燥収縮との相関が高いことを確認した。その上で粗骨材のひずみ特性が異なる要因を化学的に分析し、骨材の化合水量が吸水膨張ひずみと相関が高いことを示した。これにより少量の試料で短時間に測定可能な化合水量により、コンクリートの乾燥収縮を推定できる可能性を新たに示した。
著者
土'谷 敏治
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.152, 2003

1.はじめに 現在,日本の公共交通は大きな転換期に立っているといえる.自動車交通への依存度がさらに高まる中で,規制緩和と国による助成の削減が実施され,とりわけ大都市圏以外の地域では,各事業者の経営判断と地方自治体による政策的決断の必要性が増している. このような事態は,自らのインフラストラクチャーを維持・管理しなければならない地方鉄道事業者にとって,より深刻である.地方鉄道事業者の経営環境が,極めて深刻な状況におかれていることは周知の事実であるが,旧国鉄の地方交通線問題が一応の終結をみて以来,鉄道の存廃問題はしばらく沈静化していた.しかし,上記のような動きの中で再びその存廃問題が論議され,実際に廃止される鉄道路線がみられるようになった.このことは,従来の独立採算制の枠組みの中では,既に経営の限界に達している事業者が現れていることを示している.他方,いずれの鉄道路線にも,日常生活を営む上でその路線を必要とする利用者が存在する.今後は経営補助の視点ではなく,都市計画や地域の交通政策の中で,鉄道をはじめとする公共交通機関を位置づけていかなくてはならない段階にきているといえよう. ところで,鉄道路線の存廃を論議するにしても,また助成制度や交通政策を検討するにしても,まずその鉄道路線のおかれている現状や利用状況の把握が不可欠である.そのうち経営側の視点に立った分析は,当該事業者の経営上の資料から可能であるが,利用者側の分析は利用者や沿線居住者に対する新たな調査が必要であり,一部の鉄道路線を除いて十分な資料が入手困難な状況にある.今回,千葉県銚子市の銚子電鉄について,利用者に対する調査の機会を得た.本研究では経営側の資料とあわせて,この調査結果をもとに銚子電鉄利用者の特徴やその利用状況についての分析を行い,銚子電鉄が抱える課題や展望について検討を加える.2.銚子電鉄の旅客輸送パターン 銚子電鉄は,営業キロ6.4km,地方鉄道の中でもとりわけ小規模な鉄道である.その路線は,銚子市の中心部に位置しJR線との接続駅でもある銚子を起点に,市域の南東端に位置する外川を結んでいる. したがって,旅客輸送パターンは,銚子とその他の各駅間の輸送が中心であり,定期外の輸送ではとくに銚子・犬吠間の観光客の輸送が顕著である.このような輸送パターン以外では,沿線に立地する高等学校や小学校への通学輸送や,旧市街への買い物・用務客の輸送が注目される.時間帯別にみると,もちろん通勤・通学時間帯に輸送量が集中するが,とりわけ午前の通学時間帯における,上記の学校最寄り駅付近での集中が顕著である. しかし,このような旅客輸送の営業収入は営業経費を下回って欠損を生じている.他方,旅客輸送以外のいわゆる副業による収入は旅客収入を大きく上回り,それによって旅客収入の欠損を埋め合わせている情況にある.3.利用者特性 銚子電鉄利用者の特性を明らかにするため,乗客の性別・年齢などの属性や,利用目的・利用頻度・乗降駅・他の交通機関との乗り継ぎなどの利用状況についてのアンケート調査を実施した.その結果,調査時1日の銚子電鉄利用者総数の1/4強と考えられる回答を得た. 回答者の約3/4は銚子市在住者であったが,その半数以上が通勤・通学を利用目的として挙げている.その数は,利用頻度が週4日以上の回答者数とほぼ一致し,両者の対応関係は明らかである.しかし,定期乗車券利用者数はこれよりも少なく,通勤・通学利用者の定期乗車券購入率低下を裏付けている.通勤,通学に次いで,買い物や遊びに出かける際の利用が多いが,これら利用目的でも週単位の利用者が多く,全体として銚子電鉄利用者の利用頻度は高いといえる.このことは利用者の銚子電鉄に対する評価にも表れ,好意的な評価や存続を望む意見が多い.また,パークアンドライドに代表される自家用車や自転車との連携は不十分であるが,銚子駅におけるJR線との乗り継ぎ需要はかなり存在すると考えられ,両者の連携強化が求められる. 銚子市以外の在住者では,そのほとんどが観光目的の利用で,11月の調査時期から考えても,銚子電鉄に対する観光需要は大きいと判断される.また,観光客の多くに,銚子電鉄自体を観光対象の1つとして評価する傾向が見らる.これらの観光客は,主としてJR線を経由して訪れており,観光面でもJR線との連携が望まれる.
著者
下田歌子 著
出版者
精美堂
巻号頁・発行日
1911
著者
倉光 ミナ子
出版者
お茶の水女子大学ジェンダー研究所
雑誌
ジェンダー研究 : お茶の水女子大学ジェンダー研究所年報
巻号頁・発行日
no.24, pp.67-74, 2021-07-31

COVID-19 のパンデミック下において、感染拡大を防ぐために、人びとが突然「ステイホーム」を求められたことにより、期せずして「ホーム」という空間/場所に関心が集まった。本稿はパンデミック下における「ホーム」をめぐる現象を概観することで、「ホーム」という空間/場所について再考することを目的とした。日本では春以降の緊急事態宣言下において、テレワークの導入、日本政府の緊急対応策、「ステイホーム」の呼びかけを通じ、「ホーム」が暗黙のうちに異性愛規範に基づいた安全な場所として強くイメージされていることが明らかになった。同時に、「ステイホーム」は「ホーム」が誰にとっても等しく安全な場所でないことも暴き出した。このように、パンデミック下での「ホーム」をめぐる現象はすでにフェミニスト地理学が論じてきた点を深刻化する形で「ホーム」に伴う課題を突きつけるとともに、「ホーム」そのものの意義や意味について再考を促している。