著者
Hidetomo HONGU Akira YOSHIASA Ginga KITAHARA Yumiko MIYANO Karin HAN Koichi MOMMA Ritsuro MIYAWAKI Makoto TOKUDA Kazumasa SUGIYAMA
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
pp.200904, (Released:2021-09-30)
被引用文献数
2

Parasymplesite and vivianite specimens were obtained from Kiura Mine, Ohita, Japan and Tomigaoka, Nara, Japan, respectively. Empirical chemical formulas of the specimens determined by energy–dispersive X–ray spectroscopy on the scanning electron microscopy were Fe3(AsO4)2·8H2O, and (Fe0.93Mn0.06Mg0.01)3(PO4)2·8H2O, respectively. The crystal structures of parasymplesite and vivianite determined by single–crystal X–ray diffraction method were monoclinic, space group C2/m, with unit–cell parameters: a = 10.3519(10), b = 13.6009(13), c = 4.7998(4) Å, β = 104.816(2)°, V = 653.32(11) Å3 (Z = 4), and monoclinic, space group C2/m, with unit–cell parameters: a = 10.1518(6), b = 13.4327(7), c = 4.7005(3) Å, β = 104.692(2)°, V = 620.03(6) Å3 (Z = 4), respectively. The crystal structure of parasymplesite solved with the ideal chemical formula was refined to the R1 value of 0.0301 (wR2 = 0.0788) for 722 independent reflections with |Fo| > 4σ(|Fo|), whereas that of vivianite was refined to the R1 value of 0.0272 (wR2 = 0.0832) for 664 independent reflections. The hydrogen atom positions determined by the difference Fourier method coincided with the positions where residual electron density peaks appeared. In the edge–sharing Fe2O6(H2O)4 double octahedra in parasymplesite and vivianite, the bond distance of Fe2–O5, where O5 is the oxygen atom of the H2O molecule, is shorter than that of Fe2–O2. In each arsenate and phosphate phase, only the M2–O2 bond distance shows an increase trend with the increase in the average ionic radii of the M2 site, but the M2–O3 bond distance never shows a clear average M2 ionic radius dependence. In vivianite group minerals, a distortion at the isolated M1O2(H2O)4 octahedra increases as a function of the average M1 ionic radius. The respective complex sheets consisting of the TO4 tetrahedra, isolated M1 octahedra, and edge–sharing M2 double octahedra are connected only by the hydrogen bond O5–H52•••O4. In the arsenate phases, the donor–acceptor distance between O5 and O4 exhibits an increase trend as increase of the average M ionic radius, but in the phosphate phases, there is no clear correlation between donor–acceptor distances and the average M ionic radius.
著者
河上 康子 山崎 一夫 大橋 和典 中浜 直之
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ダンダラテントウは赤道地方から中緯度地域に広く分布し,1910年-1990年にかけて,気候の温暖化に伴い九州地方から関東・北陸地方へ分布を拡大した.本種は鞘翅の斑紋型に黒色から赤色の多型があり,分布北限に近い高緯度ほど黒い型が多く,低緯度ほど赤い型が多いクラインを示す.本研究では本種の21地域232個体のミトコンドリアCOI領域620bpを解読し,分布北限地域では遺伝的多様度がやや減少していること,遺伝的集団構造は2つの系統があることを解明した.ふたつの系統のうち片方は古くから分布している琉球以南で割合が高く,もう片方の系統は分布北上後の本州での割合が高かった.
著者
板垣 信吾 光定 誠 城川 雅光 関 薫子 中島 康 横須賀 哲哉
出版者
島しょ医療研究会
雑誌
島しょ医療研究会誌 (ISSN:24359904)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.55-59, 2009 (Released:2021-07-12)
参考文献数
4

南鳥島は東京都小笠原村に属し,東京から約 2,000km 離れた日本最東端の離島である.当院は島しょ からの航空機搬送による救急患者受入れを行っているが南鳥島からの搬送は本邦における最遠距離搬送 と思われる.今回,同搬送の添乗医を経験し,その問題点について考察した.2001 年 1 月~09 年 3 月の 南鳥島からの離島緊急航空機搬送例全 6 例を対象とし,各症例について搬送要請から病院収容までの時 間の詳細を検討,他の離島(伊豆諸島および小笠原:平成 20 年搬送例)と比較した.搬送症例は 06 年に 1 例,08 年に 4 例,09 年に 1 例であり,診断は急性腹症 4 例,外傷 2 例であった.要請から航空機離陸 までの時間(lag time)及び総所要時間は他の離島と比べ極めて長くなっていた.遠距離であることに 加えて(1)複雑な事務手続き,天候不良等で lag time が通常の搬送より延長している可能性(2)添 乗医師到着後に再度診察や処置を行うことで現地滞在時間が延長している可能性が考えられた.対策 として(1)赴任前健診の強化(2)情報伝達の強化(3)事務要請経路の簡略化などが考えられた.
著者
杉浦 淳吉 吉川 肇子 鈴木 あい子
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.37-49, 2006-06-25 (Released:2020-08-28)
参考文献数
11
被引用文献数
3

本研究の目的は,商品販売・購入場面における交渉過程を再現した交渉ゲームを「説得納得ゲーム」(杉浦,2003)のフレームを用いて開発することである.説得納得ゲームは,説得役と被説得役の2つのグループに分かれ,相互作用を繰り返すゲームであり,当初環境教育のツールとして開発されたものである.説得納得ゲームを改変した『SNG:販売編』は,傘やメガネといった商品アイディアの開発を行い,その後,商品を販売する役割と,それを購入する役割に分かれて交歩を行う.販売者はなるべく多くの商品を売ることが求められ,購買者は賢い消費者として自分の気に入った商品を限られた金額の範囲内で購入することが求められる.大学生等を対象とした実践により,このゲームのバリエーションの有効性が確認された.最後に,説得納得ゲームのフレームゲームとしての消費者教育や交渉トレーニングヘの利用可能性が議論された.
著者
中瀬 雄三 塩野 竜太
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.250_1, 2019

<p> 近年、日本バスケットボール協会が体罰や暴言を抑止するための施策が施行されたことや、Bリーグのクラブライセンス交付規則に「ユースチームなどの育成環境の構築」が掲げられ、育成年代の指導環境を改善しようとする動きが顕著である。しかし、指導現場における問題は看過できない。例えば、育成年代カテゴリーでの短期的成果としての勝利をあげるべく、専門競技の特定の戦術や技術のみを教え込むことで、動きの鋳型化や早期のバーンアウトにつながってしまうという問題(早期専門化)である。</p><p> プロバスケットボールクラブであるアルバルク東京のユースチームでは、上記のような問題を克服するため、ゲームを中心とした練習内容と潜在的学習を促す指導を実践している。そこで、本研究の目的は、上記指導環境におけるユース選手の競技力がいかに変容したかを発生運動学的視点から事例的に考察し、バスケットボールの育成年代を対象とした指導法に関する知見を導き出すことである。研究方法は、同チームのコーチである筆者による指導観察記録と、複数のアカデミーコーチや選手へのインタビュー記録を元に、現象学的方法である本質観取に基づき考察を実施する。</p>
著者
小板 清文
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.21-33, 2019

<p>本稿は,公的な犯罪統計を用いながら,非行少年のうち,受刑者にまで至っている者の比率を調べることで,少年非行と成人犯罪との連続性について調べた。また,年齢犯罪曲線(age-crime curve)に関する国内外の研究をまとめた上で,最新の犯罪発達理論(developmental and life-course criminology),生物社会学的犯罪学(biosocial criminology)の研究動向,脳科学の知見についても把握した。年齢犯罪曲線に関する研究は,ヒトの発達や社会的な成熟とも深く関連している興味深い研究分野であり,社会的な逸脱行動の理解やそれへの対応を考える上で,総合的・学際的な分析・検討の視点を必要とする,重要な研究分野と考えられる。</p>
著者
Michio Yamawaki Tadafumi Koyama
出版者
The Japan Society of Nuclear and Radiochemical Sciences
雑誌
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences (ISSN:13454749)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-4, 2016 (Released:2017-04-05)
参考文献数
27
被引用文献数
1 6

The transmutation methods to reduce the burden of high level radioactive waste had been compared to identify the most suitable method for this purpose. The results showed that the molten salt reactor (MSR) was suggested to be an effective transmutation system. Based on this result, a new concept of Integral Molten Salt Fast Reactor (IMSFR) as a highly efficient transmutation system for transuranium elements has been proposed in this study; the system consists of a combination of an MSR fuelled with chloride molten salt fuel and the chloride-based pyrochemical processing subsystem. In this system MSR fuel can be transferred between the reactor core and the pyrochemical processing subsystem without chemical form change.
著者
元賣 睦美 吉瀬 蘭エミリー 松山 博昭 細谷 知広 門岡 幸男 浅田 千鶴 内田 俊昭 川上 浩
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.442-446, 2007-10-15 (Released:2007-11-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

ラクトフェリン可溶化鉄(FeLF)は溶解性および生体利用性に優れ,鉄特有の異風味を殆ど呈さない特徴を有する.本研究では貧血傾向のある成人女性にFeLFを含有したサプリメントを12週間摂取させ,FeLFが貧血指標に及ぼす影響について検討した.その結果,血中Hb値13g/dl未満あるいはフェリチン濃度45ng/dl以下の被験者において,血中Hb濃度,MCV,MCHおよびフェリチン濃度が有意に上昇した.また,血液生化学的検査項目に関して臨床上の問題は認められず,一般的な鉄剤にみられるような胃痛やむかつき等の副作用もまったくみられなかった.以上の結果から,FeLFは医薬品で治療するレベルではない貧血傾向あるいは潜在的貧血傾向の人々が安心して日常の食生活の中で摂取できる安全性の高い素材であると考えられた.
著者
末広恭雄 著
出版者
河出書房
巻号頁・発行日
1956

魚類実験生態学の条件反射と学習法の事実を裏付けにして興味深く物語る科学小説。 (日本図書館協会)
著者
安部 達也 鉢呂 芳一 小原 啓 稲垣 光裕 菱山 豊平 國本 正雄
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.237-243, 2020 (Released:2020-06-25)
参考文献数
20

実地臨床における大腸通過時間検査の診断能を分析し,その臨床的意義について検討した.慢性的な便秘症状のために当院を受診し,X線不透過マーカー法による大腸通過時間検査を行った184例(平均年齢67歳,女性109例)を対象とした.SITZMARKS®を1カプセル服用して,3日後または5日後に腹部X線を撮影し,残存マーカー数をカウントした.マーカー服用後3日目に撮影した170例のうち,64例(38%)が大腸通過遅延型(マーカーが40%以上残存)であった.大腸通過遅延型のマーカー分布はrectosigmoid(31例)とleft colon(23例)が多かった.残存マーカー数と便秘の重症度の間には有意な相関関係は認められなかった(rs=0.086,p=0.237).大腸通過時間検査に伴う副作用は1例も認めなかった.日本人を対象として大腸通過時間検査を行い,海外での成績と同等の結果が示された.
著者
細山田 康恵 山田 正子
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.27-32, 2019-03-31 (Released:2019-04-10)
参考文献数
20

目的:ラットに, 高脂肪食とアルコール(Alcohol:Alc)を摂取させ, カプサイシン(Capsaicin:CP)の添加が脂肪蓄積量や酸化ストレスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 方法:4週齢Sprague-Dawley系雄ラットを用いて, 4週間飼育した.実験群は, 4グループを設定した.グループA:高脂肪食+水(Control:C群), グループB:高脂肪食+カプサイシン+水(CP群), グループC:高脂肪食+10%アルコール(Alc群), グループD:高脂肪食+カプサイシン+10%アルコール(CP+Alc群)とした.脂肪重量, 酸化ストレスなどの測定を行った. 結果:体重増加量, 総飼料摂取量に差は見られなかった.後腹壁脂肪重量, 肝臓トリグリセリド濃度および酸化ストレス度は, C群よりCP群とCP+Alc群で有意に低値を示し, Alc群よりCP+Alc群で有意に低値を示した. 結論:高脂肪食とアルコール摂取ラットにおいて, カプサイシンは, 脂肪蓄積量および酸化ストレス度を低下することが明らかとなった.カプサイシン摂取が,酸化ストレスを緩和し, 脂質異常症の予防に役立つことが期待される.