著者
臼井 伸充 仲野 忠行 島田 明
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第51回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.222, 2008 (Released:2009-04-14)

本稿で取り上げる運動は,東洋, 特に, 日本の在来形式の木造船に用いられ, 主として船に設けられた櫓によって推進する小型船の「櫓漕ぎ」である。 櫓漕ぎ和船の多くはスクリュー船に替わり, その数は極めて少なくなっている。櫓漕ぎ和船が現存する例としては, 滋賀県の琵琶湖東岸に位置する近江八幡の水郷地帯に 観光用に「最も遅い乗り物」と題して櫓漕ぎ和船が運行されている。この他に, 東京と千葉の境を流れる江戸川の「矢切の渡し」などもよく知られている。櫓漕ぎ和船がスクリュー船に替るには, モータやエンジンによる回転運動を推進力に換えるスクリューの発明が大きいであろうし, その他にも様々な理由があってのこととされるが, 櫓漕ぎ和船の推進原理は個性的であり, 自動化を試みることにより, 未知の運動制御技術が生み出されるかもしれない。或いは, 技能制御技術の一種として価値があると思われる。
著者
木村 真梨
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.699-701, 2017

近年鍼灸の臨床効果が世界各国で科学的に解明されようとしている。うつに対する鍼灸治療の効果としては筋緊張の緩和、免疫の活性化、前頭葉の活動や自律神経の調整、オキシトシンの分泌を促し、セロトニンの分泌を増加させる等、不安やストレス軽減にも寄与することが明らかになってきた。本稿では、最近の鍼灸の基礎・臨床研究の現状を紹介するとともにうつに有効なツボや東洋医学の理論について概説する。
著者
滑田 明暢
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.58-67, 2011 (Released:2017-06-02)

法や法的判断が公正であることを確認するためには、個々人の公正さの感覚を知ることが必要となる。本稿は、法と心理の領域における公正概念についての議論に資することを目的とし、対人関係場面の公正判断の一つとして家族内役割分担の領域における公正研究を概観する。家族内役割分担研究は、家事と仕事の二重役割を担う女性が必ずしもその分担を不公正とみなさないことが報告されたことをきっかけに、公正概念にも目を向け始めた。量的偏りのある分担を不公正とはみなさない心理メカニズムを説明する概念として、Major (1993)は適格性の概念を提唱した。この概念は多くの研究者によって実証的に検討され、価値づけ、比較参照、正当化の過程が、適格性の感覚や公正さの判断と関連していることが明らかにされてきた。これらの研究知見は、家族内役割分担の公正も多元的であることを示している。また、家族内役割分担の公正がジェンダーや家族関係とも関連していることが、これまでの研究結果によって示唆されている。
著者
村山 綾 三浦 麻子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.24-33, 2013 (Released:2017-06-02)

本研究の目的は、刑事裁判における有罪・無罪判断と批判的思考態度の関連性について、テキストデータ分析から明らかにすることである。144名の大学生・大学院生が、(1)覚せい剤密輸事件を題材とした、無罪判断が妥当な公判シナリオを読み、(2)有罪・無罪判断、(3)判断の理由(自由記述方式)、(4)批判的思考態度尺度について回答した。判断の理由を対象に頻出語を抽出し、有罪・無罪判断×批判的思考態度高群・低群を属性としたコレスポンデンス分析を行った。その結果、無罪判断で批判的思考態度得点が高い場合は、物的証拠の欠如といったメタな理由づけをしている一方、有罪判断で批判的思考態度得点が低い場合は法廷での証言や発言などについて言及すると同時に、「おかしい」や「不自然」「信用」といった主観的評価が判断理由に含まれることが示された。
著者
山根 瞳
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.271-276, 2001-11-30 (Released:2014-02-26)
参考文献数
1
著者
原 辰彦
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.114, no.3, pp.323-337, 2005-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
25

We review seismological studies on structure of the Earth's deep interior. First, we describe spherically symmetric Earth structure and discuss its geophysical implications. Second, we show three-dimensional mantle structure revealed by seismic tomography and discuss its geophysical implications. Then, we briefly review various anomalous and interesting features found in the lower mantle and the inner core.
著者
森下 一喜 山川 龍雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1717, pp.138-141, 2013-11-25

答 郊外型の店舗を初めて出した1976年の少し前に、米国にショッピングセンターを見に行ったんです。すると、砂漠の真ん中で近くに何にもないような店に、わんさと人が来ている。どうしてだと思って、その時は他人が操縦するセスナに乗って上から見ました。
著者
小助川 貞次
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.56-65, 2015 (Released:2017-05-29)
参考文献数
8

漢文訓読は通常,学校教育の中で中国古典文(漢文)を読解する「きまり」として学ばれ,一種のツールとして機能する。一方,漢文訓読を研究する立場からは,漢文文献を読解する加点現象として,漢字文化圏の諸地域・言語を対象として広く観察する。ユーザーとしての立場は異なるが,漢文訓読は東アジア世界・漢字文化圏全体の歴史的構造体をどう把握するのかという大きなテーマに繋がる。
著者
小澤 暁人 本田 智則
出版者
一般社団法人 エネルギー・資源学会
雑誌
エネルギー・資源学会論文誌 (ISSN:24330531)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.254-265, 2020 (Released:2020-11-10)
参考文献数
32

Battery is a key technology in the transition to a low-carbon and resilient energy system. Recently in Japan, residential PV battery system is considered as one of the most promising applications; however, its impacts had not been fully assessed. This study evaluates the effects of residential PV battery system for end-users under various conditions on geological, technological and socio-economic factors. Regional diversity is considered by using data on residential power consumption and PV power generation that were collected from over 40 thousand all-electric houses in Japan. Scenario analysis and sensitivity analysis are performed to evaluate the effects of uncertain parameters on the system’s performances. Simulation results suggest that economic benefits of the system can be improved by changing battery operation mode at the end of purchase period for PV under Feed-in Tariff (FiT) scheme and the benefits should vary depending on the region. The results also indicate that PV self-consumption rate is over 50% when charging the battery with surplus power. Sensitivity analysis results suggest that the unit prices of grid electricity and the purchasing price of surplus power after FiT scheme should have large influences on the economic benefits of the system.