著者
藤関 能婦子 小泉 屹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1358-1361, 1981-08-15

21歳と32歳の男子,眼痛を訴えた2症例で,涙腺排出管切開にて,数個の結石様物質を認めた。結石は0.5×0.5×1.0mmから,1.5×1.5×3.5mmにわたり,円形からカシューナッツ形を示し,黄白色の,比較的柔かい白墨様外観を呈する物質であった。真菌や細菌の菌塊は認められず結晶成分も析出されず,H-E染色にて均一に染まる無構造物質であった。
著者
安野 史彦
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.119-128, 2004 (Released:2006-03-09)
参考文献数
49

近年の研究はセロトニン神経系が記憶機能に重要な役割を有することを示唆している。われわれは脳内5-HT1A受容体に特異的に結合する[11C]WAY-100635をリガンドとした positron emission tomography (PET) を用いて脳内5-HT1A受容体結合能を測定し, 記憶機能との関連を検討した。さらに5-HT1A受容体の作動薬であるタンドスピロンを用い, 5-HT1A受容体の刺激が認知機能に及ぼす効果について検討を行った。両側海馬に限局した後シナプス5-HT1A受容体の結合能は, 被験者の顕在記憶機能との間で負の相関を示した。タンドスピロン投与は用量依存的に言語性顕在記憶機能を低下させた。結果は海馬に局在する後シナプス5-HT1A受容体が, 顕在記憶機能に対して抑制的な影響を有することを明らかにした。
著者
俣野 源晃 山本 智一 山口 悦司 坂本 美紀 神山 真一
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.187-195, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
14

本研究の目的は,複数の証拠として,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で,McNeill and Krajcik(2011)の教授方略を援用してデザインした授業の有効性について,小学校第5学年の単元「電流がつくる磁力」を事例として明らかにすることである。山本・稲垣ら(2013)は,同学年の単元「物の溶け方」を事例として,教授方略を援用した授業をデザインし,その有効性を明らかにしている。本研究は,異なる単元においても教授方略を援用した授業が適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で有効なのかを新たに検証するものである。アーギュメント構成能力を評価するために,第5学年の2クラスの児童計65名を対象に,既習内容に関するアーギュメント課題を単元前後に実施した。課題の回答を分析した結果,児童は,主張に関連する科学的な証拠のみを利用する適切性の点において,アーギュメント構成能力が向上したことが明らかになった。また,量的,質的なものを含めた多様な証拠を利用する十分性の点においては,部分的ではあるが,アーギュメント構成能力が向上したことが明らかになった。しかしながら,同時に,証拠の十分性の一部についてはさほど向上しなかったことも見出された。その理由を探るために,証拠の選択率を補足的に分析したところ,実験結果の意味を類推しなければならない「間接的な証拠」を選択することが必ずしもできていないことがわかった。以上の結果を総合的に考察することで,McNeill and Krajcik(2011)の教授方略を援用してデザインした授業は,単元「電流がつくる磁力」においても,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で有効であると結論づけることができた。併せて,教授方略を援用してデザインした授業は,「単元内におけるアーギュメントの複数回指導」と「間接的な証拠利用の促進」という点で改善の余地があると考えられる。
著者
田中 達也 神山 真一 山本 智一 山口 悦司
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.119-131, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は,児童におけるアーギュメント自己評価能力とアーギュメント構成能力には関係があるのか,また,関係があるとすればどのような関係があるのかを予備的に検討することであった。本研究では,まず,両者の関係の有無を検討するため,主張-証拠-理由付けを含むアーギュメントを導入した小学校第3学年の単元「物と重さ」を実施する中で,児童計65名を対象に,アーギュメントを記述させる課題による調査と,児童に自身のアーギュメントを自己評価させる課題による調査を実施した。2つの調査結果から,次の2点が示唆された。(1)アーギュメント自己評価能力が高い児童は,アーギュメント構成能力が高い傾向にある,(2)アーギュメント自己評価能力が低い児童は,アーギュメント構成能力が低い傾向にある。次に,アーギュメント自己評価能力のアーギュメント構成能力への影響を検討するため,アーギュメント構成能力の向上の仕方が異なる児童計16名を対象に,アーギュメントの自己評価の詳細をたずねる面接調査を実施した。この調査の結果から,次の2点が示唆された。(1)自分が記述したアーギュメントの成否を適切に判定したり,自分が記述したアーギュメントの問題点を説明したりすることができる児童は,アーギュメント構成能力が向上していた傾向にある,(2)自分が記述したアーギュメントの成否を適切に判定したり,自分が記述したアーギュメントの問題点を説明したりすることができない児童は,アーギュメント構成能力が向上していない傾向にある。
著者
山下 範久
出版者
東京大学連携研究機構ヒューマニティーズセンター
雑誌
Humanities Center Booklet (ISSN:24349852)
巻号頁・発行日
no.4, pp.17-28, 2020-07-10

「社会科学と人文学の対話――『国書がむすぶ外交』総論を素材に」東京大学ヒューマニティーズセンター オープンセミナー特別回より
著者
荒川 正博
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.304-313, 2009

最近では食道静脈瘤の治療の多くが内視鏡を用いた食道静脈瘤硬化療法,静脈瘤結紮療法で,これらの治療の効果か,食道静脈瘤の破綻出血例がかなり減少している.筆者はこれら内視鏡的治療後の100例以上の剖検例を観察し,いくつかの論文として報告してきたので,本論文ではこれらの要約として主に画像を用いて整理してみた.言葉足らずの部分は参考論文を参照して欲しいと考えている.筆者が見てきた硬化療法の待機例,予防例は副作用も少なく,静脈瘤内には血栓形成が4本の静脈瘤に見られ,すだれ様血管走行部には地固めのため,線維化が見られた.筆者は静脈瘤結紮療法が急性期の破綻出血時には優れているが静脈瘤の消失を目的とした場合には硬化療法がより優れていると考えている.
著者
遠藤 幹夫
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は3年計画であり、うち第一段階(主に第1年度~第2年度を想定)として、「国会会議録検索システム」の委員会審議会議録より、戦後~現在までの附帯決議を全数抽出し、その中から、「次の法改正の内容を実質的に指示する項目」を拾い出して分析することを予定している。また第二段階(主に第2年度~第3年度を想定)として、中央省庁の国会担当部署の担当官、法案作成の担当官、国会事務局の附帯決議作成担当官、政党事務局の調整担当、国会議員や秘書などの附帯決議作成に関与する関係者からヒアリングを行い、幾つかの具体的な立法例をもとに、実態的なメカニズムを分析することを予定している。このうち第一段階の附帯決議データベース作成について、2019年度(研究第2年度)においては、「国会会議録検索システム」からの抽出プログラムの作成は完了し、国立国会図書館が提供する「日本法令索引」によるデータ照合プログラムの作成を進めた(このデータ照合プログラムにより、国会会議録検索システムから抽出した附帯決議データの、手作業での修正・チェック作業が大幅に省力化できる)。また、並行して、第二段階である関係者へのヒアリングとして、中央省庁の国会担当、法案作成担当等数名にアプローチし、国会における法案審議の最新情勢について聴取した。併せて、論文執筆に必要な文献収集、国立国会図書館における過去の専門誌等のデータ収集を進め、読み込みを進めた。
著者
佐藤 嘉彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経メカニカル (ISSN:03863638)
巻号頁・発行日
no.528, pp.94-98, 1998-09

前回,前々回の2回にわたって機能開発について解説したが,これについて読者の方々から多数のご意見をいただいた。毎回ご質問や激励をいただき,とても元気付けられているが,今回は質問が集中した。言葉足らずの部分もあったようだ。連載ものの特長を生かして,p.97の別掲記事のように補足しておきたい。 さて,本号のテーマに入ろう。