著者
工藤 栄亮 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.461, pp.103-107, 2003-11-15
被引用文献数
10

移動通信の世界では超高速データ伝送の要求が高まっている.データ伝送レートを高速化しつつ送信電力を低減するために,筆者らはバーチャルセルラシステムを提案している.分散配置された多数の無線ポートから構成されるバーチャルセルでは,移動端末の近傍の無線ポートで受信された信号はマルチホップ通信により無線ポート間を中断され,ネットワークと接続されている中央無線ポートへと転送される.このようなマルチホップバーチャルセルラシステムでは効率的なチャネル割当てが必要である.本論文では,チャネル棲み分け法を適用した自律分散型チャネル割当て法を提案している.全ての無線ポートへのマルチホップ通信経路を構築した後にチャネル割当てを行う.全ての無線ポートは各チャネルの優先度関数を記載したチャネルテーブルを具備し,送信する無線ポートが主導して優先度関数にしたがてチャネルを選択する.本論文では,チャネル割当ての失敗率を計算機シミュレーションにより求め,失敗率が最大許容ホップ数にほとんど依存しないことを示す.
著者
飯野 雄一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、線虫C.elegansを用い、性行動に関する突然変異体を分離することを目的とした。性行動は霊長類以外の多くの生物においては生後の学習を必要とせず、完全に遺伝的にプログラムされたものである。ところが、各種生物における性行動の記述は比較的よくなされているものの、その行動がいかにプログラムされているかという遺伝子レベルでの研究は非常に少ない。そこで、性行動の分子遺伝学的研究の第一歩として、線虫においてオスの性行動に異常のある突然変異体の分離を行った。オスが高頻度で出現するhim-5変異と、精子の注入に伴い雌雄同体の陰門に盛り上がり(プラグ)を生じるplg-1変異を持つ二重変異体に変異原処理を施し、プラグの形成を指標としてスクリーニングを行った。この結果、精子の注入に至らない突然変異体を39株分離した。線虫のオスの性行動は大まかにresponse to contact,turning,vulva location,spicule insertionの4つのステップから成るが、得られた変異体の中にはresponse to contactに異常があるものが14株、turningの異常が23株、vulva locationの異常が5株含まれていた。ただし、複数のステップに異常がある変異体も含まれている。また、これらの性行動不能変異体のうちの20株は、性行動に特に重要である尾部の形態に異常が見られた。オスの尾部にはSensory rayと呼ばれる感覚器官が左右9対存在するが、見られた異常の多くはSensory rayの融合、欠失などであった。また、精子の注入に重要な交尾針(spicule)の伸縮に欠陥があると思われる変異体も6株見出された。また、明らかな形態上の異常が見られない変異体の中の11株は蛍光色素DiOによる染色の結果、感覚神経の異常が明らかとなった。これらの突然変異体はオス特異的な構造、特に感器官の発生、分化に関わる遺伝子に変異を持つものと考えられる。本研究により、このような性分化に関わる遺伝子カスケードを明らかにするための端緒が得られた。
著者
長山 宗美
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.275-280, 1990-03-30
被引用文献数
2 5

冒険遊び場(羽根木プレイパーク)にて聞き取り調査を行ったところ,他の遊び場(よく遊ぶ場所は公園や家の中)との相違点は自然性と独自の手作り遊具であると感じていること,そこでの遊びで好きなことは,めまい感覚を体験できる手作り遊具での遊びであること,距離が近いほど頻繁に訪れやすいこと,自身の意志で頻繁に訪れる人ほど遊具以外のおもしろさに気がつくようになり,特にその傾向は男子,高学年にあること,が明らかになった。
著者
有川 秀之
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会号
巻号頁・発行日
no.53, 2002-08-30

科学的研究の成果をどのように実践現場へ生かすのか、理論と実践の隔絶が指摘されるようになってから久しいが、この問題はスポーツ科学の独自性を主張するためには避けて通ることのできないものです。このシンポジウムでは、実践現場のコーチの立場からどのような研究成果が望まれるのか、それぞれの実践的立場から論じていただき、研究者、指導者、選手にとって共有できる科学的研究成果とは何かを議論することが目的です。本間先生にはシンクロナイズド・スイミングの現場から、結城先生にはスピードスケートのコーチングの立場から、また菅野先生には、サッカーのフィジカルトレーニングを通してどのように科学的研究成果を活用し、今後望まれる研究成果とは何かをお話いただきます。コーディネーターには、陸上競技短距離部門のコーチである有川先生にお願いします。
著者
佐々木 与志実
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.237-241, 1978-04-05
被引用文献数
2

鉛(II)のエチルキサントゲン酸錯体{Pb(EtX)_2と略記}を作成し,これのクロロホルム溶液を滴定剤とする銀(I)と銅(II)の抽出滴定法を作成した.銀(I){(0.2〜8.8)mg}と銅(II){(0.1〜2.2)mg}を含む水溶液を分液漏斗に採り,酢酸塩緩衝溶液を加えてpHを3〜5にする.滴定剤を加えて振り混ぜ,有機相を捨てる.この操作を,有機相が黄白色{Ag(EtX)の色}から,かっ色{Cu(EtX)_2}になるまで繰り返す{銅(II)の終点}.更に抽出滴定を続け,かっ色から無色{Pb(Etx)_2}になるまで繰り返す{銅(II)の終点}.初めの振り混ぜで抽出定数の大きい銀(I)が鉛(II)と交換抽出され,次に銅(II)が鉛(II)と交換抽出される.銀ろう及び合金中の銀と銅を本法で定量できた.
著者
窪野 隆能 赤池 務
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.377-383, 1994-09-25
被引用文献数
5

陽極と陰極の電極材料がアーク放電にどのような影響を及ぼすかを調べる目的で,AgとCuを組み合せた電極対で直流30V-3Ω抵抗回路の遮断のみを30回行い,アーク放電継続時間と陰極近傍の光スペクトルの強度波形を測定した.開離時アークにおける開離動作回数と放電継続時間との関係,開離動作回数と検出スペクトルの種類およびそれらの強度との関係を調べた.陰極にAg電極を使うと陰極Cuの場合よりもアーク継続時間が長い.陽極Cuと陰極Agの異種金属電極対の場合はAgスペクトルのみ現れ,Cuスペクトルは検出されなかった.陽極Agと陰極Cuの異種金属電極対の場合は少数回の開離時にCuスペクトルのみ出現したが,開離動作回数が多くなるとAgスペクトルが放電後期から出現するようになり,開離動作数が30回程度になると放電初期からAgスペクトルが出現し,その強度は強かった.これらの現場は,AgとCuの蒸発量の違い,開離時アークの転移方向に関する二つの特徴および転移量によって引き起こされたと考えた.
著者
加藤 勇之助 入江 友生 岡崎 勝博 合田 浩二 中西 健一郎 根本 節子 池田 千代子
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
筑波大学附属駒場論集 (ISSN:13470817)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.197-206, 2005-03

平成16 年度の高校1 年生(55 期生)は、中学3 年時から引き続き、加藤が保健体育の授業を担当してきた。昨年度同様、自分の健康課題に対する実践力を育成するために、保健の授業では次の3 つのキーワードをもとに展開してきた。①みいだす(自分の健康を振り返り、健康課題に気づく) ・・・
著者
藤本 治義 長島 乙吉
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.43, no.512, pp.340-342, 1936-05
被引用文献数
1

昭和十年八月長島は臺灣の東岸より太魯閣峽に沿って西方へ合歡山峠を越へて脊稜山脈を横斷した。其際畢祿巡査駐在所の西方約1kmの地點にて埔里層に來在される石灰岩に海百合の莖と思はれる化石を發見した。其後長島が此附近で採集せる材料につき藤本の粗査せる處其の中に Camerina sp., Glomospira sp? 等の化石を發見した。此の Camerina 石灰岩は粘板岩及砂岩の互層中に來在され, 此等の地層は矢部教授と半澤理學士の埔里層と稱せるものに相當し, 又古く下部粘板岩系とされてゐたものに當る。矢部教授と半澤理學士は南部の高雄州で此の埔里層中から Camerina sp., 其他の始新世の標準化石を發見され埔里層の地質時代を中新世より古く, 化石を含有する部分は始新世とされた。筆者等の Camerina sp., の發見は此の埔里層の始新説を證據立てる一新事實を加へたことになる。
著者
平澤 紀子 藤原 義博
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.4-24, 2000-09-25
被引用文献数
5

研究の目的 養護学校高等部生徒の他生徒への攻撃行動に対する機能的アセスメントに基づく指導をpositive behavioral supportをcontextual fitの観点から、(1)仲間に向けた攻撃行動に対するO'Neill et al.の機能的アセスメントに基づく支援計画の立案様式を検討し、(2)学級担任が現在の学校体制に適合させる過程を明示した。研究計画 形成評価と事前・事後評価を用いた。場面 養護学校高等部において攻撃行動が頻繁に生起する登校場面と昼休み場面と生起しない学級場面で実施した。対象 攻撃行動を起こす高等部1年の男子生徒1名と攻撃の相手となる生徒及び学級の生徒を対象とした。全般的手続き 攻撃行動の生起を防止しながら、学校体制のアセスメントから学級担任の実効可能な条件を明確化し、それに基づいて、機能的アセスメント、指導計画の立案、指導手続きを決定した。指導手続きは、学校場面では、対象生徒と学級の生徒に対して機能的アセスメントで選定された適切なかかわりや活動スキルを形成する一方で、登校・昼休み場面では、これらの標的行動を対象生徒と相手の生徒の双方に指導した。行動の指標 登校・昼休み場面における対象生徒の攻撃行動、適切なかかわり、相手の生徒との接触、対象生徒と相手の生徒とのかかわりのパターンを測定した。結果 対象生徒の攻撃行動は低減し、相手の生徒との適切なかかわりのパターンが増加した。結論 仲間に向けた攻撃行動には、機能的アセスメントに生徒同士のかかわりの分析を加え、O'Neill et al.の様式を修正することは有効であった。また、高等部体制において、学級担任が行う機能的アセスメントやそれに基づく指導の実行過程が明示された。