著者
福田 光男 有川 千登勢 村上 多恵子 坂井 誠 岩見 知弘 吉野 京子 大塚 亜希子 竹田 英子 中垣 晴男 野口 俊英
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.101-110, 2004 (Released:2005-09-30)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3

本研究は, 口臭外来を受診した756名の患者の問診票を分析することにより, 口臭を主訴とする患者の心理的背景を読み取り, 患者対応を的確にすることを目的とした。口臭を意識したきっかけは, 63.6%が 「人に指摘されて」であり, 「人の仕草や態度で」33.7%, 「自分で気がついた」33.5%であった。口臭を指摘した相手は, 配偶者, 子供, 友人の順であった。口臭を感じる時間帯は 「起床時」が最も多く, 「一日中」「空腹時」「仕事中」「疲労時」と続いた。口臭を意識する時として 「対話中」が最も多く, ついで 「対話中の相手の態度を見た」「常に」「混んだ場所や狭い場所にいる」であった。口臭のため困ることでは 「話をするとき」が最も多く, ついで 「消極的になる」「人と一緒に行動できない」「物事に集中できない」の順であった。口臭に関する相談相手がいないと回答した人が半数以上みられた。また, 人からの指摘はなく自分で口臭に気づいたというケースでは, 人に口臭を指摘されて来院したケースより, 「消極的になる」「人と一緒に行動できない」「物事に集中できない」などの回答が有意に多かったことから, より生活上の制約を感じていることが示唆された。以上より口臭を主訴とする患者を診察する場合, 口臭を他人の態度や自分で気づいたと訴えるケースや, 相談相手がいないケースに, 患者の心理的背景まで考慮した対応が必要となってくると推察される。
著者
渋谷 耕司
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.778-792, 2001-10-30
被引用文献数
15

特別な歯科疾患のない健康な成人男性の呼気あるいは口腔内気体(口気)中の臭気成分の分析ならびにその主成分の発生要因について検討した。1.口臭の強さが異なる健常な成人男性の呼気から15種類の低級脂肪酸,揮発性窒素化合物あるいは揮発性硫黄化合物(VSC)が検出された。そのうち,不快臭がある呼気および口気にはVSCのうちメチルメルカプタン(CH_3SH)が常に認知閾値に対して高濃度で存在し,かつ官能評価値(不快度)の高低とよく対応したことから,これが不快臭の主要な成分であることが確認された。2.呼気,口気および唾液気相に含まれるVSCの組成を比較検討した結果,不快臭すなわちCH_3SHの主な発生部位が口腔であること,また,唾液,歯垢,舌苔の培養実験の結果から,これらの発生には主に嫌気性微生物が関与していること,その基質としてL-メチオニンが重要であることが示された。さらに,口腔各部位の清掃によるCH_3SHの産生能低下の比較結果から,舌背が主要な発生部位であることが知られた。3.CH_3SH産生への関与を明らかにするため,口腔微生物17菌属42菌種71菌株を調べたところ,歯列病関連細菌であるPorphyromonas,FusobacteriumおよびSpirochetesに高い産生能が認められた。また,主要な舌苔常在菌の1つであるVeillonellaの一部も高い産生能を示し,健常人における口臭の発生に密接にかかわっていることが示唆された。
著者
相澤 文恵 岸 光男 南 健太郎 米満 正美
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.189-197, 2000-04-30
被引用文献数
7

1997年5月,宮城県内の某高等学校の生徒529名を対象に口臭,歯科保健行動,一般的保健行動,口腔関連の自覚症状に関する質問紙調査を実施し,口臭が心配になる頻度と状況にかかわる要因を分析した。自分の口臭が心配になることが「よくある人」は全体の11.4%おり,男女間に有意差は認められなかった。また,自分の口臭が気になる状況は「対話中」カ1最も多かった(46.7%)。さらに,対語中に自分および他人の口臭が気になるのは男子より女子に多く,女子のほうが口臭を強く意識する傾向にあることが示された。また,対話中に自分の口臭が心配になる人は,歯や歯ぐきの痛みや口腔内の乾燥感など,口腔関連の自覚症状を強く感じていることが示された。このことを男女別に分析した結果,男子では関連が認められるのに対して,女子では認められなかった。このことから,女子生徒においては口臭への意識と他の口腔状態の自覚とは独立している可能性が強いと考えられた。一方,口臭に対する意識と口腔診査の結果との関連を無作為に抽出した125名について分析した結果,口臭に対する心配が頻繁にある人のPMAおよびDTは,ときどきある人のものに比べて有意に低いことが示された。以上のことから,この年代においては口臭に対する心配には性差があり,口腔に対する関心度が高い人ほど口臭に対する心配が強い傾向にあると考えられた。したがって,口腔に対する過度の関心が自臭症のリスク要因の1つではないかと考えられた。
著者
志村 匡代 岩倉 政城 井川 恭子 小関 健由
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.99-105, 2003-12-30

口臭に対する関心が高まりつつある現代社会において, 口臭外来の需要は高まりつつある。口臭と歯科疾患, 全身疾患, 精神疾患の関連が論じられ, 口臭症の国際分類も提唱されている。一方で, 地域住民の口臭の度合や口臭に対する意識の程度は十分に把握されていない。本研究では宮城県一農村地区の成人歯科健診受診者333名を対象に口臭測定器による口臭検査ならびに質問紙調査を行った。口臭検査による口臭の有無, また質問紙調査による口臭意識の有無で対象者を群別し, 歯科健診項目をあわせて関連性を検討した。その結果, 本調査対象者の44.4%が口臭ありと判定され, このうち65.5%が自分の口臭に認識を持たなかった。また91.9%には口臭での受診歴がなく, 潜在的な口臭症の治療対象者と考えられた。一方, 口臭なしと判定された者のうち, 自分の口臭に対する認識を有する13.2%には, 自臭症(仮性口臭症および口臭恐怖症)の可能性が高いと考えられた。この群の81.8%には口臭での受診歴がなく潜在的な口臭症治療対象者の可能性が示唆された。なお口腔内診査の結果から, 舌苔のある者, 口腔清掃状態の悪い者で有意に口臭が認められた。さらに自分の口臭に対する意識のある者では, 有意に年齢が低く, 未処置歯数が多く認められた。
著者
野口 孝文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.222, pp.1-6, 2004-07-17
参考文献数
4
被引用文献数
4

我々は,コンピュータ上に可視化したオブジェクトをダイナミックに組み合わせプログラムすることができるIntelligentPadシステムを用い,教材を自由に再編集できる学習支援システムを作成してきた.また,この学習支援システムを用い,1998年からゲーム作成を課題としたプログラミング教育を続けている.本論文では,オブジェクトの組み合わせをコード化し,自己組織化マップを用い分類する方法を提案する.本方法を適用して,2003年度に学生が作成した作品を分類したところ,分類されたグループの中にそれぞれ評価の高い(面白い)作品が含まれており,プログラミング技術ばかりでなく,さまざまな能力が発揮されていることがわかった.ゲームを課題とした本学習支援システムは,多様な学生を対象としたプログラミング教育に有効であることがわかった.
著者
山口 一章 増田 澄男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.273, pp.39-42, 2005-09-08

頂点に重みがつけられた無向グラフが与えられたとき, 頂点の重みの和が最大となるクリークを求める問題は最大重みクリーク問題と呼ばれている.最大重みクリーク問題の厳密解を分枝限定法によって求める場合, 最大重みクリークの重みの, よりタイトな上界を高速に計算することが重要である.分枝限定法に基づく厳密解法の一つに, ある頂点系列により作成された有向グラフ上の最長経路を求め, それを上界計算に利用する方法がある.本稿は, より良い頂点系列を構成する方法を提案する.計算機実験により提案手法の有効性を検証する.
著者
山口 一章 増田 澄男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.1-4, 2005-04-11

頂点に重みが付けられた無向グラフが与えられたときに最大重みクリークを求めよという最適化問題は最大重みクリーク問題と呼ばれている. 最大重みクリーク問題の解法としては分枝限定法によるものが知られている. 分枝限定法において計算時間を短縮するためには, タイトな上界をできるだけ短い時間で計算することが重要である. 本稿では, 高速かつ単純な最大重みクリークの上界計算法を提案し, その有効性を実験的に検証する.
著者
中島 誠
出版者
新日本文学会
雑誌
新日本文学 (ISSN:02877864)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.105-107, 1973-03
出版者
新映画
雑誌
映画評論
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.116-126, 1973-07
著者
佐藤 忠男
出版者
シナリオ作家協会
雑誌
シナリオ
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.100-104, 1974-08
著者
池田 昭
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.2-17, 1970-01-30

M. Weber's wiew of Japanese religion is one of the vague problems to grasp because of his few description about it. But fortunately his comparative study of sociology of religion gives us an aid to that. He tried to clear up the cause of "innerweltliche Askese" in Protestantism through the typological method in it. Therefore I think that the knowledge of the frames of reference in his methodology would make possible for us to approach the Japanese religion about which he made only a few descriptions. <BR>He set up three frames in order to understand "innerweltliche Askese" in Protestantism. The first frame is the idea of God, of relief, and of the future life, and the second is the idea of creature, and the third is the idea of way of relief. And he set up various conceptual schemes according to these three frames and characterized the Oriental and the Occidental religions in comparison with Protestantism. He included "Heilandsreligiosiatät" "Sakramentsgnade", "Glaubensreligiositat", "Pradestinationsgnade", "Ritualismus" and "soziale Leistung" in them. Needless to say, he characterized the "innerweltliche Askese" in Protestantism with "Pradestinationsgnade" and a kind of "soziale, Leistung". On the other hand he characterized the Asian religion with the other kinds of conceptual schemes. <BR>As for the Japanese religion he understood it in the same way as he did Asian religion. He characterized it with "Heilandsreligiositat", "Sakramentsgnade", "Glaubensreligiositat", "Ritualismus" and "soziale Leistung". Though he found out great similarity between the Shinshu sect and Protestantism, he approach to it only with the conceptual schemes of "Heilandsreligiositat", "Glaubensreligiositat" and "Gebetsreligiositat". <BR>Speaking about Japanese religion characterized by these conceptual schemes on the level of value theory, it seems to me that it has a value of "Shijyo" and of "Bundan" in my term in accordance with the "wertrational" and the "zweckrational" value in Protestantism. A value of "Shijyo" is the value found in religious action with which they believe in God or Hotoke for itself on the level of emotion. A value of "Bundan" is the value found in religious action with which their daily lives are systematized relatively from the view of the principle of religious ideal. <BR>These concepts that I mentioned above is shown further in my humble work under the title of "Introduction to the study of Japanese mentality". Please refer to it.