6 0 0 0 民族戰

著者
長野朗著
出版者
柴山教育出版社
巻号頁・発行日
1941
著者
大東 和重
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.35-46, 2012-11-10 (Released:2018-01-12)

本稿は、日本統治下台南の文学者、呉新榮(Goo Sin-ing)が残した日記などの資料を通して、一九三〇年代の植民地の地方都市における、ある作家の文学活動について概観するものである。東京留学から戻った呉新榮は、医業のかたわら、内地や台湾の新聞や雑誌、書籍を熱心に読み、地元の文学青年たちや台湾全島の文学者たちと文学団体を結成し、郷土を描く詩や郷土研究のエッセイを発表した。呉新榮の活動には、一九三〇年代における、台湾人作家による台湾文壇の成立――台湾人作家たちが、熟達した日本語を用いて、台湾人読者に向けて作品を書く状況の成立が刻み込まれている。
著者
谷出 康士 田坂 厚志 甲田 宗嗣 長谷川 正哉 島谷 康司 金井 秀作 小野 武也 田中 聡 大塚 彰 沖 貞明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P1368, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】イメージトレーニングによる運動学習や運動習熟に関する研究は数多く報告されている.しかし,イメージトレーニングの筋力増強効果についての研究は少ない.そこで本研究では大腿四頭筋を対象とし,イメージトレーニングによる筋力増強効果を検討した.また,イメージ能力の高い被験者群とイメージ能力の低い被験者群との2群を設け,イメージ能力の差が筋力増強効果にどのような影響を与えるかを調べることとした.【方法】研究の実施にあたって対象者には十分説明を行い,同意を得た.対象は健常学生24人とし,筋収縮を伴う筋力増強運動群(以下,MS群),イメージ能力の低いイメージトレーニング群(以下,Ns群),イメージ能力の高いイメージトレーニング群(以下,PT群)に分類した.Biodexを用いて,膝関節屈曲60°での膝関節伸展筋力を計測した.MS群には大腿四頭筋の等尺性最大収縮をトレーニングとして行わせた.一方Ns群とPT群にはトレーニング前に運動を想起させる原稿を読ませ,上記のトレーニングをイメージさせた.4週間のトレーニング実施前後に等尺性収縮を5秒間持続し,最大値を記録した.また,全被験者に自己効力感についてのアンケート調査を実施した.統計は各群内の筋力差にt検定を,3群間の筋力上昇率の差に一元配置分散分析を行い,有意差を5%未満とした.【結果】1)筋力測定の結果:初期評価と最終評価における筋力平均値の変化は,MS群(p<0.01),Ns群(p<0.05),PT群(p<0.01)で有意に増加したが,各群間での筋力上昇率に有意差は認められなかった.2)アンケート:「トレーニングにより筋力は向上したと思うか」という問いと筋力上昇率との間に,MS群は正の相関が認められたのに対し,Ns群およびPT群では負の相関が認められた.【考察】筋力測定の結果,3群全てにおいて筋力が向上した.イメージトレーニングのみ行ったNs群とPT群においても筋力増強が認められた理由として,運動イメージを繰り返すことにより筋収縮を起こすためのプログラムが改善されたためと考える.次に,Ns群・PT群間の筋力上昇率に有意差は認められない理由として,イメージの誘導に用いた原稿が影響したと考えられる.この原稿によってイメージ能力が低いと想定したNs群でも,一定の水準でイメージを持続できていたと考えられる.原稿によるイメージのし易さは,PT群に比べてNs群で高く,Ns群は原稿の誘導を頼りにイメージを想起し,PT群とのイメージ能力の差を補った可能性が示唆された.最後に,MS群では筋力上昇率と自己効力感との間に正の相関があったが,Ns群・PT群では負の相関が認められた.イメージトレーニングのみ行ったNs群・PT群では,フィードバックが無いことで,「この練習で筋力は向上するのか」という懐疑心が強くなったと考えられる.
著者
嶋田 有里 羽田 久一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.162-165, 2020-08-22

生物は無意識のうちに様々な情報を出している.その情報である匂いや音等が集まったものが気配である.本研究はそれらの要素を抽出することで,動物がいない空間でも,動物の気配を生み出すことを目標にしている.今回は多くの人が触れたことのある犬に着目した.中の見えない箱の中で犬の鼻先にある湿気や温度を再現することで,視覚や聴覚情報ではなく手のみで犬の気配を感じられるようにした.
著者
三宅 芙沙 増田 公明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.93-97, 2014-02-05 (Released:2019-08-22)

放射性同位体の存在量測定による年代推定は,自然科学や考古学などの様々な場面で応用されている.測定対象となる同位体には^<14>Cや^<10>Beなどがあり,これらは地球に飛来して大気に突入した宇宙線が,大気中の原子核と相互作用することによって作られる.同位体の半減期と平均的な生成量がわかっているので,その濃度を調べることによって生成からの経過年数を知ることができる.逆に,年代がわかっている試料,例えば樹木の年輪や極地方の氷床中の同位体濃度を調べれば,当時の宇宙線の強度を知ることができる.宇宙線によって生成された^<14>Cは,二酸化炭素^<14>CO_2となり,さらに樹木へと取り込まれて年輪内で固定されるため,年輪中の^<14>C濃度は過去の宇宙線強度を「記録」しているのである.したがって太陽フレア,超新星爆発,ガンマ線バーストといった突発的高エネルギー宇宙現象も,^<14>C濃度の急激な増加として,その痕跡が記録されている可能性がある.このような背景のもと,我々は6-12世紀における屋久杉年輪中の^<14>C濃度を1-2年分解能で測定してきた.その結果,西暦774-775年,993-994年にかけての2つの^<14>C急増イベントを発見した.これらは1年程度の時間で急激な^<14>C濃度の上昇を示した後,10年のオーダーで減衰していく様子がきわめて似ており,同じ原因によって引き起こされたことが示唆される.さらにこの2イベントについては,ヨーロッパ産の年輪中の^<14>Cと南極の氷床中の^<10>Beにおいても全く同時期に濃度の異常上昇があったことがわかり,屋久島付近における局所的な現象ではなく,地球規模で何らかの大きな変動を与えた突発的宇宙現象がその原因であることが決定的となった.すぐさま,その宇宙現象が何であったかについての活発な議論が始まった.先に述べた太陽フレアやガンマ線バーストなどの現象について,その発生頻度や放出されるエネルギー,地球に与える影響などについて定量的評価が行われた.現在のところ最も有力と見られているのは,太陽表面の爆発によって地球に大量の放射線が降り注ぐSolar Proton Event(SPE)という現象である.また,見つかった2イベントにおける^<14>C濃度の上昇量を説明するためには,その規模は現在知られている最大の太陽フレアの10倍から数10倍であることも明らかになった.これまでに多くの研究者によって年輪中^<14>Cの1-2年分解能の測定が行われてきた期間は,合計すると約1,600年分になる.そしてその期間中,このような大規模なイベントが少なくとも2度起こっているというのは注目すべきことである.^<14>C濃度の上昇はきわめて短い時間で起こっており,本研究のような1-2年の分解能による測定で初めて発見することができるものであるが,この分解能による測定がなされていない期間に,このようなイベントがまだ過去に多く隠されている可能性は高いのである.過去の大規模フレア現象の頻度を正確に把握することで,太陽活動メカニズムの新しい知見を得るとともに,将来における「宇宙気象」の予測へとつながることなどが期待される.また観測史上最大のキャリントンフレア(1859)でも世界的に大きな影響があったことが知られており,その数10倍の規模のフレアが「珍しくない」とすれば,現代社会活動への諸影響を考えることも大変に重要である.

14 0 0 0 OA 随想録

著者
尾崎行雄 著
出版者
紀元社
巻号頁・発行日
1946
著者
荒瀬 康司
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.6-26, 2019 (Released:2019-09-04)
参考文献数
22

科学論文の基本的3要素は,内容・構成・表現である.投稿された論文において,これらの3要素が適切に記載されていると判断された際に,はじめて採用と判定される.3要素における第一の内容は,新規性,独創性があり,さらに医療関係者ならびに受診者に裨益することが肝要である.陳腐的な,人口に膾炙された内容のみでは科学誌には採用されにくい.第二の構成は,理解されやすいこと,利用されやすいこと,等を念頭に組み立てられている必要がある.第三の表現は,「読み手」を意識して書かれることを要する.専門用語,省略語を我流で使用しすぎないこと,文末を常体(だ・である)で統一することなど,「読み手」にとって分かりやすい,読みやすい表現であることが必要となる1).科学論文の要素である内容・構成・表現の作成においてはルールがある.そこで,本稿では科学論文作成上のルールにつき記した.ルールは,1~144までの通し番号で示した.1~31は内容・構成,32~144は表現について記した.論文記載上の留意点については,すでに人間ドック学会誌に掲載されたが,今回は約10倍の分量で,より詳細に記した1-3).なお,図表の書き方は論文作成上,重要ではあるが,紙数の関係で記述しなかった.

7 0 0 0 OA 帝国公法大意

著者
清水澄 著
出版者
清水書店
巻号頁・発行日
1925
著者
木村 二郎 Jiro Kimura
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.205-213, 2003-03-20

The Policy Board of the Bank of Japan announced the stock purchasing plan on September 18, 2002 (“New Initiative Toward Financial System Stability”) in which the Bank would explore possible policy measures to enhance financial institutions’ efforts to reduce their shareholdings. And on October 11, at a regular board meeting, the Board approved basic guidelines on the purchase of stocks held by commercial banks. The purpose of this plan is to secure financial system stability and to foster disposal of nonperforming loans. This plan is not traditional but truly exceptional in the history of the central bank of the world. We will research the facts and the reviews about the plan, and make it clear the problem of it. Our conclusion is that not only this plan is no main job of the central bank but also the plan will injure credibility of the Bank of Japan. Because stocks are very risky assets, the central bank should not have such a risky asset as stocks. It is true that it has some positive effect to secure the stability of financial system, but at the same time it has negative effect on the quality of the asset of the BOJ.
著者
森脇 真一
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.9, pp.2043-2046, 2020-08-20 (Released:2020-08-21)
参考文献数
20

太陽光に最も多く含まれる可視光線は,近年,皮膚アンチエイジング治療の有用なツールとしてLED,IPLが開発されたことから,臨床的,実験的にそれらの有用性が実証されてきた.その一方で,可視光線曝露がかえって酸化ストレスを生じさせて「光老化」を加速させる可能性も示唆されている.眼科領域では,可視光線による活性酸素を介した網膜障害が問題になってきている.紫外線同様,可視光線も生体にとっては「諸刃の剣」かもしれない.