著者
沢本 良宏 傳田 郁夫 小原 昌和
出版者
長野県水産試験場
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-9, 2005 (Released:2011-03-05)

1.ニジマス四倍体雌とイワナ、カワマス、ブラウントラウトおよびヤマメ雄との交配により異質三倍体を作出できた。2.異質三倍体の染色体数、相対DNA量は両親から推定される期待値と近似していた。また、両親の遺伝子が導入されていることが確認された。3.異質三倍体雄は二次性徴を示し、成熟に伴う生残率低下、成長停滞を示した。4.ニジニジブラの成長・生残は全雌ニジマス三倍体と同等以上であった。5.異質三倍体の外観は必ずしも両親の中間的形質を示さなかったが、ニジニジブラは全雌化により実用可能と考えられた。6.交配で作出されたニジニジブラはIHNVに対してニジマスより抗病性が増した。7.全雌ニジニジブラは新しい養殖品種として期待される。
著者
金井 裕
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.9-15, 2012-09 (Released:2013-10-08)
著者
坂牧 成恵 中里 光男 松本 ひろ子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.85-88, 2006-04 (Released:2011-03-05)

市販青汁41製品について、ビタミンKの分析を行い、製品中の含有量と一日摂取量を調査した。青汁製品中のビタミンKはn一ヘキサンを用いて直接抽出し、HPLC試験溶液とした。ビタミンKはODSカラムで分離した後、白金黒カラムで還元して得られる蛍光(励起波長240nm、蛍光波長430nm)により測定した。その結果、製品中のビタミンK1含有量は冷凍製品90-190μg/100g、粉末製品410-3300μg/100g、粒状製品640-3100μg/100gであり、各種青汁製品を喫食した場合、一日あたり20-380μgのビタミンK1を摂取すると推定された。ワーファリン服用者の場合、青汁製品の喫食がワーファリンの投薬効果に影響を与える可能性があることが明らかとなった。
著者
武藤 吾一 小泉 章夫
出版者
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション
雑誌
北海道大学演習林研究報告 = Research bulletin of the Hokkaido University Forests (ISSN:13470981)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.113-122, 2007-09 (Released:2011-01-28)

アオダモ(Fraxinus lanuginosa)は、バット用材としての生産を北海道の天然林に依存しており、蓄積資源の減少が懸念されている。アオダモの人工育成技術確立に寄与するため、北海道内8地域で採取したアオダモ、アメリカ合衆国5地域で採取したホワイトアッシュ・シュガーメープル、プロ野球・大学野球で使用され折損したバットを供試材料とし、各種強度試験を行った。試験結果から、造林適地の選定において重要となるアオダモの強度特性の地域間差を明らかにした。また、アオダモの成長速度と強度指標の間に顕著な関係が見られなかったことから、人工育成において速い成長速度と優良な材質の両立が可能であることがわかった。さらに、近年、バット用材としてのシェアを広げている北米材のホワイトアッシュ・シュガーメープルについてアオダモとの強度特性の違いを明らかにした。最後に、プロ野球・大学野球使用バットの結果から、現在バット材として重要視されている強度指標を明らかにした。
著者
金澤 光
出版者
埼玉県水産試験場
巻号頁・発行日
no.57, pp.40-42, 1999 (Released:2011-03-05)
著者
尾崎 真澄 梶山 誠
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 = Bulletin of the Chiba Prefectural Fisheries Research Center (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.3, pp.21-28, 2008-03 (Released:2011-02-04)

1)千葉県印旛沼において、1992年から2000年にナマズ人工種苗を放流し、その放流効果について、混獲率や回収率を推定した。2)放流種苗には、焼き入れやタグによる外部標識やアリザリンコンプレクソン(ALC)による内部標識を施し、北印旛沼に12,031尾、西印旛沼に29,449尾、合計41,480尾を放流した。3)放流魚の追跡調査として、漁業者から漁獲物の収集を行い、全長、体重、生殖腺重量を測定するとともに、雌雄判別やALC標識を確認した。4)漁獲物調査により、1993年から2003年に北印旛沼で155尾、西印旛沼で799尾、合計954尾のナマズを収集した。5)これらの漁獲物のうち北印旛沼で95%、西印旛沼で73%が4、5月に漁獲された。6)ナマズ放流魚の成長は、放流後2〜3年で全長500mm以上に達することが推測され、特に夏期における成長量が著しかった。7)ナマズ放流魚の成熟について、GSI値は天然魚と同様に推移し、雌のGSI値は、4月をピークにして8月にかけて降下し、漁獲時期と産卵期は一致した。8)ナマズ放流魚の混獲率は、1993年から2003年の両沼合計で、平均50.2%と高い値を示した。また、これらの混獲率は、放流尾数との間に相関関係が成り立った。9)ナマズ放流魚の回収率は、5%と推定され、混獲率の高さを考慮すると、ナマズ資源に対する漁獲率は低いことが推測された。10)ナマズ種苗放流によって期待された親魚の添加による再生産効果は、明確な漁獲増として確認できなかった。11)印旛沼におけるナマズ資源の増大には、産卵場の収容量など、親魚量以外の条件が本種の資源維持に関わっている可能性がある。
著者
河野 行雄 鈴木 富雄 横川 利則
出版者
長野県衛生公害研究所
雑誌
長野県衛生公害研究所研究報告 (ISSN:03879070)
巻号頁・発行日
no.19, pp.57-61, 1997-01 (Released:2011-03-05)

近年の公共水域の汚濁は生活排水が主要な汚濁源となっており,その浄化は重要な課題となっている.今回の調査は,木炭を敷き詰めた木炭浄化槽に合併処理浄化槽放流水を導入し,その水質浄化能について検討した.木炭浄化槽による主要項目の除去率はSS80%,COD14%,BOD83%,TN21%,TP6.3%であり,有機性汚濁物質の浄化に比較的高い効果が,また窒素は懸濁物の他に無機態窒素の除去がみられた.今回の木炭浄化槽ではりんの明確な除去効果はみられなかったが,5年間ほとんど維持管理を行わない場合でも,有機性汚濁物質及び窒素の除去に効果がみられた.
著者
山田 貴子 飯田 哲郎 林 範子 大賀 浩史 大隈 一裕 何森 健
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.263-267, 2010-06 (Released:2011-03-28)

D-プシコースの体脂肪蓄積抑制効果に関して、ラットを用いて検討した。4週齢Wistar系雄性ラットに異性化糖食または異性化糖食にD-プシコースを1.3%、2.6%、3.9%、5.2%添加した飼料を5週間自由摂取させた。体重、摂餌量、脂肪重量および各種血液生化学的指標に及ぼす影響を検討した結果、D-プシコースを5.2%摂取した群は、異性化糖食と比較して、体重において有意な低値を示した。腎周囲脂肪および脂肪組織重量に関しては、用量依存的な低下が認められた。これらのことから、D-プシコースは異性化糖に対しても体脂肪蓄積抑制効果を示すと考えられた。
著者
山森 邦夫
出版者
日本水産工学会
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.121-126, 1992 (Released:2011-02-03)
著者
小野 豪朗 寺田 竜太 奈良 武士
出版者
佐賀大学海浜台地生物環境研究センター
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-76, 2003-12 (Released:2011-03-05)

原虫トリパノソーマ・クルーズが引き起こすシャーガス病は有効な治療法がなく、ラテンアメリカにおいて公衆衛生上問題となっている。そこで、我々は、新規シャーガス病治療薬の開発を目的に、日本沿岸より採取した計341種の海藻のMeOHならびにPBS抽出液を対象にして、組換えトリパノソーマ・クルーズジヒドロオロト酸脱水素酵素(rTcDHOD)に対する阻害活性のスクリーニングを行った。その結果、6種の海藻のMeOH抽出液ならびに3種の海藻のPBS抽出液に20%以上のrTcDHOD阻害活性が観察された。中でも、褐藻イシゲのMeOH抽出液は42%もの高いrTcDHOD阻害活性を示し、試験した30~121℃並びにpH3~10域で安定であることが明らかとなった。また、その抽出液は濃度依存的なrTcDHOD阻害活性を示し、正常ヒト線維芽細胞(HDF)に対して250μg/mlまでの濃度おいて毒性は観察されなかった。これらのことより、褐藻イシゲには新規シャーガス病治療薬の開発に有望なrTcDHOD阻害物質の存在が明らかとなった。
著者
綿谷赳夫
出版者
農林省農業綜合研究所
雑誌
農業綜合研究 (ISSN:03873242)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.225-231, 1965-10 (Released:2011-09-30)
著者
玉谷 宏夫 小林 勝志 高柳 敦
出版者
京都大学大学院農学研究科附属演習林
雑誌
森林研究 = Forest research, Kyoto (ISSN:13444174)
巻号頁・発行日
no.73, pp.1-11, 2001-12 (Released:2011-12-19)

1995年から1997年にかけて、滋賀県朽木村においてニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)のメス2個体をラジオテレメトリー法により追跡し、その行動特性と生息環境利用の季節変化を明らかにした。両個体とも各年の行動圏には若干の違いがみられたものの、定着性の行動圏を有しており、調査期間中の2頭の行動圏面積は1,935ha、2,550haであった。行動特性および生息環境利用は季節によって変化し、冬眠から覚めてから行動範囲を拡大する春期、その範囲内の低標高地を利用する夏期、それまでの行動圏から離れた場所へ移動する初秋期、標高の高い場所を集中的に利用する秋期、行動圏を縮小して冬眠に入る晩秋期に分けられた。行動パターンと植生の関係をみると、夏期はスギ・ヒノキ人工林に出現する頻度が高く、この時期にスギ(Cryptomeria japonica)やヒノキ(Chamaecyparis obtusa)に対して発生するクマハギ行動との関係性が示唆された。また、標高が高い場所の落葉広葉樹林での滞在と、大きな移動がみられた初秋期以降は、堅果類の結実状況が調査個体の行動パターンに影響を与えていることが推測された。
著者
杉山 慶太 阿久津 雅子
出版者
北海道農事試驗場北農會
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.150-154, 2009 (Released:2011-03-05)

スイカの花粉の保存には温度が最も影響しており、冷凍条件が重要であった。また、酸素は花粉の保存に対して阻害要因であり、窒素や二酸化炭素は花粉の活性を維持する効果が認められた。スイカの軟X線照射花粉(部分不活化花粉)を真空専用袋に入れて脱気後窒素を封入し、-25℃で冷凍することにより1年以上の保存が可能である。この花粉の授粉により対照花粉と同程度の種なしスイカが生産できる。
著者
後藤 奈美
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.116-120, 2011-03 (Released:2012-12-06)
著者
野口 玉雄
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.895-909, 2003 (Released:2011-03-05)

マリントキシン(魚介毒)は、魚介類がもつ自然毒で魚介類の食中毒の原因となっている。主なものとして、フグ毒(テトロドトキシン、X)、麻痺性貝毒(PSP)、シガテラ毒、下痢性貝毒(DSP)、“アオブダイ毒””(palyoxin(PX)またはPX様物質)などがある。最近のマリントキシン研究の進歩により、これらの毒の動物界における分布が広いことが分かり、それに伴い多くのマリントキシンの来源が微細生物に端を発した食物連鎖により毒化することが明らかとなった。また地球環境の変化に伴い、毒化生物の分布が広くなり、食中毒も広域化しつつある。重要食用貝類の毒化は、水産業の発展を阻止することから、近い将来に、毒化予防対策が打ちたてられる必要があろう。この総説では、水産科学および食品衛生の面から、最近のマリントキシン研究のハイライトを中心に紹介したい。