著者
佐藤 知恵 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.132-137, 2009-05-16
被引用文献数
2 1

本研究では,特定の作家の小説を特徴づける語彙とそれが所属する概念カテゴリーの特徴を調べるため,星新一ショートショート作品の特徴的概念と,その構造を計量的に抽出した.データとしては,ショートショートの第一人者である星新一氏の初期(1968年〜1973年)における全720作品を電子化したテキストを対象とし,出現頻度の高い語彙の共起ネットワーク化を行うことで,星作品における概念構造を可視化した.また,各作品に特徴的な語彙を抽出し,そのカテゴリー分類を行うことで,ショートショートの特徴を計量的に抽出した.
著者
七條 和子 中島 正洋 高辻 俊宏
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原爆被爆者について放射性物質が体内に取り込まれたという証拠はない。放射性物質の経口摂取や吸入は発がんリスクの増加に深く関わっている。1945年死亡した長崎原爆被爆者の保存試料に長崎原子爆弾の原料プルトニウムが存在し、70年経った今もなお被爆者の細胞からアルファ放射線を出し続けている画像を撮影した。原爆被爆者の肺、肝臓、骨等のパラフィン標本からは239、240Pu特有のアルファ飛跡パターンが得られ、内部被曝の放射線量は対照群に比べ高く、被爆時の遮蔽と死亡日に関与していた。我々の結果は原子爆弾による内部被曝の科学的証拠を世界に提示し、被爆者の内部被曝の影響を病理学的に研究するひとつの橋頭保となる。
著者
湯川 進太郎 吉田 富二雄 Yukawa Shintaro Yoshida Fujio
出版者
筑波大学心理学系
雑誌
筑波大学心理学研究 (ISSN:09158952)
巻号頁・発行日
no.23, pp.115-127, 2001-03-01

This study investigated the effects of violent video games in terms of game format and playing versus watching on cognition, emotion, and aggressive behavior. Sixty male undergraduates participated in the experiment. Baseline ...
著者
山口 恭平 田口 賢太郎 松本 郁恵
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.21-39, 2011

In recent years, difficulties in living together with disparate others are discussed in the educational theory. Among such difficulties, we take up what originates in desire, especially sexuality. First of all, desire itself is examined refering to theory of A. Kojève and that of G.Bataille. Next, based on the analysis of desire, we examine three subjects. First, we take up 'queer pedagogy', whose purpose is to undo identities of subjects through reading. Second, we consider the possibility for sexual minorities themselves to undo others'identities through writing, taking up some works of O.Wilde. Third, unavoidable risk of sexuality in public sphere is examined through rethinking about thought of E.Fromm.
著者
帯広畜産大学
出版者
帯広畜産大学
巻号頁・発行日
2018

エゾリスとのつきあい方キャンパス内でのエゾリスの生活How to interact with red squirrelsEcology of the red squirrels on campus
著者
菅原 清康
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.79-85, 1978-08-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
17
被引用文献数
1

1) 本研究は比較的古い火山灰黒ボク土壌地帯で, 原野を開墾した畑地に対し耕うんや土壌改良資材の投入によって熟畑化する過程で生起する土壌の化学的性質の変化と, これに伴う雑草植生変化との関係を究明しようとしたものである。2) 土壌改良資材を全く使用しない無施用区では, 土壌の化学的性質は15年後も開墾当初とさほど変らず, 開墾5年後ごろまで草種数が多少増加したが, 以後は変らず, 草種は山野草が主体をなした。3) 少量混用区では, 開墾2年後ごろまで山野草, 以後は山野草と畑地雑草の混生が続き, 草種数は10年後まで, また個体数および草重は8年後まで増加した。4) 多量混用区では, 開墾1年後は山野草, 2~6年後は山野草と畑地雑草の混生, 以後は畑地雑草に転換し, 草種数, 個体数, ならびに草重はそれぞれ少→多→中といった傾向を示した。5) 3試験区を通じ全般的にみると, 熟畑化過程における雑草植生の変遷は, 山野草主体→山野草+畑地雑草→畑地雑草の経過をたどり, これは原野状態の雑草植生→未熟畑状態の雑草植生→熟畑状態の雑草植生とみることができる。6) 山野草の雑草植生から未熟畑状態の雑草植生に転換する土壌の化学的性質の段階は, おおむね土壌pH (KCl) 4.40, 置換酸度 (y1) 10.0, ならびに石灰飽和度20%, また熟畑状態の植生にはそれぞれ5.00, 1.0, ならび50%を境点として転換するようである。7) 雑草植生を転換させうる土壌の化学的性質の境点が究明されれば, これを指標として利用することができ, 営農上極めて有利である。
著者
星川 佳広 飯田 朝美 古森 政作 中馬 健太郎 澁川 賢一 菊池 忍
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.249-260, 2012 (Released:2012-06-02)
参考文献数
31
被引用文献数
2 1

Previous studies have indicated that short-distance sprint ability is essential for achieving a high competitive level in soccer. However, there are no systematic data by which sprint ability in Japanese soccer players can be evaluated. The aim of this study was to develop an age-related evaluation chart for 20-meter sprinting time in male soccer players. The subjects were 807 high-level soccer players between 5th grade of elementary school and high school as well as 120 senior players including professionals. The sprinting time was measured on a grassed field using infrared photocell sensors with the subjects wearing soccer shoes. The sensors detected the release of the subject's rear foot at the start and the passing of the subject's trunk through the 20-meter position. The average time for field players decreased from 3.69(0.14) s for 5th graders to 2.98(0.08) s for seniors. The value for goalkeepers decreased from 3.79(0.12) to 3.07(0.11) s. Using the averages and standard deviations, an evaluation chart classifying the 20-meter sprinting time into 5 levels was presented for each age group. In addition, another chart taking birth date into account was also developed for 7th and 8th graders, since boys born earlier showed an advantage in the sprinting time. The time ranking for the fastest group in field players was less than 2.93 s for 9th graders and 2.86 s in seniors, resulting in a difference of only 0.07 s. In contrast, the value ranking for the slowest group exceeded 3.31 s for 9th graders and 3.11 s for seniors, resulting in a difference of 0.20 s. This implies that soccer players having lower sprint ability may drop out from the selection process as they get older. This evaluation chart can be useful for identifying the short-distance sprinting ability of soccer players in each age group.
著者
三枝 文夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.202, pp.1-6, 2005-07-16
参考文献数
5

最初の電子楽器をケーヒルのテルハーモニウムとすると、電子楽器誕生から100年になります。またRCAのミュージック・シンセサイザーMKIIの出現からも、はや50年経ちました。その間無数の電気・電子楽器が生まれては消えてゆきました。市民権を得た楽器はほんの一握りで、ほとんどの楽器は忘れ去られました。今も電子楽器は他の電気製品と同じように淘汰のただなかにあります。本稿は電子楽器の特質をふまえ、特にリアルタイムの演奏を目的とした電子楽器は何をめざしどこへ行こうとしているのか考えてみたいと思います。
著者
若林 秀隆 栢下 淳
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.871-876, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
9

【目的】摂食嚥下障害スクリーニング質問紙票であるEAT-10の日本語版を作成し、信頼性・妥当性を検証する。【対象及び方法】EAT-10英語版の順翻訳、逆翻訳、英語原版と逆翻訳の整合性の検討を行い、EAT-10日本語版を作成した。次に摂食嚥下障害もしくは摂食嚥下障害疑いの要介護高齢者393人を対象にEAT-10日本語版を実施した。信頼性を内的整合性であるクロンバッハのα係数で、妥当性を臨床的重症度分類とスペアマンの順位相関係数でそれぞれ検討した。【結果】EAT-10日本語版を実施できたのは237人(60%)であった。クロンバッハのα係数は0.946であった。EAT-10を実施できない場合、摂食嚥下障害と誤嚥を有意に多く認めた。EAT-10と臨床的重症度分類に有意な負の相関(r=-0.530、p<0.001)を認めた。EAT-10で3点以上の場合、誤嚥の感度0.758、特異度0.749であった。【結論】EAT-10日本語版の信頼性・妥当性が検証された。EAT-10日本語版は、摂食嚥下障害スクリーニングに有用な質問紙票である。
著者
植田 康孝 菊池 魁士
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.27, 2017-03-31

近年,目覚ましい技術成長を遂げている人工知能は,あらゆる産業を革新すると期待される。しかし,その影響の範囲は広過ぎるため,2030 年に到来すると予想される,人工知能が人間の能力を上回る「シンギュラリティ」以降の「人工知能社会」の具体的な将来像をイメージし難い,と指摘されることもしばしばある。イメージを助けてくれるのがSF(サイエンス・フィクション)作品である。現代の多くの人の中にある「人工知能」のイメージは,学問としての人工知能でも,技術としての人工知能でもなく,数多くのSF 映画やアニメ作品を通して形成されて来たイメージである。 スター・ウォーズ,ターミネーター,アイアンマンなど,SF 映画はいつの時代も人間そっくりの人造物(ロボット,アンドロイド)に憧れて来た。そして,その憧れは,「人工知能」に結びつく。人間のように動き,時に感情まで持つアンドロイド(ヒト型ロボット)は様々なSF作品に登場するため,欠かすことが出来ない存在になっている。SF 作品「スター・ウォーズ」が世界中に愛され続けているのは,ロボットが圧倒的な存在感を有しているからである。壮大な銀河の戦いの中で,安らぎとユーモアを与えてくれる。「スター・ウォーズ」シリーズには数多くのロボットが登場するが,1 作目(1977 年)で観客にとって最も印象に残ったのが「C-3PO」と「R2-D2」という2つのロボットである。「R2-D2」は宇宙船の操縦や機械の操縦をするロボットであり,登場人物たちの危機を何度も助ける。ただし言葉を話すことが出来ないため,「C-3PO」が代わりに話す役割を担う。「C-3PO」は通訳・式典用ロボットであり,機械語を人間に通訳したり,様々な種族の言葉や儀礼に精通し種族間の仲立ちをしたりする。映画ではこの2 体を主人公ルーク・スカイウォーカーが購入したことから,ロボットは帝国軍と反乱軍の戦いに巻き込まれて行く。「フォースの覚醒」から登場した「BB-8」は,大小2つの円から生まれたロボットであり,そっぽを向いたり,二度見したり,猛スピードでコロコロ疾走する。「R2-D2」の半分の大きさで,頭部と分離したボール型のボディが転がりながら移動する姿は,「かわいさ」を醸出する。結果,「BB-8」は,作品の中で一,二を争う人気キャラクターとなった。2016年12月16日に公開された「ローグ・ワン」では,ヒト型ロボット「K-2SO」が,反乱軍の将校キャシアン・アンドアの相棒として初登場した。何かと一言多いキャラクター設定である。「スター・ウォーズ」シリーズに登場する,これら人工知能「C-3PO」「R2-D2」「BB-8」「K-2SO」は,あくまでも人間がコントロールできる「道具知」と位置づけられる。映画「スター・ウォーズ」で描かれる人工知能は,「人間中心」のキリスト教観を基盤として,人工知能(ロボット)はあくまでも人間がコントロールできる存在であり,日本のSF 作品で描かれる「自律知」(汎用人工知能)のロボットと性格を異にする。「道具知」(特化型人工知能)とは,「自律知」(汎用人工知能)と対照する表現であり,人工知能の評価を「いかに便利な道具か」という視点でその知能の有無を評価する立場から捉えられ,「道具としての知的さを実現するために知的な情報処理モジュールを数多く組み込まれて構成されるロボット」である。