著者
越久 仁敬 岡田 泰昌 平田 豊 池谷 裕二
出版者
兵庫医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

吸息活動は、延髄内のpre-Botzingercomplex(preBotC)という場所で起こる。従来の説では、呼吸リズムはpreBotCの神経細胞(ニューロン)が作り出しており、脳のもう一つの主要な構成細胞であるグリア細胞は、ニューロン周囲の細胞外環境を維持する程度の役割しか演じていないと考えられていた。本研究において、我々は、吸息時に活動するニューロンに先行して活動を開始するアストロサイト(グリア細胞の一種)を発見した。ニューロン活動のみを抑えるフグ毒のテトロドトキシンを投与すると、ニューロン活動および呼吸神経出力は消失したが、これらのアストロサイトの周期的な自発活動は残った。さらに、光を照射すると細胞を活性化させるイオンチャネルであるチャネルロドプシン2を、アストロサイトにのみ発現させた遺伝子改変マウスを用い、preBotC領域のアストロサイトを光照射で興奮させると、吸息性ニューロンの活動を惹起させることができた。これらの結果は、アストロサイトがpreBotC領域において呼吸リズム形成に積極的に関与していることを示唆している。
著者
何 江 梅干野 晁 町田 康幸 中大窪 千晶 嚴 泰潤
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.15, no.29, pp.179-182, 2009-02-20

This paper presents a numerical simulation method to predict and evaluate the thermal environment in the developed urban locations where void-brick walls with evaporative cooling effect were applied, using the 3D CAD-based simulator developed by the authors. The thermal modeling of a void-brick wall was proposed from the experimental data and calculation algorism of its surface temperature was integrated into the simulator. A case study was carried out to quantify the thermal improvement of the void-brick wall applied to a bus waiting arbor. The simulation results show that the developed simulation tool can be used as a design tool to evaluate the thermal effect of the void-brick wall on the urban built environment.
著者
大浜 秀規 岡崎 巧 青柳 敏裕 加地 弘一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.711-718, 2012 (Released:2012-09-08)
参考文献数
33
被引用文献数
2

刺網及び水中銃等による採捕と潜水観察の結果から,本栖湖におけるコクチバス駆除の効果を検証した。1997 年から 2004 年にかけて刺網で 68 個体,水中銃等で 18 個体のコクチバスを採捕した。刺網の CPUE は 1997 年の 0.36 から徐々に減少し,2002 年には 0 となった。刺網による推定年間採捕率は常に 50% 以上あった。コクチバスの再生産がなかったこと,生息情報をフィードバックさせた刺網での採捕率が高かったこと,速やかに駆除を開始したことなどから,根絶に成功したと考えられた。
著者
西田 睦
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.236-242, 1988-12-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
31
被引用文献数
1 44

日本・琉球列島産アユの地理的変異の分析の結果, 琉球列島に生息するアユは他と明瞭に異なる独自の集団であることが分かったので, 奄美大島および沖縄島から得られた標本に基づき, これを新亜種Plecoglossus altivelis ryukyuensis (和名: リュウキュウアユ) として記載した.本亜種は, 縦列鱗数, 側線上・下方横列鱗数および胸鰭条数が少ないことにより, 基亜種と区別される.また, 本亜種は, いくつかの酵素分子が, 電気泳動的に他とは明瞭に異なることによっても特徴づけられる.
著者
酒巻 雅純
出版者
日本財務管理学会
雑誌
年報財務管理研究 (ISSN:09171738)
巻号頁・発行日
no.25, pp.103-109, 2014-05-01

わが国の上場会社でのグループ経営が進む中,純粋持株会社の財務的特質(内部留保・配当・負債ファイナンス)に関して考察した。本稿では,純粋持株会社をグループ内のひとつの組織としてとらえ,NTT(日本電信電話)とソフトバンクの2社を考察対象とした。両社は,そのグループ傘下に中核子会社として携帯電話会社を有し大きな利益を得ている特徴があるが,考察の結果は,次のとおりである。(1)NTTでは,巨額の分配可能額が,傘下の完全子会社にも留保されており,グループ全体としての最適投資の点から,純粋持株会社としての機能を必ずしも果していない。(2)両社とも,負債ファイナンスについて,持株会社だけでなく子会社でもレバレッジ(借り入れ)を活用している。(3)最近のソフトバンクでは,巨額な負債ファイナンスについて,すべて持株会社が行っている。これは,NTTと異なる点であり,次の大型買収を進めることを示唆している。
著者
加藤 文男
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.184-186, 1981-08-15 (Released:2011-02-23)
参考文献数
6
被引用文献数
1

Three specimens of the amago salmon, Oncorhynchus rhodurus, were caught off Chikubu Island in Lake Biwa, Shiga Prefecture, Japan. These specimens were females measuring 260-375 mm in standard length, with red spots on both sides of the body.The transverse scale counts above the lateral line were 27-32.Ridges of scales had disappeared in the apical margin of the scales.These characters resemble those of the amago salmon found in the Nagara River or Lake Suwa, and differ from those of the Biwa salmon found in Lake Biwa (Kato, 1973a, 1975a, b, 1978).Therefore the author identified the specimens as amago salmon.They are presumed to have descended in the smolt stage into Lake Biwa and to have grown there.
著者
加藤 文男
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.197-204, 1978-12-15 (Released:2011-02-23)
参考文献数
21
被引用文献数
3

Morphological and ecological studies on two forms of Oncorhynchus rhodurus Jordan et McGregor living in Lake Biwa and adjoining inlets were conducted. The fluviatile form (the amago) and the lacustrine form (the biwamasu) showed morphological differences in number of pyloric caeca, transverse scales, ventral fin rays and red spots on lateral body. The fluviatile form lives in the upper waters of inlets to Lake Biwa, but the lacustrine form leaves the streams as fry and lives in Lake Biwa almost all its life. In addition to this, there are ecological differences in maturity age, growth rate and food habits between the two forms. It is presumed that the fluviatile form and the lacustrine form living in this lake and adjoining inlets consist of different populations.
著者
岸野 底 四宮 明彦 寿 浩義
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-8, 2008-05-15 (Released:2012-07-13)
参考文献数
28
被引用文献数
3

Fasting Ryukyu-ayu (Plecoglossus altivelis ryukyuensis) larvae (newlyhatched, 15-20 day old and 50 day old individuals) subjected to ranges of experimental water temperature and salinity [15-21°C (2 or 3 steps) and 0-30 psu (3 or 4 steps), respectively] showed greatest survival rates in water temperatures of 15-18°C and salinity of 5-15 psu. Such water temperature and salinity ranges paralleled those of brackish water in the Yakugachi River during the early life stages of Ryukyuayu, and supported a field investigation which indicated that Ryukyuayu larvae occurred mainly in brackish water. The experimental result is probably illustrates the limits of osmoregulatory adjustment in larvae of this species.
著者
澤志 泰正 西田 睦
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.253-260, 1994-11-21 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14

現在の唯一の生息地である奄美大島において, リュウキュウアユは不連続な東西2地域 (住用・伊須湾域と焼内湾域) に分布する.この両地域の集団がどの程度独立であるかを明らかにするため, 生態学的側面および遺伝学的側面の両面から検討を試みた.まず, 遡上期における稚魚の分布を全島的に調査したところ, 東西2地域では従来通り本亜種の生息が確認できたが, それらを隔てる南部や北部地域の河川では本亜種は全く出現せず, 沿岸海域を通じての東西間の仔稚魚の移動の証拠は得られなかった.次に, 両地域の集団から得た標本にっいて電気泳動分析を行ったところ, 調べた28遺伝子座のうち多型的な2遺伝子座で, 遺伝子頻度の顕著な差異 (それぞれp<0.001) が認められた.以上の結果は, 東西両集団は, 相互の間でほとんど交流のない, 相対的に独立したものであることを示唆する.本亜種の保護を考える際には, こうした奄美大島における遺伝的多様性を慎重に考慮することが重要であると考えられた.
著者
水野 誠 桑島 由芙 東 秀忠 貴志 奈央子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.415-442, 2014-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
22

本研究では、日本市場で販売されている約150 車種の乗用車について4 時点にわたって測定された多次元の知覚データと、各種先端装備の採用レベルの関係を分析することで、知覚ポジショニングに適合する装備の採用が行われているかどうかを分析した。さらにそれを潜在顧客の購買態度と結びつけると、ポジショニングから期待される以上の「過剰装備」が、他の要因を一定とすると、購買への態度を悪化させることが示された。
著者
金子 宏
出版者
日本公法学会
雑誌
公法研究 (ISSN:03873102)
巻号頁・発行日
no.13, pp.184-189, 1955-10
著者
方 容泰 宋 兌燮
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究学会年報 (ISSN:13480464)
巻号頁・発行日
no.10, pp.25-34, 2004-09-30

韓国ベンチャーのグローバル化の第一歩として、日本市場への進出を念頭に置き、現地市場で事業活動をうまく行い、よい実績を上げるためには、現地のベンチャーの成功方程式を分析する必要があるであろう。本研究は、知彼知己の観点から韓国ベンチャーと日本ベンチャーのそれぞれの強弱点を把握し、韓国ベンチャーの日本市場進出における示唆を導き出すことをその目的とした。両国ベンチャーに対する回帰分析の結果は次の通りである。外部環境は力動性と敵対性という2次元を取り上げたが、力動性は韓国ベンチャーの成果に、敵対性は日本ベンチャーの成果に、それぞれ肯定的影響を及ぼしている。企業スタイルの前向き性がもつ影響力は、その統計的有意性が充足されていない。組織力量には新製品の急進的導入能力、外部資源活用能力、知識資産活用能力という3次元が設定されたが、両国ベンチャーに共通的に影響したのは新製品導入能力である。外部資源活用能力は韓国ベンチャーの成果に負(-)の、知識資産活用能力は日本ベンチャーの成果に正(+)の影響をそれぞれ及ぼしている。マーケティング差別化戦略は日本ベンチャーに否定的影響を働きかけており、韓国ベンチャーの成果とは関係ないことが判明した。こういう分析の結果から導き出される示唆は次の通りである。日本ベンチャーの成果にもっとも大きな影響を及ぼしたのは新製品の急速な導入能力である。韓国のベンチャーは国内市場ですでに新製品の導入を迅速に行う能力を発揮しているが、日本市場に進出して既存製品・技術のアップ・グレードは言うまでもなく、代替機能を持つ新製品の開発に注力すべきである。知識資産の活用能力においては、特許権を確保できるほどの高い水準の知識を創出するよう努力しなければならない。また、知識の特許化にかかる費用がベンチャーには少なくない負担となるが、技術的優位の確保には不可欠である。マーケティング差別化戦略の重要性も特記に値する。販促活動、流通チャンネル活用、広告などの側面で他社との差別性を顧客に刻印させることができなかったことが、日本ベンチャーの全般的な脆弱点として露呈されている。韓国のベンチャーも国内市場でマーケティング戦略に問題点をもっているので、環境の異なる日本市場への進出においては、一層の格別な努力を傾注しないと、散々な失敗に終わる恐れがあるであろう。最後に、環境の敵対性が日本ベンチャーの成果に関係することにも注意を払うべきである。韓国ベンチャーは国内市場環境の力動性に適応してニッチ・マーケットを追求することに強みを発揮している。日本市場ではそれに基づく市場地位の確保が一段落してからは、全面的な競争という敵対的環境の中で生き残るための手段をとらなければならないであろう。
著者
三井 逸友
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.19-39, 1996-02-25

日本の中小企業研究は比較的独自の問題意識と方法の発展を遂げたとはいえ,欧米経済社会を物差しとし,これとの距離で「近代化」を論じる傾向が強かった。しかし,日本の経済発展と「国際化」の進展のもとで,「ポストフォーディズム」などの議論にもとづく,欧米側からの日本中小企業とそのシステムヘの「再評価」が高まり,一種の「逆輸入」が生じた。これも,90年代以降の日本経済の不振下に,「再逆転」に向かっているが,このように諸外国の論調に影響されているばかりでなく,グローバルで普遍的な中小企業研究の視座と方法を確立すべき時である。欧米での中小企業への関心と論点を「脱構築]し,中小企業のつくる「システム」を一般化して理解しながら,その存在と「構造」を現実の社会的・政治的過程のうちでとらえ,グローバルスケールのもとで,人間性と「社会」「地域」の視点を回復していくことが,今日の中小企業研究に求められる。
出版者
本阿弥書店
巻号頁・発行日
1987

2 0 0 0 OA 小胞体の話

著者
黒住 一昌
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
電子顕微鏡 (ISSN:04170326)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.60-66, 1988-07-31 (Released:2009-06-12)
参考文献数
39