著者
角田 達彦 清水 仁 長尾 眞
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.4, pp.129-136, 1997-01-20
被引用文献数
2

本稿では,六法全書法律文の大局的構造の解析と要件の意味推定を表層的手がかりによって行なう手法を提案する.文の構成要素を主題,要件,効果に分け,それらが対比構造をなしているかを調べ,その結果によって各主題や要件の係り先を特定する.そして各要件の機能表現によって要件のさす内容を特定する.同時に主題の連体修飾部や,効果部に入りこんだ要件の抽出を行なう.その結果,六法全書の条文181文の学習コーパスに対して170文(3%)が,そして275文のテストコーパスに対して224文(1%)が正しく解析できた.また,とりたて助詞「は」と読点の有無が対比構造の生成・認識の鍵となり,それによって係り先が決定されることを明らかにした.We propose a method of automatic detection of global structure and semantical logics in legal sentences. Firstly, the method extracts elements in them and classifies them into three types: subject, condition, and effect. Second, it checks whether they have comparison structures, and, depending on the result, specifies their dependency. Finally, it grasps their contents using surface clues and extracts conditions from the subject and effect parts. Our method achieved 93% correctness for 181 training sentences, and 81% correctness for 275 unseen sentences. We also clarified the importance of particle 'ha' and commas for generating and understanding comparison structure, which decides phrase dependency.
著者
Ying WANG Noriaki KATAOKA Naoyuki KANDA Ryuta YAMADA Minami WATANABE Shogo MORITA Hiroshi IMAIZUMI Naoki KANO
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.553-561, 2015-09-15 (Released:2015-09-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1 5

Hydrogen explosion occurred at Fukushima Dai-ichi nuclear power plants in Japan on 12―15th March, 2011. At the same time, lots of radioactive materials have been released including tritium(T), and caused serious environmental impacts. In order to investigate the effect of the accident of Fukushima Dai-ichi nuclear power plant on environment, we collected the short precipitation(hourly collected precipitation) and spring water for several years after the accident. As to the precipitation collected, T and radiocaesium were measured by using liquid scintillation counter and high-purity germanium detector, respectively. Furthermore, we also measured the concentration of ions(Na+, Cl-, Ca2+, and SO42-) in spring water. From the above-mentioned matters, the following points have been obtained:(1)The variation of T concentration in recent three years(2012, 2013 and 2014) can be clarified. (2)The effect of the accident on spring water in mountains around the Fukushima prefecture is so small. (3)As to the short precipitation on 15th March, 2011, the activity of radiocaesium was not detected, but the activity of T was detected significantly.
著者
小森 聡
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.112-117, 2007-06-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1 4
著者
廣澤 成美
出版者
埼玉医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究ではフェニトロチオンが内分泌臓器に及ぼす影響を調査するために雄若齢ラットを用いて曝露実験を行った。その結果、フェニトロチオン30mg/kg/day投与群の副腎と脳下垂体重量の増加がみられた。またフェニトロチオン投与群ではテストステロン及びACTHの血中濃度が高くなることが示された。脳下垂体と副腎におけるプロテオーム解析を遂行し、コントロール群と比較し投与群において発現量が増減した蛋白を同定することができた。
著者
新井 イスマイル
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_10-3_22, 2015-07-24 (Released:2015-09-24)

政府・自治体が所有するデータを行政の透明性確保,市民参加の促進,経済活性化を目的に,オープンデータとして公開しようとする動きが2013年度から活発になっている.異業種交流や学生の自主活動のきっかけになると期待できる.オープンデータの活発かつ効果的な利用を実現するには,オープンデータが機械可読であること,また,それらのデータを活かせるソフトウェア技術者の活躍が期待される.2013年度以降のオープンデータに関わる全国の活動状況と今後の課題について,ソフトウェア技術者の視点に立って解説する.
著者
海老沢 功
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.351-357, 2007-09-10

4種類あるマラリア原虫のうち, 生命に危険のある熱帯熱マラリア原虫は世界中に広く分布し, かつ最も代表的な抗マラリア薬であるクロロキン, メフロキン. サルファドキシン+ピリメタミンの合剤ファンシダール<SUP>®</SUP>などに耐性を示し, マラリア研究者を悩ませてきた。これに対して中国の古墳, 馬王堆から発掘された古文書の解読により発見された漢方薬青高素 (チンハオス, アーテミシニン) の分析, 合成によって開発されたアーテメータ, アーテエータ, アーテスネイトなどを薬剤耐性熱帯熱マラリアの流行地, タイ, ミャンマー, アフリカなどで単独で使用した成績をまず紹介した。いずれも即効性があり熱帯熱マラリア原虫の速やかな消失が認められたが, 単独使用では数%の再燃例が認められることを確認した。<BR>次の段階で上記薬剤に補強的に作用するメフロキンとの併用療法あるいは補助的に作用するアモダイアキン, アトヴァコン, プログアニル, トリメトプリム, ルメファントリン, ダプソンなどとの併用療法あるいは合剤, 座薬の開発の現状を分析・報告した。患者が再感染しやすい環境にあり,「再燃」と分類される症例が必ず数%出てくる現状では, 新薬の効力が持続することを望んで止まない。<BR>日本国内でもアーテメータ+ルメファントリンの合剤 (リアメット<SUP>®</SUP>, コアルテム<SUP>®</SUP>) がマラリア研究班により輸入・保管されている。
著者
益田 実 細田 晴子 齋藤 嘉臣 橋口 豊 青野 利彦 三宅 康之 妹尾 哲志 清水 聡 小川 浩之 池田 亮 鳥潟 優子 三須 拓也 山本 健 芝崎 祐典
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、巨視的視点から冷戦史の全体像を把握するための新たなパラダイムの構築を意図しながら、1940年代半ばから1980年代初頭までを対象とする米英仏独西中など関係諸国アーカイブ史料の実証分析により、同盟政治・脱植民地化・文化的変容という冷戦期における三つの中長期的な変動と冷戦との関連を明らかにすることに努めた。中心的な研究成果としては研究代表者および分担者全員により益田実・青野利彦・池田亮・齋藤嘉臣編著『冷戦史を問いなおす』(ミネルヴァ書房、2015年)を執筆刊行し、さらに同書に関する公開書評会を開催し、そこでの議論を踏まえた発展的研究課題を形成した。
著者
須部 宗生 梅本 孝
出版者
静岡産業大学
雑誌
環境と経営 (ISSN:13415174)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.141-155, 2004-06
被引用文献数
1
著者
領家 穰
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院大学人権研究 = Kwansei Gakuin University journal of human rights studies (ISSN:1344039X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.13-32, 2008-03-31

日々起こるでき事に対して、マスコミの見落した点を点検しているうちに、自然とわたし自身が関係した"調査"についての反省ということにつながった。既存の"知識"から出発した結果、調査はいつも"見落し"があることに気付いた。自己の"知識"の限界である。この見落しは2つの系列に区分することができる。1つは自分自身の対象に迫る姿勢に関するものであり、いま1つは対象化される対象の状態に関するものである。前者はまず3つの段階に区分できる。(1)自明なモノゴトを無条件に是認する、(2)"確かなモノゴドと考えられているモノゴトを改めて吟味する、即ち対象として意識する、(3)吟味の方法的検討の拠点として自分と対象の関係を問う段階である。(3)は更に自他未分から始まって他者が対象とされるに至り自分の問題として考えるという段階に区分される。当事者としての自覚することによって、受身の我から積極的な我に変化する。社会学の方法としての社会調査は、時間的存在として歴史を生きることとなる。意味を問うことに始まる自覚の後至性は、空間的な広がり、そこで生活が営まれる環境の限界を空間的に超えるという体験ではなくて、時間的に自己にとって意識化され、自己の意識としての自覚に至るとともに、単なる第三者としての傍観者観察という営みから、行為者、生きる全体としての生活者としての自覚、それはまた当事者として受身から能動的な我の自覚を意味している。時間的存在としての自覚は、確定した過去と未定の未来という矛盾の一方を切り捨てることではなくて、矛盾したモノゴトを含む新しい全体を積極的に創り出すためのある幅をもった現在を設定するという視点から捉え直すという働きに結びつく。見落しを積極的に創り出すことによって、社会調査の資料は、歴史学の史料とつながることになる。環境は単に自然・社会・文化といった形で"知識"化されたモノゴトのあり様から主体として個がそこで生きる社会的状況として捉え直すことによって意味をもつことになる。住む世界の拡大と意識化の深化とは呼応して行うことによって初めて実態に近づくことになる。この視点から見落したものを積極的に見直すことによって意味をもつことになる。歴史学が現在の体制において自明とされる前提に立つことの見落しは、都市と農村の相関する協同研究によって補足される必要がある。社会的差別は被害者の側の視点-勝つ強さのみが強調されるが負けない強さは視座の変更を必要とする-に立つことによって初めて解決の途を見出すことになる。