著者
栗原 伸一 大江 靖雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.97-105, 2002-03-29
被引用文献数
1

農林漁業体験民宿を中心としたグリーンツーリズムによる地域活性化の経済効果を,全国で最も体験民宿が集中している長野県飯山市を事例に,アンケートや地域産業連関分析等によって測定した.その結果,体験民宿利用客1人当たりの消費額は1万7千円程度となり,その年間宿泊者数を現在よりも30万人多い160万人確保できた場合,飯山市への直接的な経済効果は272億円,間接的な波及効果を加えた総合経済効果はその1.24倍の338億円となることが分かった.当初,民宿をはじめとした宿泊施設は生産に直接関わっていないため,それほど大きな波及効果は期待できない可能性もあったが,農産物の販売や食料品の仕入れなどを通した生産誘発効果が,農林水産業や商業,製造業に対して比較的大きく存在していたことは注目すべきであろう.また,飲食業をはじめとしたサービス部門に対する波及効果も大きいことから,今後は,体験民宿を初めとしたより高付加価値型のツーリズムの確立が地域活性化には肝要であろう.
著者
池田 浩也 サレ ファイズ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.29, pp.17-21, 2010-05-06
被引用文献数
2

シリコン基板上に作製可能な単電子冷却デバイスを提案し,その単電子トンネル動作について理論的評価を行った.その構造は,単電子箱と単電子ポンプを組み合わせた形をしており,半導体ドット内の電子を交流電圧により出し入れして,ドット内電子のエネルギーを低減する.この単電子ポンプ冷却デバイスの等価回路についてクーロンブロッケード条件を計算したところ,ドット内電子数をパラメータとしたハチの巣状の安定状態図(クーロンダイヤモンド)を形成することを見出した.境界線の三重点を囲むように交流電圧をかけたときのデバイス動作について,クーロンブロッケード現象のオーソドックス理論に基づくモンテカルロシミュレーションにより調べたところ,単電子ポンプ動作が実現できることがわかった.それと同時に,半導体ドット内に電子を1個ずつ転送し,複数個の電子を蓄積できることも明らかとなった.
著者
佐々木 眞敬 佐野 光一 角 明美 本山 径子 矢野 讓次 松本 一彦 山本 宏
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.2412-2421, 1989-11-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
10

Miporamicin (MPM) 並びにその微量成分, 分解物及び代謝物のマウス, ラットにおける急性毒性試験を行った。1. MPMの経口投与によるマウス, ラットにおけるLD50値は最高用量においても死亡が認められなかったことから, それぞれ2,500mg/kg及び2,000mg/kg以上と推定された路。投与経によるLD50値は静脈内く皮下く経口投与の順に高くなり, 性差は認められなかった。2. MPMを経口投与されたマウス, ラットの一般症状に異常は認められなかった。皮下投与では, 投与部位の腫脹, 皮下充出血, 脱毛, 痂皮形成等の炎症性反応が認められた。静脈内投与では, 投与直後に運動抑制及び呼吸抑制又は停止, 振戦, 痙攣等が観察された。3. MPM投与による死因は呼吸抑制, チアノーゼ, 更に, 呼吸停止の後, 心拍の停止がみられることから, 呼吸機能麻痺によると推定された。4. MPMの微量成分, 代謝物及び分解物の急性毒性試験ではMPMとほぼ等しい毒性発現を示した。
著者
外村 中
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.266-269, 2001-01-29
被引用文献数
2

中国ではすでに5世紀後半頃には,生活環境にすぐれた郊外に住居を構え,朝早く起きて都市内にある職場に通うといった,いわば極めて現代的な生活様式が一部知識人達の間に流行していたらしいことが認められる。本稿は,この点に関して最も詳しい記録を残した人物のひとりである梁の沈約(441-513)の郊居(郊外の住居)についての基礎的な考察である。
著者
欅田 尚樹 法村 俊之 土屋 武彦
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.137-145, 1993-06-01

在阪の某製造業従業員を対象に1984年度がら1990年度健康診断時にTHI (Todai Health Index)質問票を用いて喫煙の健康に及ぼす影響を検討した。その結果,1)本事業所の男性従業員全体の平均年齢は37歳であり,喫煙率ば84年度(62.4%)から'89年度(57.2%)までに5%強,減少した。以下の解析は,飲酒の影響を除くために,全く酒を飲まない244名を除いた男性1260名の回答結果について行った。2)THI尺度得点では「呼吸器」,「消化器」,「循環器」,「生活不規則性」,「多愁訴」,「直情径行性」において喫煙により訴えの増加を認めた。3)THIの個々の質問項目としては,咳,痰,のどが痛む・詰った感じ,歯をみがくときの吐き気,食欲不振,胃痛,胸やけ,下痢,歯ぐきの色が悪い,口臭,まぶたが重い,皮膚が痒い,顔色が悪い,息切れ,動悸,体が熱っぽい,背中が痛む,早寝早起きでない,仕事がきつい,横になって休みたい,食事が不規則,イライラするなどの種々の訴えが喫煙により増加傾向を示した。予防医学の立場からもこれら身近な自覚症状に及ぼす喫煙の影響について,健康教育等でアピールしていく必要がある。
著者
神谷 泉 黒木 貴一 田中 耕平
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-24, 2000-03-25
参考文献数
40
被引用文献数
23

数値地図50mメッシュ(標高)を用い,地表面の傾斜を濃淡画像で表現した傾斜量図を作成し,これを用いた地形・地質の判読を試みた。傾斜量図は,低地(段丘),山地,火山,地すベり地の地形の判読に有用であった。また,構成地質に関しては,構造線・断層の候補となるリニアメント,ある種の岩石の分布域の境界を判読できる場合があった。判読のための傾斜の計算方法としては,Roberts型よりもPrewitt型あるいはSobel型が優れている。傾斜量図は,他の地表面の表現手法と比べ,いくつかの点で優れている。上記の判読で使用している基本的な判読キーは,「明るさ」,「一様性」,「線間隔」,「鮮明さ」,「方向性」であった。また,山地においては,尾根と谷に対応する明るい線が互いにがっちりかみ合った模様である「脳状模様」が有用な判読キーであった。以上を総合し,傾斜量図は,地形・地質を調査する上で重要な資料となりうる。
著者
高尻 雅之 白川 寿照 宮崎 康次 塚本 寛
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.72, no.723, pp.1793-1798, 2006-11-25
参考文献数
27
被引用文献数
8

n-type bismuth-telluride thin films are fabricated by flash evaporation method. Effects of hydrogen annealing on the thin films are investigated for potential application in micro thermoelectric devices. The thin films are grown up to 1 μm on a glass substrate by flash evaporation method. The hydrogen annealing is carried out in the temperature range between 200-350℃ on an atmospheric pressure. The electrical resistivity and Seebeck coefficient are measured at room temperature. Both the electrical resistivity and Seebeck coefficient are improved by the treatment of hydrogen annealing, then the power factor of the n-type bismuth-telluride thin film reaches 8.8μW・cm^<-1>・K^2 at annealing temperature of 350℃. The structure of the thin films, which is composition and crystallinity, is studied by electron probe micro analyzer and X-ray diffraction pattern, respectively. The composition of bismuth-telluride thin films is relativity constant until higher annealing temperature. The X-ray diffraction patterns indicate that the crystallinity of the thin films is improved as higher annealing temperature.
著者
寺沢 重法 Terazawa Shigenori
出版者
「宗教と社会貢献」研究会
雑誌
宗教と社会貢献 (ISSN:21856869)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.31-38, 2014-10

Richard Madsen, Democracy's Dharma: Religious Renaissance and Political Development in Taiwan, University of California Press、2007 年11 月、Octavo 型、191 頁、$31.95

2 0 0 0 OA 紫紅画集

著者
今村紫紅 画
出版者
西東書房
巻号頁・発行日
1916
著者
寺沢 重法 横山 忠範 テラザワ シゲノリ ヨコヤマ タダノリ Terazawa Shigenori Yokoyama Tadanori
出版者
「宗教と社会貢献」研究会
雑誌
宗教と社会貢献 (ISSN:21856869)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.1-25, 2014-10

本稿の課題は、「現代日本において「死後の世界を信じること」と幸福感の間にはどのような関係が見いだされるのか」という問いに、日本版General Social Surveys(JGSS-2008)の探索的分析を通じて答えることである。知見は以下の通りである。①社会─人口学的諸変数および宗教属性を統制した上でも、死後の世界を信じる男性の回答者の幸福感は有意に高いことが明らかになった。②「死後の世界を信じること」は相対的世帯収入の低い回答者に対してのみストレス緩衝効果をもつことが明らかになった。③男女別も分析を行ったところ、男性については、「死後の世界を信じること」と幸福感の間の正の有意な関連と相対的世帯収入が低い回答者へのストレス緩衝効果が確認されたが、女性についてはいずれも確認されなかった。
著者
稲谷芳文
出版者
日本流体力学会
雑誌
ながれ
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, 2011-06