著者
久田 健吉
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.61-75, 2003-01-10

この研究は、ヘーゲル研究にとって画期をなすものと自負する。本論末尾の「緒論攷」でまとめたように、『人倫の体系』は難解な書、挫折の書、シェリング哲学残滓の書とされ、イエナ実在哲学との関連で、そういうものだろう程度の研究しかなされていない。しかし人倫の体系は、挫折どころか、ヘーゲル哲学の根幹をなす研究をなしている。ヘーゲルはこの書物で問題にしたのは、人間による「絶対的人倫の理念の認識」だった。この認識に至る道は概念の絶対認識を通してであって、この認識を通して民族(国家)を自覚し、人間は民族(国家)を形成するとする。そしてこれを可能にするものこそは「直観と概念の相互包摂」である。直観とは人間の主観性、概念とは客観世界。人間は己を貫こうとして、客観世界に己を対置する。 しかしこの時、真に己を貫こうとしたら、客観世界に即して己を貫くのでなければならないことを知る。これが「直観による概念の包摂」から「概念による直観の包摂」への逆転であって、こうあることが直観による概念の真の包摂だと人間は自覚する。これが人倫の体系で問題にされたことであった。ヘーゲル哲学は精神の哲学と言われる。この研究の上に立つなら、精神が実現してきた世界理性をわがものとしてこそ真の実存、真の哲学と説いていることがよく分かる。私はヘーゲル研究において、新たな地平を提起したと自負する。
著者
細野 信幸 川口 雅司
出版者
鈴鹿工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

剣道競技における試合結果の分析および指導法の改善を目指し、次の項目についての成果を顕わした。「取得部位と勝率の相関関係解析」においては、校剣道部学生の試合データに基づき勝率に及ぼす取得部位のバラツキの効果を明らかにした。「打突時動作の画像収集および抽出」においては週末を中心に行っている練習試合、年間にわたり参加している高専大会を始め高校および地域の大会における打突時のデータを収集し画像を分析した。「打突時動作の分析および評価」においてはデータ収集、評価を続けながら取得部位のポイントにおける観点から指導法の改善を目指した。「日常の稽古指導の見直し」においては打突時の動作解析をもとに日常の稽古指導の見直しおよび指導法の改善を検討した。さらに「高専間交流を通したクラブ活動-全国高等専門学校剣道錬成大会を通したクラブ活動-」のタイトルで高専教育論文集に他高専の指導教員と共同で成果を発表した。本校だけでなく他高専のデータも取り入れながら研究成果の総括を実施した。
著者
上田 哲男 中垣 俊之 中垣 俊之 高木 清二 西浦 廉政 小林 亮 上田 哲男 高橋 健吾
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

巨大なアメーバ様細胞である真正粘菌変形体の特徴を活用し、細胞に秘められたる計算の能力を引き出す実験を行うと共に、その計算アルゴリズムを細胞内非線形化学ダイナミクスに基づいた数理モデルを構築し、解析・シミュレーションした。(1)粘菌による最短経路探索問題(スタイナー問題、迷路問題)の解法:粘菌を迷路内に一面に這わせ、2点(出入り口)に餌を置く。粘菌は餌に集まりながら迷路内に管を形成するが、迷路内の最短コースを管でつなぐ(迷路問題を解いた)。粘菌を限られた領域内で一様に広がらせて、何箇所かに餌を置き、領域内部での管パターンの形成を見る。2点の場合、最短コースで結ぶ管が、3点の場合、中央で分岐したパターンが、4点の場合、2箇所で3つに分岐するパターンというスタイナーのミニマム・ツリーが形成された。(2)粘菌における最適ネットワーク(最短性、断線補償性、連絡効率)設計問題:粘菌の一部を忌避刺激である光で照射し管形成をみた。粘菌は危険領域を短くし、丁度光が屈折(フェルマーの定理)するように、管を作った。このように管パターン形成には環境情報をも組み入れられている。複数個に餌を置くと、最短性のみならず、一箇所で断線しても全体としてつながって一体性を維持する(断線補償性)という複数の要請下で管形成をすることがわかった。(3)管構造の数学的表現と粘菌の移動の数学的表現:振動する化学反応を振動子とし、これらが結合して集団運動する数理モデルを構築した。全体の原形質が保存されるという条件、粘菌の粘弾性が場所により異なるという条件を入れることで、粘菌の現実に合うような運動を再現することができた。(4)アルゴリズム:管は、流れが激しいとよりよく形成され、逆に流れが弱いと管は小さくなっていく。この管形成の順応性を要素ダイナミクスとして取り入れ、グローバルな管ネットワーク形成の数理モデルを構築した。迷路問題、スタイナー問題、フェルマー問題等実験結果のダイナミクスまでもシミュレートできた。
著者
藤井三郎 編
出版者
須原鉄二
巻号頁・発行日
1886

2 0 0 0 OA 警察提要

出版者
青森県警察本署
巻号頁・発行日
1883
著者
柴田 崇
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.279-286, 2004-03-10

This paper attempts to demonstrate the uniqueness of David Katz's theory in general and of his theory of "medium" in particular. When we explore the environment with our hand we can immediately feel objects in the environment. What is intriguing is that the same seems to hold true when we explore the environment with a rod in our hand. The tip of the tool, in other words, seems to be capable of direct perception and the tool as a whole seems to become "transparent" when it is in use. It will be argued that a phenomenon like this can be understood as the Cartesian "dogma" if we read Katz's "The World of Touch" in the light of James J. G ibson's theory of tools.
著者
土井 靜雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.36, no.199, pp.767-773, 1933-11

Klopstockバイトの特長竝に切削條件の變化に伴ふ其の適當な形を明らかにし、猶在來の荒削りバイトと比較して切削永續時間が長く、削り抵抗力及び其の變動の大さが尠なく、又被切削材の種類に依る削り角の變化が尠なく、削屑の處理が簡單であり、切削面が綺麗に仕上がる事を確めた。
著者
Endo Hideki Niizawa Nobuharu Komiya Teruyuki Kawada Shinichiro Kimura Junpei Itou Takuya Koie Hiroshi Sakai Takeo
出版者
Zoological Society of Japan
雑誌
Zoological Science (ISSN:02890003)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.1005-1011, 2007-10
被引用文献数
17

The gross anatomy of the mastication system of the giant anteater (Myrmecophaga tridactyla) was examined by means of three-dimensional image analysis. The anteater rotates the mandibles medially and laterally to control its tongue when it is elongated and to house it when it is relaxed. Three-dimensional CT image analysis demonstrated that the shape and size of the oral cavity changes drastically when the mandibles are rotated. The oral cavity expands bilaterally when the dorsal part of the mandibles bend medially. Macroscopic observations and muscle-weight data supported the observation that the superficial temporal and medial pterygoid muscles act as the main medial and lateral rotators of the mandible, respectively. The low height of the mandibular ramus and the incomplete zygomatic arch in this species represent adaptations for the rotational movement of the mandibles, since they both contribute to the medially oriented transmission of force from the temporal muscles and to preventing collision between the mandibles and the cranium during the rotational movement.
著者
高橋 菜奈子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.65-73, 2007-08

一橋大学附属図書館で行なったハングル図書の遡及入力を素材として,NACSIS-CAT における韓国・朝鮮人名の著者名典拠の同定作業について報告する。著者名典拠とのリンク率が低いこと,その原因として同姓同名や同音異名,別名表記によるリンク形成の困難さが指摘できる。リンクを形成するにはその著者の著作,漢字表記,学位・学歴情報が同定根拠として有効であることも明らかになった。各機関が著者名リンクを放棄しないこと, 手元の図書から判明する情報を追加していくことの重要性を指摘した。
著者
松村 嘉久
出版者
阪南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大阪のあいりん地域、東京の山谷地域、横浜の寿地域の三大寄せ場が、外国人個人旅行者を受入れて変貌する過程を比較研究から迫った。2011年は大阪市内の宿泊施設の悉皆調査を行い、インバウンド観光振興におけるあいりん地域の重要性と可能性が裏付けられた。2012年は、新今宮観光インフォメーションセンターを運営し、社会的実践を積み重ねてきた経験から、西成特区構想有識者座談会において、あいりん地域での観光振興・賑わい創出についての政策提言を行った。
著者
新井 宗仁
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

昨年度に引き続き、α-ラクトアルブミン(α-LA)のフォールディング反応における遷移状態の構造特徴づけを、Φ値解析法を用いて行った。今年度は特に、α-LAのβドメインやCヘリックス周辺に変異を導入した一アミノ酸置換体を多数作成し、α-LAの遷移状態の構造解析を行った。平衡条件下でのアンフォールディング測定の結果、変異体はどれも野生型より不安定化しており、Φ値解析に有効な試料であった。次に、ストップトフロー円二色性スペクトル法を用いてこれらの変異体の巻き戻り反応とアンフォールディング反応を測定し、Φ値を計算した結果、I89A, I89V, I55VについてはΦ=0.4〜0.6程度であったが、W60A, K93A, L96Aについては、Φ〜0となった。これらの結果は、I89, I55の周りは遷移状態において側鎖の密なパッキングが部分的に形成されているが、W60,K93,L96周辺は、遷移状態では側鎖の秩序化はまだ起きていないことを示している。この2年間の研究結果を総合すると、α-LAの遷移状態の構造について次のような知見が得られた。(1)αドメイン内の側鎖は、天然状態様の密なパッキングをまだ形成していないが、(2)αドメインとβドメインの間、および、カルシウム結合部位近傍では、側鎖の密なパッキングが部分的に形成されている。ここで、モルテン・グロビュール(MG)状態においては、2つのドメイン間にあるCヘリックスが比較的安定なヘリックス構造を形成していることを考慮に入れると、α-LAのフォールディング反応は、MG中間体で形成され始めた構造が遷移状態に進むにつれて更に構造化していくという階層的な反応で記述できると結論づけることができる。
著者
岩渕 善美 金子 眞理
出版者
平安女学院大学
雑誌
保育研究 (ISSN:03866246)
巻号頁・発行日
no.42, pp.54-61, 2014-03

本研究では、幼稚園教育実習における学びについて、学生の自己評価の内容を分析することにより、今後の幼稚園教育実習指導の教育課題を検討することを目的として、保育者養成校の大学短期大学部学生の幼稚園教育実習における自己評価をテキストマイニング手法により分析を行った。計量テキスト分析により、幼稚園教育実習中の学生の様子がわかり、学生の評価すべき事項、今後の課題となる事項など明らかにすることができた。クラスター分析の結果、「指導計画」、「子どもとのかかわり」、「幼稚園教育実習に対する取り組む姿勢」などの特徴が析出され、7つのクラスターに分類することができた。
著者
岩渕 善美 金子 眞理
出版者
平安女学院大学
雑誌
保育研究 (ISSN:03866246)
巻号頁・発行日
no.42, pp.54-61, 2014-03

本研究では、幼稚園教育実習における学びについて、学生の自己評価の内容を分析することにより、今後の幼稚園教育実習指導の教育課題を検討することを目的として、保育者養成校の大学短期大学部学生の幼稚園教育実習における自己評価をテキストマイニング手法により分析を行った。計量テキスト分析により、幼稚園教育実習中の学生の様子がわかり、学生の評価すべき事項、今後の課題となる事項など明らかにすることができた。クラスター分析の結果、「指導計画」、「子どもとのかかわり」、「幼稚園教育実習に対する取り組む姿勢」などの特徴が析出され、7つのクラスターに分類することができた。
著者
春田 和男
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.152-172, 2006-09-20

日本図書館協会は,その前身組織の時代をも含めると100年以上の歴史を持ち,主に個人会員と施設会員から成る,文部科学省所管の社団法人である。協会の目的は,すべての図書館関係者の連絡,提携のもとに,図書館事業の進歩発展を図ることとされている。協会では,個人会員と施設会員の関係及び各館種間の関係が長年にわたって問題になっている。本稿では,日本図書館協会に関するデータや資料,政治学における選挙に関する文献を基に,会員種別(個人,施設),部会別,都道府県別の3つの観点から,協会の会員と役員の構成について分析した。その結果,(1)協会会員登録率の平均値,会員の増加率,会費負担額で施設会員が個人会員を上回っていること,(2)公共図書館部会所属者が個人会員,施設会員ともに過半数を占めるとともに,個人会員選出役員の大部分を占めていることが明らかになった。
著者
田辺 三千広
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.197-212, 1985-03

論文はしがき第一章 教会の祈祷について。父なる神に栄光あれ第二章 食物と飲物についての神の書からの話第三章 共同食卓(трапеза)で話をすべきでないことについて第四章 衣服と履物についての聖なる書物からの話第五章 聖なるイコンと書物について,それをいかに所有すべきかという神の書からの話