著者
堤 雅恵
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.75-80, 2001-03
被引用文献数
1

日常生活援助を要するために施設に入所している高齢者では,おしゃれに対して消極的になる傾向が顕著である。社交性を高め,生活意欲を引き出す手段の一つに化粧がある。そこで,老人保健施設の入所者8名を対象に化粧を実施したところ,化粧によって対象者の日常生活が活性化した。対象者の化粧についての感想・意見では,年相応でありたいという高齢者自身の意識が根強いことがわかった。
著者
岡原 正幸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.77-101, 1994-01

0. 本稿の課題1. 行為の類型論と感情2. 合理化論と感情3. カリスマ論と感情Dieser Aufsatz zielt darauf, die verschiedenen Themen im Bereich von der neuerschienen Emotionssoziologie miteinander zu verbinden, wenn es moglich ist, in den klaren konzeptionellen Zusammenhang zu bringen. Wenn man akzeptiert, daB die Emotionssoziologie auch als eine von mehreren Soziologien gelten kann, die tief in der Moderne verwurzelt, man konnte auch sagen, selbstreflexiv sichkonstituierend sind, dann lautet die programmatische Konsequenz, daB es notig ist, die traditionell soziologischen Problematik aus den klassishen Werken herauszubringen, um die in den theoretischen Richtungen innewohnende Modernitat darzustellen. Als die erste Versuche der Klassikforschungen ist hier Max Webers Schrif ten zu analysieren. Daraus ergeben sich die folgenden sieben Themen : 1. Emotionen als die a-motivationalen Handlungselemente, 2. Verbietende Normierung von Emotionen, 3. Aufhetzende Normierung von Emotionen, 4. Rationalisierung von Emotionen, 5. Sinnproblem der Gefuhle, 6. Emotional fundierte soziale Wirklichkeit, 7. Inter aktionelle Vollbringung von Emotionsrealitat.
著者
河内 信幸
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

ニューディール政策には、公共芸術事業計画(Public Works of Art Project)、財務省芸術救済計画(Treasury Relief Art Project)、連邦芸術計画(Federal Art Project)など多くの芸術計画があり、財務省や雇用促進局(Works Progress Administration)の芸術プロジェクトも実施された。ところが、これらの芸術計画は財政基盤が不安定であり、失業者に対する救済事業か、芸術の向上を図る公的支援かという論争も常につきまとっていた。そのため、芸術計画は政府の支持基盤や政治情勢の変化に翻弄されるのであり、「戦時体制」への移行と非米活動調査委員会(House Un-American Activities Committee)の結成によって終焉を迎えることになるのである。しかし、"文化は社会を映す鏡"などといわれるように、「社会史」の観点から時代状況を総合化しようとすると、ニューディール研究も芸術計画を取り上げないわけには行かないのである。ベン・シャーンはこの1930年代の社会危機を目の当たりにし、ニューディールの芸術計画から大きな影響を受けた芸術家であった。そして、シャーンは「社会」と「人間」を見つめる眼を磨き、強烈な社会意識をもって創作活動に取り組んだのであった。そのため、シャーンの作品には強い「社会的メッセージ」が込められており、冷戦や「ホロコースト」にも眼を背けることがなかったのである。その意味では、シャーンは自らのアイデンティティを問い続けた「社会派リアリスト」であり、作品を通して芸術の社会的意義を確かめようとした芸術家であった。ところで、ニューディールの芸術計画には運営面で多くの問題点があり、計画自体の評価は必ずしも高いわけではない。しかし、連邦芸術計画などに参加した芸術家のなかには、後世に残る仕事へと発展する契機となったケースも多々ある。しかも、短期間であったにせよ、連邦政府の公共政策として芸術計画が実施されたのであり、文化遺産の保存や歴史の記憶・記録という観点からも、ニューディールの芸術計画を再検討する意義があると思われるのである。私は、芸術計画とベン・シャーンを調べるためにアメリカへも調査に出かけたが、シャーン自身は2度ほど日本にもやってきており、京都に代表される日本文化に興味や関心を抱いた芸術家であった。2度目の来日は1960年であり、シャーンが第五福龍丸のビキニ被爆事件をテーマに、『ラッキー・ドラゴン・シリーズ』を制作し始めた頃であった。シャーンはパリのモンパルナスに馴染めず、アメリカに眼を据えて創作活動をしたわけであるが、晩年は東洋文化にも惹かれていったことも忘れてはならないのである。
著者
星 正治 山本 政儀 遠藤 暁 高田 純 吉川 勲
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

セミパラチンスク核実験場近郊住民の被曝の影響調査に関して、文部科学省の科学研究費補助金で平成7年度より継続した研究を行ってきた。本研究は平成13年度と14年度にわたって行われた研究である。この研究は平成6年に原医研が改組されその際に研究テーマの一環として組み込まれ、その後平成14年度の改組においても引き続き推進することが認められた。セミパラチンスクでの被曝の特徴は、1.外部と内部被曝をほぼ半分ずつ含むこと、2.線量的にドロン村で1Gyと大きいこと、それから3.数週間から数ヶ月の低線量率被曝であることである。今回の調査では、従来通り、プルトニウム、セシウムなどの土壌汚染の測定、人体の骨や臓器の汚染、人の歯を使った外部被曝線量評価、煉瓦を使った外部被曝線量評価のうち相互比較を進めるための準備を進めてきた。これらから、たとえばドロン村では1Gy相当の被曝があったことを証明した。また人体影響の調査も進め、甲状腺の検診、血液中の甲状腺ホルモンの測定、血液の染色体異常の検出、個人被曝線量の評価のための準備なども進めた。甲状腺の検診では放射線の感受性があるとされている結節を多く検診し、リンパ球については小核と染色体異常を観察している。また平成14年9月にはセミパラチンスクで開催された放射線量評価の国際会議を開催したことが特筆される。主催はセミパラチンスクの放射線医学環境研究所と医学アカデミーであり、ドイツ、ロシア、イギリス、フィンランド、アメリカ、インドなどの代表が参加した。広島大学は会議を主導し、従来の被曝線量評価があまりにも違いが大きいのでこれを国際的に解決する目標を提案し承認された。放射線被曝の線量評価は疫学調査と合わせて低線量率被曝のリスクを求めることにある。したがってこの直接的にリスクに影響する。
著者
鈴木 正裕
出版者
有斐閣
雑誌
民商法雑誌 (ISSN:13425056)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.3-28, 1968-01
著者
横田 恭子
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

HIV-1 Nefのエイズ病態における役割を明らかにするため、Nef発現で抑制されたTLR5とIL-10受容体(ベータ鎖)に注目し、これらの分子を介するマクロファージの自然免疫応答について解析した。TLR5やIL-10受容体からのシグナルはマクロファージのサイトカイン産生バランスに影響しており、Nefが自然免疫監視機能を障害する可能性が示唆された。一方、ヒト造血幹細胞移入免疫不全マウスはHIVに感染するもののマクロファージの分化発達が不十分であり、病態解析のモデルには適さなかった。
著者
本岡 勝政
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

人間の記憶検索動待性の微細構造に着目すると、悉皆モデル (Exhaustive Model) に整合しない部分がみられる。本研究においては特性の終端部分における検索微細構造を中心に解析した結果を報告する。
著者
矢澤 美香子 金築 優 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.154-161, 2010

本研究は,青年女子における完全主義認知とダイエット行動および摂食障害傾向にみられる食行動異常との関連性を検討することを目的とする.Body Mass Indexが24以下の「痩せ」「普通」体型である女子大学生・大学院生183名に対して,1)自己志向的完全主義下位尺度,2)Multidimentional Perfectonism Cognitive Inventry(MPCI),3)ダイエット行動尺度,4)Eating Attitude Test-26,5)Eating Disorder Inventryの過食下位尺度を用いた質問紙調査を実施した.相関分析の結果,MPCIの下位尺度である高目標設置,完全性追求,ミスへのとらわれすべてにおいて,ダイエット行動,食行動異常との関連性が認められた.また,重回帰分析の結果,完全性追求は非構造的ダイエット行動に,ミスへのとらわれは食行動異常に影響を与えることがわかった.さらに,ダイエット行動尺度の得点についてクラスター分析を行ったところ,4つのクラスターが抽出され,高目標設置と完全性追求の得点は,ダイエット非実践群,平均的ダイエット実践群よりも構造的ダイエット実践群,構造・非構造的ダイエット実践群で高いことがわかった.以上の結果から,ダイエット行動のパターンや食行動異常の程度の違いを考慮して,異なる完全主義認知に対する介入を行うことが,摂食障害の予防に有益であると考えられる.
著者
大原 昌之 羽崎 完 大場 かおり 柴田 健治 森澤 早苗 石原 崇史
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.430-431, 1994-11-30

患側上肢に奇妙な不随意動作を認めた右片麻痺の一症例を経験した。症例は74歳。女性。左前頭葉後部の皮質下出血による右片麻痺を呈していた。発症後6日目に血腫除去術が施行された。発症後約5週頃より右手で眼前の物を不随意的に取り上げる動作を示した。患者の示した不随意動作は道具の強迫的使用現象の不完全型であると考えられた。本症例では, 不随意動作が患者の治療課題遂行やADLを阻害しているのか否かに留意し, 理学療法を実施した。