著者
篠原 成彦
出版者
信州大学人文学部
雑誌
人文科学論集人間情報学科編
巻号頁・発行日
vol.41, pp.37-46, 2007-03-15
著者
大谷 実 Otani Minoru
巻号頁・発行日
2000

本節では、本論文の研究主題を近年の研究動向に位置付けることにより、本論文の目的を定式化する。1.問題の所在 1.1.研究主題の位置 本論分で筆者が取り組む研究主題は、「学校数学の一斉授業における数学的活動の社会的構成」である。この主題の意味を説明するには、「一斉授業」、「数学的活動」、そして「社会的構成」という鍵概念の意味と、それらの相互関連性を示すことが必要である。本論文の研究主題は、数学教育論、数学論、認知発達論、そして授業研究法における近年の展開に位置づけられる。 ・・・
著者
粉川 尚枝
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.41-53, 2017-03-30

夢は心的現象として,フロイトの「夢解釈」で心理療法場面に導入されて以降,諸学派で主要な技法とされてきた。本論文では,諸学派の夢理論を比較検討し,夢に現れるものとして何が想定され,どのように心理療法に役立てられてきたのかを考察し,夢を治療的に扱うために役立つ視点を得ることを目的とした。フロイトと諸学派の夢理論は,夢に隠された内容を解釈から探り,分析の情報源とする立場と,夢をそのままの形で捉え,夢見手の夢の中での体験を重視する立場とに大別された。心理療法家たちの夢分析の実践に基づく知見からは,夢が夢見手に視覚的に呈示され,感覚的に体験されることの持つ治療的側面や,心理療法過程で夢が分析と相互に影響し合いながら変容し,心理療法の展開に繋がることが示された。また,「夢を見る能力」,クライエントが夢に圧倒される危険についても諸学派で言及され,これは現在の心理療法にも通じる示唆と思われる。Dreams were introduced as a psychic phenomenon by Freud in “Traumdeutung.” Since then, several schools of clinical psychology have attached importance to dreams. To approach dreams therapeutically, this paper compares the theories of several schools regarding dreams: i.e., what dreams are thought to show or how dreams have been used in psychotherapy. The theories about dreams of Freud and other schools were divided into two groups—one explores the meaning hidden in dreams by interpretation to use it as source of information for analysis, and the other attaches importance to the dreamers’ experience in dreams. Regardless of school, the psychotherapists’ knowledge based on practice of dream analysis indicated that dreamers are shown their dreams visually and experience dreams with their sensory images, which has a therapeutic aspect, and that dreams and analysis mutually influence each other, and as dreams change they develop psychotherapy. In addition, “the ability to dream” and the danger that dreams can overwhelm clients are also mentioned in several schools, which has implications for current psychotherapy.
著者
田中 太一
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 = Tokyo University linguistic papers (TULIP) (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
vol.41, no.TULIP, pp.295-313, 2019-09-30

中野 (2017) によって提唱された「認知言語類型論」は、ラネカーによる認知文法は認知D モードに基づいているために主体的表現の分析には適さないと批判し、日本語はその深層において文字を持たない言語であり、認知PA モードによって主体的に事態を捉える言語であるために、態や時制などの、英語には存在する文法カテゴリーは創発しないという結論を提示する。本稿では、本書を批判的に検討し、その主張が誤解に基づくものであり、多くの誤りを含むことを示す。
著者
小倉 利丸
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.325-353, 1982-02

本稿ではマルクス主義ないしマルクス経済学と,全く異る理論的基礎をもつそれ以外の経済学諸潮流との聞の批判的相互交通を扱うことになる。これらの検討をつうじて,マルクス価値論の理論的有効性を確認しうる視座を確定しつつ,経済学批判としての批判の方法一異る理論への批判の有効性を保障するものは何か,批判による自らの理論の擁護か,批判の理論化か,ーを検討する素材を提供してみようとするものである。
著者
津田 彰 堀内 聡 金 ウィ淵 鄧 科 森田 徹 岡村 尚昌 矢島 潤平 尾形 尚子 河野 愛生 田中 芳幸 外川 あゆみ 津田 茂子 Shigeko Tsuda
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.77-88, 2010-03-31

ストレスへの対応といった受身的な対策を越えて,よりよく生きるための健康開発につながる効果的なストレスマネジメント行動変容を促すプログラムが求められている。とくに対費用効果を考えた場合には,集団戦略として,大勢の人たちを対象にしながら個々人の行動変容に対する準備性に応じたアプローチが必要となる。これらのニーズに応える行動科学的視点に立つ理論と実践モデルとして,行動変容ステージ別に行動変容のためのやり方(変容のプロセスと称する)を教示し,動機づけを高める意思決定のバランスに働きかけながら,行動変容に対する自己効力感を高め,行動変容のステージを上げていく多理論統合モデル(transtheoretical model, TTM)にもとづくアプローチが注目されている。筆者らは,TTM にもとづくインターネットによるストレスマネジメント行動変容の介入研究において,対象者が自ら効果的なストレスマネジメント行動に取り組むためのセルフヘルプ型のワークブックを作成し,その有効性を検証している。本稿では,効果的なストレスマネジメント行動を促すために,これらのワークブックをより有効に活用するための実践ガイドについて解説を加える。
著者
佐々木 政治 石井 良則
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-20, 2016-05-31

母島沖村出身の佐々木政治(図1)は、昭和19 年(1944 年)の全島民強制疎開の際に志願して母島に残留し、義勇隊防空監視哨員として他の島民軍属とともに船木山に詰め陸軍の作戦に参加した。敗戦までの約1 年間にわたる時期に起きた様々な出来事について、佐々木が回想し口述した談話記録を公開する。
著者
児玉 高有 阿部 貴恵 兼平 孝 森田 学 舩橋 誠
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.52-61, 2010-12-15

近年,唾液中のアミラーゼ,コルチゾール,クロモグラニンAをストレスマーカーとして用いることが注目されている.しかし,これらの物質の経時的動態変化については不明な点が多い.そこで生体への刺激に対する唾液中のストレスマーカーの変動を定量し,その動態について調べた.さらに,これを歯科治療の術中や予後の評価に応用出来るかどうかについて検討を行った.外科的,内科的疾患のない成人男性61名から任意の時期に唾液採取管を用いて唾液を採取した.これらの被験者は,1)前腕肘部の静脈から真空採血管と注射針を用いて採血を行った者(30名),2)抜歯を施術した者(5名),3)抜歯を伴わない一般的な歯科治療のみを施術した者(26名)がいた.各被験者群において,採血前後および施術前後の唾液中のアミラーゼ,コルチゾール,クロモグラニンAの変動比の経時変化を分析した.アミラーゼとクロモグラニンAは採血前の時点においてすでに有意な増加を示し,心理的ストレスに対して反応することが示唆された.被験者は採血前の基準日におけるストレスマーカー量について高濃度群と低濃度群に大別された.このうち高濃度群は低濃度群と比べて,すべての上記ストレスマーカーの変動が少なく,ストレス応答系の活動が高まりにくい可能性が示唆された.歯科治療を行った場合,アミラーゼとコルチゾール濃度は初診時に比べ再診時には有意な低下を認め,また抜歯による有意な増加が観察された.これらの結果は,初診時の不安や恐怖が再診時には緩和されることによりストレスが減少したことを示し,一方,抜歯は強いストレスとして作用したことを示していると考えられた.本研究により唾液中のアミラーゼ,コルチゾール,クロモグラニンAは採血によるストレスに対してそれぞれ反応速度が異なり,さらにその変化率はもともとの唾液中ストレスマーカー量が多いか少ないかによって異なることが明らかとなった.また,これらのストレスマーカーは歯科治療の内容や受診回数によって動態が変化し,歯科治療の術中や予後の評価に応用出来ることが示された.
著者
大宮 誠
出版者
新潟大学大学院現代社会文化研究科
雑誌
現代社会文化研究 = 現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.33-50, 2011-12

This paper is a research on the plan, system and actual conditions of the sea route navigation during the Asian Pacific War (1941-1945). Owing to Japan's need for import resources and food from overseas, the Japanese government made the materal mobilization plan. As a result the Ship Steering Committee was created to control the ship operation. But becasuse of the intensification of the war, the sea areas surrounding Japan were blockaded one after another. Thus, the sea route between the Sea of Japan and northeast Korea became much more important to carry supplies.
著者
海野 芳郎
出版者
新潟大学法学会
雑誌
法政理論 = 法政理論 (ISSN:02861577)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.188-240, 1984-01