著者
北島 茂樹
出版者
九州龍谷短期大学
雑誌
佐賀龍谷短期大学紀要 (ISSN:02863766)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.A291-A311, 1985-03-20

現代っ子の遊びの実態について調査研究を実施した。子ども時代の遊び経験に関する世代間比較および現代っ子の遊び現場の観察記録という二つの方法が用いられた。結果は,大旨,次の通りであった。1.時代とともに遊び経験に変化がみられた。ある種の遊びは風化し,あるものは発展・増加していた。また,変化の少ないものもあった。2.遊びの内容的変化については,一定の傾向がみとめられた。たとえば、゛集団での遊び″が減る傾向がややみられるのに対して,゛一人での遊び″が増えていた。このことからは,子どもの心理能力の発達面,とくに、我慢する心,思いやりの心,結びあい協調する心,要求を通すテクニックなどの社会的能力の発達面に影響を及ぼすことが予想される。また,自然を素材とした遊びの減少が目立った。これは,子どもたちから自然が達ざかり,既製品の遊具が氾監した結果として解釈される。これは、工夫や創造する心,発見を喜ぶ心などの心理的能力の成長に少なからずネガティブな影響を与えていかしている。水に入りたい気持ちは十分だが,うまく入れない様子だった。場面VIII ; N団地の公園 N団地の中にある公園の片隅。3歳の男の子が二人で砂場遊びをしている。同じ公園内で遊んでいた小学校の高学年と召しき男の子が,そこへやってきて,砂で作ったものを一方的に壊してゆく。3歳の子らは口をとがらせて抗議するが,壊した子は無表情で公園内の別の場所へ移動する。この公園での年長者は遊びを組織したり教えたりする,つまり,リーダー的役割を果たすのではなく,むしろ下への抑圧者として振舞っていた。また,公園内の他の場所を見渡しても,多くても3人ぐらいの小人数での遊びが多く,大きな集団遊びへの発展への気配は全くみられなかった。場面IX ; 県営住宅内の道路 県営住宅内のアスファルト道路で,女の子たちがローラースケートをしている。同じ筋力を使った遊びでも,時代とともに,道具を用いてよりスマートになってきていることがわかる。また,こうした遊びは従来,男の子たちが好んだものであったが,現在,女の子たちがこうした遊びに興じているのが面白いことでもあった。子どもの遊びについてのこうしたビデオによる観察研究から気づくことは,遊び揚が少ないといわれているにもかかわらず,決っして公園だけで遊んでいるといった様子は見られず,想像していたよりは川や路地裏などで子どもだちなりに,遊び揚を見つけて遊んでいるということである。しかし,それぞれ遊びの時間や空間的移動は少なく,遊びの内容も団地の場面で見られたように家から持ちよった道具が多く,自然の素材などを利用した遊びの展開も乏しかった。
著者
山本 眞司 江崎 修央 清田 公保
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は,視覚障害者,特に文字を覚えている中途失明者のための日本語入力システムに関する研究である.タブレットペンによりオンライン手書き入力をし,認識結果を音声で返して編集作業を行う形式であり,このシステムにより晴眼者との電子メールのやり取りを可能にすることをめざした.本研究期間中に取り上げた主な研究項目と結果は以下の通りである.(1)視覚障害者が書く漢字のデータベース作り.視覚障害を持つ人から大量の文字サンプルを入手することは困難を伴うので,晴眼者の目隠し状態での疑似データを含めることとし,最終的に3216文字種,約10万文字のデータを収集,蓄積した.(2)オンライン文字認識アルゴリズム(1文字単位)の高度化.教育漢字1000字程度を対象とした基礎的なアルゴリズムの開発をさらに発展させ,JIS第1水準漢字,ひらがな,カタカナ,記号,アルファベットなど3216字の文字種に拡大し,この文字種拡大に伴う文字認識精度の低下を補うためにアルゴリズムの一層の高度化をはかった.(3)単語単位,文節単位の認識文字修正アルゴリズムの開発1文字単位の文字認識に失敗した場合の単語単位ないし文節単位の認識文字修正アルゴリズムを2種類追加開発し,全体としての精度改善を果たした.(4)視覚障害者用の文字入力・計算機制御用(マンマシンインタフェース)デバイスの開発.視覚障害者にとって利用しやすいデバイスとして,右手にペン入力デバイス,左手に5本の指に対応したボタン操作を基本とした構造を試作し,複数の視覚障害者に実際に試用して貰うことによりシステムの最適化を図った.(5)文書処理全般に対する視覚障害者用の計算機制御方式の開発.ファイルの管理,文章修正,既存データの利用など日本語入力システムとして障害者と計算機との対話をどのような構造で実現するかが問題であり,(4)項の入力,計算機制御デバイスとも関連して視覚障害者がもっとも利用しやすいシステム構成を検討した.特に視覚障害者が電子メールを自由に取り扱うことが出来ることを目的としたメール送受信、ファイリング関係の充実を重点的に図った.
著者
内木 哲也 明星聖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.53, pp.43-50, 2004-05-21

本論文では、電子書籍出版ビジネスを、電子書籍を媒体とする情報システムと捉え、電子書籍が持つ機能性と共に、それを巡る社会、利用者、普及活動などの利用環境の視点から総合的に分析する。分析の結果として、現在の電子書籍出版ビジネスを巡る問題点が、大型の書物では優位とされてきた可搬性と利用シーンでの使い勝手の悪さにあることを明らかにする。この結果に基づき、大型でない一般書物の電子書籍出版ビジネスの可能性について考察する。This paper describes the view points of the analysis of an electronic publication business as information systems, which are the functions, social impacts, users, enlightenment activities for electronic text. Because, we consider that an electronic text is an information media and is consist of an information system. The analysis shows us the problem of the present electronic books publication business as the result. In the field of the users, mobility and usability of the text are not so significant, which have been made the dominant characteristics in electronic texts based on a large size book. As the result, we consider about the possibility of electronic publication businesses on general books that are not large size.
著者
阪田 正大
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.51-63, 2003-03-20

現在,不況に伴って第三セクター法人の倒産が増加している。特に,第三セクター法人のなかでも,フェニックスリゾート株式会社は2001年2月に2,762億円の負債をかかえ会社更生法による更生手続を申請し,第三セクター法人最大の倒産といわれた。本稿は,地方公共団体が経営参加する第三セクター法人に注目し,フェニックスリゾートの第1期から第12期(1988年12月から2000年3月)を例にとり,貸借対照表および損益計算書から第三セクター法人の会計分析および財務分析を行う。その結果,同社の事業計画が不適切であり,さらに住民への会計情報公開の遅れから,経営悪化が進展するとともに,地方公共団体が出資以外に補助金を役人することになったことがわかった。このことから,第三セクター法人は地域住民に会計置報を公開するべきことを論じ,地方公共団体が第三セクター法人を支援する際の経営分析について検討する。
著者
古谷野 英一 宮川 裕之
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.364-371, 1988-02-15

本研究は作業者の脈拍速度曲線を先行指標として, その変化から事務ミスの発生を予知すことのできる方法の開発である.本稿では第3報, 第4報の知見を基として新しい予知方式を開発(試作)し, 被験者4名を用いて各2時間の実験を20回, 延40時間の検証実験を行い, 事務ミス発生予告警告54回のうち, 96%は平均誤打率よりも1σ以上多い場合を予知し, 79%は平均誤打率よりも2σ以上多い場合を, 平均約7分以前に予知できることが認められた.また検証実験の結果より脈拍速度曲線の変化を各データの平均値±2σ, 各データ間の差異の平均値±2σの管理限界によって監視することにより, 平均誤打率より1σ以上多くなる場合の90%を予知し, 平均誤打率より2σ以上多くなる場合を88%予知できることがわかった.なお本方式には4%の第1種のエラーがあったが, 第2種のエラーは発生しなかった.
著者
サルワシュ マーテー 古井 貞煕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.527, pp.141-146, 2002-12-12

本論文では、形態素単位による音声認識における音韻論と形態構文論のモデル化への新しいアプローチについて述べる。提案法は、我々が構築しているハンガリー語の大語彙連続音声認識(LVCSR)システムによって評価されている。タスクは、主要日刊新聞を流暢に読み上げた文音声の認識である。接辞や複合語のために膨大な数になる単語形を十分にカバーするために、形態素に基づく語彙単位をシステムに用いている。基本的な発音モデルと形態素Nグラムに対して、新しい音韻論モデルと新しい統計的形態構文言語モデル(SMLM)を評価した。柔軟性の高いトランスジューサに基づくシステム構成のおかげで、これらの新しい要素は、デコーダ自体を変更することなく、基本的なモジュールと親和性よく統合されている。ベースラインシステムに比較して、提案した音韻論モデルにより誤り率が8.32ルにより誤り率が17.9%低下した。1350形態素のハンガリー語ディクテーションタスクで、最良の構成で14.75%の形態素誤り率が得られている。
著者
小原 優貴
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.345-358, 2008-03-31

The Protective Discrimination Policy has been implemented to decrease the gap between the different classes in India, where a stratification gap exists due to the deep rooted age-old caste system. The reservation system based on caste has been implemented in India since the era of colonization, and has been functioning as one of the important tools of Protective Discrimination Policy in India. The primary purpose of this reservation system is to secure the opportunity for backward classes in India, such as Scheduled Caste, Scheduled Tribes and Other Backward Classes (OBCs) in the legislative and parliamentary elections, public employment and public education, by reserving seats in proportion to the ratio of their class to the total population. The purpose of this paper is to address the present status and the difficulties of reservation system in education. Firstly, the paper will briefly look at the Protective Discrimination Policy and reservation system. Secondly, the author will look at the one of the most controversial issues of reservation system, reservation for OBCs. Finally, the author will discuss the present status and the difficulties of reservation system in Indian education.
著者
江上 敏哲
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.60-71, 2006-08

2005年12月,イタリアのナポリ・ローマ・ヴェネツイアの日本資料図書館を訪問し,各館における実態,特に,活動・運営,蔵書,日本資料・日本情報の提供・入手,目録等について調査した。イタリアにおける日本語学習者は増加傾向にあるが,蔵書の多い図書館は少なく,ほとんどの図書館で東アジア・東洋等と同組織である。日本語を理解する司書も少ない。日本からの図書館サービス・情報発信の改善として,書誌・目録データベースにおけるローマ字併記の整備,ILL受付体制の整備と説明の強化等が考えられる。In December 2005, the author visited Italian Japanese resource libraries in Napoli, Rome, and Venice, and surveyed their collections, operations, and activities and how they select, acquire and catalog Japanese language materials. While the number of Japanese language learners appears to be on the increase in Italy. There are very few libraries with large Japanese collections. Most libraries are operated as a combined East Asian or Oriental collections and there are very few staff who can understand Japanese. The author offers a number of examples of how improved services from Japan, such as including Romanization in cataloging records or providing more information about getting interlibrary loan, can help Italian Japanese resource libraries to serve their clientele better.
著者
和泉橋警察署 編
出版者
加藤孫次郎
巻号頁・発行日
vol.1冊, 1889

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著者
中村芳松 編
出版者
中村芳松
巻号頁・発行日
1895
出版者
兵庫県
巻号頁・発行日
vol.明治14年, 1885
著者
南山 祥子 留畑 寿美江 井垣 通人 納城 隆一 岩元 純
雑誌
臨床体温
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.32-37, 2009-08

雑誌掲載版市販の蒸気温熱シート(花王)を用いて、温熱による僧帽筋の筋血流や肩甲部の皮膚血流の変化と、肩こりの指標である「痛み」「こり」「はり」を観察し、血流変化が自覚症状に与える影響を検討した。肩こりを自覚する健康な女性8名(年齢32.5±6歳、BMI 20.7±1.9kg/cm2)が長袖のパジャマ、短パン、靴下を着用し、座位で10分間安静の後、蒸気シートを肩甲部皮膚に貼付した。30分後、蒸気シートを除去し20分間安静を行った。肩甲部皮膚温は、33.2から42.9℃まで加温された。皮膚血流はコントロール値2.1±0.9から5.4±3.5ml/min/100gまで増加し、僧帽筋酸素ヘモグロビン濃度も5.2±5.7μmol/L増加した。「こり」と「はり」は有意に低下したが、「痛み」は緩和傾向であったが有意差はなかった。筋血流と皮膚血流の増加は、痛みの緩和と有意な相関を示した。また、筋血流増加は「こり」の緩和と相関し、皮膚血流増加は「はり」の緩和と相関した。これらの結果から、肩の「こり」と「はり」は、異なった発生メカニズムによって生じる独立した症状であることが示唆された。