著者
古賀 幹朗 西尾 淳 中山 鎭秀 山本 卓明
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.721-724, 2022-09-25 (Released:2022-11-07)
参考文献数
8

【目的】当科で経験した7例の血管平滑筋腫の臨床像,MRI所見,病理組織像を検討する.【対象と方法】2016年1月から2021年4月までに病理組織学的に血管平滑筋腫と確定診断された7例(男性3例,女性4例,平均年齢60.1歳)を対象に発生部位,局在,疼痛の有無,チネル兆候の有無,自覚時から生検あるいは手術までの期間,術前X線所見,術前MRI所見,病理所見,再発の有無を調査した.【結果】発生部位は足関節・足部4例,下腿2例,膝部1例で,局在は全て皮下であった.疼痛があるものは6例,チネル兆候は全て陰性であった.MRI検査は全例で施行され,腫瘤はT1強調像で低~等信号,T2強調像で不均一な高信号を示した.造影MRI検査が施行された4例では全て強い造影効果を認めた.6例で辺縁切除が行われ,再発はなかった.1例は生検のみであった.病理所見において森本の分類では全例solid typeであった.【結論】血管平滑筋腫は下肢の皮下に発生する有痛性軟部腫瘤の鑑別診断として考慮すべき疾患である.
著者
Akinori Yaegashi Takashi Kimura Kenji Wakai Hiroyasu Iso Akiko Tamakoshi
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20230076, (Released:2023-11-18)
参考文献数
28

Background: We prospectively examined the association between total fat and fatty acid intake and type 2 diabetes (T2D) among Japanese adults.Methods: This study was conducted using data from the Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk (JACC). A validated food frequency questionnaire evaluated the intake of total fat and fatty acids. Diabetes was assessed using self-reported data. Multivariable logistic regression analysis was performed to calculate the odds ratios (ORs) and 95% confidence intervals (CIs) of incident T2D across quintiles of total fat and fatty acid intake after adjusting for potential confounders.Results: A total of 19,088 non–diabetic participants (age range, 40–79 years) enrolled in the JACC between 1988 and 1990 were included in this study. During the five-year study period, 494 the participants developed T2D. The OR of T2D for the highest versus lowest quintiles was 0.58 (95% CI, 0.37–0.90) for total fat, 0.78 (95% CI, 0.51–1.20) for saturated fatty acid (SFA), 0.55 (95% CI, 0.35–0.86) for monounsaturated fatty acids (MUFA), 0.61 (95% CI, 0.39–0.96) for polyunsaturated fatty acids (PUFA), 0.64 (95% CI, 0.42–0.99) for n-3 PUFA, and 0.70 (95% CI, 0.45–1.09) for n-6 PUFA. Total fat and fatty acid (except SFA and n-6 PUFA) intake were inversely associated with T2D in men. Total fat and fatty acid intake were not associated with T2D in women.Conclusion: Higher intakes of total fats, MUFA, PUFA, and n-3 PUFA were inversely associated with T2D among Japanese men.
著者
山本 理絵 金指 秀明 坪内 陽平 櫻井 馨士 秋枝 一基
出版者
一般社団法人 日本中毒学会
雑誌
中毒研究 (ISSN:09143777)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.233-239, 2023-09-10 (Released:2023-11-08)
参考文献数
13

急性薬毒物中毒の基本は全身管理であるが,起因物質をある程度推測できる幅広い知識と適切な対処を行う技術が必要である。救急医療に携わる医療従事者からは「中毒は苦手」との印象を受けることが多いが,中毒に対する認識の実態調査はほとんど行われていない。そこで,中毒に対する認識の実態を明らかにするため,1施設の医療機関と同院にもっとも搬送件数の多い消防機関に対して,2018年に救急部に所属する看護師,2019年に臨床研修医,2020年に救急救命士を対象に薬毒物中毒に対する意識調査を実施した。中毒の得意度を5段階で自己評価(1:苦手,2:やや苦手,3:どちらでもない,4:やや得意,5:得意)したところ,1と2が半数以上で,5はいなかった。中毒を苦手とする理由は,「種類が多い」「経験不足」のほか,「精神科対応が困難」や「二次被害・危険性」,看護師では「かかわり方」などであった。3つの意識調査から,3職種とも中毒は苦手であることがわかり,中毒が苦手な理由は職種により多彩であることがわかった。中毒に対する自己評価を数値化したことは,今後の教育による理解度の指標として活用できることが推察された。
著者
Yusuke Yano Kazuha Ishida Jianqing Wang Takeshi Ishida
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Communications Express (ISSN:21870136)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.457-463, 2023-09-01 (Released:2023-09-01)
参考文献数
6

Focusing on the TLP (transmission line pulse) method used for ESD (electrostatic discharge) saturation measurement described in IEC 62228-5 Annex E, we investigated the validity of its measurement conditions. Since there is no provision for the cable length between a TLP test system and a device under test, we investigated the influence of the cable length on the ESD saturation measurement. The result shows that different voltage and current waveforms in the measurement time window, i.e., different I/V characteristics, can be obtained due to the cable propagation delay. This paper proposes a method to correct the influence of the cable length by using the rising edge of the reflected wave observed at the TLP test system as a trigger for the measurement time window.
著者
山本 雅道 白井 浩子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

1. 走査型電子顕微鏡を用いて無腸目 Convoluta naikaiensisの初期発生の過程を詳細に記載し、産卵から孵化(約90時間後)までを以下の4期16ステージにわけた。第1期(卵割期):St.1-St.7, 第2期(陥入期):St8-St.10,第3期(球形期):St.11-St.12,第4期(偏平期):St.13-St.16卵割は変形ラセン卵割で、割球の胚内部への侵入は動物極、植物極の2極で進行した。2. 扁形動物渦虫綱より無腸目、カテヌラ目、多食目、卵黄皮目、順列目、棒腸目、全腔目、三岐腸目、多岐腸目の9目より17種を選び、18S rDNAのほぼ全長にあたる約2000塩基対のDNA断片の塩基配列を決定した。そのデータをもとに近隣結合法、最節約法、最尤法により系統樹を作成したところ、すべての系統樹で無腸目が渦虫類のなかで最も早期に分岐したグループであるという結論が得られた。3. 扁形動物渦虫綱の無腸目、カテヌラ目、多食目、棒腸目、全腔目、三岐腸目、多岐腸目の7目のミトコンドリアの遺伝子暗号を比較した。無腸目を除く6目AAA,ATAは各々アスパラギン酸、イソロイシンを指定してたが、無腸目ミトコンドリアではリジン、メチオニンを指定してた。この事実は、無腸目は他の扁形動物が特殊化する以前の段階で分岐していたことを示唆しており、無腸目の原始性を明確に示す結果と言える。4. 無腸目は体表上皮細胞とその下の筋肉組織を隔てる基底膜構造が全く存在せず、表皮と筋肉が複合構造を形成している。筋表皮複合構造の形成過程を透過型電子顕微鏡で追跡し、発生過程においても基底膜構造が出現する時期は全くないという結論を得た。この事実は、無腸目の筋肉表皮複合構造が退化の結果生じたものではないということを示唆している。
著者
西原 伸二 大月 健朗 清水 正人
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.92-95, 2002-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
12

平成8年から12年まで鎖骨骨折にて当院で加療した70例の治療成績について検討した. 男性43例, 女性27例. 年齢は3ヶ月から88歳平均年齢は34.8歳であった. 骨折型は中1/3例, 外1/3例であった.40例は保存的治療, 30例に観的治療 (プレート固定25例, 引き寄せ締結3例, その他2例) を行った. 保存療法例は全例骨癒合が得られた. 観血的治療例の4例に固定材料破損, 偽関節が生じた.そのうち3例がリボンプレートを用いた症例であった. プレート破損例は全例青壮年男子であり, プレートの強度が適していないと考えられた. 鎖骨骨折は原則保存的治療が原則であるが, 整復困難例では観血的治療が選択される. しかし観血的治療では偽関節, 固定材料に破損を生じやすく, 注意を要する.
著者
杉山 真二
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
日本地質学会学術大会講演要旨 第124年学術大会(2017愛媛) (ISSN:13483935)
巻号頁・発行日
pp.026, 2017 (Released:2018-03-30)

【台風のためプログラム中止】 台風18号により学術大会の一部プログラムが中止となりました.中止となったプログラムの講演要旨については,著者のプライオリティ保護の見地から今回に限りJ-STAGEに公開し,引用可能とします.ただし,学術大会においては専門家による議論には供されていませんので「台風のためプログラム中止」との文言を付記します.(日本地質学会行事委員会)
著者
梅本 真吾
出版者
大分大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は組織中への著しい好酸球浸潤を特徴とする難治性の副鼻腔炎である。ECRSはステロイド以外の薬物効果が乏しく、手術を行っても高率に再発を来すため、新たな薬物療法の開発が求められている。一方で、内因性カンナビノイドはタイプ2カンナビノイドレセプター(CB2R)を通じて免疫系のバランスをとることが知られており、受容体発現が増強した際に外因性カンナビノイドを投与することで病態の修復を促す可能性が考えられている。本研究では、ECRSにおけるカンナビノイドシステムの寄与について検討することで、カンナビノイドシステムを介したECRSの治療の可能性につき評価する。
著者
Kayo Yasuda Masaki Miyazawa Takamasa Ishii Naoaki Ishii
出版者
SOCIETY FOR FREE RADICAL RESEARCH JAPAN
雑誌
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition (ISSN:09120009)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.173-177, 2023 (Released:2023-11-01)
参考文献数
58

The molecular mechanism of aging, which has been a “black box” for many years, has been elucidated in recent years, and the nematode C. elegans, which is a model animal for aging research, has played a major role in its elucidation. From the analysis of C. ‍elegans longevity-related mutant genes, many signal trans­duction systems, with the insulin/insulin-like growth factor signal transduction system at the core, have emerged. It has become clear that this signal transduction system is greatly affected by external nutrients and is involved in the downstream regulation of oxidative stress, which is considered to be one of the main causes of aging.