著者
藤井 賢一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.604-612, 2014-09-05 (Released:2019-08-22)
被引用文献数
4

質量の単位であるキログラム(kg)は,メートル条約に基づいて1889年に開催された第1回国際度量衡総会で定義された.このとき白金イリジウム合金製の国際メートル原器と国際キログラム原器がそれぞれ長さと質量の単位として承認されたが,長さは1960年に光の波長による定義へと移行し,国際メートル原器は不要となった.更に1983年に光速度を不確かさのない定数として定義することによって,光周波数の測定から誰もが長さの単位を実現することができるようになった.誰もが単位を実現することができるということは,特定の国や組織が所有する標準器への依存性から開放されるという点で,科学技術の進歩にとっては重要な要素である.しかし,キログラムだけは1889年以来,人工物によって定義される唯一のSI基本単位として残り現在に至っている.このため,質量を正しく測るためには国際キログラム原器への校正の連鎖が必要であるが,表面汚染の影響などにより,分銅の質量に頼る限りキログラムの安定性は50μg(相対的に5×10^<-8>)程度が限界であると考えられている.このような経緯から,2011年に開催された第24回国際度量衡総会ではプランク定数h,電荷素量e,ボルツマン定数k,アボガドロ定数N_Aを不確かさのない定数として定義し,キログラム,ケルビン,アンペア,モルの定義を将来,同時に改定することが決議された.これは,基礎物理定数を基準としてSI基本単位の定義を世界的な合意のもとで改定するという方針を示したものであり,歴史的にも極めて画期的である.キログラムの定義を改定するためには,国際キログラム原器の質量の長期安定性を超える精度でプランク定数を測定することが必要である.従来はワットバランス法と呼ばれる電気的な方法だけがこの精度を超えることに成功していた.プランク定数はアボガドロ定数からも精度よく導くことができるので,従来はX線結晶密度法と呼ばれる結晶を用いる方法でアボガドロ定数が測定されてきた.しかし,この測定には自然同位体比のシリコン結晶が用いられていたので,その同位体比の測定精度に限界があり,国際キログラム原器の質量安定性を超える精度でアボガドロ定数を測ることができなかった.この問題を解決するために,^<28>Siを遠心分離法によって99.99%まで濃縮し,その結晶の格子定数,密度,モル質量の測定からアボガドロ定数やプランク定数の精度を高めるための国際プロジェクトが実施され,ワットバランス法を超える3×10^<-8>の精度での測定結果が得られるようになった.本稿では,この精度向上をもたらした幾つかの実験技術を中心に紹介し,キログラムの定義改定をめぐる研究開発の動向について解説する.定義改定後は磁気定数や電気定数(真空の透磁率や誘電率),炭素^<12>Cのモル質量など,これまでは不確かさのない定数として扱われてきたものが,微細構造定数などの値に応じて変化する測定量(変数)になる.本稿では,国際単位系の定義改定が与える影響についても考察し,キログラムの定義改定がもたらす新たな可能性について述べる.
著者
田垣 正晋
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.45-62, 2012 (Released:2012-10-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は,大都市圏における障害者施策の住民会議におけるメンバーの相互作用,会議の運営とその機能に関して,他地域の同様の会議に転用できる知見を明らかにしたものである。事例となった会議は,多様な障害者,ボランティア,自治体職員によって構成され,6年間継続している。筆者は,自治体職員とともに会議の運営を中心的にした。今回の研究においては,筆者が,フィールドノート,筆者の会議への提出資料,議事資料,メールから,時系列に会議の流れを再構成した。会議の議題は,障害の種類に応じた課題から,障害者全体に共通するニーズや,健常者に対する障害者問題の啓発に移ってきた。自治体職員,筆者,メンバーそれぞれが,自らの役割と施策実現上の限界を意識しながら,会議のコーディネートを行った。会議においては,施策の実現よりも,メンバーがもつ障害の多様性の尊重,意見の共有が重視された。種類の異なる障害をもつ者が参加したことによって,会議は,障害者当事者-非当事者という二分法の相対化につながった。放置自転車の軽減や,障害者向け防災マニュアルの作成に対して,事業費がつき,これらが障害者によって実行された。体験の共有を重視した本会議にとって,この事業化は,最終的なゴールというよりも,メンバーが,障害者としての生活上の経験をセンスメーキングする過程の一部であると考察された。障害の多様性の尊重と,メンバーによる問題の共有は,他地域の会議においても重要になると考察された。
著者
磯田 辰也 田村 力
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.74-77, 2017-03-20 (Released:2019-03-09)
参考文献数
9

2013年2月20日,南極海の南緯65度56分,東経80度39分においてアデリーペンギンPygoscelis adeliaeの白色個体を確認した.この個体は体色を除き通常のアデリーペンギンと同じ体の特徴とサイズを有していた.体色には黒い部分が無く,羽毛はすべて白色で,目は通常の個体よりも色調が薄かった.そして,嘴は茶から紫がかった赤色で,脚は薄いピンク色だった.この観察されたアデリーペンギンの体色異常のタイプはイノライトと考えられる.
著者
Osborn,Henry Fairfield
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.16, no.192, 1904-10-15
著者
Osborn,Henry Fairfield
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.16, no.194, 1904-12-15
著者
高木 健 山崎 透 石井 抱
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2011 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._1A1-J04_1-_1A1-J04_4, 2011-05-26 (Released:2017-06-19)

This paper describes an oblique feed screw which can be used as load-sensitive continuously variable transmission (CVT). This CVT consists of a screw, spring, and bearing, and is remarkably simple and compact. Its reduction ratio change automatically in response to the load. We have developed the CVT of 13.8 [g]. We have experimentally verified that it can exert a very strong force of more than 100 [N], and the CVT can increase its reduction ratio form 20 to 45.
著者
舟津 四郎
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.270-274, 2006-04-10 (Released:2015-06-12)
参考文献数
3
著者
二階堂 義則
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.252-255, 2006-04-10 (Released:2015-06-12)
被引用文献数
1
著者
中村 功
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.256-259, 2006-04-10 (Released:2015-06-12)
被引用文献数
1