出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.60-65, 2023-01-05 (Released:2023-01-05)
参考文献数
17
著者
金 甫榮 中村 覚 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s147-s150, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
9

本研究では、デジタル化した資料の長期保存および公開のための、OAIS情報モデルに準拠したワークフローを提案する。ワークフローの実現には、オープンソースソフトウェアであるArchivematica(長期保存用)とOmeka S(公開用)を用いる。まず、デジタル化資料の真正性を確保するため、OAIS情報モデルで定義するメタデータ要素に基づき、メタデータを分析した。次に、Archivematicaを用いて必要な情報パッケージを作成した上で、それをOmeka Sへインポートするためのツールを独自に開発した。その結果、デジタル化資料の受入から公開までの一貫したワークフローを提案することが可能となった。
著者
難波田 徹
出版者
立命館大学
巻号頁・発行日
1992

博士論文
著者
浦 達也
出版者
公益財団法人 日本野鳥の会
雑誌
Strix (ISSN:09106901)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.3-30, 2015 (Released:2023-02-27)
参考文献数
20

日本では風力発電の普及にともない,風車が鳥類に影響を与える問題が懸念されている.影響の種類は,鳥類が風車にぶつかる「衝突」,風車周辺からいなくなる「生息地放棄」,渡りや移動の経路を阻害する「移動の障壁」の3 つがある.衝突は今まで国内で341 羽が発見され,トビ,オジロワシ,カモメ類,カラス類が多い.生息地放棄は京都府と三重県の例があり,いずれも風車周辺で鳥類の生息密度が減少した.移動の障壁は愛媛県のハチクマ,長崎県のナベヅル・マナヅルの例があり,いずれも風車建設後に飛翔経路が変わった.今後,日本では事後調査を積み重ね,どのような風車が鳥類に影響を与えるのか研究をさらに進めるべきである.
著者
中西 正彦 古澤 拓郎 中井 検裕
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第38回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.38, 2003 (Released:2003-12-11)
被引用文献数
2 1

近年、都市再生が国家的な課題として議論される中、民間事業者や学者等から規制緩和を求める声が上がっており、その一つに既成市街地における容積移転をめぐる議論がある。 容積移転については、2000年の都市計画法及び建築基準法の改正により「特例容積率適用区域制度」が創設され、商業地域内において一定の条件を満たせば、離れた敷地間でも容積移転が可能になった。この制度により、土地の高度利用が進むとの期待が持たれているが、どのような容積の移転が起こるかは予測されていない。また、起こりうる移転によって都市に悪影響を与えないようにする為の都市計画の役割も重要であるといえる。 容積移転に関して、現状で移転候補地を抽出し、容積移転の可能性について研究したものはない。 そこで本研究では、_丸1_特例容積率適用区域制度を東京都中心部の千代田区、中央区、港区、台東区に適用する際の移転候補地の抽出により量的な把握を行い(3章・4章)、考えられる容積移転のパターンを示す(5章)と共に、_丸2_移転に伴うインフラ等への負荷の検証により、区域設定及び望ましい容積移転のあり方に関しても考察し(6章)、容積移転制度の運用指針に一定の示唆を与えることを目的とした。最終的には、これらの分析の上で、容積移転制度の現状における可能性と問題点、解決の方向性について考察を行い、以下の結論を得た。 まず、容積移転候補地として、4区合計で容積の出し地が約152ha分、受け地が225ha分抽出された。また、それを踏まえ、容積移転が起こり得ると予想された東京都中心部の3地区において現行の制度を前提とした検証を行った結果、局地的に大きな容積の移転が起こった場合には、最悪の場合、道路、鉄道、歩道容量等の基盤面に大きな影響が出る可能性が示された。すなわち、現行の制度の枠組みの中で都市計画が関わる区域設定のみで制御できない特性への対処が求められている。 よって、容積移転の可能性をあげていくために、制度の趣旨上、区域は広く設定されることが望まれるが、その上で基盤負荷とのバランスを考慮に入れる為に現行の体系から一歩踏み込んで、例えば、床の集中に伴う交通量増加を抑える為に容積移転を利用した建造物に複合用途の義務づけを行ったり、災害時の歩道容量の不足を考慮に入れて防災への配慮を促したりするなど、個々の移転に関して基盤面を考慮に入れつつ建築規制の中で対応していくことが望まれる。
著者
牧野 光一朗 志波 徹 田中 佳代 川下 友香 大島 一晃 溝田 丈士
出版者
公益社団法人 佐賀県理学療法士会
雑誌
理学療法さが (ISSN:21889325)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.73-78, 2022-02-28 (Released:2022-04-29)
参考文献数
12

[目的]本研究の目的は,人工膝関節単顆置換(UKA)術後患者の患者立脚型 qualityof life(QOL)評価と痛みおよび身体機能の関連について横断的に調査することであった。[対象]変形性膝関節症と診断された UKA 術後患者30名(平均年齢:75.1±7.8歳,男性:12名,女性:18名)を対象とした。[方法]術後2週時点の変形性膝関節症患者機能評価尺度(japan knee osteoarthritis measure:JKOM),歩行時痛,膝関節可動域,膝伸展筋力,timed up and go test(TUG)を測定した。疼痛は visual analog scale(VAS)で評価し,屈伸可動域は他動・自動の条件下にてゴニオメーターを使用し測定した。膝伸展筋力はハンドヘルドダイナモメーターにて測定した。TUG は最大速度で 2 回測定し,最速値を代表値とした。統計解析は,Spearman 相関分析を用いて JKOM と各評価項目の関連について検討した。有意水準は5%とした。[結果]JKOMと歩行時痛(r=0.70,p<0.01),術側膝伸展筋力(r=−0.41,p=0.02),自動屈曲可動域(r=−0.39,p=0.04)に有意な関連を認めた。[結語]術後早期の QOL には,痛み,膝伸展筋力,自動屈曲可動域が関連することが示唆された。
著者
小林 益子
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2021

元資料の権利情報 : 本論文の一部は以下のとおり公表されている。(Part of this dissertation has been published as follows.) 1. Kobayashi M., N. Komatsu, H. K. Ooi and K. Taira. 2021.Prevalence of Blatticola blattae (Thelastomatidae) in German cockroaches Blattella germanica in Japan. J. Vet. Med. Sci. 83(2) https://doi.org/10.1292/jvms.20-0617The Journal of Veterinary Medical Science2. Kobayashi M, Ooi HK, Taira K. 2020. Effects of anthelmintics on the pinworm Blatticola blattae in laboratory-reared German cockroaches Blattella germanica. Parasitol. Res. 119(9):3093-3097 DOI: 10.1007/s00436-020-06778-1 PMID: 32591863 https://doi.org/10.1007/s00436-020-06778-1
著者
福井 謙太郎 藤井 亮吏 田原 大輔 早川 洋一 古屋 康則
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.173-186, 2007-11-26 (Released:2011-12-02)
参考文献数
39
被引用文献数
1

Gonadal development and serum profiles of sex steroids in reproductive KAJIKA, Cottus sp.SE (small egg type), were monitored over a 12-month period. The female reproductive cycle was divided into the following 5 periods based on oocyte development: recovery period (May to August), cortical alveoli formation period (September), vitellogenic period (October to December), reproductive period (January and February) and spent period (March and April). Based on ovarian histological observations, females may spawn 2 or 3 times in one reproductive period. Serum levels of estradiol-17β increased during the vitellogenic period, indicating regulation of the vitellogenetic progress. Serum 17, 20β-dihydroxy-4-pregnen-3-one in females exhibited high levels only during the reproductive period, suggesting a role in inducing final oocyte maturation. The male reproductive cycle was divided into the following 5 periods based on testicular histological observations: resting period (June to August), spermatogonial proliferation period (September), spermatogenic period (October and November), reproductive period (December to February) and spent period (March to May). Parasperm formation, which is known in some cottidae species, was noted, occurring in the sperm ducts during the spermatogenic period, but only in the main testicular lobes during the reproductive period. Serum 11-ketotestosterone levels in males increase of continually during the spermatogenic period, suggesting a role regulation of spermatogenesis in this species.
著者
杉浦 芳夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.313-347, 2021-09-01 (Released:2023-02-19)
参考文献数
89
被引用文献数
2

『南ドイツの中心地』を世に問うた翌年の1934年夏,Christallerはアルブレヒト・ペンク財団の支援によって北欧4カ国の研究調査旅行に赴いた.帰国後にまとめられた旅行報告書からは,彼がこの旅行を通して,新たに農村集落に関するテーマへ関心を広げ,集落配置計画論への指向性を育んだことがわかった.そして,これらの経験は,独自の農村集落形態分類を踏まえたドイツ農村自治体再編研究(1937年)や,ナチ・ドイツ編入東部地域における中心集落再配置の計画論的応用研究(1940・1941年)につながっていくものであった.また,報告書から窺える,北欧の都市ネットワークを理解するのに際しての歴史的な視点と,フィンランドとソ連との間での国境問題といった地政学的な課題への関心は,国家学・歴史地理学者のベルリン大学教授Walther VogelがChristallerを自らの「ドイツ帝国歴史アトラス」作製プロジェクトに共同研究者として招き入れる際の好判断材料となった.
著者
岡田 弘美 富岡 晶子 小濵 京子 山内 栄子 岩瀬 貴美子 丸 光惠
出版者
一般社団法人 日本がん看護学会
雑誌
日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.37_25_okada, 2023-01-31 (Released:2023-01-31)
参考文献数
22

目的:本研究の目的は看護師が認識するAYA世代のがん患者の困難事例の年齢層別特徴と,困難事例に対する看護の質を向上させるために必要であったことを明らかにすることである.方法:小児がんを含む,がん診療連携拠点病院の看護師で,15〜39歳の患者の治療/継続観察を行っている部署に所属しており,調査時点において部署に所属してから1年以上経過している者を対象に質問紙調査を行った.結果:有効回答1,627名を分析対象とした。看護師が認識する困難事例の困難の内容は,15~19歳では,「予後不良の告知」「患者の意思決定」「教育の継続」,20~24歳では,「治療拒否・脱落」「就労支援」,25〜39歳では,「家族関係・家族の問題」が多かった.考察:本研究結果より,看護師は年齢層ごとに異なる困難をかかえている可能性が示唆された.特にターミナル期には,親の意向が優先される可能性が高く,思春期のがん患者が望むターミナル期を送れないケースがある.親の心理的問題が関連している可能性があり,AYA世代のターミナルケアの前提条件として,親への心理的支援を強化する必要がある.
著者
安房田 智司
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

海産カジカ科魚類は、科内で交尾種、非交尾種が含まれるだけでなく、子の保護様式も雄保護、雌保護、無保護と、繁殖様式が特に多様化したグループである。繁殖様式の異なるカジカ科魚類18種について、繁殖行動と性的形質(交尾器形態や雌雄の体サイズ差)や精子特性(精子形態や運動性)を調べた。その結果、交尾の有無および保護様式(雄保護、雌保護、無保護)の違いが、性的形質や精子特性と密接に関係しており、繁殖行動に関連して性的形質や精子が進化したことが示された。
著者
藤井 賢一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.10, pp.700-708, 2019-10-05 (Released:2020-03-10)
参考文献数
51
被引用文献数
1

信頼性の高い物理量の計測は科学技術発展の基礎である.その基準として用いられているのが国際単位系(SI)における7つのSI基本単位の定義である.それらのなかで,質量の単位であるキログラムだけは,1889年にメートル条約にもとづいて開催された第1回国際度量衡総会において国際キログラム原器によって定義されて以来,原器による定義が使われ続けてきた.例えば,長さの単位であるメートルは,1960年に国際メートル原器から光の波長による定義へ,さらに1983年に光の速さにもとづく定義へと移行した.これによって,光周波数の測定から長さの単位を実現することが可能になった.秒も以前は地球の自転周期や公転周期によって定義されていたが,1967年からはセシウム原子時計によって実現されるマイクロ波の周波数(約9.2 GHz)が秒の基準として用いられるようになり,さらに光周波数コムや光格子時計などによって光周波数領域(約500 THz)における新たな秒の定義に関する研究も行われている.電圧と電気抵抗についても1990年からはそれぞれジョセフソン効果と量子ホール効果にもとづく計測が実用化され,再現性の高い電気量の計測が可能になった.このように,科学技術の発展とともに多くの単位の定義は変遷を重ね,より普遍的で再現性の高い定義へと移行してきたが,キログラムだけは19世紀末に定義されて以来,人工物による定義が使われ続けてきた.しかし,表面汚染などの影響があるため,その安定性は50 µg(相対的に1億分の5)程度が限界である.このため,物理定数によってキログラムを定義するための研究が行われるようになり,21世紀に入ってからようやく原器の安定性を超える精度でプランク定数hを測定することが可能になった.このような経緯から,2018年11月にメートル条約にもとづいて開催された第26回国際度量衡総会において,キログラム,ケルビン,アンペア,モルの定義にそれぞれ不確かさのない定数として定義されたプランク定数h,電気素量e,ボルツマン定数k,アボガドロ定数NAを用いることが採択され,新しい定義が2019年5月20日の世界計量記念日から施行された.特にキログラムについては130年ぶりにその定義が改定され,歴史上初めて人工物に頼らない単位系が誕生した.これを可能にしたのがキッブルバランス法と呼ばれる電気的にhを測る方法と,X線結晶密度法と呼ばれる結晶中の原子の数を測ることによってNAを求める方法である.基礎物理定数の関係式を用いればhをNAからも高精度に導くことが可能であり,この2つの独立した測定原理から得られたプランク定数が高い精度で一致したことも,今回の定義改定を後押しした.科学技術データ委員会(CODATA)では,SI基本単位の定義改定のために2017年10月にh,e,k,NAについての特別調整を実施し,2017年7月1日までに受理された論文に報告されているデータの重み付け平均からこれらの基礎物理定数を決定した.特にプランク定数の決定においては,半数である4つのデータに産業技術総合研究所の計量標準総合センター(NMIJ)が貢献した.欧米以外の研究機関がSIの定義において決定的な役割を果たすのは歴史的にも今回が最初である.SIの新しい定義では,磁気定数μ0や炭素12Cのモル質量M(12C)などのように,これまで不確かさゼロの定数として扱われてきたものが不確かさをもつ変数に変わるものもあるが,多くの基礎物理定数の不確かさは小さくなる.SIの新しい定義では,hの不確かさがゼロになるので,原子や素粒子などの質量の不確かさも大幅に小さくなる.これまでは測定することが困難だった微小質量などをトレーサブルに計測することも可能になる.