著者
NEGISI Ken'itiroo
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.209-222, 1974

アカマツ林の呼吸消費量を推定する基礎資料のひとつとして,10数年生のアカマツの幹と枝の呼吸量をしらべた。幹または枝を年ごとに15~40cmのながさの丸太にきり,23℃の呼吸室にいれ,CO2をのぞいた空気を300~1,200cc/分の流量でおくり,でてくるCO2を赤外線分析器で定量して呼吸量とした。外気温と呼吸室温の差がおおきいばあいは,呼吸量が一定になるのにかなりの時間を必要とするが(Fig. 1),日がたつにつれ,いわゆる傷害による呼吸上昇がめだってくるので(Table 1),各試料木についての測定は伐倒後24時間以内におえた。The respiration rates on a weight basis decrease with increasing diameter both in stem and in branch sections detached from young pine trees, while those on a surface area of outer bark basis do not change in stem sections and increase somewhat in branch ones. Relations between respiration rate (Rs) and diameter (D) are approximately linear on the log-log coordinates and expressed as a simple equation, log Rs=b log D+a respectively. But the individual values show a relatively wide variation probably caused by the difference in rate of diameter growth in sample sections. The respiration rates per unit dimension in dominant trees are higher than in suppressed ones, in other words, the younger the sample, the higher the rates become among the stem or branch sections of the same diameter. And an application of the Rs-D relation will result in an erroneous estimate of the respiratory losses of a stand, unless the differences in growth rate or age are considered.
著者
香川 智之
出版者
文学教育研究者集団
雑誌
文学と教育 (ISSN:02876205)
巻号頁・発行日
no.175, pp.64-65, 1996-11-15
著者
若松 昭彦
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.19-30, 1989-12-28
被引用文献数
4

自閉症の社会性障害のメカニズム解明の一端として,12歳から18歳までの年長自閉症児22名を対象に表情図及び表情写真の認知能力や基本的な表情の表出能力について実験的検討を行ったところ,自閉症児群には次のような結果が認められた。1)対照群であるMAをマッチングしたダウン症児群よりも基本的な表情の認知・表出能力が全般的に低かった。2)怒りの表情を喜びに分類するエラーが多く認められ,部分的な顔面特徴に基いて反応していることが示唆された。また,このエラーは自閉症的行動特徴を多く示す群に多発していた。3)"泣いた"顔の判断の好成績とは対照的に,"悲しみ"の表情の認知や同一感情カテゴリーに属するものとしての"悲しみ"と"泣く"の意味的関連性の理解などに問題を有する可能性が示された。4)視覚的手がかりによる表情模倣が困難な一群が認められた。5)表情認知・表出能力と言語能力及び社会生活能力の対応関係が示された。
著者
栃原 きみえ 斉藤 一枝 坂倉 園江 今井 康世 柴村 恵子 岡島 文子 山田 由利子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.29-40, 1970-03-15

スカート製作の場合のスカート幅やダーツの問題に関する研究をするために女子の腰部におけるウエストおよびウエスト〜腸骨棘1/2,腸骨棘,腸骨棘〜ヒップ1/2,ヒップ,最大(腹部や太ももの出張り分を含む)の6つの位置の横切断面図について,幅径および厚径,更に周径の比率について検討したが次のようなことが明らかになった.1.腰部各位置の前対後厚径の比率(ウエスト基準線を基点)ウエスト(W)では基準線を1/2に定めたので,もちろん前後同径であるが,ウエスト(W)〜腸骨棘1/2の位置では,後厚径より前厚径が大であり,腸骨棘では逆に前厚径より後厚径の方が大の者が多い.ヒップ(H)の位置でも平均値で42対58%と前厚径より後厚径が大の傾向がみられ,更に最大の位置でも同様に後厚径が大の者が多かった.2.腰部各位置の前対後周径の比率 腰部のウエスト,ヒップ,最大の前対後周径についで検討した結果,ウエスト(W)では前後同周径の者は32%で,前より後周径が大の者が多い.ヒップ(H)では前後同周径の者は28%でほとんどの者が後周径が大であり,最大の場合でも同様の結果が得られた.以上のように厚径,周径ともにヒップの位置および最大では後が大であるが,これはでん部の出張りのためである.スカート製作において,一般には前後の幅を同一にした製図法が多いが,前よりも後幅の分量を多くする必要があることを明らかにすることができた.3.腰部各位置の左対右幅径の比率(ウエスト基準線を基点)4.腰部各位置の左対右周径の比率 腰部各位置の左対右幅径の比率と周径の比率について検討した結果,ウエストでは左右間厚径の者は36%であるが,同周径では61%の者がおり,厚径の場合よりも周径の場合の方がはるかに多数を占めていた.またウエスト位置では幅径の場合は左が大の者が多いが周径では逆に右が大の者が多いという結果が得られた.このことにつき各被験者のウエスト位置の横切断面図で検討した結果,右ウエストに筋肉の発達した者が多く,左より右ウエスト廻りのカーブが強い傾向がみられた.ヒップ(H)では左右同幅径の者は,29%であったが周径の場合は57%とはるかに多数を占めている.なお幅径,周径ともに左に比較して右が大の者が多かった.最大では左右同幅径の者は,43%で左右同周の者は64%と周径の場合の方が多数であった.なお幅径,周径ともに右が大の者が多い傾向がみられた.このことは生理学的に何かの原因があると推察される.これらのアンバランスの体型の者はスカートの前後中心線が体型大の方向に傾くのでスカート幅の設定については,左右差をつけなければならないであろう.5.腰部各位置の前対後厚径の比率(ウエスト廻り線を基点)腰部各位置の前対後厚径の比率,つまりウエスト廻り線から前後への出張り分量の比率について検討したが,ウエスト(W)〜腸骨棘1/2位置では後厚径より前厚径が大の傾向がみられた.これは腹部に近い位置にあるからで,他の位置ではいずれも前厚径より後厚径が大の傾向がみられた.これはでん部の出張りを意味するものである.以上の結果から言えることは,スカート製作においでダーツの分量は前よりも後を多くするべきだと考える.6.腰部各位置の左対右厚径の比率(ウエスト廻り線を基点) 腰部各位置の左対右幅径の比率,つまりウエスト廻り線から左右両側面への出張り分量の比率について検討したがヒップの位置ではわずかながら右幅径が大の傾向がみられ,最大の位置では左右同径の傾向がみられた.このことは脇ダーツの左右の分量の設定においてほとんどの者は同じ分量でよいが,アンバランスの体型の者は,左右差をつけるべきであると考える.以上女子の腰部の体型は種々様々であり,同一体型は本被験者の中には全くなく,被服製作における困難な事実を裏付けるものであることが明らかになった.終りに本実験に御協力下さった本学服飾コースの学生に厚く感謝する.
著者
塚本 研一 戸枝 一喜 船木 勉 大久 長範 松永 隆司
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.313-319, 2007-07-15
被引用文献数
1 1

秋田県産のはたはたずし製品について秋田県内3地域の代表的製品の製品形態,各種化学成分,遊離アミノ酸,有機酸,遊離糖類,微生物について検討した結果,以下の特徴を明らかにした.<BR>(1)沿岸北部の製品は原料にハタハタ,米,野菜を主に使用し,熟成期間が短く乳酸発酵がない早ずしである.主に食酢処理による酢酸の浸透により微生物を抑制していた.<BR>(2)沿岸中央部の製品は原料にハタハタ,米,米麹,野菜を主に使用し,乳酸発酵があるなまなれずしである.使用原材料ではいずしに近く,米麹,野菜を使用し乳酸発酵を促進するなまなれずしの伝統的な製造法に近かった.<BR>(3)沿岸南部の製品は原料にハタハタ,米飯,米麹,野菜を主に使用し,米飯の米麹による糖化を十分に行っているが,乳酸発酵はない早ずしである.使用原材料ではいずしに近いが,食酢処理による酢酸の浸透および米飯の米麹による十分な糖化と砂糖添加による水分活性低下で微生物を抑制していた.<BR>これらの結果から秋田県のハタハタずし製品は乳酸発酵があるなまなれずしタイプと早ずしタイプの2つに分類された
著者
池田 博子 園田 純子 沢村 信一
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.435-439, 2007-12-20
被引用文献数
2

米,茶葉,水および油脂がブクブクー茶の起泡性に及ぼす影響を調べ,次のような知見を得た。起泡性に大きく影響するのは米で,米(米湯)の量は多いほど,焙煎程度は高いほど泡立ちやすくなる。しかし,米の種類は起泡性にほとんど影響しない。茶葉の種類や濃度,水は起泡性にほとんど影響しない。油脂は微量でも起泡性を著しく阻害する。
著者
玉置 雅彦 江幡 守衛 田代 亨 石川 雅士
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.653-658, 1989-12-05
被引用文献数
3

穂揃期窒素追肥ならびに登熟温度が米質に及ぼす影響について, 米飯のテクスチャー, タンパク質, アミロース, 結合脂質 (fat-by-hydrolysis) 含有率の点から検討した。窒素追肥により, 白米タンパク質含有率は増加した。米飯のテクスチャーのうち, そしゃく性値は, タンパク質含有率の増加にともない増加した。粘着性および食味指数値は, タンパク質含有率が8.5%のときに最も高くなった。アミロースおよび結合脂質含有率は, タンパク質含有率と関係が見られなかった。以上から, アミロースおよび結合脂質含有率の変化が小さいときには, 米飯のテクスチャーは, タンパク質, 特に難溶性タンパク質に強く影響されることが示唆された。一方登熟温度処理により, うるち米は低温ではそしゃく性値が顕著に大きく, 粘着性および食味指数値は顕著に小さくなった。もち米では, これらの傾向はみられなかった。アミロースおよび結合脂質含有率は, うるち米では低温ほど高まったが, もち米では変化が見られなかった。タンパク質含有率は, うるち米, もち米とも低温では減少した。登熟温度がうるち米米飯のテクスチャーに及ぼす影響は, アミロースおよび結合脂質含有率の変化によるものであり, タンパク質含有率には影響されなかった。しかしながら, もち米米飯のテクスチャーは, 登熟温度に影響されなかった。
著者
Ichimura Takeshi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.419-432, 1955-12-10

(i) The Gassan Volcano rises up on the boundary between W. Murayama-gun and E. Tagawa-gun or Mogami-gun of Yamagata Prefecture. It is approachable by several courses from various sides. (ii) It is composed of the Ishihane-gawa mud flow, Gassan lavas and ejecta and Sasa-gawa mud flow which successively erupted on the eroded surface of granite (granodiorite), quartz diorite, diorite, liparite, felsophyre, dacite, propylite, basalt and Upper Miocene sediments elevated frequently to 1300m.-1400m. above the sea-level. (iii) The lavas and ejecta including mud flows erupted successively from pre-existing crater and also from the explosion crater. Of these, the pre-existing crater is now obscure, being covered by lavas and ejecta which erupted subsequently, whereas the explosion crater opened northwestwards with a horse-shoe-shaped hollow just beneath the present summit. (iv) Most predominant are the Gassan lavas and ejecta which consist of olivine two-pyroxene andesite, olivine-bearing or olivine-horn-blende-bearing two-pyroxene andesite and their fragments. One of characteristic features indicated by these rocks is the frequent occurrence of olivine phenocryst. This mineral is sometimes found in association with oxyhornblende. (v) The activities of this area began with the eruption of the Ishihane-gawa mud flow and ended with the formation of a big explosion crater which poured forth a large amount of the Sasa-gawa mud flow. (vi) By this enormous explosion, the Gassan Volcano lost its upper half of konide(?) and left behind a quite different from of volcanic body. It has a very gentle slope on the east and is highly cliffed on the west. (vii) The first activity of the Gassan Volcano is supposed to have taken place in the beginning of the Quaternary, but it will be confirmed later in connection with the activities that happened at the Ha-yama volcanic area. In conclusion, the writer's thanks are due to Mr. N. Jimbo and Mr. T. Konda for the valuable suggestions which they offered during his field and laboratory works. The expence of this research was partly defrayed from the fund for the Scientific Research of the Educational Ministry.月山は,山形県の東田川郡,最上郡及西村山郡に跨り,鳥海火山帯の中でも特異な形態を有する火山である.その東側は,アスピーテを思わせる緩傾斜をみせ,西側は,大きな爆裂火口のために物凄い断崖をなしている.この火山は,花崗岩(花崗閃緑岩)石英閃緑岩,閃緑岩,石英粗面岩,珪長斑岩,石英安山岩,変朽安山岩,玄武岩,新第三紀(上部中新世)堆積岩などよりなる基盤岩の侵蝕面上に盛上り,その活動は,石跳川泥流,月山熔岩及砕屑岩,笹川泥流,順次に噴出せしめている.大爆裂火口は,月山熔岩及砕屑岩の噴出後に生じ,これがために旧月山火山の上半部が噴き飛ばされるに至つた.月山の現形態は,この際に生じたものであり,笹川泥流は,爆発に伴つて噴出したものと思われる.月山火山の活動は,恐らく第四紀の初期に始まり,大爆裂火口の生成と笹川泥流の噴出を以て,その終りを告げている.
著者
野田 浩司
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.11, pp.13-16, 1975-10-30

沖縄県那覇市南部に分布する豊見城層のシルト岩より,特徴的なArcoscalpellumの峰板殼化石を採集し,これを検討した。降板は表面にV宇型の特徴ある彫刻とその側面とのなす横断面は屋根型状を呈している。近似種と比較したが,本邦最初の化石種として,これをArcoscalpellum okinawanumと命名した。
著者
増田 直紀
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.652-658, 2008-09-01
被引用文献数
1
著者
駒澤 寛士 松本 敏明 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.434, pp.25-29, 2008-01-17
被引用文献数
1

視知覚能力において重要な視覚と運動の協応の能力を鍛えるために、物体の動きを予測してスイッチを押すというゲーム形式の訓練ツールを開発した.協力者は松江清心養護学校に通う小学2年生の脳性麻痺児2名で,マウスを使う事ができない.そこでインターフェイスにワンボタンスイッチを用いた.訓練を行った結果,目標とするところとは明らかに異なっているタイミングでスイッチを押すことがあった.これは,"失敗"の時のアクションが楽しい,ゲームに飽きが生じて集中力が切れた,訓練に疲れたことによって起こると考えられる.このため,押すべき時だけ押してもらう工夫が必要であることがわかった.
著者
小川 博久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.4, pp.49-54, 2004-01-20

電子権利の安全な流通において,回数制限の実装は,重要な問題である.現在利用されている電子チケットでは,まとめ買いに対する利便性と安全性の問題が指摘されており,双方の要求を満たす技術が求められている.本稿では,(k n)しきい値分散法及び,(k L n)しきい値分散法を用いた権利回数制限の構成例を示し,実装及び評価について報告する.For a secure circulation of digital rights, it is an important issue to limit the number of use. It is often pointed out that digital tickets used nowadays have issues in convenience in regards to bulk buying and security. This article makes an illustration of limited rights of use applying (k, n) threshold scheme and (k, L, n) threshold scheme, reports implementation and evaluation.
著者
庄司 裕子
出版者
日本行動計量学会
雑誌
日本行動計量学会大会発表論文抄録集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.202-205, 2005-08-24

購買というと「必要なものを買いに行く」ことだと思われがちであるが、実際には、初めは曖昧なコンセプトしか持たない顧客が、商品を見たり店員とのコミュニケーションしながら考えているうちに考えがまとまって購買に至る事例がしばしば観察される。我々はこのような購買を「コンセプト精緻化型購買」と呼んでいる。コンセプト精緻化型購買の特徴を分析すると、購買のような日常行為においても、従来専門的な創作活動で観察されてきたのと同様な創造的思考プロセスが存在することがわかる。日常生活における創造的思考は科学的発明や発見などに比べると小さなものだが、この小さな創造を上手に行なったり、他者の小さな創造を支援できる人は、生活の質を向上させたりビジネスで優位に立つことができる。本稿では、購買コミュニケーションを例題として、情報技術を用いて「日常生活における創造的思考」を支援するための我々の取組みについて紹介する。また、このようなアプローチのビジネスにおける応用可能性について考察する。