著者
田中 奈々絵 奥平 雅士
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.173-176, 2009-02-04

本稿では,携帯電話のカメラで撮像された画像から点字ブロックを検知し案内するための画像処理技術を用いた支援方式について述べる.携帯電話の処理能力を考慮した画像処理手法と案内内容を絞ったわかりやすい音声ガイダンスについて検討した.様々な状況下の点字ブロック画像を学習データとしてSupport Vector Machineであらかじめ識別平面を求める.携帯電話上ではまず点字ブロック画素をこの平面で分離し,次に画像を3×3に区切った各領域の点字ブロックの有無パターンから案内内容を決定する.最新の携帯端末上で90枚の画像を用いて実験を行った結果,撮像後約3秒の処理時間で標準的な画像に対し有効な結果を得た.
著者
谷塚 昇 カーン Md.モスタフイズル ラマン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.825-832, 2002-05-01

深宇宙にある銀河階層のシステム(QSO)から放射される電波の観測値時系列を解析し,システムの進化・自己組織化に関する数理的・情報論的な構造を研究した.解析にはべき乗則の方法,及び時系列再構成状態空間写像法を使った.べき乗則の解析から,システムのダイナミックスの構造が進化していると考えられること,状態空間写像法の解析から,3次元状態空間上でアトラクタ様のパターンを得たこと,相関積分によるGP法から力学系の推定次元が限定された次数であることを示した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1007, pp.21-23, 2009-06-29

KDDIがauブランドの2009年夏モデルとして投入する携帯電話機「SOLAR PHONE SH002」。シャープが手掛けるこの端末の大きな特徴が,筐体の背面部に国内初となる太陽電池モジュールを搭載することだ。電池残量がゼロの場合などの非常時に,補助電源として利用できる。「快晴時に約10分間充電した場合,通話で約1分間,待ち受けで約2時間程度利用できる」(KDDI)とする。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1007, pp.46-51, 2009-06-29

2009年に入り,電子書籍コンテンツを読むための専用端末が世界各地で続々と登場し始めた。それは,まさに"雨後のたけのこ"と表現するのにふさわしい。 電子書籍事業において,端末はその成否を左右する重要な要素である。しかし,端末だけがポツリと存在しても,何の用も成さない。
著者
野田 厚志 北須賀 輝明 田頭 茂明 中西 恒夫 福田 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.643-655, 2009-03-25

本論文では,無線可視領域通信(WVAC : Wireless Visible Area Communication)において通信相手の特定を支援する名前解決ミドルウェアを提案する.WVACとは,近距離無線通信デバイスを用いて,ユーザの視界内に存在する端末と,一時的にネットワークを形成し,即座に情報交換を実現する無線通信のことである.提案ミドルウェアは,従来の名前を用いることに加えて,周辺端末との相対位置を補助的に提示することで,WVAC環境における通信相手の特定を効果的に支援する.提案ミドルウェアは,(1)ミドルウェアの機能を,アプリケーションが汎用的に利用できるように,シンプルなAPIを提供する.(2)事前に設定/配置が必要な専用サーバを必要としない.(3)キャリブレーションを必要とせずに,周辺端末の相対位置情報を取得できる測位手法を採用している.また,提案ミドルウェアのプロトタイプシステムを構築し,応用プログラムの作成と基礎的な評価を行った.評価の結果から,PDA程度の処理能力で十分に提案ミドルウェアを稼動できることを示した.
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 久野 義徳 山崎 敬一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.684, pp.35-40, 2006-03-22
被引用文献数
2

高齢者社会が進む昨今、福祉ロボットの開発は時代のニーズに即したものである。本論文では、被介護者の簡単な依頼を理解するロボットを開発する基礎段階として、実際に人間同士の依頼行為がどのように組織化されているか、ということをエスノメソドロジー的見地により見ていく。この分析に基づき、依頼行為は、依頼行為が行われる以前にコミュニケーション・チャンネルが相互反映的な形で確立されていること、そして実際の依頼行為も依頼発話とジェスチャがお互いを精緻化しながら、相互反映的な形で組織化されているということがわかった。
著者
藤守 義光 樫田 美雄 岡田 光弘 寺嶋 吉保
出版者
徳島大学
雑誌
徳島大学社会科学研究 (ISSN:09146377)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.57-73, 2007-02

本研究は,エスノメソドロジー研究,特にヴィデオ・エスノグラフィーという手法によって,医学教育におけるOSCEを分析したものである。あらかじめインタビューなどのフィールドワークを実施した上で,実際の試験場面をヴィデオ録画し,繰り返し検討する形で経験的な研究を行った。論文の前半でエスノメソドロジー研究,ヴィデオ・エスノグラフィ,フィールドワークといった調査の手続きについて詳しく述べた後,後半では,ヴィデオ録画に基づき,OSCEに特徴的な論理について詳らかにした。OSCEは,特有の実践の論理を持つ。たとえば,「身体検査を行うという側面」と「医学知識の評価という側面」を不即不離に合わせ持っている。探求の結果,OSCEが,医学生,模擬患者,そして評価者がそれぞれの関心に基づいて,「身体検査をするという課題」と「試験として成り立たせるという課題」を重なり合わせながら,自分達に望まれているさまざまな役割を協調的に遂行していく形を取っていること,すなわち共同的な諸行為の特有の実践の論理を持った集積として理解できることがわかった。
著者
村松 成司 近藤 健吾 岸 恵美 広田 悠子 齋藤 初恵
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.503-515, 2002-02-28

現代大学生の食生活を含む日常生活全般を見直す試みの一つとして,大学生の生活特性と心理状況の関連性をPOMSテストを利用して検討した。調査対象者は8時50分から始まる第1時限の講義に出席した学生148名とした。生活調査項目では1日の睡眠時間は6時間が61名(41.2%)と最も多く,続いて7時間の40名(27.0%),5時間の33名(22.3%)であった。平均睡眠時間は6.10±1.04時間(最大12時間,最小4時間)であった。1週間の運動頻度は1回47名が(31.8%)と最も多く,続いて2回の23名(15.5%)であった。平均運動回数は2.31±1.79回であった。「1日3食しっかり食べますか」の設問では「はい」が106名(71.6%)と多く,「いいえ」は42名(28.4%)であった。「栄養のバランスを考えて取っていますか」の設問では「はい」が77名(52.0%),「いいえ」が71名(48.0%)とほぼ同じ様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」が71名(48.0%),「いいえ」が75名(50.7%)とほぼ同数であった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では2回が38名(25.7%)と最も多く,続いて1回が33名(22.3%)であった。平均外食回数は2.49±2.17回であった。「間食の食べ過ぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「いいえ」が118名(79.7%)と圧倒的に多く,「はい」は30名(20.3%)であった。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」が127名(85.8%)と多かった。調査対象者全体のPOMSプロフィールではIcebergのプロフィールと比較して平均値でDとCがやや高めに,Vがかなり低くなっていた。睡眠時間ではIcebergのプロフィールと比較して6時間未満の睡眠時間群ではT, D, R, Cが高く,Vが低い様子にあったが,6時間以上睡眠時間群はT, D, FはIcebergのプロフィールと同レベルにあり,Aが低い様子にあった。各因子内では6時間未満睡眠時間群はT, A, F, Cが有意に高く,Vは逆に6時間以上睡眠時間群が高い傾向にあった。運動回数0回はIcebergのプロフィールと比較してT, D, F, Cが高く,Vが低かった。運動回数が多くなるにつれてVのピークがみられるようになり,よりIcebergのプロフィールに近似する傾向にあった。各因子内では,Tでは運動回数3〜4回が最も低く,運動回数0回と比較して有意に低い値を示した。また,運動回数5回以上では逆に高まり,運動回数3〜4回と比べ有意であった。Dは運動回数0回が他の運動回数群と比較していずれも有意に高い値を示した。Aでは運動回数1〜2回および3〜4回群が0回および5回以上群よりも有意に低い値であった。Vは運動回数が多くなるにつれて高まる傾向にあったが,有意ではなかった。Fは運動回数0回群が他群と比して有意に高い値を示した。Cにおいては4群間に大きな差異はみられなかったが,運動回数0回群と3〜4回群間に有意な差がみられた。「3食しっかり食べますか」の設問では「はい」と答えた群ではIcebergのプロフィールと比較してVがやや低い様子にあった。一方,「いいえ」と答えた群はDがやや高く,Vがかなり低い様子にあった。各因子内における比較ではVにおいて「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりも有意に高い値であった。「栄養のバランスを考えて食事をしていますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったがほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではT, D, Cが高い様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してVが低く,またAがやや低い様子にあった。「いいえ」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVがさらに低く,またDがやや高い様子にあった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では中でもVは外食回数が多くなるにつれて高くなる傾向がみられた。「間食のとりすぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してD, Cが高く,Vが低い傾向にあったが,「いいえ」と答えた群ではVは低いもののIcebergのプロフィールに近似したプロフィールを示した。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったが,ほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではD, F, Cが高く,Vが大幅に低い様子にあり,あきらかにIcebergのプロフィールと異なったプロフィールを示した。各因子内における比較では「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりもFが有意に低い結果を示した。各設問項目におけるPOMSスコアは睡眠時間6時間未満の群は6時間以上の群よりも有意に高かった。運動回数の違いでは運動回数0回群が他の群よりも高く,運動回数1〜2回群および3〜4回群に対して有意であった。
著者
韓 尚憲
出版者
名古屋商科大学
雑誌
NUCB journal of economics and information science (ISSN:13466097)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.273-281, 2005-03

深刻化する不況のなか、企業のネットワーク投資は停滞し、キャリアの設備投資も冷え込んでいる。ベンダーの競争激化によって通信機器・サービスの価格低下が進む一方、IP関連の新規需要はまだ十分に顕在化しておらず、通信ビジネスの環境はことさら厳しい状況にある。その影響で、大手企業を含む多くの通信産業は、IPネットワーク上で電話システムを構築できるIP-PBXの販売やIP-電話サービスを本格化している。しかしながら、装置販売およびソリュ-ション分野以外には明確な収益モデルがないため、その収益性は不透明なのが、現状である。本研究では、既存のサービス分野で適応されている効果的な収益管理 (Revenue Management) 概念をIP-電話サービス分野へ適応し、多様な料金レベルを提示することによって、潜在需要の促進、さらに全体の利益を最大化するための最適化ベースの収益管理モデルを提案した。さらに、模擬実験を行いモデルの有効性を確かめてみた。
著者
村上 伸一
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.21-41, 2006-03-20

This study examines the concepts of formal organizations, social systems, and personal systems defined by C. I. Barnard. In 1958, Barnard described that every formal organization was a social system. This description conflicts with the definition he expressed in 1938, when he defined organizations as subsidiary systems within cooperative systems that include physical, personal, and social systems. In this paper, an effort is made to explain and resolve these contradictions. Unlike previous study which focused on Barnard's personal situation, the study examines the theoretical reasons behind his personal situation at the time. By proposing an inclusive, stratiform concept of social systems, this study explains the differences among the following three concepts: formal organizations, social systems, and personal systems. This paper also points out the significance of the social systems presented by Barnard in 1938. Results of this study arbitrate between the concepts presented by Barnard in 1938 and 1958 concerning formal organizations. Furthermore, a linkage between ideas maintained by Barnard and Luhmann is proposed.