著者
吉田 有里 森勢 将雅 高橋 徹 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.282, pp.31-36, 2007-10-18
被引用文献数
3

数分にわたる曲全体を一括して分析することのできる新しく開発されたTANDEM-STRAIGHTを用い、プロ歌手によるポップス系歌唱を分析して得られた歌唱音声中の母音スペクトルの統計的性質を調べた。分析には、男女各一名による歌唱音声が用いられた。STRAIGHTスペクトルから求められたMel帯域フィルタ出力とMFCCの主成分分析の結果は、いずれも第5主成分までに全分散の90%以上が含まれることを示した。また、求められた固有ベクトルとMFCCの基底関数の張る空間が類似する傾向が認められた。歌唱音声は、話声と比較して、基本周波数、発声のパワー、歌唱法などによるスペクトル変動が大きく、各母音の分布は元のパラメタ空間においても、低次の主成分で張られる空間においても、大きく重なっている。これらの結果が、母音情報に基づく音声変換法においてどのような意味を持っかについて議論する。
著者
浜中 雅俊 平田 圭二 東条 敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.84, pp.1-8, 2004-08-02
被引用文献数
5

本研究報告では,音楽理論Generative Theory of Tonal Music (GTTM)に基づき,楽曲のグルーピング構造および拍節構造を自動で獲得するシステムについて述べる.GTTMは計算機上への実装が期待される音楽理論の1つであるが,ルール適用の優先順位やアルゴリズムが決められていないため,ルールの競合が起こるという問題がある.この問題の解決法として本研究では,ルールの優先順位を決めるためのパラメータを導入する.そして,ボトムアップに求めた局所的なグルーピング境界の強さおよび拍点の強さを用いて,トップダウンに階層的な構造を獲得する手法を提案する.実験の結果,パラメータの調節により,性能が向上することが確認できた.This report describes an automatic music analyzing system, which acquire grouping structures and metrical structures, based on the Generative Theory of Tonal Music (GTTM). The GTTM is considered to be one of the most promising theories of music in regard to computer implementation; however, no order in applying those rules is given and thus, more often then not, may result in conflict among them. To solve this problem, we introduce adjustable parameters, which enable us to give priority among rules. Our system based on the GTTM makes it possible to construct hierarchical grouping and metrical structures in a top-down process using bottom-up detection of local boundary strength and local metrical strength. The experimental results show that our method outperformed the baseline performance by tuning the parameters.
著者
佐野 宏
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.199, pp.28-41,104, 1999
著者
沼本 克明
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.15-28,61-62, 1993

濁点の起源は、陀羅尼の音読において使用された濁音字母を、略体仮名のみの体系に統一するために、「消去」するという志向の下の工夫に発したものである。初期の濁音表示形式は、その工夫の試行錯誤として考案されたものと考えられる。具体的な工夫としては既に指摘されている様に、漢字「濁」の偏「シ」で注記したもの-濁注記、略体仮名の傍に「、」等を加えた形式-濁点、声点に「・」を加えて「・・」とし、さらに声点そのものの形を「-○」「-」「∟」「△」等に変えた形式-濁音仮名、等が存在した。これらの形式の中で声調と清濁が同時に示し得る「濁声点」のみが残り、その中でも発生時期から最も優勢であった「・・」形式のみに漸次淘汰され、概ね1150年頃に社会的に統一されて行った。
著者
吉良 潤
出版者
京都西山短期大学
雑誌
西山学報 (ISSN:03893650)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.52-53, 1978-12-20
著者
倉田 靜佳
出版者
東北大学
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.47-58, 2003-12-10

曲亭馬琴の読本『南総里見八犬伝』における「然」が後接する漢字語につけられた、字音語振り仮名について、一般的に「漢語」としては呉音から漢音への移行の優勢が常識とされるのに反し、「ゼン」から「ネン」への交替が多くの漢字語において顕著であり、しかもその交替時期は第6・7輯 (文政10・11年) を境としていることを明ら加こし、それは各語における音連結や文脈には起因せず、筆工の交替による可能性を指摘した。
著者
全 昌煥
出版者
新潟大学
雑誌
現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.299-316, 2001-08

日語呉音和中国呉方言之間的音韻対応関係,歴来是前輩学者研究探討的重大内容之一。至于日語呉音受中国古漢語影響的歴史時期,前人的看法較為一致,大都認為其来源可追遡到中国南北朝時代。対于在歴史上日語呉音受哪个方言区的影響最深,其主要来源是何種方言的問題上,看法不趨一致(参考注2))。大橋勝男、沼本克明指出有必要与中国方言的研究成果連系起来進行比較研究,而且這是行之有効的方法之一。尽管歴経漫長的歳月,中国各区方言也発生了巨大的変化,但是各区方言中也多多少少保留了古音。所以従方言学的基礎上、探討上述論題,還是能模索到一些規律性東西。衆所周知、『広韻』是推定古音的重要根拠,但是它還是有一定的局限性。所以本文参照『広韻』『韻鏡』等韻書韻図的同時,主要是従分析南北朝詩歌韻脚的角度出発,対日語呉音的佳韻字和皆韻字存在両種読音的問題進行探討。
著者
全 昌煥
出版者
新潟大学
雑誌
現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.237-254, 2002-03

日語呉音的蟹摂字存在両種讃音。這種現象帰根到底還是跟中国古代漢語語音変化以及方言発展規律有着密不可分的関係。漢語方言南北差異也体現出蟹摂字的不同発展方向、而且従其不同発展趨勢中可以追遡其源、対於日語呉音蟹摂字的両種讃音問題做出科学的、合理的解釈。中国呉方言中蟹摂字也有両種讃音。這両種讃音就是一般所説的文讃和白讃。對此可以来用歴史比較語言学和方言学的研究方法、去考証日語呉音的両種讃音不同的来源。対於這種研究方法的正確与否、還可以従分析漢魏晋南北朝詩歌韻脚的角度進行客観的判断、並且達到正確推定呉音来源的目的。
著者
全 昌煥
出版者
新潟大学
雑誌
現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.249-266, 2002-11

日語呉音中的梗摂字同蟹摂字一様被認為是呉音的難解之謎。従中国南北方言発展状況来看,呉音的梗摂字的主要元音与呉方言密不可分的関係,漢音的梗摂字与北方官話基本上相趨一致。対於這一問題前輩学者的看法有一定的局限性。其主要問題在於是否承認日語呉音的梗摂的主要元音与中国古代音韻体系有関。如果只按照切韻体系対這一問題進行分析, 確実面臨無法解釈的難題。本文擬以中国南北方言的地理分布以及魏晋南北朝詩歌内容為分析材料,対日語呉音梗摂字的問題進行探討。
著者
林 史典
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第1部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.95-108, 1973-08-31

本稿は,日本字音史のたちばから,法華経の読誦に際してもちいられた字音の体系と性格とをあきらかにしようとする意図のもとになされる研究の,基礎的考察の一部をなすものである。ここでは,法華経の諸音義所載の反切の比較・検討を通じてそれらの相互関係をあきらかにせしめると同時に,誤写およびそれぞれの音義に特有の反切に注目することによって,現存の諸音義にみえる反切の背景を想定し,あわせてこれらの反切のはたしえた役わりについても,一応の歴史的なみとおしをえようとする。
著者
金 正彬
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 (ISSN:13465554)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.283-290, 2003-03-28

The Japanese Go-on readings in the Shin-vowel group has i,o,a as main vowels, having stratified resemblance with Sino-Korean readings of Chinese characters. This has already its background in the Fan-ts'ie phenomenon! of rjindiansiunj Buddhist Transcriprions of the Liu chao period.which is problaby transferred to Japanese Go-on readings and sino-Korean readings from synchronic Chinese dialects of the Archaic period till the Liu chao period.
著者
小野寺 学
出版者
東北大学
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.144-133, 1998-11-20

漢語接辞「然」を構成要素とする二字漢語「-然」は、近代の国語辞書と小説において出現の様相が異なる。小説において字音語と熟字使用でゆれていたこと、会話での「-然」の多くは書生を中心とした教養層が用いることから、当時まだ「-然」が日本語の語彙として定着していなかったためであると思われる。