著者
桑原 明栄 牧野 光則
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-30, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

コンピュータグラフィックス(CG) 技術の近年の発展により,3 次元(3D)CG アニメーションの需要と供給は共に伸びている.その一方でアニメーション制作のコスト低減という課題は完全には解決されていない.この解決にはユーザの熟練度によらない自動化・汎用化が必要である.ユーザの熟練度に強く依存しているアニメーション特有の表現技法として,オーバーアクションなどによる誇張表現がある.誇張表現は現実世界では存在しないが,視聴者の理解を促進する有効な手段として知られており,これまでに様々な手法が提案されている. 本論文では誇張表現を付加した3D CGアニメーション制作をより容易にするユーザ支援システムを提案する.提案システムでは, 物理法則に基づく動作とこれを誇張する動作の結合を「基本動作」と定義し,結合の程度をユーザが指定することでさまざまな誇張表現を実現する.提案システムは誇張表現のパターン化と細部調整を兼ね備える.ユーザの熟練度にかかわらず容易に誇張表現を含む3D CG アニメーションを作成できる.
著者
中川 大介 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.40-50, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
23

本論文では,建築等の完成イメージ図などに用いられるパース図を取り上げ,3次元幾何モデルから水彩パース図風画像を自動生成する手法について提案する.本手法は,水彩パース図の特徴である,輪郭が描画される,建物については彩色のはみ出しが無い,樹木などの建物以外の対象は簡略化されて描かれることが多い,淡い色彩が用いられることが多い,などの点を考慮したアルゴリズムの構成となっている.
著者
鈴木 茂樹 山田 雅之 宮崎 慎也 長谷川 純一 安田 孝美 横井 茂樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.8-14, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5

運動計算を比較的高速に行える弾性プリミティブ(弾性要素)モデルで構成される仮想弾性物体とのリアルタイムインタラクションを実現する.一般的なボクセルデータ形式の入力形状に対して,大きさの異なる多面体形状の弾性要素を効率良く組み合わせることにより,高速処理に有利な少ない要素数で自由形状の弾性物体モデルを構築する.弾性物体とのインタラクションのための入力デバイスとしてジョイスティックデバイスを用いることにより,フォースフィードバックを伴ったインタラクションが可能である.弾性物体とマニピュレータとの衝突処理においては,幾何学形状をなすマニピュレータと弾性物体の間の物理法則にもとづく衝突処理モデルにより,適切なフィードバックフォースを実現している.
著者
Hussein Karam Masayuki Nakajima
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.61-70, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

Quadratic map basins is a method used to generate the images of Julia and Mandelbrot sets and has been applied to visualize the attractors of iterated function systems (IFS). Three dimensional extension of such mapping with animation is an aspiring goal and a challenging task. In this paper an extension algorithm of quadratic map basin for classifying points in the complement of a 3-D linear fractal shapes are discussed. Such extension produces fractal surfaces that exhibit self-similarity and suggest smooth evolution under animation. The proposed technique has fast computations and simple representation whereby a computer can automatically select parameters and generate a large collection of aesthetically appealing 3-D fractal patterns. The simple representation and the speed of computation of our algorithm make 3-D fractal patterns reliable for interactive machine.
著者
小田 泰行 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.51-60, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
17

本論文では,粒子ベースの溶岩流のビジュアルシミュレーション法を提案する.本手法では,粘性流体と熱移動のシミュレーションを基本として,溶岩流の特徴である,流れが扇状に広がる,温度によって粘性率が変化し冷却によって固化する,温度によって色が変化し溶岩流表面にクラストと呼ばれる黒く固化した部分が生じる,クラストが崩壊し明るい溶岩流が流出する,などの現象の表現を可能としている.
著者
小笠原 祐治 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-39, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16
被引用文献数
4 6

よりリアルに自然景観を表現できるCG技術の開発がますます重要なテーマとなってきている.苔は日本庭園では欠くことのできない構成素材の一つであり,地面や燈籠などの石材物に苔が繁殖している様子は,風情のある印象を与える.本報告では,水辺,地形,植物や石材物などのその他の構成素材など,苔の繁殖に影響を与える生育環境を苔の繁殖シミュレーションに反映する方法を提案する.本手法では,粒子ベースの風の流れのシミュレーションにより,生育環境によって定まる温度,湿度および風速の局所的な分布を求め繁殖シミュレーションを行う.
著者
藤原 孝幸 輿水 大和 藤村 恒太 藤田 悟朗 野口 孔明 石川 猶也
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.15-20, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
8

ユーザインタフェースとして顔メディアを用いる可能性が示唆され, 顔の認識・生成技術が注目されている. 顔に対する人の印象を造形する手法として似顔絵, とりわけ立体で構成される似顔絵が意味を持ち始めている. 我々は3 次元空間上の顔特徴を抽出して似顔絵化する技術について提案してきたが, 生成結果には局所的な, あるいは, 全体的に顔の形が不自然にくずれる現象が見られた.平均顔と入力顔の差ベクトルを入力顔の個人性特徴とする基本手法において, 本論文では平均顔生成で標本平均を算出するだけでなく, 特徴点列における値のばらつきも平均顔に付随する情報とすることで, 新しい似顔絵生成手法を提案し, また実験的に考察を行った. 結果として, 似顔絵モデルにあわせて, 視覚感性的な顔らしさから逸脱することなく誇張をする, スマートな似顔絵生成システム実現の可能性を示した.
著者
舟橋 健司 宇佐美 健一 岩堀 祐之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-7, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本論文では新たな液体の表現モデルについて検討する。従来、液体などの挙動シミュレーションやアニメーションに関する研究は多く行われている。しかし、これまでに仮想的な操作を考慮したものはない。本モデルは挙動を厳密に再現するものではなく、実際の挙動の特徴をリアルタイムに表現するものである。我々はこれまでに、液体を静止状態と自由落下状態に分類することにより、落下して来る液体を容器により受け止め、また他の容器からすくいとり、容器を傾けることによりこぼすという対話的な操作を可能とした。さらに流れの状態の液体を扱うために、液体を扱う容器を格子状に区切り、各格子に対する液体の密度と平均速度を定義する。これらの値を隣接する格子の状態に応じて変更していくことにより、対話操作可能な状態として液体の流れの状態を表現する。実験システムでは、容器を緩やかに傾けることにより、液体の流れの表現が可能である。
著者
菊地 貴行 小柳 剛 佐藤 美恵 春日 正男
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.132-133, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4

近年のセキュリティ問題において,顔画像を用いた個人認証に関する研究は盛んに行われている.それらの研究において用いられる画像のほとんどは正面顔や横顔であるが,カメラに対する顔の向きが処理結果の精度に大きく影響するため,正面顔を正確かつ自動的に検出することは重要な課題となる.そこで本論文では,正面顔の自動検出に有効な顔の特徴量についての検討を目的とし,カメラに対する顔の角度が既知な画像の分析を行う.入力画像として,人物の正面方向と横方向に配置した2 台のカメラから撮影した複数枚の画像を用い,それらの画像に対し、独自に定義した特徴量を計算し,顔の水平方向および垂直方向に対する正面顔検出への有効性を示す.
著者
白井 暁彦 長谷川 晶一 小池 康晴 佐藤 誠
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.117-124, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3 4

我々は「タンジブル・プレイルーム」の実証コンテンツとしてインタラクティブ作品「ペンギンホッケー」を開発した.このシステムは,プロジェクタを用いた接触可能な映像空間,大空間が扱えるフォースフィードバックディスプレイを持った通常の何もない子供部屋である.子供たちはコンピュータによって生成されたオブジェクトだけでなく,友達や実空間の物体とともにインタラクションすることができる.ペンギンホッケーは,人工知能ペンギンと遊ぶ,シンプルな3次元ホッケーゲームである.プレイヤはコンピュータで生成されたオブジェクトと,友人といっしょにインタラクションを楽しめる.このコンテンツは小学校程度の低年齢層の子供に体験者層を設定している.このシステムは複合現実感のアプリケーションの1つとしてだけではなく,自然な生活空間への触知の実装でもある.
著者
藤本 忠博 大野 義夫 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.134-146, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

In this paper, we propose a framework of “fractal deformation” using displacement vectors based on “extended Iterated Shuffle Transformation (ext-IST)”. An ext-unit-IST is a one-to-one and onto mapping that is extended from a unit-IST, which we have proposed, and is basically defined on a code space. When the mapping is applied on a geometric space, a fractal-like repeated structure, which is referred to as “local resemblance in space/scale directions”, is constructed on the relationship between points on the domain and those on the range. By applying the mapping to displacement vectors given on a geometric shape, the shape can be deformed in the fractal-like repeated manner. This fractal deformation is easy to control by changing the displacement vectors intuitively. In addition, a continuous transition between a continuous deformation and a fractal deformation can be realized. We demonstrate how the fractal deformation technique produces attractive results by showing various examples.
著者
中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.176-181, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
1

今年で29回目となるSIGGRAPH2002 は,7月21(日)から26 日(金)まで,メキシコ州サンアトニオのHenry B.Gonzalezコンベンションセンタで、例年通り華やかに開催された。SIGGRAPH はACM に属する一つの研究会であり、CG(Computer Graphics)やInteractive 技術に関する国際会議であり、最新のVirtual Reality やMultimedia に関する最新の試みなどが発表される。このSIGGRAPH のコンセプトは、まさに芸術科学会の目指す、アートとテクノロジの融合であり、かつ会員の多くが、会場で見かけることができた。まさにSIGGRAPHは、当学会の会員においても最も重要な国際会議であると言える。そこで、今年より、できれば、毎年、本論文誌を利用して、その報告を行いたいと考えている。なお、本論文誌には、東工大の高橋 裕樹先生により、論文の概要の報告(1)がなされるので、ここでは、おもに、エレクトロニクスシアターを中心としたSIGGRAPH2002 の報告を行うことにする。なお、SIGGRAPHは、1週間にわたり、並行して多くの行事が開催されるので、一人での報告は、困難であると言える。多少の観点の違いがあってもお許し願いたい。
著者
松本 美保 横井 茂樹 安田 孝美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.125-131, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

In Japan, there are currently more than 600 academic societies and most of these societies do not have their respective websites developed by professional web-masters. In many instances, there is a lack of clearly understandable information architecture and methods of website design are generally weak. In recent years, a number of useful web-developing software applications have been simplified and many complicated tasks cannot be completed without the expertise of system engineers. The authors attempted to conduct a research on many academic societies relative to how these societies deal with information architecture and related design methods. We have developed a model website and have proposed an ideal website prototype so that members of other academic societies may explore the model in the developments of their own websites in accordance with their own needs.
著者
茅 暁陽 長坂 好恭 山本 茂文 今宮 淳美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.147-159, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
24
被引用文献数
4 2

本論文は,流れ場の可視化手法として近年注目されているLIC(Line Integral Convolution)法を利用し,2 次元画像を自動的に鉛筆画に変換する手法を提案する.LIC 法では,流線上に定義されているローパスフィルタを用いてホワイトノイズを畳み込む処理を行うため,出力画像には明るさにばらつきをもった線状の軌跡が見える.このような軌跡で鉛筆のストロークを近似し,入力画像のトーンにマッチしたホワイトノイズとストロークの方向を表すベクトル場にLIC 法を適用することで鉛筆画を生成する.従来のCG による鉛筆画の表現法は,個々のストロークをポリラインという幾何学的プリミティブを用いて表現するため,複雑なデータ構造が必要な上に,トーンのマッチングやクリッピング処理などにも多くの時間を要していた.それに比べて提案手法は,簡単なフィルタリング処理を施すだけで入力画像にマッチしたトーンをもった鉛筆画を生成することができる.本論文ではさらに,入力画像のテクスチャをより自然に表すためのストローク方向決定法も併せて提案する.
著者
高橋 裕樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.182-199, 2002 (Released:2008-07-30)

SIGGRAPHは,CG(Computer Graphics)とInteractive Technologyに関する国際会議である.今年は,7月21日から26日までの6日間に渡りアメリカ合衆国テキサス州 San AntonioのConvention Centerで行われた.本論文では,SIGGRAPH&prime2002で発表された論文全67件を概説する.

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著者
渡邊 淳司 Maria Adriana Verdaasdonk cell/66b
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.160-162, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
12

cell/66b はモノクロの単純な幾何図形の映像とリズムを作り出すためだけの音をダンスに付与し,ステージを構成してきた。これは表現という行為において観察者のイメージ,価値観を想起させるための最小限かつ本質的な部分を抽出した結果である.舞台に多くの複雑な情報を付与できるようになった現在において,敢えてモノクロの幾何図形の映像及びリズム音のみの音楽を使用することによって,パフォーミングアートにおける身体と映像&bull音楽の関係性を問い直している.
著者
菊池 司 Arif Affendi Bin Jamal 岡崎 章
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.167-175, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
7

近年の急速なコンピュータの性能向上と低価格化に伴い,コンピュータは広く一般の人々に普及し,多くの人々がコンピュータを使用したアート作品,およびコンピュータ・グラフィクス作品を自分の手によって制作でき,また,日常的に目にする機会も多い状況となっている.しかしながら,コンピュータ・グラフィクス作品の多くは,技術的・映像的な話題が中心になることが多く,その作品全体を見つめる視点に欠けている傾向がある.そこで本研究制作では,イスラム文化を代表するカリグラフィーを題材とし,2 次元平面で描かれるものであるカリグラフィーを,3 次元コンピュータ・グラフィクスを利用することにより仮想3 次元空間で表現し,カリグラフィーのさらなる表現力の可能性を探ること,さらにはコンピュータ・グラフィクス作品の中においてイスラムの文化を表現し,作品全体を通して文化的な視点に立った作品を制作することを目的とする.これにより,3 次元化され,さらには動きが付加された,新しいカリグラフィー作品を制作できたことを示す.
著者
松尾 高弘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.163-166, 2002 (Released:2008-07-30)

メディアアート作品「trails world」は、美しい軌跡の世界をインタラクティブに描き出すことができるインスタレーション作品である。体験者は、インターフェイスとなるペン型のデバイスで、それぞれ異なった芸術的特徴を持つ軌跡のテーマと描画色を決定し、映像が映し出されたテーブルに対し描画操作を行う。描かれた軌跡は、テーマによって異なるインタラクティブCGの動きと、それらを演出するサウンドを伴って、様々な形態や色彩を持った軌跡の世界を構成する。描画過程において体験者は幻想的な美の世界に引き込まれてゆく。
著者
長 篤志 原田 哲也 木下 武志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.85-88, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4

物体毎に異なる視点や投影法で描画された3 次元コンピュータ•グラフィックス(以下,多視点画像)を,効率的に生成するためのコンセプトと画像描画処理の手順を提案する.従来の3次元コンピュータ・グラフィックス制作用ソフトウェア(以下,ソフトウェア)へ,容易に多視点画像生成機能が追加できるようコンセプトを定めた.各物体には従来のソフトウェアには無かった「多視点パラメータ」群が設定される.提案された画像描画処理の手順を使用すれば,多視点パラメータ群を操作することにより,通常の透視投影の画像に近い画像から連続性を保ちつつ多様な多視点画像を生成できることがわかった.提案手法は多視点画像を生成するための便利で効果的な方法であるといえる.
著者
新川 貴詩 寺島 信義
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.111-116, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
6

現代美術作品を立体映像で撮像するにあたり、作品の形式や傾向によっては、既存のコンテンツ制作技術では十分に対応できないこともある。たとえば、現代美術のひとつの傾向に、「サイトスペシフィック・アート」「アースワーク」などと称される、大地や野原、都市の路上などの景観を重要視して作品を設置する作品形式がある。既存の立体映像コンテンツはパンフォーカスで撮像されるケースが大半を占めるが、この撮像手法は、そのような美術作品に対しても有効なのか。あるいは、その種の作品は、作品(近景)と風景(中・遠景)とのバランスをどのような焦点および被写界深度で撮像するのが適切なのか。そこで主観評価実験を行ったところ、パンフォーカスという撮像手法は必ずしも妥当ではないと示唆された。