著者
西浦 郁絵 松浦 由紀子 田嶋 憲子 平田 雅子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
no.22, pp.49-54, 2003-03
被引用文献数
1

消毒は感染防止に不可欠であり,日常の臨床場面においても様々な場面で消毒薬が使用されている。消毒薬にはそれぞれ特性があり消毒用エタノールでは,そのほとんどがアルコールであるため揮発によるアルコール濃度の低下が起こる。保管による濃度低下を明らかにする実験は最近よく見られている。しかし実際の使用場面においてアルコール濃度の変化を調べたものは見あたらなかった。そこで使用場面に焦点をあて,消毒用エタノール綿の濃度低下が経時的にどのように起こるかを実験であきらかにした。実験の結果アルコールの揮発は精製水の2〜3倍の速度で起こっており,実験条件下において容器に保管せず露出しておいた消毒用エタノール綿では,有効濃度である65.8v/v%を35分で下回ることが明らかになり,何らかの行為に伴い気流を受けることで,さらにその濃度の低下が加速されることが確認された。消毒用エタノールの有効濃度を適正に保ち使用するためにその保管のみでなく,使用時においても露出による揮発と濃度低下を認識し,適正な消毒用エタノール綿の取り扱いが必要である。
著者
小倉 嘉夫 倉恒 康一 中司 健一 長村 祥知 西田 友広 目次 謙一
出版者
大阪青山大学『大阪青山大学紀要』編集委員会
雑誌
大阪青山大学紀要 = Journal of Osaka Aoyama University (ISSN:18833543)
巻号頁・発行日
no.11, pp.19-40, 2019-03-31

In this paper, we introduce the Documents of the Yoshimi Family in the Collection of Osaka Aoyama Museum of History and Literature. The Yoshimi Family ruled Tsuwano, Iwami Province, on the Japan Sea coast, in medieval Japan. We reproduced 49 documents of the Yoshimi Family and one related document.
著者
名取 琢自
出版者
京都文教大学
雑誌
人間学研究 : 京都文教大学人間学研究所紀要 = Human studies : bulletin of Institute for Cultural and Human Research, Kyoto Bunkyo University (ISSN:18843735)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.103-114, 2006

人形浄瑠璃とセルアニメに関する深層心理学的考察の端緒として、ユング心理学における「リビドーの投影」を手がかりに、人形やアニメのロボットがどのような投影を引き受けたのか考察を試みた。リビドー表現の例としてマンガの超能力表現が非定型のエネルギーから人間型に展開した作品を紹介した。人形への投影はインドネシアのワヤン・クリも参照して検討し、人形浄瑠璃とロボットアニメの特性を比較した。
著者
菅野 敦
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.110-116, 2009-08

本稿では,ダウン症候群を対象に,彼らの知的機能の特性に関して生涯発達の視点から,1・加齢に伴う変化及び,2・その特性を明らかにすることを目的にした.その結果,ダウン症候群は他の原因による知的障害や自閉症と比較して精神年齢(MA)の分散が小さいこと,また,30歳台をピークにして変化が生じ,40歳台後半には有意に低くなることを明らかにした.あわせて,通過容易項目と通過困難項目の分析から,MA4歳台を変換点として,知的機能の特性に質的な違いのあることが推測された.知的クラスターによる分析から,「知覚—運動」は最も早く加齢の影響を受け10歳台後半から20歳台に著しく低下する能力であった.「物の名称の理解と表出」,「比較判断」,「数概念」は比較的高齢まで保つ能力で30歳台を過ぎて低下が示された.一方,先行研究からもダウン症候群においては困難であると報告されている「短期記憶」と高度の言語操作を要する「物の概念的理解と表現」,「文章の理解と類推」は加齢に伴い著しい低下が示される能力であった.最後に,知的障害の生涯発達研究の課題を整理した.
著者
鈴木 晃志郎 于 燕楠
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.55-73, 2020
被引用文献数
3

<p>今日の地理学において,幽霊や妖怪を含む怪異は,専ら民俗学的な手法に依拠して検討されている.しかし隣接分野では,定量的な手法に基づいた知見が数多く存在し,客観性と厳密性を確保することによって学術的信頼性を高める試みが多くなされている.そこで本研究は富山県を対象とし,今からおよそ100年前(大正時代)の地元紙に連載された怪異譚と,ウェブ上に書き込まれた現代の怪異に関するうわさを内容分析し,(1) 怪異を類型化して出現頻度の有意差検定を行うとともに,(2) カーネル推定(検索半径8 km,出力セルサイズ300 m)とラスタ演算による差分の算出により,怪異の出没地点の時代変化を解析した.その結果,現代の怪異は大正時代に比して種類が画一化され,可視性が失われ,生活圏から離れた山間部に退いていることが示された.</p>
著者
野部 了衆
出版者
岐阜聖徳学園大学
雑誌
岐阜聖徳学園大学短期大学部紀要 (ISSN:13447246)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-43, 2001-03-31

This paper has attempted a study of Bhasa's works of Indian Sanskrit Literature. Urbhanga, a short drama of one act, regarding an incident from the story of Mahabharata, contains some very interesting elements for us. This study attempts to comprehend the culture of the time, e. g. spiritual problems, through this drama. A Japanese translation of the drama and related articles has been prepared and discussed.
著者
小林 信一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.247-260, 1992-10-15
被引用文献数
7

本論文は、若者の科学技術離れの問題の文化的、社会的背景を明らかにしようとするものである。オルテガは「科学技術文明が高度に発達すると、かえって科学技術を志向する若者が減る事態が発生する」と議論した。これが今日の我が国でも成立するか、成立するとすればそれはどのようなメカニズムによるのかを実証的に検討することが本論文の目的である。このために、まずオルテガの議論を、科学技術と文化・社会の連関モデルとして実証可能な形に定式化した。これを実証するために、世論調査や高校生を対象とする意識調査のデータをログリニア・モデルなどの統計的な連関分析手法で注意深く分析した。その結果、オルテガの仮説は今日の我が国でも概ね成立することが明らかになった。また、短期的な実証分析の結果を外挿的なシュミレーションによって超長期に展開する工夫を施し、その結果がオルテガの文明論的な議論と整合的であることを確認した。分析結果は、オルテガの指摘した逆説的事態は必然的に発生するものであることを示している。
著者
名波 弘彰
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文芸言語研究 文芸篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
no.45, pp.220-142, 2004

本稿の筆者は、前稿「延慶本平家物語の「青侍の夢」の生成と流通(1)」で(1)「青侍の夢」の諸神集会の場の議定というシチュエーションは、叡山天台宗教圏の鎮護国家イデオロギーを支える二所宗廟信仰の表出 ...
著者
小川 剛生
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田國文 (ISSN:02879204)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.25-34, 1995-06-30

一 「揚名介」の実態二 中世摂関家に於ける「揚名介」説三 徐目執筆と「揚名介」四 『原中最秘抄』と三条西家旧蔵『揚名介勘文写』の関係五 結語 : 良基の「揚名介」説