著者
鯖田 秀樹
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.147-154, 2000-01

言語に関する諸現象のなかには自然現象と似ているものが数多く見出される。そのような現象の解明,解釈には単に歴史的いきさつを考察したり,他言語との比較つまり比較言語学的考察のみにたよるより,自然現象の解明に用いられる手法による方が分かりやすい場合がある。逆に自然現象の解明,理解に言語現象との類推を用いることができる。この論文(I)では前者について2,3の試みをしている。冠詞の生成に関する考察から近未来において日本語にも冠詞が現出する可能性が考えられることが述べられている。ついで,イタリア語の名詞の語尾に関して,組合わせの考えからa, e, i, oが使われることを示し,歴史的いきさつがあるにしろ,現在の形をとらざるを得ないことを示している。自然現象の理解に言語の現象がヒントになること等の考察は論文(II)に述べられる。There are many linguistic phenomena which have common properties with phenomena in Nature. Usually, one uses the methods of comparative linguistics to clarify these phenomena or studies them from the historical point of view. But, it is better to study them with the scientific methods in some cases. Conversely, we can use analogy between linguistics and natural science to investigate phenomena in Nature. We try to study the former case in this short article (I). From the historical investigations of appearance of articles we may say that there will also appear the words, 'articles' in Japanese language. Next, for the declension of noun in Italian language it is shown from the combinatorial analysis that four cardinal vowels, a, e, i, o, can be used as present forms. Apart from the historical details it is only mathematical fact. The case where methods to study linguistic phenomena help us to investigate phenomena in Nature will be treated in the paper II.
著者
八塚 春名
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.92, pp.27-41, 2017-12-31 (Released:2018-12-31)
参考文献数
22

タンザニア北部に居住するハッザの狩猟採集生活は,1990年代以降,観光の対象になってきた。観光客はハッザの居住キャンプを訪れ,ハッザと狩猟に行き,射的やダンスを体験し,手作りのみやげものを購入する。ハッザは,入村料と個人のみやげものの売り上げという2種類の収入を得る。本稿では,ハッザが観光とどのように付き合っているのかを考察するために,他民族との関係,個人の移動,みやげもの販売に伴う収入の個人差の3点に焦点を当てて,観光を含むハッザの生活を包括的に分析する。ハッザに関する先行研究のなかで,観光はハッザに対してネガティブな影響をもたらすものだと評価されてきた。しかし本稿では,観光収入によって他民族とのあいだに新しい関係性がつくられていること,個人が頻繁な移動を広域に繰り返すことによって,観光への接続や観光からの離脱を自由に選択していること,みやげものの売り上げには個人差が生じているが,収入の多くは酒のような消えモノの購入に使われ,居合わせる全員で消費されていることが明らかになった。ハッザは観光に対して過度な期待をしておらず,観光は複数ある生計手段の選択肢のひとつとして捉える態度こそ,ハッザの観光との関わりの根幹をなすと考察した。
著者
森本 吉春 松井 徹 藤垣 元治
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SIG5(CVIM13), pp.10-19, 2006-03-15

形状や変形を計測する方法はすでに多くの方法が開発されているが,高速・高精度で計測できるものは少ない.ここでは各種光学的方法により得られた投影格子や縞画像の位相を利用した方法を紹介する.とくに,3~4枚の画像から矩形波格子や余弦波格子の位相分布が連続的に計測できる積分型位相シフト法,位相シフトした多数の画像の各点の輝度のフーリエ変換により高精度に位相を解析できるフーリエ変換位相シフト法,複数の基準板を用いた高精度形状計測法,位相シフトデジタルホログラフィ干渉法を用いた変位計測法は実時間で計測したり,計算時間が少しかかっても高精度に解析したりすることができる.ここでは著者らが主として開発した計測方法の原理とその適用例を示す.
著者
森本 吉春
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.4(2004-CVIM-147), pp.139-146, 2005-01-21

形状や変形を計測する方法はすでに多くの方法が開発されているが,高速・高精度計測できるものは少ない.ここでは各種光学的方法により得られた投影格子や縞画像の位相を利用した方法を紹介する.とくに,3~4枚の画像から矩形波格子や余弦波格子の位相分布が連続的に計測できる積分型位相シフト法,位相シフトした多数の画像の各点の輝度のフーリエ変換により高精度に位相を解析できるフーリエ変換位相シフト法,複数の基準板を用いた高精度形状計測法,位相シフトデジタルホログラフィ干渉法を用いた変位計測法は実時間で計測できたり,計算時間が少しかかっても高精度に解析することができる.これらの計測の原理とその適用例を示す.
著者
中堀 亮一 下稲葉 順一 吉田 晋 下稲葉 康之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.521-525, 2017 (Released:2017-05-30)
参考文献数
11

【緒言】リドカインは末梢神経に対し興奮抑制作用を示すことで鎮痛効果を発揮する.とくに神経障害性疼痛を主体とした難治性疼痛やモルヒネ不耐症に対する疼痛マネジメントにおいて有効である.【症例】51歳,女性.終末期の食道がんに起因する難治性疼痛が持続し,オピオイド増量による効果も乏しく,副作用の出現が目立っていた.疼痛に対しリドカイン持続静脈内投与を開始(150 mg/日)したところ,徐々に疼痛は軽減しオピオイドも減量することが可能となった.リドカインによる副作用はみられなかった.【結論】終末期の難治性疼痛およびモルヒネ不耐性を示す患者に対するリドカイン持続静脈内投与は,疼痛マネジメントとして有効であることが示唆された.
著者
菅 博人 宮地 利明 櫻井 亮介 笠井 治昌 川野 誠 依光 里沙 北中 章博 三平 佐弓
出版者
医用画像情報学会
雑誌
医用画像情報学会雑誌 (ISSN:09101543)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.79-82, 2011 (Released:2011-10-18)
参考文献数
11

Fast spin echo(FSE)sequence has been widely recognized that the contrast of T2 weighted image was affected by multi-refocusing pulses. The contrasts have never been investigated in case of echo space(ES)below 20msec although magnetic resonance imaging(MRI)developed such that the ES of multi-refocusing pulses could set at 5msec. To evaluate the contrasts of fat with short ES, we determined the signal intensities of the brain tissues and bottle phantom which consists of lard, water and bean oil. The signal intensities of all regions increased with decreasing echo spaces, due to the decoupling of J-coupling, excepting water signal intensity. In addition, the contrasts between the white matter and each region decreased with decreasing ES until 10ms and, however, did not change with decreasing ES over 10ms. The contrast between white and gray matter is also discussed. It is concluded that the contrast does not change in case of the echo space below 10ms.
出版者
ほるぷ出版
巻号頁・発行日
vol.9, no.8, 1927-08
著者
服部 浩
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.1283-1290, 1999-12-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
20

The primary goal of this study was to verify the incidence and degree of hearing deterioration of JBSNDUE with a prospective long-term clinical follow-up.Of 173 JBSNDUE cases, 54 were followed up untill their ages reached 25-39 (average 30.7) years. In 23 cases (42.6%) hearing deterioration was confirmed. In 16 cases, discrimination scores for nonsense syllables were as low as 0%.The criteria of the “deterioration” of pure tones were irreversible average hearing level greater than 15dB at three adjoining frequencies between 0.25 and 4kHz.Except 25 of 173 cases, either binaural or monaural amplification was used. However, the incidence of hearing deterioration showed no significant difference between aided and unaided ears.The clinical features of JBSNDUE were summerized.The communication ability of those with deteriorated hearing was discussed.
著者
久保 栞 全 邦釘 伊藤 克雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.87-96, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
24

高度経済成長期に建設されたインフラ構造物の老朽化に伴い,膨大な維持管理コストが必要となっている.導水路トンネルにおいては,大型機械の投入が困難である点や点検時に断水を伴う点を鑑み,AI技術を活用した維持管理の効率化が望まれる.本研究では,そのような状況を考慮し,トンネル内壁面における変状箇所やその状態を効率よく把握することを目的として,YOLOv5を用いたチョーキング箇所の検出を行った.その結果,データ数が多く,チョーキング箇所が明瞭である場合には,高精度で検出可能であることを確認した.さらに,IoUが低い場合であっても,チョーキング箇所の一部を捉えられているため,検出結果から劣化状況やその分布を把握することで,劣化原因の究明や劣化状況に合わせた補修計画の立案が可能となろう.