著者
濱田 真由美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.5_749-5_761, 2022-01-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
33

目的:日本国内全国紙版の看護系学術誌に発表された論文から「母乳育児」を構築している言説を探求する。方法:92文献について言説分析を行った。結果:主要な言説として規範性と不確実性が示された。規範性には,母乳育児が社会にとっても母子にとっても優れた栄養法であるとする【良いもの】,母乳育児と「良い母親」を結合する【母親の規範】,母乳育児推進を医療者の義務とする【専門家の規範】が含まれた。一方,不確実性には,母乳育児が母親を破綻させかねない【リスク】,母乳育児の成否や支援方法を裏付ける根拠の【曖昧さ】が含まれた。なかでも,【母親の規範】【専門家の規範】【リスク】は5割以上の頻度で出現した。結論:医療者は母乳育児に付随する母親への偏った見方がないか内省するとともに,母乳育児の不確実性と対峙し,「母乳か人工乳か」の単純な二項対立を乗り越えて授乳支援の知を開発していく必要があると考えられた。
著者
河部 誠一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.59_2-59_2, 2016

<p> バレーボールのトップレベルでは、イタリア、データプロジェクト社が開発したバレーボールの情報収集・統計分析ソフト、「データバレー」が広く使われている。データバレーの特徴は、高い統計分析力に加え、最新バージョンでデータバレーに統合される予定の「データビデオ」というソフトのビデオ分析機能が、統計分析とリンクされている点にある。もともと試合に勝つための「戦術ツール」として開発され、対戦相手を分析する目的で使われ続けてきた。野球やアメリカンフットボールのようにゲームに中断が存在するバレーボールにおいても、データは勝利にそった適切な分析がなされ、それが選手の適切な判断支援につながれば、勝率を高める有力な手段となりうる。また、選手自身が能動的にデータやビデオを確認する意識の高さがチームの強さのバロメータの一つとなってきている。そのため、トップレベルのチームでは、自チームの練習や練習試合をデータバレーで分析し、選手やチームの課題抽出や強化計画へのフィードバックを目的とした「強化ツール」、さらには選手のゲームインテリジェンスと意識を高めるための「育成ツール」としての役割が注目されるようになってきている。</p>
著者
大津 友美
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.194-204, 2005-09-30 (Released:2017-04-29)

会話参加者たちは雑談を盛り上げるためにおもしろく話をしようとする.おもしろく語るための方法にはさまざまなものがあるが,その一つに,他人のことばを引用する際の直接話法の使用がある.しかし先行研究において,その現象に関しては言及するにとどまっており,その使用実態については明らかにされていない.そこで本稿では,ナラティブに注目して,20代の女性が親しい友人同士で行う雑談を分析する.そして会話参加者がどのように登場人物のことばを提示し,ドラマ作りをしているのかについて論じる.臨場感あるドラマ作りのために,会話参加者は韻律を操作することによって登場人物を演じ分け,談話構成によって相手に伝えたいメッセージを際立たせているということが分かった.さらに会話参加者のドラマ作りへの参加形態には(1)聞き手がドラマの観客として話し手を支援する場合と,(2)会話参加者双方が協力してドラマを共作する場合があるということが分かった.
著者
石川 淑 田中 飛鳥 宮崎 敏明
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1167-1176, 2014-03-15

Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)は最も有名なシーケンスアライメントツールの1つである.シーケンスアライメントとはタンパク質(またはDNA)データベースから検索対象となるタンパク質(またはDNA)配列を列挙することであり,配列どうしの類似部分検索のために使用される.シーケンスアライメントは,生物学上の進化や遺伝子系図を調べるうえで重要であることから,バイオインフォマティクス分野では欠かせない情報である.そのため,従来からハードウェアを用いて,BLASTを高速化する試みがなされてきた.BLASTは前処理,seeding,ungapped extension,gapped extension,traceback処理から構成される.従来のハードウェア化は,gapped extension処理が中心であり,他の部分は,ホストマシン上で処理される形態であった.本論文では,前処理,traceback処理を含むすべてのBLAST処理をハードウェア化し,ホストマシン上のソフトウェア処理との処理速度のアンバランスを解消することによりBLAST全体の高速化を行う.提案回路を廉価なFPGA(Field Programmable Gate Array)に実装した結果,ソフトウェア実装に比べ約790倍の高速化を達成した.また,gapped extension処理とtraceback処理に対してさらなる高速化手法を提案し,840倍以上の高速化を実現した.

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著者
岩波書店
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, 1988-05
著者
小酒井 亮太
出版者
名古屋市立大学
巻号頁・発行日
2016-03-25

平成27年度
著者
槇原 絵里奈 池田 太郎 小野 景子 新濱 遼大
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.742-751, 2022-03-15

オンラインジャッジシステムには多くの問題が収録されており,これらをプログラミング学習におけるアルゴリズムの自学自習支援として活用することで,教員の問題作成コストをへらすことができる.一方,学生が主体的に自身のプログラミング能力に適した問題を選択することは困難であり,最適な問題自動選択手法が望まれている.本論文では,オンラインジャッジシステムにおけるユーザの解答履歴に着目し,解答履歴,解答の正誤を深層学習モデルあるLong Short Term Memory(LSTM)により学習し,問題間の関係に基づいた問題推薦が可能な手法を提案する.オンラインジャッジシステムであるCodeforcesの実データを対象に提案法の性能を検証し,ユーザの解答履歴の高い推定性能を確認した.また,遷移の可視化により,難易度の高い問題へ遷移するための最短な問題経路や,様々な種類の問題へ着手できる核となる問題を明らかにした.
著者
小倉 進平
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1941, no.7-8, pp.1-16, 1941-04-30 (Released:2010-11-26)
参考文献数
3
著者
池口 豪泉
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.119, no.2, pp.153-163, 2007-09-03 (Released:2008-07-04)
参考文献数
35
被引用文献数
1

The purpose of this study is to analyze the background factors relating to opinions on organ donation through factorial and structural comparisons between Japanese and Americans. The data were obtained from responses to a questionnaire (371 Japanese and 41 Americans).The main findings are as follows:1. Most of the factors, ‘a will for organ donation depending on a recipient’, ‘view of remains’, ‘understanding of brain death’ and so on showed significant differences between Japanese and Americans.2. Japanese had a better understanding of brain death. On the other hand, the ratio of Americans who were willing to donate an organ was higher than that of Japanese.3. It was revealed that “the approval of organ donation for the third person, not only for one's family” had an impact for having donor card showing the approval for organ donation. Furthermore, as underlying factors generating differences on organ transplant opinions, differences were found among Japanese between “approval of organ transplant” and the attitude assuming that oneself or a member of one's family was the person concerned with organ transplantation. There were also differences between Japanese and Americans on ideas about a view for life and death such as soul existence or view of remains.The argument for transplantation in Japan should consider these structural differences.
著者
森本 有紀 鶴野 玲治 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.348-356, 2014-07-30 (Released:2015-11-06)
参考文献数
21

本稿では,布の織り構造や糸・染料の要素に基づいて物理的に染色をシミュレーションする手法を提案する.本手法では横糸と縦糸の上下2層のセルを用いた布モデル内において,Fickの第2法則に基づき,染料の拡散を表現する.拡散係数は染色物理の理論に基づいて布繊維の多孔度や拡散経路の屈曲率などの染料や布のパラメータから算出し,布の織構造の違いや拡散の異方性などによる染色の特徴を表現する.染料の繊維への吸着には吸着等温式を考慮するモデルを提案する.また,簡単な染色技法を考慮するために,染料の拡散を防ぐ防染技法のシミュレーションを行う.結果画像からは本手法により染色独特の多くの特徴を表現できることがわかる.
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.58-63, 2012-12

共立メンテナンスが約50カ所展開するビジネスホテル「ドーミーイン」は2012年7月、サービス産業生産性協議会の顧客満足度調査*でビジネスホテル部門第1位を初めて獲得した。 高い満足度を象徴する存在が、2010年5月にオープンした「ドーミーインプレミアム京都駅前」だ。同ホテルの開業直前に味わった大きな挫折から立ち直った副支配人が奮闘し、2つの施策を推進した。
著者
秋葉 文雄 谷村 好洋 大井 剛志 石浜 佐栄子 松本 良
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.130-139, 2014 (Released:2016-07-15)
参考文献数
31
被引用文献数
5 3

Eight diatom zones are recognized for the uppermost Quaternary piston cores from the Joetsu Basin of the eastern margin of the Japan Sea recovered by a methane hydrate cruise, MD179. They are primarily based on the occurrences of a warm-water marker diatom Fragilariopsis doliolus and a cold-water one Thalassiosira hyperborea and secondarily on that of a new cold-water one Thalassionema umitakae n. sp., and represent major changes of surface water of the Japan Sea. In addition, very fluctuating occurrences of diatom-derived black grains, which might be a proxy of stagnant condition of the sea bottom, first observed in horizons mostly where dark thinly laminated layers are recognized. Because both the diatom zonal subdivision and the occurrence of black grains correlate very well to those of the marine isotope stages, MIS1 through MIS5e recognized by Ishihama et al. (2014) in the same cores examined, it is obvious that they reflect major paleoceanographic changes of the Japan Sea induced by global glacial and interglacial cycles over the last 130 ka. Thalassionema umitakae n. sp. is described in Appendix.