著者
冨田 幸祐
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.73_2, 2019

<p> 本研究は1988年第24回夏季オリンピック大会の名古屋招致について、その活動の展開及び大会構想に関する基礎的検討を行う。1977年8月に浮上した名古屋招致構想は、当初名古屋市、愛知県、愛知県体育協会によって検討が行われた。1978年になると、より多くの関係者を包含したオリンピック問題協議会が設立され、一般市民への周知や関係各所との調整、大会構想について協議が重ねられた。一方で、開催に伴う財政的な負担や県や市主導の招致活動に対して一般市民による反対運動も展開される。だが名古屋招致構想は1980年11月に日本政府から閣議了解を得て、同月IOCに対し1988年第24回夏季大会の立候補を申請し、1981年1月には名古屋オリンピック招致委員会が設置された。1988年夏季大会には他にもソウルとメルボルンが立候補したが、メルボルンが辞退しソウルとの一騎打ちとなる。メルボルンを最大のライバルと考えていた名古屋であったが、1981年9月の第84次IOC総会での投票はソウルが52票、名古屋が27票であった。1988年夏季大会はソウルが開催地として選ばれ、名古屋は落選したのであった。</p>
著者
三浦 和己
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.61-66, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

映画の製作及び流通の過程においては,情報量やフォーマットの違い,使用目的に応じた特性の違いによって,様々なバリエーションのデータが生成される。同様にこれらのデータを保存するメディアも,バックアップを目的として用途に応じた複数の種類が生成される。デジタル映画の保存を目的としたデータベースを考える上で,これら様々なバリエーションのデータとメディアをどのように分類し,管理するかが重要なポイントとなる。本稿では,この分類上の考え方を中心に,データベースの構成,項目について,国立映画アーカイブで検討中の方針を具体例として挙げ,紹介する。
著者
宮原 俊之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.55-60, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

オンライン授業が多くの大学で行われるようになり,動画の教育利用は大きく取り上げられることになったが,単に動画を使うことだけでは学習効果が得られるかはわからない。動画をあくまで教育手段の一つと捉え,動画を含めた授業コンテンツを独り立ちさせることによって,オンライン授業における学習効果は期待できる。誌面の関係もあり,本稿では,オンライン授業の「動画」を作成する際に考えたいこと留意したいことを中心に,授業設計の手順から動画作成のポイントまでを順にまとめたほか,運用に際しては組織的な支援が求められることについても触れている。
著者
永田 正樹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.49-54, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

静岡大学では2013年より動画配信ポータルサイト「静岡大学テレビジョン(SUTV)」を運用している。静岡大学テレビジョンの目的は,学部や研究,大学行事,サークル活動などを,動画を用いて配信し,大学の広報力を向上することである。昨今,動画は広報媒体として重要かつ効果の高い手段である。本稿では,静岡大学テレビジョン運用によるこれまでの研究を概説し,動画を用いた大学広報に対して効果的な知見や手法を紹介する。
著者
辻 泰明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.38-43, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

インターネット動画が興隆し,テレビに代わって映像メディアの首座に就きつつある。動画が有する特性の根幹は双方向性にある。この特性は,個人による全世界への映像コンテンツ発信を可能にし,ビデオブログ,ゲーム実況など,新たなジャンルを産み出した。また,映像による日常のコミュニケーションが促進される一方,決定的瞬間をとらえた動画が容易に拡散されるようになり,社会にさまざまな影響を与えている。動画は,送り手にとっても受け手の情報を得られるという利点をもたらす。視聴者データの分析による内容の改善,役割に応じたコンテンツの作り分けと配置などといった編成の工夫により,動画の特性を十全に発揮した活用が可能である。
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.37, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)

情報伝達媒体としての動画を考えてみると,文字情報に比べて大量の情報を一度に伝えることができたり,編集による表現の幅が広いため,発信者のメッセージをより効果的に受け手に伝えることができます。その特性から,娯楽や広告での利用はもちろんのこと,業務研修や講義配信なども行われてきました。大学では,従来より広報のために動画が利用されてきたほか,特にCovid-19の流行以降は講義を動画で配信するなど,動画活用の動きは加速しています。そこで今月号では,動画を活用する上で必要な基礎知識から,実際の利活用事例を紹介し,動画の活用を促すための特集を企画しました。まずは辻泰明氏(筑波大学)に動画の特性や普及状況を整理した上で,社会に与える影響や活用の方向性について広く論じていただきました。その後,斎賀和彦氏(駿河台大学)に動画を作成する上での基礎知識を整理していただきました。実際の動画作成フローを元に,各ステップで非常に実用的なアドバイスをいただいております。これらを基礎的な知識としてインプットした上で,より理解を深めていくため,永田正樹氏(静岡大学)及び宮原俊之氏(帝京大学)に,特に大学での動画作成の目的となる広報と教育の観点から,どのような動画が良いと考えられるか,ご執筆いただきました。最後に,動画の効率的な管理方法について考えるため,三浦和己氏(国立映画アーカイブ)に国立映画アーカイブが動画管理に用いているデータベースについて,どのようにデータを管理しているのかを中心にご紹介いただきました。本特集を,皆様の所属機関での動画作成にお役立て頂けますと大変嬉しく存じます。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),池田貴儀,中川紗央里,長谷川智史)
著者
宇都宮 高賢 柴田 興彦 菊田 信一 堀地 義広 河野 豊一 八尾 隆史
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.251-258, 2006 (Released:2009-06-05)
参考文献数
18
被引用文献数
4 4

痔核組織に認められる肛門腺(男性22人,女性20人)と痔瘻瘻管内に見られる肛門腺(男性30人,女性7人)の組織学的特徴と男女間の比較検討を行い,その意義について検討した.痔核組織内肛門腺は,導管直走型,下行性が多く,管壁は移行上皮に被覆され,男性は円柱上皮を併存する症例が多かった.管壁の厚さ,外径,内径の男女差はなく,Herrmann線からの距離肛門腺の長さにも違いはなかった.痔瘻瘻管内の肛門腺は,円柱上皮より成るものが男性で多く,女性では扁平上皮化生した肛門腺の割合が多かった.管壁の厚さ,外径は男女差はないものの,管腔内径は男性が有意に広かった.粘液産生能は女性に陰性例が多く,扁平上皮化生した部位では粘液産生はなかった.肛門腺の感染の要因には,管壁が円柱上皮で被覆され,管腔の内径が広くなることであり,感染が消退するには,扁平上皮化生し,管腔が閉鎖する事と考えられた.
著者
加藤 文子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.251, 2014 (Released:2016-04-19)
参考文献数
3

一般用医薬品(OTC薬)の副作用は年間250症例前後報告されている.中でも総合感冒剤,解熱鎮痛消炎剤が上位を占め,アナフィラキシーショック,肝機能障害,スティーブンス・ジョンソン症候群等の重篤な症例や死亡に至る症例も報告されている.今回,OTC薬の総合感冒剤や解熱鎮痛消炎剤にも用いられている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)により,血管や上部消化管合併症リスクが増加する結果を示した報告について紹介したい.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No. 293, Aug. (2012).2) Coxib and traditional NSAID Trialists' (CNT) Collaboration, Lancet, 382, 769-779 (2013).3) U.S. Food and Drug Administration, news release, Aug. (2013).
著者
作山 巧
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.206-211, 2016

<p>This paper aims to verify whether Japan's commitments in the Trans-Pacific Partnership Agreement are consistent with the Liberal Democratic Party's manifesto and the Diet resolutions. The former is defined as a request to exempt any agricultural product from tariff elimination, while the latter to exempt all five sensitive agricultural products from any commitment. The paper concludes from an analysis of Japan's tariff schedule that, whereas the manifesto is observed, the resolutions are not observed since the share of the five agricultural products exempted from any commitment is 26 and zero percent, respectively, based on a narrow and broad tariff classification.</p>
著者
羅 奇祥
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要 言語・文化・コミュニケーション (ISSN:09117229)
巻号頁・発行日
no.30, pp.119-138, 2003

改革開放(1978年12月)の始まりによって大陸の中国語に大量の新語が生まれた。その中の一部,例えば「人气」(人気)・「空港」(空港)などは日本語からのものである。本稿は筆者が集めた1979年から2002年まで大陸の中国語に入った日本語からの新語について,形・意味などによって分類した上で,選定の基準,入った経路・理由及び社会的背景,その特徴,また定着の度合などを論じるものである。
著者
Yihan Wang Yang Liu Jieting Liu Min Wang Yingbin Wang
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.27-33, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)
参考文献数
40
被引用文献数
1

This study aimed to explore the effect of curcumin and hydromorphone hydrochloride (HH) cotreatment on postoperative pain in rats. An incision + formaldehyde-induced pain rat model was established. Rats were treated with vehicle, curcumin, HH, or curcumin + HH. Paw mechanical withdrawal threshold and thermal withdrawal latency were measured at 1 d before surgery as well as 1 , 2 h, 1 , 3 , and 7 d after surgery to assess pain sensitivity. The L4-6 region of the spinal cord was collected from each rat at 2 h, 1 , 3 , and 7 d after surgery. Western blot analysis and immunohistochemical staining were carried out to detect the protein expression of pain-related genes. Quantitative real-time PCR and enzyme-linked immunosorbent assay were conducted to measure the expression and production of proinflammatory mediators. Compared with other groups, Curcumin + HH significantly reduced pain sensitivity in the model rats. Mechanistically, curcumin + HH suppressed protein expression of stromal cell-derived factor-1 (SDF-1), CXC chemokine receptor 4 (CXCR4), p-Akt, and c-fos while enhancing protein expression of nerve growth factor (NGF) in the dorsal root ganglia (DRG) of model rats. Curcumin + HH inhibited the expression and production of interleukin 1β (IL-1β), cyclooxygenase-2 (COX-2), tumor necrosis factor α (TNF-α), and p65 nuclear factor kappa B (NF-κB) in the DRG. Coadministration of curcumin and HH alleviates incision + formaldehyde-induced pain in rats, possibly by suppressing the SDF-1/CXCR4 pathway and the production of proinflammatory mediators. Our results provide curcumin and HH cotreatment as a promising therapeutic strategy in the management of postoperative pain.