著者
渡嘉敷 恭子
出版者
関西外国語大学
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.47-60, 2006

多くの日本語教師が文法書やテキストの文法説明に違和感を持った経験があるのではないだろうか。実際に日本語教育の文法説明と日本語の母語話者の認識との間にずれがあることも多い。本稿ではその一例として自動詞使役の被使役者を示す助詞の選択に焦点を当てた。(1) 文法書、テキストでの文法説明について調査してみると、「を」をとるとしか説明していないもの、「を」または「に」をとり、その意味の違いについて説明がないもの、自動詞使役では「を」または「に」をとり、「を」の場合は被使役者の意思に関わらず被使役者がその行為を行い、「に」の場合は被使役者の意思が尊重されて行為が行われるという解釈のものと、大きく分けて三種類の説明があることがわかった。日本語の母語話者を対象に行ったアンケート調査の結果、「に」と「を」の持つ「強制」「許容」のニュアンスの違いについて認識し、使い分けている日本語母語話者は少なく、助詞が重複しないように感覚的に助詞を選択していることがわかった。
著者
東 紀男
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.259-270, 1964-05-20 (Released:2010-07-09)
参考文献数
47
被引用文献数
11 6
著者
柴田 純子 津谷 浩子 山城 洋子 浪岡 佳奈子 岩川 正子 簾内 陽子 久保 達彦
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.186, 2008

I.はじめに<BR>昨年、全職員(臨時職員・委託業者を含む240名)に対し、救急担当医師によって一次救命処置(以下、BLS)の講習が開催され、積極的な学習の必要性を感じると同時に救急への意識が高まってきた。さらに、二次救命処置(以下、ACLS)の講習会が行われるなど救急対応が確実に行える事が求められてきた。今回、BLSからACLSと一貫した講習会を受けて看護師の意識の変化・知識の向上など講習会の効果にについて知り、継続的支援の方向性を見いだす事が出来たので報告する。<BR>II.研究方法<BR>1.研究対象:当院でBLS・ACLS講習会を1回受けた看護師121名(アシスタントは除く)<BR>2.研究期間:2007年4月~10月<BR>3.研究方法<BR>1)講習会受講した看護師121名に対し質問紙調査<BR> 2)質問紙調査はAHA心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン2005に準じBLSとACLSに関して各13項目とした<BR>4.データ分析 統計処理(エクセル)<BR> III.結果<BR> BLSについての質問紙調査結果、「急変時の意識・呼吸の確認ができると思う」「急変時の応援要請ができると思う」に対しては、「はい」と答えた人は100%という結果であった。「効果的な」心臓マッサージができると思う」に対しては、「はい」と答えた人は89%「AED取扱いができると思う」に対しては、「はい」と答えた人は72%であった。ACLSについての質問紙調査結果、「心電図が取れると思う」「薬剤投与が正確にできると思う」「フラットライン・プロトコル適応基準が理解できたと思う」の4項目は「はい」と答えた人は、平均57%と不安の残る結果がでた。<BR>IV.考察<BR> 心肺蘇生はチーム医療で行われ看護師は役割を分担し、医師と共に救命行為を円滑に行う事が大切である。そのため、医師・看護師が統一されたプロトコルを理解しなければならない。看護師は急変の第一発見者となる機会が多くBLS習得は必然であると考えられる。調査結果よりBLSは、意識・知識を高める事が出来たと考えられるが、ACLSは4項目で出来ると答えた人は約50%であった事から、1回の講習会では習得は困難であったと考えられる。しかし、自分の弱点を明確にする事ができた良い機会であったと思われる。今後は各部署で実技訓練実施・講習会など、継続的に学習する事が重要である。河本らは「救急処置は反復訓練が重要であり、今後も患者急変時に自信を持って行動できるよう定期的に知識・技術の確認が行える場の支援が必要」と述べている。全体を通して講師・アシスタントの緊張させない和やかな雰囲気とわかりやすい指導が大きな成果を挙げたと考える。<BR>V.結論<BR>1.救急への意識が高まり院外の講習会参加が増えた<BR>2.各部署での実技訓練の実施が必要 <BR>3.定期的な講習会の開催が必要<BR>
著者
長橋 芙美子
出版者
大阪市立大学文学部
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.p103-116, 1986

1 第一次大戦の体験が1920年代になると一般に忘れさせられる傾向が強まったこと, その「現実の抑圧」(die Verdrangung der Wirklichkeit)を問題にして, A.ツヴァイクは『グリーシャ軍曹をめぐる争い』(Der Streit um den Sergeanten Grischa)執筆当時の状況を, のちに次のように説明している。……
著者
長橋 芙美子
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.759-775, 1984

1 アルノルト・ツヴァイク(Arnold Zweig 1887-1968)は『グリーシャ軍曹をめぐる争い』(Der Streit um den Sergeanten Grischa 1928)以来7編の長編小説からなる第1次大戦に関する連作(最後の1編は未完)を書き, 戦争をひきおこす力との対決を生涯の課題とした作家である。……
著者
折野 宏一 山本 晋二 渡辺 清隆
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.785-787, 1993-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
12
被引用文献数
21 22

酵素免疫測定法により測定したウマ血漿および血清フェリチン濃度は血漿の方が血清より低かった. しかしながら, 血漿と血清を75℃で15分間加熱処理することにより, 両者のフェリチン濃度は同レベルに上昇した. これらの結果はウマ血漿にはフェリチンの免疫測定を阻害する特有のフェリチン結合タンパク質が存在することを示唆する. ウマ血清フェリチン濃度は血清へのウマフィブリノーゲン添加により減少した. フィブリノーゲンはウマ脾臓フェリチンの免疫測定をも阻害し, またこれと結合した. これらの結果から, ウマフィブリノーゲンはフェリチンの免疫測定を阻害するフェリチン結合タンパク質の一つであると結論された.
著者
武邑 光裕
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.440-446, 2004
参考文献数
13
被引用文献数
1

「記憶」がデジタル環境に記録され,デジタル・アーカイブは未来の記憶に資する可能性を提示する。言語を記述,印刷し,書籍という重量媒体を最終形とした情報資産の意味は変容し,テクストの深層にあるコードそれ自体が,デジタル情報の原資と認識される。累積と離散性,この二つの概念が合流するデジタル・アーカイブの概念を考えると,それはデジタル情報財の普遍的な格納を目指すと同時に,情報の流動化や創造性を促す装置でもあるといえる。累積・固定性と離散・創造性を前提に,近年のデジタル・アーカイブやレポジトリの概念を整理し,多様なデジタル情報資源をめぐる保存と利活用にかかわる新たなコモンズの役割を,個人のアーカイブ環境と次世代の知識創造という観点から概説する。