著者
松村 宗治
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.544, pp.172-175,359, 1932
被引用文献数
1

頭部頭状、帽状或ハ鞍状ヲ呈シ有柄ニシテ、唇状ニ開ロスル子嚢ヲ有スル子實體ニ限定セラレタル昇龍菌科所屬トシテ從來約12屬ノ發表ヲ見タリ。内4屬、のぼりりよう屬 (<I>Helvella</I>), あみがさたけ屬 (<I>Morchella</I>), すきんかぶり屬 (<I>Verpa</I>) 及ビしやぐまあみがさたけ屬 (<I>Gyromitra</I>) ハ廣ク且ツー般ニ使用セラレツ、アル處ナリ。著者ハ本科ノ本邦産菌類ヲ研究スルニ際シ、各種類ノ性質ト既設屬ノ特性トヲ考慮シテ最良ナリト思考スル分類様式ヲ得タルヲ以テ本文ニハ其様式ト併セテ本邦産種類トヲ報告セリ。<BR>昇龍菌科ヲ子實層ガ帽部表面全汎ヲ被ヘル昇龍菌亞科 (Helvelleae) ト子實層ガ子嚢ナキ褶縁ニヨリテ多數ノ小室ニ分タレタル網笠菌亞科 (Morchelleae) トニ分テリ。<BR>昇龍菌亞科ハ胞子橢圓形或ハ紡錘形、平滑ニシ頭状鞍状、洋傘状或ハ不正球形ヲ呈スル昇龍菌屬(<I>Herpa</I>)、胞子楕圓形或ハ紡錘形平滑ニシテ頭部帽状ヲ呈スル頭巾被屬(<I>Verpa</I>)、胞子平滑球形ナルまるみのぼりりよう屬 (<I>Helvellella</I>) 及ビ胞子頂尖状紡錘形、大形ニシテ熟後膜ニ彫刻ヲ生ズルおほしやぐまたけ屬 (<I>Neogyromitra</I>) トニ分テリ<BR>昇龍菌屬中莖部及ビ頭部裏面ニ絨毛アリ其胞子ガ紡錘形ニシテ大一個、小二個ノ油胞アルモノヲ毛昇龍菌亞屬 (<I>Villihelvella</I>) トナシ本邦産ニー種、長柄毛昇龍 (<I>H. ephippioides</I> IMAI) アリ、本種ハ毛昇龍 (<I>H. Eoguoouym</I>) ニ比シ胞子長大ナル点ニ於テ異り長柄茶椀茸 (<I>Macropodia Macropus</I>) ニ對シテ頭部鞍状ヲ呈スル點ニ於テ區別サル。昇龍菌屬中體ニ絨毛ナク、胞子ハ稍紡錘形ニシテ小油胞ニ個ヲ有スルモノヲ波帽昇龍菌亞屬 (Gyrornitra) トナシ更ニ共莖ノ性質ニヨリテ平滑莖區ト有溝莖區トニ分チ前者中ニ本邦産鳶色昇龍或ハしやぐまあみがさたけ (<I>Helvella esculenta</I>)、後者ニ大笠昇龍 (<I>H. discinoides</I>) アリ、鳶色昇龍ニ關シテハ鳶色昇龍 (<I>H. infula</I>) トしやぐまあみがさたけ (<I>H. esculenta</I>) トノ異同ニ尚論議アルベキモ著者ハ同一種ト認ムルコトニ賛スルモノナリ。大笠昇龍ハ短大ナル子實體ニシテ其莖部ハ著シキ深溝ヲ呈スル點ニ於テ明カニ認識サル。昇龍菌區中體ニ絨毛ナク胞子ハ橢圓形ニシテ大油胞、一個ヲ有スルモノヲ眞正昇龍菌亞屬 (<I>Euhelvella</I>) トナシ、本亞屬ヲ更ニ莖ノ性質ニヨリテ不滑莖區ト有溝莖區ニ分チ前區ニ脚細昇龍 (<I>H. elastica</I>) アリ。本種ノ色彩ハ白色ヨリ暗灰色ニ至ル多様ヲ表ハス、有溝莖區ニアリテハ體ノ暗色ヲ呈スル黒昇龍 (<I>H. lacunosa</I>) ト白色又ハ淡黄色ナル昇龍 (<I>H. crispa</I>)アリ、共ニ本邦各地ニ産スルモノ、如シ。<BR>頭巾被屬ニアリテハ子嚢内ニ通常八個ノ胞子ヲ有スル眞正頭巾被亞屬 (<I>Euverpa</I>) ト子嚢内ニ通常ニ個或ハ四個ノ大形胞子ヲ藏スル大頭巾被亞屬トニ分チ、前亞屬ニハ頭巾被 (<I>V. digitaliformis</I>) 後者ニ大頭巾被 (<I>V. bohemica</I>) アリ、前種ハ其頭部表面殆ンド平滑ナルニ、後者ハ縦ノ皺襞アリ且ツ大形ナルヲ以テ肉眼的ニモ容易ニ區別サル。<BR>まるみのぼりりよう屬 (<I>Helvellella</I>) ハ共タト形稍昇龍菌屬中波帽昇龍菌亞屬ノ有溝莖區ノ種類ニ類似スレ共共胞子ノ球形且ツ小形ナル點ニ於テ區別サル、本邦ニハまるみのぼりりよう (<I>H. sphaerospora</I>) アリ。<BR>おほしやぐまたけ屬 (<I>Neogyromitra</I>) モ亦其外形波帽昇龍亞屬ノ平滑莖區ノ種類ニ稍類似スレ共其胞子ハ大形ナル紡錘形ニシテ其表面に彫刻アルヲ以テ區別サル、本邦産ハおほしやぐまたけ (<I>Neogyr. cmliniana</I>)ナリ<BR>網笠茸亞科ハ唯一屬網笠茸屬アリ。本屬ヲ頭部ト莖部トノ關係ニヨリテ僧帽歌區(Mitrophorae)、離生區(Distantes)及ビ着生區(Adnatae)トニ分チ、本邦産種類トシテ僧帽状區ニ小網笠茸(<I>M. semilibera</I>)アリ、本種ハ頭部ノ下面ガ其約半分迄灣入シテ莖ト連絡スル點に於テ區別サル。離生區ハ莖ノ頂部少シク外方に擴張シテ頭部ト連絡スルモノニシテ小尖網笠茸(<I>M. angusticeps</I>)、尖網笠茸(<I>M. conmca</I>)脚細網笠茸(<I>M. deliciosa</I>)アリ、第一ノ種類ハ頭部ノ直徑莖ノ太サト殆ンド同大ニシテ然カモ頭部圓錐形ヲナスモノニシテ、第ニノ種類ハ頭部ガ3-4糎以上ノ長サヲ有シ、第三ノ菌ハ2-3糎以下ノモノナリ。直生區ハ頭部ガ莖部に直チニ連絡スルモノニシテ本邦産トシテハ第一ニ通常頭部ガ莖部ヨリ長キ網笠茸(<I>M. esculenta</I>)莖部ガ頭部ヨリ長大ニシテ然カモ下方に漸細スル視棒網笠茸(<I>M. Miyabeana</I>)、莖部長大ニシテ其基部膨大シ頭部圓錐形ナル脚太網笠茸(<I>M. cmssipes</I>)及ビ頭部球形ナル大網笠茸(<I>M. Smithiana</I>)アリ。

1 0 0 0 菌類図鑑

著者
宇田川俊一 [ほか] 著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1978
著者
辻山 彰一
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.127, 2008

アミガサタケ類は子嚢菌であり,春に発生する食用きのことして親しまれている.これまで栽培試験が行われてきたが,まだ日本国内では商業栽培には至っていない.アミガサタケは腐生性であるとみなされる一方,菌根性の一面を持っていることが報告されており,このため栽培が困難であると考えられている.しかし,人工培地中での菌糸成長は良好であり,腐生的な性質が強いと考えられる.本研究では,アミガサタケ類の栄養生理を調べることを目的として,木材腐朽試験を行い,木質成分の資化性について調べた.供試菌は,京都市内で採集し保存した<I> Morchella esculenta </I> (L.: Fr.) Pers.(アミガサタケ)と<I> Morchella conica </I> Pers.(トガリアミガサタケ)をそれぞれ2菌株使用した.ブナ辺材およびアカマツ辺材(20(R) x 20(T) x 5(L) mm)を試験材として,28℃で腐朽試験を行った.2ヶ月培養後,重量減少率を算出し,木材成分分析を行った.<I> M. esculenta </I>はアカマツ材をほとんど腐朽しなかったが,ブナ材の腐朽力が高く,2菌株による重量減少率はそれぞれ28.1, 26.0%であった.これに対して<I> M. conica </I>は,ブナ・アカマツいずれの材ともほとんど腐朽しなかった.木材成分分析を行った結果,<I> M. esculenta </I>によるブナ腐朽材中のリグニンの減少率は34.4, 32.4%であり,L/H比(=リグニン減少率/ホロセルロース減少率)は1.47, 1.34であった.このことから,<I> M. esculenta </I>はブナ材に対して白色腐朽を起こすことが示された.腐朽材のアルカリニトロベンゼン酸化分析の結果,バニリン酸やシリンガ酸の収率が高くなっており,酸化分解が起こっていることが示唆された.また,バーベンダム反応および色素(レマゾールブリリアントブルーR,Poly R-478)の脱色試験において,<I> M. esculenta </I>は陽性を示した.これまでアミガサタケ類は腐生性を有していると考えられているが,以上の結果から,<I> M. esculenta </I>は木材腐朽能力を有し、木質成分を栄養とできることが示された.
著者
錦 康二 加藤 明 宮崎 浩一
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.43-52, 2008-09-26

株式における投資判断の指標として株価レーティングがある.今日,株価レーティングは個人投資家,機関投資家の間で定着してきているが,株価レーティングの精度や特徴について詳細に検証した論文は少なく,実際の投資判断の指標として用いるには十分であるとはいえない.そこで,本研究では,統計的観点から株価レーティングが対象とする銘柄の割安割高を適切に評価しているのかについて検証を行い,レーティングは超過リターンの推移に依存し決定されているのではないかとの観点から,超過リターンの推移がアナリストの評価にどのような影響を与えるのかについても検証を行う.また,予測精度向上のアプローチとして,評価を行っている会社の数と株価レーティングの予測精度の関係について検証を行い,最後に株価レーティングの特徴とその利用可能性について考察を与える.
著者
井上 喬
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.315-323, 2004-05-15
被引用文献数
2 2

古くからジアセチルは発酵飲食品の品質を左右する重要な香気成分である。筆者は長年発酵飲食品中で最も弁別閾値の低いビール中でのジアセチル生成メカニズムとその制御について研究されてきた。ここでは全般的なジアセチル問題と新しい技術を駆使した制御問題を取り上げて貰った。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.280, pp.92-96, 2001-05-25

秋田県横手市に隣接する静かな山村,山内さんない村に大型トラックの古タイヤを利用した桧沢ひざわ砂防ダムが昨年末に完成した。村内を走る国道から見通しの利く場所にある。遠目から眺めると意外なほど周辺の自然環境となじんでいる。近寄って古タイヤの壁を見上げてみても威圧感はない。 古タイヤは,産業廃棄物として処理するのが一般的だ。
著者
山崎 晴雄 田村 糸子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

黒滝不整合は房総半島で鮮新・更新統上総層群の基底に認められる不整合である。その成因に関しては,構造運動説や海底地すべり説など様々な見解が検討されてきたが明確な答えは得られていない。本研究では不整合を覆う上総層群中の広域テフラの対比・編年を通じて、各地の不整合形成時期を明らかにした。その結果、房総の上総層群基底の堆積時期は3.2Ma ~ 1.9Maに及び、三浦半島には不整合が存在しないことが分かった。これから、黒滝不整合は,2.3~1.9Ma頃に局地的な海底地すべりが、順次発生した結果と考える。
著者
山下 恵子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.699-700, 1975-08-25

東京女子医科大学学会第197回例会 昭和50年5月22日 東京女子医科大学本部講堂
著者
重田 公子 笹田 陽子 鈴木 和春 樫村 修生
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.164-171, 2007 (Released:2007-11-07)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

近年の若年女性においては, Body Mass Index (BMI) を基準とする体型区分ではやせおよび正常でありながら, 特有の体重調節意識を持つ者が増加している。本研究では, 若年女性の痩身志向が心身に与える影響について, 食行動と疲労自覚症状をもとに明らかにすることを目的とした。  1) BMIを基準とする体型区分によるやせ, 正常, 肥満の割合は, 順に17.5%, 75.4%, 7.1%であったが, 痩身志向がある者は全体の87.9%に達した。特に痩身志向がある者の中で, BMIが「やせ」と「正常」の者の割合は92.2%であった。  2) 痩身志向のある者は, 60.3%が自分の体型を「太っている」とイメージし, 60.9%がダイエットをしたことがあり, 痩身志向の有無の間には, それぞれ有意差が認められた。  3) 自棄食い経験は, 痩身志向がない者 (38.0%) に比較して, ある者 (53.6%) が有意に高い割合を示した。  4) 疲労愁訴率合計は, 痩身志向がない者 (19.7%) に比較して, ある者 (25.9%) で有意に高かった。疲労自覚症状I群の「ねむい」, 「足もとがたよりない」では, 痩身志向のない者に比較して, ある者が有意に高い割合を示した。