著者
牧野 幸志
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.41-56, 2011-10

本研究は,青年期における恋愛と性行動に関する調査研究である。本研究では,まず,現代青年の恋愛と性行動の現状を明らかにする。その後,「浮気」に関する行動の判断基準を明らかにし,現代青年が「浮気」に対してどのような態度を持っており,浮気への行動意志をどの程度持っているかを明らかにする。被験者は,大学生・短大生200 名(男性106 名,女性94 名,平均年齢19.49歳)であった。調査の結果,現代青年において恋愛経験率は68.5%,別れ経験率は63.0%,性経験率45.5%であった。浮気と判断される恋人の行動は,「恋人以外の異性とキス以上の関係を持つ」であった。浮気に対する態度には,「浮気への否定的態度」,「浮気への憧れ」,「浮気の積極的容認」,「浮気の消極的容認」の4 因子がみられた。浮気への行動意志は,いずれも低かったが,女性よりも男性のほうが浮気意志は強く,恋愛経験よりも性経験が浮気意志に関連している可能性が示された。
著者
本多 俊彦
出版者
高岡法科大学
雑誌
高岡法科大学紀要 (ISSN:09159347)
巻号頁・発行日
no.26, pp.95-122, 2015-03-20
著者
西丸 良一
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.141-155, 2014-11

本稿は,X大学Y学部を対象に,入試選抜方法と学業成績・能力向上感の関連を検討した.分析の結果,基本的に各選抜方法のなかで,「一般・センター」で入学した学生のGPAにくらべ,「指定校・公募・AO」「内部推薦」「留学生・社会人・編入」で入学した学生のGPAが低いということはなかった.また,選抜方法によって能力向上感に大きな差もみられないようだ.ただし,GPAと能力向上感にほぼ関連がない.大学教育において,学生の勉学に対する評価がGPAなら,能力向上感と正の関連を示す方が望ましい.なぜGPAと能力向上感が関連しないのかに関しては,今後の大きな検討課題といえよう.
著者
山本 晃成 湯淺 太一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.37-51, 2001-11-15

プログラミング言語の中には末尾再帰の最適化と一級継続を必須としているものがある.たとえばScheme ,Standard ML や他の関数型言語のほとんどがその機能を必要としている.これらの言語は,末尾再帰の効率によるところが大きく,また,継続が操作可能であることが言語の重要な特色でもある.しかし,Java 仮想マシン(JVM )上で末尾再帰の最適化と一級継続を実現することは困難である.これはJVM の仕様がそれらを実現するための機構を十分に提供していないことが要因である.実際に,JVM のバイトコードを出力する様々なコンパイラが実装されているにもかかわらず,JVM の制限のために,言語が要求する完全な機能を実現できていないものが少なからず存在する.そこで,JVM で末尾再帰の最適化と一級継続を実現するために,いくつかのバイトコード命令とその実行を補うためのクラスを拡張することを検討する.様々な拡張方法や実現方法が考えられるが,JVM の基本設計は可能な限り尊重し,最低限の拡張でかつ効果的にこれらの機能を実現可能にすることを目標とする.There are several programming languages that require tail recursion optimization and first-class continuations.Scheme,Standard ML,and several other mostly functional languages require these features.These languages rely heavily on the efficiency of tail recursion,and the ability of controlling continuationsisone of the important features.However, it is difficult to implement tail recursion optimization and first-class continuations on the Java Virtual Machine (JVM),because the JVM specification does not provide features to realize them. Although variouscompilersare implemented that produce JVM byte code,some of them cannot realize full language features because of the restriction of the JVM specification.In this research, we propose byte code extensions and classes to support their execution to realize tail recursion optimization and first-class continuations on the JVM.Although there are various ways to extend it and implement them,we aim at having respect for the basic design of the JVM as far as possible and realizing them efficiently with minimum extensions.
著者
白井 美穂 サトウ タツヤ 北村 英哉
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.40-46, 2011-10

本稿では、人々が凶悪犯罪に対面しながらも公正世界信念(Belief in a Just World)を維持するために有効な加害者の「非人間化方略」として、「悪魔化」と「患者化」の2つを挙げ、それぞれにおける思考プロセスの可視化を目指した。先行研究の結果から、加害者の非人間化が生じる凶悪事例(EVIL)とそうでない事例(BAD)について、参加者によって記述された判決文(死刑/無期)を、複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model: TEM)を援用してまとめた。その結果、凶悪事例の加害者は両判決文において「一般的でない精神構造」を持つ者と仮定され、そこから派生した加害者の特性ラベリング(悪魔/患者)は、両判決の理由として機能していた。本稿の結果は、凶悪事例の加害者に対する死刑/無期判決を合理化・正当化する際、どちらを前提とした場合でも、人々が公正世界信念を維持できる知識構造を有していることを示すものである。
著者
樋口 寿 藤田 朋子 久保 美帆
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.17-25, 2008-03
被引用文献数
2

近年、「キレる」などに代表される精神的な健康問題は、深刻な事件と結びつくものがあり、その社会的関心も高い。その原因の一つとして食生活が注目されている。過食や偏食、欠食等が身体的な健康に影響を与える因子であることから、食生活は精神的な健康にも影響を与える因子であることが推測できる。そこで本研究では、大学生の食生活や生活習慣における実態を調査し、特に精神的健康との関連について検討した。平成18年6月に近畿大学農学部1・2回生268名を対象に食物摂取頻度、生活習慣、自覚症状、食行動に関する項目について自己記入式のアンケート調査を行った。1)朝食は全体の75%が「毎日食べる」と答えたが、朝食の欠食は有意に男子で高かった。間食の頻度は女子が有意に高かった(p<0.01)。2)食物の摂取頻度では、野菜類、菓子類は女子の摂取頻度が多く、嗜好飲料、インスタント麺、ファーストフード、お酒は男子が多く、性差が認められた。女子に便秘傾向の者が多く、男子に運動習慣のある者が多かった。3)自覚症状を因子分析した結果、3つの因子が抽出され各因子を「精神的不安定」・「睡眠障害」・「身体的症状」とした。各項目で性差が認められたのは、「精神的不安定」の「自分がうつだと感じることがある」「イライラすることが多い」「頭がぼんやりする」と、「身体的症状」の「肩がこる」「疲れやすい」「目が疲れる」「目の前が真っ暗になり倒れそうになったことがある」の7項目で、いずれの項目においても女子が有意に高かった。4)食行動を因子分析した結果、3つの因子が抽出され各因子を「外発的刺激摂食」「体質認識」「食べ方」と名付けた。「外発的刺激摂食」と「体質認識」の全項目で、男子より女子が有意に高く、食べ方では男子の「早食いである」が有意に高かった。5)「精神的不安定」と関連する因子をパス解析で検討した。「精神的不安定」に直接影響を与えている因子は、自覚症状から抽出された「睡眠不足」と「身体的症状」の2因子であった。食品摂取頻度から抽出された「加工食品」と「食生活」「生活習慣」は間接的に「精神的不安定」に影響を与えていた。
著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-89, 2011-03

本研究の目的は、西平(1981)の"恋と愛の二元的一元性"論を参考に、恋の状態と愛の状態とは質的に異なる状態であり、恋愛とは恋と愛を両極とした一次元上の中間の状態であり、両者の特徴をあわせもった状態である捉え、先行文献をもとに青年の恋愛関係を図示するモデルを作成することであった。先行文献をまとめた結果、恋には、"相対性"、"所有性"、"埋没性"という特徴があり、愛には"絶対性"、"開放性"、"飛躍性"という特徴があること、相対性と絶対性、所有性と開放性、埋没性と飛躍性はそれぞれ対応する特徴であることが考えられ、これらをまとめた恋愛様相モデルが構築された。今後は恋愛様相モデルを実証的に検討する必要があると考えられた。
著者
加藤 久美子 近藤 厚生 岡村 菊夫 高羽 秀典
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1501-1505, 1986-09-20
被引用文献数
19

名古屋市内の一企業の女性社員に尿失禁に関するアンケート用紙を配布し,回答の得られた968名(回答率93.3%)を集計した.対象の年齢は17〜69歳で,10〜20代が全体の約7割を占めた.1)尿失禁が現在あるものは全体の8.5%,過去にあったが消失したものは6.7%であった.2)尿失禁保有率は年代と共に増加し,40代をピークとしてその後やや低下した(10代1.5%,20代4.1%,30代17.7%,40代23.9%,50代21.8%,60代20.0%).3)出産回数が多い程,尿失禁保有率は高かった(0回4.3%,1回15.2%,2回24.0%,3回以上34.3%).4)未産婦の尿失禁保有率は,年代と共に上昇した.5)尿失禁の現在ある群の平均体重は,尿失禁の経験のない群より,30代・50代・60代では統計的に有意に重かった.6)尿失禁の誘因はくしゃみ,咳,急がないと間にあわない,なわとび,笑う,精神的緊張,走る,重い物を持つの順に多かった.7)尿失禁の程度は,気にならない73%,濡れると気になって下着を替える22%,時々生理用ナプキンを使う4%であった.8)尿失禁を主訴として医療機関を受診したことのあるものはなかった.本邦の健常女性において,未治療の腹圧性尿失禁が多数存在すると推測された.腹圧性尿失禁の啓蒙に取り組むことが今後の課題になると思われる.
著者
松本 良夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.129-147, 1999
被引用文献数
1

Recently in Japan, an increase and deterioration of juvenile delinquency is reported by the law enforcement agencies and mass-media. But, I cannot fully agree with these reports. I have, therefore, tried to evaluate the present state of juvenile delinquency as accurately as possible. I adopted these three measures as the criteria of evaluation; (1) rate of delinquency in past 30 years, (2) rate of delinquency of the other countries in the year, (3) rate of adult crime in the year. 1) The rate of juvenile delinquency in 1996 (10.1: per 1000 teenagers) is average compared with the data of past 30 years. 2) This rate is lower than such countries as the United States, Great Britain, Germany and France. 3) But, this rate is extraordinarily high compared with the rate of adult crime in the year. The arrested of teenagers equal 50% of the total, even though they make up 13% of the total population. By the way, these trends began to emerge from around 1980. I regard these trends as "extraordinarily low percentage of adult crime." Why does this peculiar situation arise? I considered this question from the three points of view. 1) Viewpoint of environmental conditions: Environments surrounding crime had differential effects on adults (decriminalization9 and on juvenile (criminalization). 2) Viewpoint of relation between adult and juvenile (on system level and individual level); Systematization of society tends to suppress deviation of adults, while promoting deviation of juvenile. 3) Viewpoint of crime-structure; Crime structure has been changing largely. "Ordinary crime" such as theft and violence became the domain mainly of juvenile, while traffic-crime and business-crime became more serious for adults.
著者
木下 康仁
出版者
富山大学看護学会編集委員会
雑誌
富山大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.1-10, 2007-03
被引用文献数
3

修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)の分析技法について述べる。
著者
櫻井 準也
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.97-104, 2015-09-30

映画やアニメなどのポピュラー・カルチャー(大衆文化)には古くから考古学者が登場する作品は多いが、彼らは大学教授や冒険家である。これに対し、わが国では1990年代後半より漫画作品の中で遺跡調査の調査員や作業員が主人公として描かれるようになった。その背景に、バブル景気の影響で緊急発掘調査件数が増え、わが国で発掘調査が身近な存在となったことがあると考えられる。これらの漫画作品は発掘作業員の視点から発掘調査が描かれたものであり、従来の考古学では記録されないわが国の発掘調査の実態を知ることができる貴重な資料として捉えることができる。
著者
堀尾 政博
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.299-314, 1981-09-01

硝酸塩中毒は, 反別動物では国の内外を問わず多発しているが, これは大量の糞尿を施肥した土地に生育した作物を摂食した際, その中に多量の硝酸塩が含まれていたことに起因することが報告されている.すなわち, 反芻動物では摂取された硝酸塩は, 第1冑内の細菌によって還元される過程で中間代謝産物としての亜硝酸に変化する. 硝酸およびその還元物質は, 第1胃壁から速かに吸収されて血液中に入るが, 亜硝酸はさらに赤血球内でヘモグロビンを酸化してメトヘモグロビン(MHb)を形成する. これは酸素運搬能カを持たないため組織は酸素欠乏におちいり, 動物は死に至る. この中毒は一般にヒトでは発生しないと思われているが, 近年発ガン物質N-ニトロソアミンの先駆体となっていると言われている硝酸塩等について, ヒトでも再考する必要のある事例が知られてきた. その意味で反芻動物は現象が強調された1つのモデルとしてみなすことができるので, 硝酸塩の代謝, MHbの消長およびそれらが生体に与える影響などについてここに総説としてまとめて紹介した.(1981年5月25日受付)