著者
林 知里 權 娟大 宮崎 智
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2013-BIO-34, no.2, pp.1-6, 2013-06-20

ゲノム解析が進んだ結果,ゲノム DNA 中にはタンパク質の遺伝子以外の分子情報をコードしている領域や発現の制御に関わる領域が存在することが明らかになった.これらの領域の中で,主な機能として発現制御等に関わる RNA 分子の遺伝子をコードしている領域があり,この領域から転写された RNA は non-coding RNA(ncRNA) と呼ばれている.ncRNA は他の遺伝子の転写制御に関わりを持つと考えられているが,未だその機能が解明されていないものも多い.一方で,ある疾患に特異的に発現する ncRNA が発見されており,ncRNA が創薬ターゲットになる可能性を持っている.また,現在発見されている ncRNA の多くはタンパク質遺伝子間に存在するが,あるタンパク質遺伝子のイントロンに ncRNA が存在することが分かっている.本研究では,タンパク質遺伝子と ncRNA のゲノム上の位置関係に着目し,疾患関連遺伝子を制御する創薬ターゲットとしての ncRNA を予測することを目的とする.本稿では,イントロンに存在する ncRNA に着目した生物種間での比較結果を報告する.
著者
岡本 慶大 寺田 直美 赤藤 倫久 岡本 裕子 関谷 勇司 河合 栄治 藤川 和利 砂原 秀樹
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2011-IOT-12, no.30, pp.1-6, 2011-02-21

インターネットにおける大規模コンテンツ配信では,突発的なアクセス増加によりリソースの不足が起こると,大幅に配信品質が低下してしまう.この問題に対して,クラウドから計算機資源を一時借用し,品質低下を防ぐという解決法が考えられる.本論文では,全国高等学校野球選手権大会のインターネット中継において実施した,クラウドを利用した大規模コンテンツ配信実験について報告する.
雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.99-101, 1998-03
著者
三好 真人 柘植 覚 ChogeKipsangHillary 尾山 匡浩 伊藤 桃代 福見 稔
雑誌
研究報告 音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-89, no.23, pp.1-6, 2011-02-04

本稿では,楽曲に適切な印象値を自動付与する手法を提案する.提案手法は特徴抽出手法及び印象値付与手法から構成される.特徴抽出手法では,楽曲の印象値付与に有効と考えられる音量,音色,リズム,和音に関する特徴量を抽出する.印象値付与手法では,抽出された特徴量を用いてニューラルネットワークにより楽曲に印象値を付与する.401 個の楽曲パターンを用いて印象値付与実験及び主観評価実験を行い,提案手法の有効性を検証した.
著者
田中士郎 田中弘美
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1521-1526, 2011-07-20

実世界に忠実かつ物体操作が可能な仮想空間を実現するためには,物体の形状等の視覚情報だけでなく, 重量,摩擦,弾性等の触覚情報が必要である.我々は, 摩擦の研究分野において提案されている摩擦モデルに基づいて, 摩擦現象を仮想空間で再現する研究を進めている. 実世界に存在する物体の摩擦特性を推定するには, 外力を与えられた物体の変位を取得する必要があるが, 特に予すべりはその変位が数マイクロと微小であるため, 観測は非常に困難である. そこで本論文では, 安定姿勢に置かれている物体に対して, 外力を与えた際の物体の変位を高精度に求める手法を提案する. まず, 物体に外力を与える手段としてロボットマニピュレータを使用し, 物体が滑り出す過程を1秒間に500フレームの撮影が可能な高速度カメラで観測し画像を取得する. 次に1フレーム目の画像において基準領域を指定し, 他のフレーム画像の各ピクセルを中心とした領域との相関値を求める. 本論文で提案する相関値のモデル式を用いて, 相関値分布とのフィッティングを行い, 相関値の最も高い物体座標を推定する. 各フレーム画像のフィッティングにおける評価値および真値からの誤差標準偏差から, 物体変位の信頼性が高いことを確認した.
著者
井上学 和田俊和
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1279-1285, 2011-07-20

位相シフト法は,比較的少数の画像の解析のみで高精度な形状計測を行うことが可能である.しかしながら,投影した格子パターンの位相が何番目の周期に含まれるかを求めないと物体全体の三次元形状の計測を行えない問題がある.本論文では,この問題を離散最適化問題として定式化し,Belief Propagation(信念伝搬)法を用いて解くことにより,位相接続を行う方法を提案する.本手法では,計測物体の絶対的な奥行きではなく,各点の周期を決定することで滑らかな三次元形状を計測することを目的にしている.
著者
清田祥太 川崎洋 古川亮 佐川立昌
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.488-495, 2011-07-20

アクティブステレオによる形状計測における問題点として,一視点から観測可能な形状しか計測できないことや静的なシーンしか計測できないことが挙げられる.本論文では,多視点のプロジェクタ・カメラシステムを利用して,動的シーンの形状を全周囲から計測する手法を提案する.高いフレームレートで形状を計測するためには,プロジェクタから照射するパターンを切替えずに静的なパターンを投影することが望ましい.しかし,従来の静的パターンによるアクティブステレオは,複雑なパターンを利用することが多く,パターンの重なりによる相互干渉の問題から,全周囲計測に適用することは難しかった.本研究では,単純な平行線によるパターンを利用し,むしろ干渉から得られる情報を利用して形状を復元する.具体的には,各プロジェクタは一方向の少数(1または2個)の色を持つ平行線のみを投影し,その直線同士の交点から連立線形方程式を多数構成して解く.我々は,6台のカメラと6台のプロジェクタから成るシステムを実際に構築し,運動する人物の密な3次元形状復元に成功した.
著者
長坂 保典
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.95-110, 2011-01-15
著者
向井 国昭 井出 陽子
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.36-36, 2008-10-27

高階述語の引数としてソート付きのラムダ式を許す評価器 (eval),および,適用可能な部分がなくなるまで書き換え規則を適用する項書き換え器 (reduce),この 2 つの述語を SWI-Prolog の上に実装した.関数を表す通常のラムダ項のほかに関係を表すラムダ項を新たに導入した.この導入により,Prolog の特長であるデータの流れの双方向性を活かす,いわば関係型のラムダ計算を実現した.Eval は代数構造における準同型規則を解釈する述語であり,reduce は等号論理のパラモジュレーション規則を解釈する述語であると見なす.つまりいずれも簡潔明快な根拠を持つ計算モデルに基づいて設計した.適用例として Emacs-lisp・Ajax・Unix シェルをとりあげ,それらと Prolog の間のインタフェースの実現方法を示す.Emacs-lisp へは S 式を送信し,それを実行させることにより制御する.こうして Emacs バッファの複雑な編集・制御に,宣言的な Prolog の限定節を用いることができる.Ajax とのインタフェースは,Ajax が関数式を Prolog CGI に送信し,Prolog はそれを eval 述語で評価し,結果の値を HTML として Ajax のフィルタに返信する,という流れである.Unix シェルの呼び出しは,Bash コマンドをまず Prolog の項として表現・生成・操作し,最後にそれを eval 述語でコマンドラインテキストに変換して Unix シェルに送信する.
著者
濱田剛
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2012-ARC-199, no.12, pp.1-24, 2012-03-20

本論文では AMD/ATI Radeon HD 5870 を用いた GPU クラスタである DEGIMA における LINPACK ベンチーマーク消費電力性能について評価結果を紹介する.HD 5870 GPU はプログラム実行中に電圧・動作周波数を調整することが可能である.DEGIMA では LINPACK ベンチマーク実行中に電圧・周波数の調整を行わなかった場合 1.4698 GFlops/Watt であったものが,電圧・周波数の動的な調整を行った場合には 1.9658 GFlops/Watt まで向上することを確認した.
著者
梶田 美香
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-38, 2012-12-21

1990年代における公立文化施設の急増や2001年に制定された文化芸術振興基本法がきっかけとなって、日本の文化政策は文化振興に力点を置くようになった。特に貸館事業中心だったホールについては、地域に密着した自主事業の実施に運営方針の舵が切られ、舞台芸術における大きな変化となった。また美術領域においても地域全体を包み込むイベントが多く行われるようになった。本稿では、このような全国的な潮流を踏まえた上で東海圏の芸術を取り巻く環境を概観し、地域との関係性における課題を探索した。その結果、シビックプライドに関心を持つことと、劇場の働きを拡充させることについて課題があることがわかった。
著者
成願 めぐみ 餅原 尚子 久留 一郎
雑誌
鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.19-27, 2009-03-31

本研究では心的外傷(トラウマ)のパーソナリティに及ぼす影響が,ロールシャッハ反応にどのように表出するのか, その現れを探索した。 研究対象としてPTSDの事例8ケース, トラウマとの関係が深いとされるBPDの事例11ケース, 統制群として健康群10ケースのロールシャッハ・プロトコルを用い, 名古屋大学式技法によるスコアの量的分析と,反応の質的分析を行なった。結果として,「血液反応」(Bl)の多さ, Positive feeling%の少なさ, 色彩優位の反応の多さ(FC<CF+ C)などが,PTSD, BPD両群に共通した。また,両群ともにPTSD症状の「再体験」を思わせる反応が多くのケースに見いだされ, トラウマの再現性や影響はロールシャッハ反応上にも見いだされることがわかった。
著者
石井 智海 安田 孝美 横井 茂樹 鳥脇 純一郎
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.101(1992-CG-060), pp.63-70, 1992-12-17

ボリュームデータ空間において,注目したいレベル値を持つ点の集合の空間分布状態を形状表現する手法としてMarching Cubes法 (法) が有名である。この方法は,スカラーフィールド値の3次元データから一定の値を持つ表面を抽出し,3角形パッチ群で近似構成する方法である。しかし,MC法により生成される表面には穴が発生する事実が指摘されている。本文では,まず,ある状況において生成された表面に穴が発生するというMC法の欠点の原因を解明し,そののち,MC法の処理において穴の発生する状況を検出し,穴を塞ぐ3角形パッチを生成するという改良アルゴリズムを提案する。また,この改良アルゴリズムを実際の処理に適用し良好な結果が得られたことを示す。
著者
高山伸也 明堂絵美 酒澤茂之 愛澤伯友
雑誌
研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2013-AVM-80, no.7, pp.1-6, 2013-02-15

音楽付写真スライドショーが広く使用されているが、独立して作成された写真と音楽を同時に再生するだけでなく,視覚と聴覚の感覚が適合する提示ができれば,魅力的なサービスとなる.また,視覚に合わせて音楽が自動生成できれば,手軽に音楽付写真スライドショーを楽しめる.筆者らは,写真データを画像解析して視覚効果を自動付与し,付与された視覚効果に対応する旋律を自動生成して提示する写真再生システムを構築した.しかし,同システムでは,単音のみの旋律生成に止まっており,音楽表現が乏しいという課題があった.そこで本報告では,音楽のジャンルを予め指定し,多楽器で構成される伴奏と共に高度な旋律を生成することで,より豊かな音楽表現を可能とした写真再生システムを提案する.また,提案システムにおいて,主観評価試験を実施したので報告する.
著者
松村 冬子 小林 巌生 嘉村 哲郎 加藤 文彦 高橋 徹 上田 洋 大向 一輝 武田 英明
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.403-408, 2011-12-03

近年では,米国や英国をはじめとした世界各国で,標準化されたデータ形式であるLinked Open Data (LOD)に基づいたデータ公開が行われている.LOD はデータのオープン化,分野内でのデータの共有,そして分野を横断したデータの共有を促進するという特徴を持っている.この特徴を考慮して,国内の博物館データベースの統合を行うLODAC Museum プロジェクトにおいては博物館情報を,横浜LOD プロジェクトでは地域で行われるイベントや施設などの地域情報をLOD とし保有している.本稿では,博物館情報と地域情報という異なる分野のLOD を連携活用することにより構築した,横浜のアート情報を提供するYokohama Art Spot と呼ばれるWeb アプリケーションについて報告し,異なるLOD の連携活用によりもたらされる効果について議論した.