著者
御崎 智之 福留 寛隆 篠田 豊 赤津 隆 若井 史博
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集 第24回秋季シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.342, 2011 (Released:2011-09-30)

セラミックス製品の作製において焼結現象の理解は非常に重要である。焼結は原料粒子の収縮と粒界形成の過程であるが、多数の粒子が関係する焼結現象も本質は2粒子間の粒子界面で起こるミクロな相互運動の集合と考えることができる。そこで焼結力を定義することにより、このような2粒子間のミクロな相互運動の運動方程式を理論式に構築し、さらにシミュレーションにより収縮挙動を予測することができる。一方でこうした理論的な結果の信頼性を保証するには、実験的に現実で起こる現象を観測する必要がある。そこで本研究では、焼結理論と現実に起こる現象の橋渡しのために、ミクロ領域での粒界の相互運動を直接計測するためのミクロ試験片を開発した。
著者
橋本 隆哉 松岡 達司 河﨑 靖範 槌田 義美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BcOF1042, 2011

【目的】脳卒中患者に対するリハビリテーションアプローチにおいてEvidence-Based Medicine(EBM)の重要性が提唱され、脳卒中治療ガイドライン2009においては起立-着席訓練(以下起立訓練)や歩行訓練などの下肢訓練量を多くすることは、歩行能力の改善のために強く勧められ、推奨グレードはAとなっている。今回、当院においても脳卒中患者に対して起立訓練を積極的に推奨することを目的に、試験的に起立訓練を実施し移乗動作や歩行、ADLに対しての効果を調査し、良好な結果を得たので報告する。<BR>【対象】H22年5月から10月(6ヶ月間)までに当院の回復期リハビリテーション病棟を退院した初回脳卒中患者107名で重度の意識・高次脳機能障害、下肢の整形疾患の既往、全身状態不良の患者を除外し、通常訓練に加えて積極的に起立訓練を行った群(起立群)と通常訓練群(通常群)の2群に無作為に分類した。その中より入院時FIM79点以下、かつ下肢Brunnstrom Stage(以下BRS)においてステージ4レベル以下の患者を抽出し、退院まで経過を追うことができた起立群11名(男性6名、女性5名、平均年齢64.9±11.6歳、下肢BRS;ステージ1:3名、ステージ2:6名、ステージ3:2名)と通常群7名(男性2名、女性5名、平均年齢70.3±13.7歳、下肢BRS;ステージ1:3名、ステージ3:2名、ステージ4:2名)とした。<BR>【方法】在院日数、入・退院時FIM得点、FIM利得、FIM効率、移乗動作獲得までの日数、歩行獲得までの日数をt検定にて2群間を比較した。起立群においては1日当たりの平均起立訓練量の推移を調査した。<BR>【説明と同意】発表に際して全ての症例に対し十分説明を行い、同意を得た。また本研究はデータ抽出し、集計分析した後は個人情報を除去し、施設内の倫理委員会の審査を経て承認を得た。<BR>【結果】在院日数は、起立群135.7±35.1日、通常群137.9±26.1日で有意差はみられなかった。入院時FIM得点は、起立群32.9±10.8点、通常群42.3±20.5点、退院時FIM得点は、起立群88.9±18.9点、通常群78.0±35.2点で有意差はみられなかった。FIM利得は、起立群56.0±15.6点、通常群35.7±17.1点で有意差が見られた(p<0.01)。また、FIM効率においても、起立群0.44±0.19点、通常群0.26±0.13点で有意差がみられた(p<0.05)。退院時移乗動作獲得者は、起立群では11名中8名(73%)で移乗動作獲得までの日数は68.0±18.9日であり、通常群では7名中3名(43%)で移乗動作獲得までの日数は44.3±3.2日で有意差はみられなかった。退院時歩行獲得者は起立群では11名中7名(63%)で歩行獲得までの日数は97.7±34.6日であり、通常群では7名中2名(29%)で歩行獲得までの日数は86.0±52.3日で有意差はみられなかった。起立群における1日当たりの平均起立訓練量は、リハ開始から1週間で49.2回、1ヶ月目83.4回、2ヶ月目107.3回、3ヶ月目95.9回、退院時103.3回であった。<BR>【考察】原は、早期に起立訓練を開始することが、歩行獲得と歩行のレベルにも影響すると報告している。三好は、起立訓練は健側下肢を強化するだけでなく、麻痺の促通、バランス訓練にもなり、片麻痺者の身体不自由を最も効果的に改善すると述べている。今回、起立群において入院時早期から積極的に起立訓練を行った結果、安静臥床期間における身体機能低下を最小限に留め、下肢筋力・麻痺促通等の身体機能の改善を得られたため、FIM利得・FIM効率の向上につながったものと推測され、退院時移乗動作・歩行獲得者数においても起立群が高い獲得率を得られたものと思われた。起立群における1日当たりの平均起立訓練量では、3ヶ月目になると起立訓練の回数が減少する傾向が見られた。この要因として自宅退院前ではよりADL訓練の比重が大きくなる為、起立訓練の回数が減少したものと思われた。また、退院前に増加した理由としては、リハ訓練、病棟訓練のみでなく、自主トレーニングによる起立訓練が行われた結果だと思われた。今後は、さらに症例数を増やし、脳卒中患者への起立訓練の影響を検証していきたい。又、起立訓練を積極的に取り入れた症状別のリハビリテーションプログラムを導入していきたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】脳卒中患者に対する起立訓練は、下肢筋力や歩行能力向上に伴うADL向上に有効であることが示唆された。
著者
藤田 昌志 FUJITA Masashi
出版者
三重大学国際交流センター
雑誌
三重大学国際交流センター紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.111-123, 2006

2005年4月末,在中国,"反日风暴""狂风大作".日本媒介全都报道"反日风暴"而发表歪曲的看法.中国是真的那么讨厌日本吗?如果是的,那么,这个原因到底在哪儿?为什么"反日风暴"在中国"狂风大作"呢?本报告考虑这些问题,通过最近在日本出版的关于中国的书籍,就有关问题进行了研究.有些人用一个偏颇的视点来看中国,批判中国.有的人看准日中两国的现在和未来,用长远的眼光,本着客观的,双赢的原则,提出一些宝贵的意见.我想通过现在在日本出版的容易得到的书籍就这些问题进行探讨.
著者
潮村 公弘
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-13, 1995-07-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究の目的は, カテゴリー化を引き起こす刺激手掛かりが, 対人記憶と印象評定に及ぼす効果について検証することであった。Taylorら (1978) によって開発されたパラダイムに基づいて2つの実験が行なわれた。実験1では, 被験者にグループ・ディスカッションを提示するさいに, テープレコーダーとスライドを用いて, 被験者に話し手の声と顔写真が示された状況で行なわれた。そこでは, 話し手の性別と, 発言内容の性度とが 独立に操作されていた。実験2では, 話し手の声や顔写真の情報を被験者には与えず, 話し手の性別に関して性別ラベルのみを提示することで, 性別手掛かりが低減させられた。結果は, 対人記憶での効果は2つの実験を通じて変化しなかったことに対して, 印象評定での効果は2つの実験で明瞭に異なり, 実験2では話し手に 対する印象評定は, 発言内容の性度によって規定されていた。結果は, 2つの課題の独立性, 話し手の性別によって引き起こされるaccentuation (強調化) 効果の普遍性, 自動的処理とコントロール処理といった事項と関連づけて考察された。
著者
岩田 忠久 柘植 丈治 石井 大輔
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123-129, 2014 (Released:2017-02-01)
参考文献数
10

現在,様々なバイオベースプラスチックが開発されているが,熱的あるいは機械的性質,加工性,生産性,原料問題など多くの課題を抱えている。本稿では,微生物産生ポリエステル合成において炭素源を糖から非可食系植物油へ転換する取り組み,木質バイオマスの1つでこれまで廃棄されてきたヘミセルロースであるキシランの有効利用に関する研究,食品廃棄物の1つであるコーヒーの搾り滓から抽出されるカフェ酸を原料としたポリエステル合成に関する筆者らの最近の研究成果について紹介する。
著者
大島 一史
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.490-496, 2003 (Released:2004-08-27)
参考文献数
5
著者
児玉 基一朗 赤木 靖典 髙尾 和実 難波 栄二 山本 幹博 秋光 和也 柘植 尚志
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.207-216, 2014

地球上に存在する糸状菌の大多数は,分解者として腐生的生活を送っている。その一方で,特定の糸状菌が生物学的に大きなコストをかけて植物寄生能力を進化させてきた要因は,宿主植物というニッチを占有することの利点にある。病原糸状菌の感染様式は,栄養関係の樹立に生細胞との相互作用を必要とする活物寄生菌(biotroph)から,感染成立過程において植物細胞を激しく加害し死に至らしめる殺生菌(necrotroph)まで多岐にわたる。その他,共生菌,あるいは感染過程の少なくとも一部において生細胞との相互作用が重要であるとされる中間型の寄生菌(hemibiotroph)なども存在する。このように多種多様な寄生様式のいずれも,相互作用における進化のほぼ最終的な形態として具象化されているのか,それとも単に理想的な最終型に収斂する過程の途上に現れた一つにすぎないのか,議論の分かれるところである。
著者
伊藤 美千穂
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.616-619, 2016

<p>日本古来の奥ゆかしい伝統に,沈香<sup>*1</sup>などの香木を穏やかに暖めて立ち上がる芳香を"聞く"香道がある。また,西洋でアロマセラピーが提唱されるより以前に,北宋の詩人である黄庭堅により香の精神的・身体的効能を謳った漢詩「香十徳」<sup>*2</sup>が書かれており,日本でも広く知られていた経緯がある。しかし,現代の薬学分野では,主に再現性や定量性の問題からにおい自体やにおい成分の薬理効果などは研究対象になりにくいものとされ,これらについての研究は精力的には進められてこなかった。</p><p>他方,においの効果に興味を持った著者らはマウスを使ったにおい成分の経鼻吸収モデルを構築し,香道で用いられる沈香の芳香成分に強い鎮静作用があることを明らかにした。さらに沈香等の薫香生薬類やハーブ類の精油等からのにおい成分の摂取がマウスの行動に与える効果を行動薬理的に解析することにより,これらのにおいの中の活性成分の詳細な検討や,薬としての応用の可能性について研究を行っている。</p>
著者
海野 遥香 友田 光子 橋本 成仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.600-607, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

我が国における生活道路での交通死亡事故は安定した減少傾向になっておらず,多くの死亡事故は身近な道路で発生しているため,依然として生活道路での安全確保は重要な課題である.また,状態別に死亡事故を見てみると,歩行中及び自転車乗用中に事故に遭遇する割合が約半数を占めていることから,自動車運転者として生活道路を利用する場合,歩行者や自転車に配慮した運転を心掛ける必要がある.本研究では個人の公共の場面における行動基準に着目し,運転時の交通安全意識との関係性について分析を行った.まず,行動基準に基づいて運転者の類型化を行い,行動基準と個人属性,生活道路に対する意識や運転意識との関連を把握することで,類型化された個人の行動基準ごとの特徴を明らかにした.加えて,生活道路での安全意識として歩行者・自転車を優先した意識に着目し,行動基準と運転時の経験や運転意識等との因果関係について共分散モデルを作成することで,行動基準を起点とした個人の意識構造を推定した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.700, pp.58-59, 2018-11-26

橋やトンネルと異なり、直接見ることが難しい地下管路は点検が手薄になりがちだ。地上からの目視点検にとどまり、トラブルが起きてから異常に気付くことが多い。今年4月に神奈川県伊勢原市で起こった下水道管の破断による線路陥没事故も、維持管理が後手に…