著者
渡邉 英徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1211-1216, 2013-11-15

筆者らは,戦史や災害をテーマとしたディジタルアーカイブズ・シリーズを作成してきた.これらのアーカイブズは,多元的な資料を一元化し,俯瞰する視点をユーザに対して提供する.ユーザは,複数の資料を互いに関連付けながら捉え,できごとの実相について,より深く知ることができる.さらに筆者らはこの手法を応用し,震災ビッグデータを利用した災害状況の可視化を行った.これは現代の災害記録を未来に残すアーカイブズ構築の試みでもある.本稿では,筆者らが作成したコンテンツのうち「沖縄平和学習アーカイブ」と「放射性ヨウ素シミュレーションのマッシュアップ」を取り上げ,それらのビジュアライゼーション手法について述べる.
著者
山本 太郎 寺西 裕一 梅本 佳宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.102, pp.19-24, 2000-11-09
被引用文献数
8

本稿では,電子的に保存された医療情報を広域ネットワーク上で安全に流通させるための一手法として,我々が研究開発してきたXMLコンテンツ流通管理システム'iSquare'を用いた医療情報システムの実現方法を示す.iSquareを医療情報システムに適用させるために,(1)汎用的条件に応じた開示制御を実現するための,拡張XPath記法を用いたコンテンツ利用制約管理機構,(2)緊急時のルールを優先させるための,優先度を考慮したポリシー制御機構,(3)医師等の属性を証明するための属性認証機構の拡張を行っている.これらの拡張により,柔軟な開示条件設定のもと,信頼できる利用者に対してのみ開示制御を行う医療情報システムの実現が可能となった.This paper describes an implementation of the safe, distributed medical information system on our XML content sharing system, 'iSquare'. To apply iSquare to medical information system, we extended iSqure as follows: (1) the usage restriction management system using extended XPath notation for an access control which allows multi-purpose conditions, (2) the policy management mechanism which gives priority to emergency rules (3) the attribute authentication mechanism to certificate the personal attribute like 'doctor'. These extensions enable iSquare to be a platform for a reliable, distributed medical information system which has flexible access control.
著者
福島 良典 大澤 幸生
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

ソーシャルメディアにたまった個人ログ,集合知を活用し,その人が今まで気付いていなかったが重要だと感じるニュースの推薦を行う.従来の研究では,自分が今まで過去に見た情報に似たニュースを推薦する研究が多かった.本項では,そういった過去に見たものに似た情報ではなく,過去に見た情報のログに基づき,その人が次に興味を持ちそうな情報を予測して,推薦することを目的とする.
著者
白水 菜々重 松下 光範
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.2276-2287, 2013-09-15

本研究の目的は,イベントにおいてTwitterやUSTREAMといった即時性の高いソーシャルメディアを利用することが,そのイベントのコミュニティの形成・維持にもたらす影響について明らかにすることである.近年,共通の関心や興味に基づいて人々が自発的に開催する勉強会やカンファレンスなどで,TwitterやUSTREAMといったリアルタイム性の高いWebサービスを利用してオンラインコミュニケーションを行うケースが増加している.本稿では,このようなイベント開催時にTwitterを介して行われる参加者同士のインタラクションの調査,ならびにそれを補完するアンケート調査を行い,このようなソーシャルメディアを利用したイベントを取り巻くコミュニティの特徴について分析を行った.その結果,(1)従来のオフラインだけのコミュニティには見られない立場を超えたインタラクションが観察され柔軟なコミュニティが形成されていること,(2)会場だけでなく遠隔地から上記のサービスを利用して参加するユーザの中にも情報伝播のhubになる人物が存在すること,(3)参加者の流動性がイベントの継続において重要であること,という知見が得られた.
著者
佐野 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.707, pp.39-44, 2004-03-05
参考文献数
3

PC環境とネットワークの普及によって知的生産物の創造のハードルは下がったが,一方で原理原則知識の習得や蓄積型ナレッジの活用が軽視されている.ビジネスインテリジェンスのナレッジへの適用によって,生産性の効率向上だけでなく,知の共有化によるより高度な知的生産活動が行える.
著者
山田 耕作
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-19, 2005-10-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
塚本 昌彦 松坂敬太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.120, pp.111-118, 2006-11-16

コンピュータが小型化,高性能化し,コンピュータを実空間のなかのさまざまなものに埋め込んで使うユビキタスコンピューティングが現実的になってきた.ユビキタスコンピュータの次のステップは「飛ぶコンピュータ」である.センサやカメラ,マイクやスピーカ,LED,ディスプレイなどをそなえた小型のコンピュータが空中を自由に動き回れるようになれば,災害救助,気象観察,設備点検,安全巡視,その他あらゆる実世界での人々の活動において有効に活用できる.本稿では,超小型ヘリと超小型コンピュータを融合した「飛ぶコンピュータ」の構想と,それに向けての筆者らのグループによる取り組みについて述べる.As computers became smaller, ubiquitous computing where they are embedded in many objects and are used in the real world becomes realistic. We consider the the next step of ubiquitous computers is "flying computers." If a small computer equipping with sensors, camera, microphones, speakers, LEDs, or displays, can fly in the air at will, it can support variety kinds of human activities such as rescue, observation, inspection, and patrol. In this paper, we introduce the notion of "flying computers" which combines very small helicopters and very small computers, and show the activities of our group toward realizing it.
著者
鄭 澤善
出版者
中京大学
雑誌
中京大学大学院生法学研究論集 (ISSN:03897958)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.71-105, 1996-03-19
著者
小林 麻実
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.545-554, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
3
被引用文献数
2

2003年東京都港区に私立会員制図書館として創設されたアカデミーヒルズ六本木ライブラリーの理念と実践を紹介する。著者は,図書館の意義を「過去の先人の残した知見や同時代の他者が持つ知識・経験といった情報を共有することにより,新たなイノベーションを個人が創り出していく場」ととらえ,新しい学びや協働を育む「場」を社会人に対して提供してきた。組織を離れた個人としてのつながりや情報交換が図書館内に生まれるように8年にわたってさまざまな工夫を重ねている。その結果としてラーニングコモンズやコワーキングという言葉が生まれる以前に,その内容を実践してきた。
著者
青木 秀夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.80-84, 2009-02-05
参考文献数
16

南部理論と物性物理学との深いかかわりを,南部理論とBCS理論とのかかわり,南部・ゴールドストーン定理,南部理論と超伝導とアンダーソン・ヒッグス機構,などの観点から解説する.
著者
李 偉 尾方 隆幸 山田 奨治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-8, 2009-01-16
参考文献数
11

京都盆地北部に現存する164の日本庭園のリストを作成し,GISを用いて地図化した。庭園築造数を歴史的にみると,江戸時代と大正時代にそのピークが認められる。土木技術が発達した江戸時代には大規模な庭園が数多く築造されたが,池などの地表水を欠く庭園の多くが扇状地扇央に分布しているのに対し,地表水のある庭園は湧水のみられる東山丘陵の山麓に集中している。明治~大正時代に建設された庭園のほとんどは1890年に完成した琵琶湖疏水沿いに位置しており,池・流れ・滝などの水景が重視されている。これらのデータは,京都盆地に分布する庭園が自然的にも人為的にも水文条件の影響を強く受けていることを示している。This study listed 164 Japanese gardens situated in the Kyoto basin, consisting mainly of the Kamogawa alluvial fan and the Katsuragawa flood plain. The listed gardens were mapped with Geographic Information System (GIS). During the Edo era, civil engineering improvements promoted construction of large scale gardens. Gardens lacking surface water are mainly distributed in the center of the Kamogawa alluvial fan with relatively deep groundwater. Gardens with surface water, in contrast, are concentrated along the foot of the Higashiyama hills where hydrological recharge zones produce rich springs. During the Taisho era, Biwako-sosui (canals from the Biwa Lake to the Kyoto basin) contributed to construction of gardens with surface water, such as artificial ponds, flows and falls. Both physically and artificially, hydrological conditions controlled the geographic distribution of Japanese gardens.