著者
渡辺 洋平
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.39-49, 2011-12-20

ドゥルーズは『差異と反復』(1968)において,「現代哲学の任務は「プラトニスムの転倒」と定義された」と書いた.この言葉は取りも直さず,自らの哲学がプラトニスムを転倒させるものであるという宣言に等しい.そこでドゥルーズが目指したのは,プラトンにとっては排除すべき対象だった「シミュラクル」と呼ばれる存在を復権することであった.しかしこの「転倒」は,より広範な意義を持っているように思われる.本論文では「プラトニスムの転倒」という主題を,シミュラクルから解放することで,より広範な領域へと開くことを試みる.ドゥルーズにとって,プラトニスムとはイデアという超越的な基準により,この世界に善悪を作り出す思想である.「プラトニスムの転倒」とは,こうした超越的な体制から内在的な体制への移行であり,そこでは,道徳とは異なるものとしての倫理的なあり方が目指されることになる.そしてこの移行は,あいだの問題,共同体の問題を通じて,自然との新たな共生へ,さらには世界の新たな形成へと向かっているのである.
著者
Peter Fox Ray Harris
出版者
CODATA
雑誌
Data Science Journal (ISSN:16831470)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.WDS1-WDS12, 2013 (Released:2013-02-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

The International Council for Science (ICSU) vision explicitly recognises the value of data and information to science and particularly emphasises the urgent requirement for universal and equitable access to high quality scientific data and information. A universal public domain for scientific data and information will be transformative for both science and society. Over the last several years, two ad-hoc ICSU committees, the Strategic Committee on Information and Data (SCID) and the Strategic Coordinating Committee on Information and Data (SCCID), produced key reports that make 5 and 14 recommendations respectively aimed at improving universal and equitable access to data and information for science and providing direction for key international scientific bodies, such as the Committee on Data for Science and Technology (CODATA) as well as a newly ratified (by ICSU in 2008) formation of the World Data System. This contribution outlines the framing context for both committees based on the changed world scene for scientific data conduct in the 21st century. We include details on the relevant recommendations and important consequences for the worldwide community of data providers and consumers, ultimately leading to a conclusion, and avenues for advancement that must be carried to the many thousands of data scientists world-wide.
著者
岡田 英明 喜連川 優
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.184-187, 1994-03

小特集 機能エレクトロニクス研究センター
著者
高崎 文子
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1834号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2004/1/21 ; 早大学位記番号:新3678
著者
森蒼太郎 著
出版者
大京堂
巻号頁・発行日
1921
著者
小島 庸平
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.315-338, 2011-11-25

本稿は,長野県下伊那郡座光寺村で農村負債整理組合法に基づいて実施された無尽講整理事業の実施過程を分析することを課題とする。座光寺村では,1920年代の養蚕ブームを背景に,インフォーマルな金融組織である無尽講が「濫設」されていたが,大恐慌期にはその多くが行き詰まり,村内における階層間対立を激化させる一因となっていた。だが,戦間期の無尽講は,部落や行政村の範囲を超えた多様な共同性の中で組織されており,債権債務関係と保証被保証関係が複雑に折り重なっていたため,その整理は極めて困難なものであった。無尽講をターゲットとした同村の負債整理事業は,進捗自体は極めて遅々としていたものの,地縁的な関係を超えて集団的に取り結ばれた無尽講の貸借関係を,同一部落内における個人間での「区人貸」に再編し,その結果,30年代後半の経済好転に伴う余剰資金の預金先は,産業組合に代表される制度的な金融機関へとシフトしていった。無尽講の整理を1つの目的とした農村負債整理事業の歴史的意義は,「講」型組織の「村」型組織化(を通じた解体)にあったと言うことができる。
著者
安達 泰盛
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 教育学研究科篇 (ISSN:18833993)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.55-72, 2009-03-01

現在の民間機関での犯罪被害者支援の主な担い手はボランティアとなっている。しかし、犯罪被害者支援の研究の中でそのボランティアに着目した研究はまだ見られない。本論文では、ボランティア参加者の語りに着目し彼らが活動を通してどのようなことを感じているか、その体験の意味づけがどのように変容しているかという点に注目し、その流れを明確化させることを目的とした。ある犯罪被害当事者の会の主催する集会にボランティアとして参加した人を対象としインタビューを実施し、データとした。データの整理はKJ法を参考した。整理の結果、参加者の語りの内容は、参加前、参加している間、参加後、現在、得たもの、その他という6つの段階に分かれることが明らかになった。6つの各段階において参加者の態度変容を詳細に図示し、その結果から見えた参加者の態度の変容について考察を加えた。
著者
李 永喜 小河 孝則 田口 豊郁
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.75-89, 2008

市民による福祉ボランティア活動は,新しい地域社会を形成しうるとして高い関心を集めている.行政は福祉ボランティアに対して政策的に組み入れようとしてきた.95年の阪神・淡路大震災を契機にボランティアやNPOの機能や役割に関心が広まり,公的介護保険制度の導入,特定非営利活動促進法の施行以降それらの市民活動と行政のパートナーシップが強調されるようになった.しかし,行政と民間との「協働」「パートナーシップ」はNPOや法人に関心が傾いているようにみうけられる.多くのボランティア団体は法人格を持たない任意団体として活動しているために,社会的に信用が乏しく財政の不足が課題となっている.そこで本研究は福祉ボランティア団体・組織の立ち上げに基金支援している「A市の地域福祉基金」の運営に注目した.福祉ボランティアの大きな特徴である「自発性・主体性」に関心を持ち,行政による支援の意義についてA市基金運営委員会における参与観察を行いつつ,過去に基金助成を受けていた全団体(41団体)と現在基金助成を受けている14団体を対象にアンケ-ト調査を行い考察した.その結果,基金助成終了後92.6%の団体が会員の会費やバザ-の収益金,町内会や社会福祉協議会の助成金などで資金を調達し確実に活動を続けていることがわかった.福祉ボランティア団体は資金不足と人材不足の悩みを抱えているが,基金助成を受けることによって90%の団体が自分たちの活動が社会的に認められたと認識し,活動への意欲が高まったといっている.ここに行政による支援の意義があるといえるのである.ボランティア活動を持続していくためには,団体・組織内におけるミッション・ディスカッションを行うことが必要であるといえる.福祉ボランティアに対する行政の役割としては,資金的支援やPRの工夫と実践,福祉ボランティア団体と地域の福祉問題解決に向けて共通目標を確認し合える「情報共有の機会・場」を設けること,があげられる.

9 0 0 0 幼女と仔猫

著者
長与 善郎
出版者
心編集委員会
雑誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, 1955-01
著者
山下 聡子 平山 陽菜 水上 柚香子 永見 聡一朗 佐藤 翔 下山 佳那子 SATO Sho
巻号頁・発行日
2012-11

第14回図書館総合展. パシフィコ横浜, 2012-11-20/22, 掲示番号52.
著者
杉原 太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.115-120, 2012

4回にわたる本シリーズでは、初学者のためのリサーチデザインの導入と位置づけ、工学系研究と社会科学系研究の考え方の違い、定量調査と定性的調査と実験の各々の特徴について解説する。自ら実装したシステムの評価をしたいと考えたり、開発されたシステムを現場に持ち込み人々の営みがどのように変容するかを調査したいと企図したりする場合の、最も基礎となる部分についての原稿である。本稿はその第1回目として、調査と実験の基本的な考え方およびプロセスについて概観する。筆者は、工学系出身でありながら、社会科学の研究に関わることになった経験を有する。その経験を生かし、特に工学系研究者が陥りやすい落とし穴について概説することに重点を置く。内容は、HI2011 およびHI2012 の講習会で説明したものをベースにした。
著者
安蔵 靖志
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.98-99, 2012-01-15

俳優の細川茂樹氏の呼びかけによって,情報処理学会とのコラボレーションによるスマートフォンアプリ共同開発プロジェクトがスタートした.さまざまなアイデアを盛り込むことで技術的なチャレンジができることから,「家電製品の取扱説明書を手軽に集めて整理・閲覧できるアプリ」をテーマとして決定.お茶の水女子大学の大学院生2名がメンバーとして加わり,開発に携わることとなった.