著者
臼井 一茂 加藤 健太 田村 怜子 原 日出夫
出版者
神奈川県水産技術センター
雑誌
神奈川県水産技術センター研究報告 (ISSN:18808905)
巻号頁・発行日
no.10, pp.43-49, 2019-12

本報では異なる餌料による短期養殖によって、生殖巣のGIと、特に遊離アミノ酸で甘味のグリシン、アラニン、旨味のグルタミン酸、そして苦みのバリンの含有量変化について検討した。今回のキャベツウニと比較している市販ウニは、その地域や種類全体を表すものではないが、キャベツウニは市販されていた天然ムラサキウニや天然キタムラサキウニと比べ、味わいで劣ることはないものと思われた。試食では飲食店関係者より、十分に使える味であるとの評価をしてもらったことから、実用化に向けた取り組みを民間事業者や県内の漁協とで進めたいと考えている。今回、ムラサキウニの採取場所によっては生殖巣が極めて少ないことと、さらに生殖巣の色彩がチョコレート色から墨色のような褐色であるものも多かった。それらは最後まで身入りが悪く、さらに苦みが強いことなど新たな課題も見いだされた。全国的な磯焼けの発生は、ウニ類の異常ともいえる増殖に伴う海藻類への食圧の増大が一因となっている。磯焼けした漁場ではウニ類の餌となる海藻類が減少していることから身入りが少なく、漁獲対象になっていない状況が、更なるウニ類の増加につながっている。ウニ類の除去を促進させるためにも、今後も未利用の陸上農産物を使った効率的なウニ類の身入り方法等、養殖技術の確立が必要であると思われる。
著者
古元 邦子
出版者
広島国際大学心理臨床センター
雑誌
広島国際大学心理臨床センター紀要 (ISSN:13482092)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-9, 2013-03-20

本稿では、Ullmanのアプローチによる夢グループの体験について紹介する。この夢グループは、夢主が夢を理解することをグループで助けていくように8段階のプロセスが定められている。筆者は、5名のメンバーで夢グループを体験し、夢グループを効果的に行うためには、参加者に一定の態度が必要であることを理解した。夢主とグループメンバーに必要とされる態度、およびリーダーの役割について検討し、Ullmanの夢グループが、夢主が夢を理解できるだけでなく、グループメンバーにも、夢を扱う方法を学ぶことができるものであり、心理療法家のひとつの訓練法として有効であると考えられた。
著者
志水 寛 柄多 哲 西岡 不二男
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.1025-1031, 1976-09-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
12
被引用文献数
11 12

The extractability of proteins from fish muscle homogenates was investigated at ionic strengths ranging between μ 0 and 0.3 (pH 6.8 ?? 7.0; ratio of muscle to extractant, 1:30) with 18 species of teleosts. Species variations were observed in the extraction patterns obtained between μ 0 and 0.05. As the ionic concentration was raised from μ 0 to 0.05, the amount of extractable protein increased rapidly in dark meat fish (migratory fish) such as sardine or chub mackerel and increased slowly in fish such as horse mackerel or lizard fish which are considered to be intermediate between dark and white meat fish. In white meat fish (bottom fish) such as Alaska pollack or nemipterid, however, the extractabilities more or less dcreased in the range of μ 0.025-0.05.Such differences between dark and white meat fish are attributable to a fraction eluting at Kav 0.2 ?? 0.3 on Sephadex G 200 filtration which is abundant in the sarcoplasm of the former (chub mackerel), and the greater solubilization of myofibrils from the latter (Alaska pollack) at ionic strengths of μ 0.025. From the results, μ 0.05 was recommended as the optimum concentraion for extracting sarcoplasmic proteins from either dark or white meat fish. The values of 0.05μ extractable protein nitrogen obtained in this study closely corresponded with those of non-protein nitrogen, the latter being an accepted marker for distinguishing between the two groups of fish.
著者
甲斐 素純
出版者
佐伯史談会
雑誌
佐伯史談
巻号頁・発行日
no.219, pp.16-38, 2012-07
著者
笹川 慶子
出版者
関西大学大阪都市遺産研究センター
雑誌
織田作之助と大阪
巻号頁・発行日
pp.28-39, 2013-03-31

文部科学省私立大学戦略的研究基盤支援事業 : 平成22年度-26年度「大阪都市遺産の史的検証と継承・発展・発信を目指す総合的研究拠点の形成」
著者
田中 光一
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

成人の脳では、γ-アミノ酪酸(GABA)はGABA_A受容体に結合し、神経細胞を過分極する抑制性神経伝達物質として知られている。しかし、幼弱な脳、あるいは成人の脳でも視交叉上核、外傷後の神経細胞に対しては、脱分極作用を示し、興奮性神経伝達物質として働くことが知られている。このGABAの持つ脱分極作用は、神経系の発達、概日リズムの形成、外傷後の脳損傷および回復過程になんらかの役割を果たしていると考えられているが、その機能的役割は不明である。最近、GABAにより脱分極する神経細胞には、Cl^-を細胞外へ汲み出すK^+-Cl^-共輸送体(KCC2)が発現していないため、細胞内Cl^-濃度が高く保たれ、Cl^-の平衡電位が静止膜電位より脱分極側にシフトしていることが示された。本研究では、K^+-Cl^-共輸送体を過剰発現させることにより、細胞内Cl^-濃度を制御し、GABAの脱分極作用のみを抑制するマウスを作成し、いままで全く実験的証拠のなかったGABAの神経興奮性作用の機能的役割を個体レベルで解明する。本年度は、平成13年度に作成した生後直後からK^+-Cl^-共輸送体(KCC2)を過剰発現しているマウスの表現型を解析した。KCC2過剰発現マウスは,野生型に比べ、自発運動量の低下が観察された。また、概日リズムの光による同調能にも異常が観察された。現在これらの表現型が、KCC2を過剰発現させたことによる抑制性ニューロンの抑制能の増強によるものかどうか、形態学的、電気生理学的により詳細な解析を進めているところである。
著者
山本 光良 黒野 弘靖
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.55, pp.373-376, 2012-07-22

信濃川下流域の<万年>においてその空間構成を把握した。<万年>は寛永20年(1643)までに開発された万年新田八か村のひとつに数えられる。明治27年(1894)の地籍図をみると生産域が分散していたとわかる。居住域と生産域は水路によって繋がっていた。本家・分家関係をみると居住域がムラミチの両側から始まり広がってきたとわかった。屋敷をみるとオモテからウラへ通り抜けることのできる通路があり、それと対応して農舎やシモグチなどが配置されている。
著者
吉田 国光
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.34, 2008

<BR>1.研究課題<BR> 現在,日本の農業は国際競争の波にさらされている.その対抗手段として,政策的に農業経営の大規模化が推進されている.この大規模化という現象は,農地の売買,貸借,作業受委託などによって達成される.しかしながら,大規模化に成功する農家は一部に限られる.農地拡大のために,労働力と経済力に余裕があって,地縁・血縁をもとに,集落内外の農地を取得することができる経営者が,大規模化に成功すると考えられる.日本の農村において,ほとんどの世帯は,顔見知りであり地縁関係にあり,またいくつかの血縁に基づいた同族集団に所属する.<BR> 農地移動については,従来から指摘されるものの,農地移動に至るプロセスについては,「地縁・血縁によるもの」と指摘されるにとどまり,その具体的なプロセスについては不明瞭な点が多い.農地移動が円滑に進められる要因や障壁となるものを明示し,これらが機能する仕組みの解明が必要である.<BR> そこで本研究では,大規模化の基盤である,農地移動に至るプロセスを明らかにする.集落を基点に,農地移動がいかなる社会関係によって行われ,その社会関係が,どのように空間的に広がってきたのかを明らかにすることを目的とする.<BR><BR>2.研究対象地域と研究方法<BR> 研究対象地域である北海道音更町大牧・光和集落は,1950年に入植が始まった開拓地で,大規模畑作農業が卓越し,酪農家,野菜作農家が混在している.開拓時には,141戸が入植したが,2007年には,31戸にまで減少した.<BR> 研究方法としては,現地調査にて,大牧・光和集落の全農家の農業経営の現状を把握し,これまでの農業経営の変遷について,農地移動の実施状況を中心にして情報を得た.この情報をデータ化し,ネットワーク分析における多重送信性の概念(ボワセベン 1986)を援用し,農業者のもつ複数の社会関係を,その組み合わせから分析した.そして,その社会関係が,時代とともに,いかに多様化し,空間的に拡大してきたのかを明らかにした.<BR><BR>3.社会関係からみた農地移動プロセス<BR> 大牧・光和集落における,農地移動に関係する社会関係は,集落と中音更地区内での地縁や,本家分家,姻戚などの血縁に加えて,小学校での同級生,同窓生,PTA役員同士との関係,農業開発公社などの公的機関を介したより広範囲にわたるものまである.近隣世帯や集落などの地縁よりも,血縁の方が例え空間的に離れていても重視された.すなわち血縁が,他の社会関係よりも強く,決定要因となりうるものであった.血縁をもたない場合については,同一集落における近隣世帯で,の場合が最も多く,より近接性の高い農家との農地移動が行われることが多かった.農地移動が隣接集落におよぶ場合は,小学校の校友関係や,開拓以前からの付き合い,開拓世帯などの結社縁を含む場合が多かった.これらに加えて,地縁や血縁,結社縁が希薄である場合については,公的機関などを介したものが関係していた.<BR> このような,農地移動に関係する社会関係は,各農家によって差異がみられ,全体として5つに類型化できた.それらは,近隣・集落完結型,中音更地区拡大型,選択縁活用型,二次入植型,入作型である.それぞれの類型に該当する農家の事例分析から,農地移動に関係する社会関係が,いかなる経緯をもって成立したのかを提示した.さらにその社会関係が,いかにして農地移動に結び付けられてきたのかを明らかにした.このことから,農地移動に関係する社会関係は,時間の経緯とともに,近隣世帯や集落内で完結していたものから,中音更地区,他地区,音更町外に空間的に拡大するようになった.また,農地移動に関係することがなかったような社会関係が,従来からの地縁や血縁,結社縁に加えて,農地移動に結びつくようになり,社会関係の多様化をもたらした.その結果,農地移動は,地縁,血縁以外の社会関係によって行われ,集落や地区の範囲を超えて展開するようになったといえる.<BR><BR>【参考文献】ボワセベン, J.著,岩上真珠・池岡義孝訳 1986.『友達の友達-ネットワー ク,操作者,コアリッション-』未来社.Boissevain, J. 1974.<I>Friends of Friends :Networks, Manipulators and Coalitions.</I> Basil Blackwell.
著者
竹内 徳余 伊東 隆臣 浅川 満彦
出版者
日本獣医寄生虫学会
雑誌
獣医寄生虫学会誌 = Japanese journal of veterinary parasitology (ISSN:1347961X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.67-72, 2013

2011年5月から2013年2月まで、大阪・海遊館において飼育・展示中の海産魚類8種(マダラトビエイ Aetobatus narinari、カエルアンコウ Antennarius striatus、ピンクマオマオ Caprodon longimanus、カスリハタ Epinephelus tukula、アカグツ Halieutaea stellata、ヒメアイゴ Siganus virgatus、ショウサイフグ Takifugu snyderi、ウマヅラハギ Thamnaconus modestusi) から次のような寄生虫が得られた。すなわち、Philometridae gen .spp.、Camallanidae gen. sp.、Raphidascaroides sp.、四吻目条虫類、微胞子虫類、Sarcotaces sp.、Limnotrachelobdella okae であった。これら寄生虫の形態と飼育上の問題点について概述する。 Several parasites including Camallanidae gen. spp., Raphidascaroides sp., Philometridae gen. spp., Microsporidia, Sarcotaces sp., Trypanorhyncha fam. gen. spp., and Lamnotrachelobdella okae were obtained from 8 capitve marine fish species including Aetobatus narinari, Antennarius striatus, Caprodon longimanus, Epinephelus tukula, Halieutaea stellata, Siganus virgatus, Takifugu snyderi and Thamnaconus modestus kept in the Osaka Aquarium Kaiyukan, between May 2011 and February 2013. Photographs and brief comments about the parasites are given.
著者
西浦 正孝
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.3, no.7, pp.592-599, 2000-11-01 (Released:2010-03-18)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

鉛フリーはんだとして有力視されている錫基はんだ材料としてSn-Ag系, Sn-Sb系およびSn-Ti系はんだ材料の24組成について, はんだ付け性, 機械的特性および熱疲労特性について系統的に検討した。Sn-Ag系およびSn-Sb系はいずれも良好な機械的特性と熱疲労特性を示し, Sn-37Pbの1.4倍強から1.8倍強の寿命特性を示した。また, 析出強化型Sn-Ag系の方が固溶強化型Sn-Sb系より寿命特性に優れ, さらにAg, Sb, Biの添加により寿命特性が向上することを確認した。しかし, Sn-Ti系ははんだ付け性, 機械的特性に劣り, はんだ接合としての課題があることを確認した。Sn-Ag系およびSn-Sb系は鉛フリーはんだ材料としても有力な材料であると考えられる。
著者
根間 弘海
出版者
専修大学学会
雑誌
専修人文論集 (ISSN:03864367)
巻号頁・発行日
no.88, pp.229-264, 2011-03
著者
大熊 孝夫
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究
巻号頁・発行日
vol.2016, no.26, pp.198-201, 2016

<p> 相撲の世界は,さまざまなルールによって支えられている.相撲の世界のルールというと,土俵上での力士と力士の取り組みに関するルールを真っ先に想い浮かべるであろう.しかし,相撲界を支えるルールは力士の競技活動,つまり,取り組みのためのルールだけではない.年間の本場所開催に関するルールもあれば,力士や親方の報酬に関するルール,懸賞金の分配に関するルールもある.あるいは,横綱の土俵入りに関するルールもあり,改めてルールに着目してみると,相撲の世界は,多種多様なルールに支えられていることがわかる. そこで本研究は,相撲界に存在するルールというものを4つの類型に分類し,そのそれぞれの類型に関して,そこに存在するルールの現実的な態様を分析している.</p>