著者
米田 美佐子 藤幸 知子 竹内 円雅
出版者
東京大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

ニパウイルスは1998年にマレーシアに初めて出現した新興感染症ウイルスである。2001年 以降バングラデシュを中心にほぼ毎年発生しており、その致死率は70~90%と非常に高いた め対策は急務である。申請者はこれまでに、フランス、アメリカ、バングラデシュ等の共同 研究者と共にニパウイルスの病原性発現機序に関する研究やワクチン開発を行ってきた。本 研究計画では、ニパウイルスの流行地であるバングラデシュにおいて、我々が開発した迅速 診断法を用いて流行ウイルス株の検出を試みる。また、検出されたウイルスの遺伝子解析に より、流行株の特性、病原性に関与する遺伝子配列の探索を試みる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1541, pp.74-76, 2010-05-17

今年春、サムスン電子の会長に電撃復帰した李健熙(イ・ゴンヒ)会長。巨大コングロマリット(複合企業)の舵を取る名経営者に体の異変が生じたのは、2005年のことだ。すぐさまチャーター機で渡米、行き先はガン治療で有名なテキサス大学MDアンダーソンガンセンターだった。検査で異常が見つかり、放射線治療を受けた。 切らずに治すガン治療として知られる放射線治療。
著者
中西 勉 松崎 純子
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.55, 2009

【目的】:網膜色素変性患者が歩行する際に、何を見ているのかを言語報告してもらった。何を見ながら歩行をしているのか、そして目的物を発見する際のストラテジー検討した。<br>【被験者】:網膜色素変性患者8人(平均49.5歳)であった。両眼視による視力(logMAR)は0.5 logMARから1.4 logMAR、視野(左右眼それぞれ8方向の平均)は20.5°から3.0°であった。<br>【方法】:網膜色素変性の患者の歩行状況をアイマークレコーダーやビデオカメラで撮影し、どこを見ているのかについて言語報告してもらった。<br> 被験者は、近隣の小学校横の歩道を歩いた。交差点の右折、歩道橋の上り下り、交差点の横断を含む約250mのルートで、車道側は主に植え込み、学校側はフェンスや植え込みとなっていた。二つ目の交差点にある押しボタンを発見するまでの約110m部分を主な分析対象とした。<br> 言語報告のうち被験者が見た物や方向を抽出し、KJ法を用いて分類した。分析者は、歩行指導歴20年以上の2名であった。結果:被験者が見ているもには、ある程度の傾向があった。車道と逆側のフェンス、車道側の植え込みなどを見ており、それは進行方向を保つためと考えられた。しかし、その多くはフェンスなどであった。前方を見ているとの報告も多く、安全を確認するためと考えられた。また、目的物の信号機のボタンがある交差点を探すために、その方向を意識していることが伺えた。交差点のゼブラゾーンを見ていると報告する被験者もおり、数十メートル先から見ていた。交差点に接近してから信号機の柱あるいはボタンを探していた。<br>【結論】:フェンスなどを見ることで進行方向を保っていると考えられた。押しボタンのある交差点を比較的遠方から確認していることもわかった。 行くべき方向をおおざっぱに定め、そこに到着後、目的の物を探していると考えられた。
著者
末丸 克矢 荒木 博陽 五味田 裕
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.295-300, 2002 (Released:2003-01-21)
参考文献数
32
被引用文献数
5 4

神経性ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は,αサブユニットとβサブユニットから構成される5量体のイオンチャネル型受容体であり,多くの神経伝達物質の放出を促進することによって精神機能にさまざまな影響を及ぼす.従来より,喫煙と各種精神病疾患の関係について多くの調査や研究が行われ,精神分裂病,うつ病および不安などの精神病疾患と喫煙の間に正の関連性があることが示されている.その喫煙動因として,ニコチンの中枢刺激作用により精神疾患の症状を自ら改善しようとする試み(self-medication),またはニコチン退薬症候に伴う症状の悪化をニコチン再摂取により軽減させていることが考えられている.近年,nAChRサブユニットのノックアウトマウスや各種精神疾患の動物モデルを用いて神経性nAChRの精神薬理作用の解明が進み,精神分裂病の注意障害や情報処理障害にはα7 nAChRが,またニコチン依存および退薬症候にはα4β2 nAChRが関与していることが示唆されている.
著者
宮内 弘太 高田 和幸 篠原 もえ子 藤生 慎
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.A_19-A_28, 2021

<p>近年,高度道路交通システムの発展に伴い,車両の性能向上に関心が高まっている.一方で,我が国では,自動車運転者による故意な危険運転や煽り運転,高齢運転者による事故が深刻な社会問題となっている.これらの問題を解決する方法として,事故の発生に結びつく要因を検知し,車両が適切な対応をする技術が必要である.</p><p>本研究では,事故の発生場所が多いとされている交差点部の走行挙動に着目し,事故の発生に結びつく要因が表れた時に検知する手法の提案を行う.LSTM Auto encoder を用いて普段の運転とは乖離した走行挙動が観測された時に異常運転が発生したと仮定し,手法の有効性を検証した.提案した手法を既往研究と比較したところ,検知精度は最も高く,検知タイミングは比較的早く検知できることが確認された.</p>
著者
本間 章彦
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.805-809, 1996-06-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

The present paper deals with possible construction methods of three-dimensional shapes based on the nesting behavior of paper wasps. Paper wasps can construct combs of hexagonal cells with a regular arrangement. This paper describes observation and analysis of such nesting behavior. Observation results show that characteristic movements of antennae and nesting behavior, so called “taxis”, are used in determining how to shape the nest. Construction experiments are conducted to ascertain the relationship between constructed shapes and construction algorithms based on the nesting behavior. The results are as follows : 1. Using base shapes as a guide mark, construction algorithms of threedimensional objects based on the movements of sensors and simple moving rules lead to the construction of similar shapes and different shapes. 2. The movements of antennae and behavior, so called “taxis”, are used in determining how to shape the nest.
著者
小島 美子
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.343-361, 1990-03-30

“Folkloric musicology” is a science of which subjects of study are folk musics such as children's songs, balladry, and musics used in the folk art and the folk religions. “Folkloric musicology” is closely connected with ethnomusicology. However, it is not widely approved in Japan. One of the major factors is the fact that the methodology has not been established.On the other hand, the review on the methodology has been quite inadequate in the field of the music history in the study of Japanese music. Some parts where the music history and “Folkloric musicology” overlap with each other are closely connected and useful for the both sciences in terms of methodology. In this paper, issues on methodology are discussed focusing on the parts where these two sciences overlap with each other.In Chapter 1, it is discussed that the music history should observe the movements of music in every stratum. In the music history in Japan so far, attention has been paid only to the art music, but it is not possible to grasp precisely even the movements of the art music. If the considerations are given to the movements of music of the people living in the agricultural, mountain and fishing villages in all over Japan, i. e., the dynamics of the folk music, then it will become possible to grasp the total picture. In this sense, a help from “Folkloric Musicology” will be necessary.In Chapter 2, it is discussed that the music history must be a study of history that can hear the sounds. Since in the Japanese music history in the past, researches have been made mainly based on the bibliographical data, the most important question, with what sounds the music was actually performed, has been forgotten.In Chapter 3, it is discussed how it is possible to imagine the past sounds that had already disappeared. To achieve it, it is necessary to analyse the direction of changes, factors of changes, etc. in details using, as the clues, the art music remaining up until now and the present sounds of the folk music, in order to feel out the from of the old sounds. In order to do that, a help from “Folkloric Musicology” will be necessary.In Chapter 4, it is discussed that it will be effective for “Folkloric musicology” and the music history to utilize the other's methodology with each other by clarifying the scientific natures of the two learnings, and to utilize the results of studies with each other as the supplement.
著者
萩原,尊礼
出版者
土質工学会
雑誌
土と基礎
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, 1973-06-15
著者
Atsuhiro KISHIMOTO Atsushi IMAIZUMI Hiromichi WADA Hajime YAMAKAGE Noriko SATOH-ASAHARA Tadashi HASHIMOTO Koji HASEGAWA
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.249-252, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
16
被引用文献数
18

Elevated neutrophil/lymphocyte ratio (NLR) has been reported as a sensitive marker for predicting poor prognosis in chronic inflammation-based diseases such as stroke, heart failure, cancers, and diabetes, as well as acute inflammatory diseases such as bacterial and viral infections, including COVID-19. NLR is also known to increase with age and is considered to be an aging marker. We conducted a double-blind, placebo-controlled trial in elderly volunteers to examine the effect of a newly developed, highly bioavailable curcumin formulation (curcuRougeTM) on NLR. Both the white blood cell count and the neutrophil rate decreased significantly, and the lymphocyte rate increased significantly from baseline to after curcuRougeTM administration for 4 wk. curcuRougeTM significantly reduced the NLR (p=0.020). On the other hand, in the placebo group, there were no changes in white blood cell count, neutrophil ratio, lymphocyte ratio, or NLR. The present study demonstrates for the first time, in elderly volunteers, that administration of curcuRougeTM significantly reduces NLR, an indicator of prognosis in cardiovascular diseases, cancer, infectious diseases, and aging. Thus, curcuRougeTM might be expected to improve the prognosis of these diseases as well as exhibit anti-aging effects.
著者
斯日古楞
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
no.275, pp.49-78, 2014-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 第275集 『モンゴル高原における文化資源の生成と保全に関する研究』小谷 真吾 編
著者
吉田 真吾 上嶋 誠 中谷 正生 加藤 愛太郎 小河 勉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最近,種々の構造探査により,縦波速度(Vp),横波速度(Vs),電気比抵抗などが同一断面上にマッピングされるようになってきた.それら観測可能なVp, Vs,電気伝導度,Qなどから,どのような物質がどのような状態にあり,どのような破壊・摩擦特性をもっているのか推定できるようになることを目指し,室内実験によりVp, Vs,電気伝導度などと,破壊・摩擦特性を様々な条件下で同時測定できる装置を開発した.同時測定が必要なのは,間隙の形状や連結性に依存する物性パラメターは,(特に高温で間隙水が存在する場合,化学反応が活発なので,)温度・圧力を与えても一意に定まるとは限らないからである.高温高圧下で岩石の電気伝導度を測定する場合,金属ジャケットで岩石試料を覆うことになる.そのような状態で岩石試料の伝導度を求めるのに,金属ジャケットを主に流れてきた電流と試料中心部を流れてきた電流を分離し,それぞれガードリングとセンター電極で測定するガードリング法を用いる.ガードリングに流れ込む電流とセンター電極に流れ込む電流を計算し,適切な配置を検討し,昨年度,ガードリングモジュールを設計・製作した.さらにその測定システムを用い,日高変成帯主帯の泥質変成岩類などの測定を行った.ガードリングを用いても金属ジャケットを用いる影響を完全には取り除けないので,見かけ抵抗から試料の真の電気伝導度を算出する補正係数を数値解から求めた.温度は室温から25℃ごと250℃まで,圧力は10MPaから250MPaまで,周波数は周波数1Hz~1MHzまで変化させて測定した.日高変成帯泥質ホルンフェルスの電気伝導度は黒雲母片岩などに比べ非常に高い.一定圧力のもとで,このホルンフェルスの比抵抗は温度上昇とともに増加し,75℃近傍で最大値をとり,その後減少することがわかった.
著者
馬場 孝浩 栗木 淳子 木戸 里香 黒田 和子 長谷川 純一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0832, 2005

【はじめに】近年離床の重要性は認識されつつあるが,車椅子座位の弊害は見落とされがちである。また車椅子座位時間の管理やクッション使用などの車椅子設定への配慮は,各ケースに応じて充分されていないのが現状ではないか。今回の研究目的は,車椅子座位が褥瘡や浮腫の発生に与える影響を調べることである。<BR>【対象と方法】介護療養型医療施設に入院中の患者で,普通型車椅子を使用している42名,83足(男性20名,女性22名,平均年齢75.0±10.8歳,主疾患はCVA40名,他2名)を対象とした。調査項目は殿部褥瘡の有無(IAET分類のstage1以上を有り),座位姿勢の崩れの有無と姿勢修正の可否(廣瀬らの簡易座位能力分類),車椅子用クッション(ウレタン,空気室構造など)の有無,浮腫の有無(夕方足背部に圧痕が残るか否か),麻痺の有無,最長車椅子座位時間(以下LS),総車椅子座位時間(以下TS)とした。LSとTSは,平日と休日のそれぞれ1日ずつ6時から21時まで30分ごと車椅子座位かどうかを確認して算出し,週間生活を考慮して平日の5倍と休日の2倍の和を7で除した値を用いた。統計解析は,まず褥瘡の有り群と無し群のLS,TSをそれぞれMann-WhitneyのU検定を用いて比較した。次に褥瘡の有無を目的変数,年齢,座位姿勢,姿勢修正,クッションの有無,LS,TSを説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。座位姿勢と姿勢修正,LSとTSには強い相関があったため,多重共線性に配慮して座位姿勢とTSは説明変数から除いて分析した。さらに浮腫の有無を目的変数,年齢,麻痺の有無,TSを説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。統計ソフトはSPSS for windows Ver12.0Jを用い,有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】LS,TSは褥瘡有り群(10名)で9.4±3.5時間,11.1±2.5時間,無し群(32名)で7.4±4.3時間,9.7±3.2時間であり,ともに有り群で有意に長かった(p<0.05)。ロジスティック解析の結果,褥瘡の有無に従属する有意な変数として,クッション(オッズ比OR=6.04,p<0.05),座位姿勢(OR=5.76,p<0.05),TS(OR=1.31,p<0.05),LS(OR=1.23,p<0.05)が認められた。浮腫の有無に従属する有意な変数として,麻痺(OR=3.76,p<0.05),TS(OR=1.30,p<0.01),年齢(OR=1.07,p<0.05)が認められた。<BR>【考察】結果より,褥瘡と浮腫双方の発生に影響するのは座位時間であった。よって,褥瘡や浮腫の予防には適宜臥床を取り入れる必要性が示唆された。褥瘡発生には座位時間に加え,クッションの有無と座位姿勢の崩れが影響していることがわかった。PTは褥瘡予防のためにクッションや体幹・骨盤サポートなどの使用を,早期から検討すべきと考えられた。本研究では褥瘡の原因を車椅子座位の影響に限局し検討したが,臥床時の影響も含めて検討することは今後の課題である。