著者
ヴォヴィン アレキサンダー
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.11-27, 2009-03-31

最近日本祖語、琉球祖語と日琉祖語の再構が非常に進んだとは言え、まだ不明な箇所が少なからず残っている。特に、日本語にない琉球語の特別な語彙と文法要素、また、琉球語にない日本語の特別な語彙と文法要素が目立つ。それ以外にも、同源の様でも、実際に説明に問題がある語彙と文法要素も少なくない。この論文では、そうしたいくつかの語彙を取り上げる。結論として次の二つの点を強調したい。先ず、琉球諸言語の資料を使わなければ、日琉祖語の再構は不可能である。第二に、上代日本語と現代日本語の本土方言には存在しない韓国語の要素が琉球諸言語に現れていることを示そうとした。私の説明が正しければ、ある上代韓国語の方言と琉球祖語の間に接点があったことを明示する事になるであろう。
著者
河野 純大
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.d82-d103, 2022-10-15

本稿では,聴覚障がい者のために開発された数多くの遠隔情報保障システムのうち,筑波技術大学で開発されたものを中心にその仕組みについて概説し,それらの応用場面の実例について解説する.遠隔手話通訳システムでは,聴覚障がいのあるユーザの視線移動や手話通訳者の通訳時の負担を考慮した,手話通訳者の映像に書き込みした提示資料やキーワードを合成する表示画面が特徴的である.遠隔文字通訳では聴覚障がいのあるユーザや文字入力者にとっての利便性を考慮したシステムを開発しており,さまざまな分野で活用されている状況について詳述する.
著者
安田 峰俊 高橋 孝治
出版者
多摩大学経営情報学部
雑誌
経営・情報研究 多摩大学研究紀要 = Tama University Journal of Management and Information Sciences (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.103-118, 2016-02-01

The Wa state, what is called, “Revolutionary based area” which is not ruled by the government exists in Myanmar. They have own law, “the basic law of the Wa state” there. This report will introduce it and then wants to elucidate the social system of the Wa state. There are the circumstances of the space, so it will introduce only a Civil law and considers it whether the Wa state’s Civil law. It will study them by comparing Chinese rules, because the Wa state is affected by China. This report is second report of the basic law of the Wa state.
著者
工藤 達朗
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.135-141, 2015-12-20

信教の自由の保障内容を、信仰の自由、宗教的行為の自由、宗教的結社の自由の三つに分類する学説(三分説)が有力であるが、これは、明治憲法時代の美濃部説そのままである。本稿は、信仰の自由、宗教的表現の自由、宗教的集会の自由、宗教的結社の自由、宗教的行為の自由の5分類を提唱し、それが19条、20条、21条を体系的かつ効率的に理解することにつながると主張するものである。
著者
長谷川 晶一 志築 文太郎 小坂 崇之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.3-11, 2021-01-15

本稿は,新型コロナウイルスの感染予防対応のため,2月26日に急遽現地開催を中止し,オンライン開催に移行したインタラクション2020の舞台裏とこれにより分かったことを報告する.インタラクションは,情報処理学会のHCI,GN,UBI,EC,DCCの5つの研究会の共催による参加人数600人規模,3日間の国内シンポジウムであり,シングルトラックの登壇発表と200件を越えるインタラクティブ発表(デモ,ポスター発表)を中心としている.2020年は日程は当初どおり3月9日~11日に,現地開催は中止としオンライン開催をほぼ当初の予定どおりのスケジュールで行った.この結果,登壇発表では,質疑応答を含めて例年と大きく変わらずに行うことができ,インタラクティブセッションや懇親会では,様々な課題が見えた.本稿ではオンライン開催の決定からその後の運用と,そこで見えたことを報告する.
著者
坂元 茂樹 Shigeki Sakamoto
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.33-51, 2021-05-31

2021年2月1日に施行された中国海警察法は、海警の任務に新たに防衛任務を加えるとともに、その活動区域について「中国の管轄水域」という曖昧な用語を使用している。国連海洋法条約に違反する規定をもつ中国海警法の南シナ海及び東シナ海の海洋安全保障に及ぼす意義を検討する。
著者
芋川 浩 藤野 真璃花
出版者
福岡県立大学看護学部
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-11, 2021-03-31

【緒言】日本は台風や地震など自然災害が多い。このような緊急災害時に、一般家庭にあるものを利用した応急処置法を検討開発するため、味噌の殺菌・抗菌効果に注目した。【方法】味噌は合わせ味噌を使用した。細菌は大腸菌と表皮ブドウ球菌を用いた。殺菌・抗菌効果の解析は、ディスク拡散法で行った。細菌培養は37℃、15~18時間で行い、阻止円の大きさを測定した。【結果】大腸菌に対して、味噌と2倍希釈味噌で42.5㎜、30㎜の阻止円が形成された。表皮ブドウ球菌では、味噌と2倍希釈味噌で17㎜、5.5㎜の阻止円が形成された。味噌と同濃度のNaCl溶液では阻止円は形成されなかった。【考察】味噌と2倍希釈味噌は、大腸菌や表皮ブドウ球菌に対して、阻止円を形成することから、明らかな殺菌・抗菌効果があった。しかし、阻止円の中に若干の細菌が観察されることもあることから、味噌の効果は抗菌・静菌効果と考えられる。また、本抗菌・静菌効果はNaClによるものではなかった。
著者
中村 修也
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of the Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.57-78, 2013-12-01

663年の白村江の敗戦以後の日本の社会を、唐の占領政策のもとにいかに展開したかを描いた。従来の説では、唐による占領政策はなかったものとして、両国は戦争をしたにもかかわらず、友好関係を維持し、日本は唐にならって律令制を導入したと論じられてきた。これは戦争という現実から目をそむけた論に過ぎない。本論では、郭務悰という唐からの占領軍事司令官のもとで、いかに占領政策が行なわれたかを『日本書紀』を新たに解釈しなおすことで明らかにした。また、新羅の反唐政策によって、唐は半島・日本から撤退せざるをえなくなり、日本も唐の占領政策から脱することができたことを論じた。