著者
仁科 圭介 佐藤 未来子 並木 美太郎
雑誌
第53回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.29-36, 2012-01-06

Flash SSD(Solid-State Drive, 以下SSD)は、HDD(Hard Disk Drive)に比べランダムアクセス性能が高く、省電力であるという特徴を持つが、SSDの容量単価はHDDに比べて高く、SSDをコスト効率よく計算機システムの高速化や省電力化に李用する方式が課題である。本研究では、HDDのみで運用されている計算機のディスクアクセスを高速化するために新たにSSDを追加する場合を想定し、SSDをHDDのディスクキャッシュとして用いる方式を提案し、この方式を実現するLinuxデバイスドライバの設計・実装を行った。本稿では本デバイスドライバにこれまでに実装した機能について概説するとともに、新たに実装した、SSD内にキャッシュされた書き込みデータ(ダーティデータ)の追い出しによる性能低下に対処する改善策の設計、実装と評価を示す。評価では、ダーティデータの追い出しを遅延し、ストレージデバイスへの負荷を分散させることでアクセス性能の改善を実現した。
著者
田中 悟
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.139-160, 2009-06-30 (Released:2017-07-14)

子安宣邦による「国家神道」論が提起しようとした問題は、その後の議論において正当に受け止められたと言えるだろうか。本論文は、「国家」や「国民国家」といったタームを手がかりとして、「国家神道」をめぐる従来的な議論に若干の新たな認識視座を導入しようという試みである。宗教学的な「国家神道」研究はこれまで、「神道」研究(の一環)とみなされ、「国家」研究の側面が疎かにされてきた。しかし「国家神道」は、政治学的な「国家」の枠組みにおいても把握が目指されねばならない研究対象である。「神道とは何か」と同時に、「国家とは何か」が問われねばならない。「国家神道」は、両者の問いの相関として議論されねばならないのである。そこで筆者が提示しようとする「国家神道」の新たな認識視座とはすなわち、「国家とは何か」という問いをそれ自体としてまず直視し、「国家」と「神道」との相関を問う、関係論としての「国家神道」論である。
著者
濵村 純平
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.47-63, 2020-07-26

This study focuses on a rank reward system used in the Japanese voiceactor/actress industry. We explore the differences between the traditionaland the rank reward systems from the perspective of the levers of control.Consequently, we suggest that the rank reward system may haveproperties of interactive control systems in the management of employees,while the traditional reward system is a diagnostic control system.
著者
藤井 亮嗣 井舟 正秀 石渡 利浩 上口 絵美 川北 慎一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1315, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】低酸素脳症は、窒息・呼吸不全・心不全などの種々の原因により発症し、運動障害、構音・嚥下障害、高次脳機能障害を生じる。今回、心室細動により低酸素脳症を発症した患者の理学療法を経験したので報告する。【症例紹介】61才男性、平成17年3月呼吸停止・心室細動の状態でT病搬送される。すぐに蘇生し自発呼吸を認めるが低酸素脳症による意識障害JCS200を認めた。5月リハビリテーション(以下リハ)目的に当院へ転院、PT・OT・ST開始となる。【初期評価時】精神機能面:JCS3、失語、指示理解は不明。身体機能面:四肢麻痺Brunnstrom Recovery Stage(以下BRS)右上肢3手指2下肢2、左上肢4手指3下肢4。坐位保持困難、起居動作全介助。ADLはBarthel Index(以下BI)で0点、食事は経管栄養、排泄はおむつ内失禁。四肢ROMの維持、起居動作・移乗動作介助量軽減を目標にアプローチを行った。【経過】7月、坐位はポジショニングにて保持可能、起居動作・移乗動作中等度介助。右上下肢及び体幹に固縮様の筋緊張異常が認められ今後ROM制限が増悪しないよう注意を要した。ご家族に対して総合リハ実施計画書を説明し、今後の方針を相談した。キーパーソンは妻で今まで2人暮らしだったが長男夫婦がのちに同居予定。自宅退院するには身の回りのことがある程度できればという希望であった。8月上旬、急性冠症候群、呼吸停止状態にて発見される。ICUへ転室、異型狭心症と診断された。8月中旬リハ再開、身体機能及び能力に著変は認められなかった。12月、起き上がりは軽介助、いす座位は自立、移動は手つなぎ歩行。ADLはBIで30点、食事は時間がかかり介助が必要な状態であった。長男夫婦が同居することとなり、介護に協力してくれることとなる。正月外泊を行うにあたり、PT・OT・ST・NS・ケアで現状の能力の把握、必要な介助及び家族指導についてカンファレンスを行い各担当者で家族に対して介助方法の説明指導を行った。また家屋評価もPT・OT・ケア・MSWで行い、ご家族・建築業者と共に家屋改修について検討した。年末から年始にかけて外泊施行される。【退院時評価】精神機能面:指示理解の改善。身体機能面:BRS右上肢4手指4下肢4、左上肢5手指5下肢5。起居動作・移乗動作軽介助。ADLはBIにて35点、食事はほぼ自力摂取、排泄はオムツもしくは尿器で排泄、ほぼベット上の生活ではあるが平成18年3月下旬自宅退院となる。【まとめ】本症例では当初ご家族が希望された能力には至らなかった。しかし、各職種からの介助方法の指導、家屋改造等を行ったこと、息子夫婦の協力により、自宅介護が可能であることを認識してもらい、ご家族の希望より低いレベルではあったが自宅退院が可能となった。
著者
桑原 旅人
出版者
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻
雑誌
言語情報科学 = Language and information sciences (ISSN:13478931)
巻号頁・発行日
no.17, pp.55-68, 2019-03-01

Cet article tente de préciser la valeur du concept de la création ex nihilo dans L'Éthique de la psychanalyse 1959-1960 de Jacques Lacan qui ne pourrait être dissociée du concept de la Chose. Ce qui est important à cet égard, c'est la conférence de Martin Heidegger à Brême en 1949 consacrée au concept de la chose. Mais des études antérieures qui soulignent l'influence de Heidegger à Lacan ne remarquent pas suffisamment la relation entre la création ex nihilo et la Chose. D'autre part, le concept de la création ex nihilo chez Lacan est influencé par le raffinement théorique d'Augustin. Dans ses séminaires Lacan se réfère fréquemment à Etienne Gilson. Pour cela, nous essayons de clarifier les similitudes et les différences entre la création ex nihilo chrétienne et celle de Lacan en s'appuyant sur l'interprétation de la théorie du créationnisme par Augustin :celle envisagée dans Christliche Philosophie von ihren Anfängen bis Nikolaus von Cues (1954) que Gilson co-écrit avec Philotheus Böhner. De ces deux angles, nous abordons au problème de la création ex nihilo et la Chose dans la théorie de Lacan.言語態
著者
天田 明男 千田 哲生
出版者
日本ウマ科学会
雑誌
日本中央競馬会競走馬保健研究所報告 (ISSN:03685543)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.2, pp.1-8, 1964-03-31 (Released:2011-02-23)
参考文献数
26

競走馬の不整脈を心電図によって診断する基礎資料を得るため,左側下胸 部(心尖部)と右側肩部からの胸部双極誘導法により,育成馬95頭,競走馬59頭,計154頭の心電図を記録し,次のごとき成績を得た。 (1)P波は殆んどの例で2峰性陽性波が記録された。振幅は,育成馬は平均0・30mV,競走馬でね平均0.34mVであった。持続時間は,育成馬は平均0.13秒,競走馬は平均0.15秒であった。 (2)PQ segmentは,殆んどの例で陰性方向に若干偏位していた。Ta波のためと考える。 (3)QRS群は,rS型またはQS型として出現した。S波の振幅は,育成馬では平均2.40mV.競走馬では平均3.24mVで,競走馬の方が大なる値を示した。持続時間は育成馬では,平均0.11秒,競走馬では平均0.12秒であった。 (4)T波は,育成馬においては-+型2相性波を示したものが多く,競走馬では陽性波を示したものが多かった。 (5)PQ間隔は,育成馬では0.40~0.20秒で平均0.29秒,競走馬では0.50~0.23秒で平均0.32秒であった。 (6)QT間隔は,育成馬では0.54~0.34秒で平均0.45秒,競走馬では0.57~0.34秒で平均0.47秒であった。 (7)PQ間隔とPP間隔との関係式およびPQ間隔の正常範囲は次のようであった:PQ=0.07PP+0.20±0.05 終りに臨み,種々御指導を戴き,かつ本稿の校閲を賜った東大農学部野村晋一助教授に深謝する。また,本実験の実施には宇都宮育成牧場長金子忠三氏ならびに廐舎係員各位,東京競馬場および中山競馬場診療所員各位,馬事公苑教育課員各位の御協力に負う所が多かった。茲にその御厚意に謝意を述べる。
著者
長谷川 太祐 永田 勇樹
出版者
分子シミュレーション学会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.33-39, 2018-01-31 (Released:2019-05-13)
参考文献数
33

分子動力学シミュレーションを用いた水の振動分光計算と,最新の実験のスペクトルとを併せた解析から界面における水の分子スケールでの構造が明らかになってきた.本コラムでは研究を行った動機や過程についても話を交えながら,界面分光実験と理論計算の共同研究によって水の気液界面の微視的構造についてどれだけのことを明らかにしてきたかを簡単に紹介したい.
著者
磯部 佳宗
雑誌
文学会論叢
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.81-102, 2016-03-15
著者
山﨑 健吾
出版者
Japan Society of Photogrammetry and Remote Sensing
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.216-218, 2011-09-09 (Released:2012-09-01)

政府からの要請により,東北地方太平洋沖地震によって被災した福島第一原子力発電所の空中写真を,無人飛行機をもちいて撮影した。撮影日は3月20日と24日の2回で,20日には1時間30分,182kmの飛行で155枚を,24日には1時間36分,190kmの飛行で212枚を撮影した。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1910年08月01日, 1910-08-01
著者
本間 栄 村松 陽子 杉野 圭史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.359-365, 2010-04-15

はじめに 特発性肺線維症(IPF)増悪例の治療には,これまでステロイド剤が広く使用され,米国胸部学会(ATS)のIPF診療のガイドライン1)では,進行性に悪化するIPFに対してステロイド剤と免疫抑制剤であるシクロフォスファミド,またはアザチオプリンの併用を推奨してきた.しかし,これらの薬剤を併用しても効果は十分とは言えず,血球減少などの副作用で薬剤を中止せざるを得ない症例も少なくない.このため,最近では線維化が顕著となる以前の疾病早期からの治療導入が必要であると考えられるようになっている. グルタチオンはグルタミン,システイン,グリシンの3つのアミノ酸から合成される.IPFの末梢気腔ではグルタチオンが減少し,レドックスバランスの不均衡が生じ,特に進行例において顕著になる(図1~3)2~4).N-アセチルシステイン(NAC)はグルタチオンの前駆物質として抗酸化作用を有するとともに,直接活性酸素のスカベンジャーとして作用し,さらに炎症性サイトカインの産生を抑制することで,抗線維化作用を発揮すると考えられている(図4)5~7). また,最近の基礎実験において,IPFの線維化機序の一つである肺胞上皮細胞における上皮-間葉転換(EMT)がNAC投与により抑制されることが示された.これは,細胞内グルタチオンの補充とTGF-β1に誘導される細胞内活性酸素種産生を抑制する機序が主に関与している8,9).

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1921年08月22日, 1921-08-22
著者
森 敏裕 丘村 煕
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.241-249, 1984-06-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
32
被引用文献数
6 1

The measurement of swallowing pressure is one of the methods to analyze the swallowing mechanism, but it has not been utilized clinically yet. The purposes of this paper are to clarify practical problems of the measurement of swallowing pressure through a survey of literature and to evaluate a posssibility of utilizing it for clinical use. It was considered that an intraluminal miniature pressure transducer was more accurate in measuring swallowing pressure than an infused water-filled catheter. The measurement of swallowing pressure can be an useful diagnostic method for investigating swallowing mechanism at the pharyngeal and cervical esophageal regions, especially in combination with cine-fluorography.