著者
外山 英志 田原 良雄 豊田 洋 小菅 宇之 荒田 慎寿 松崎 昇一 天野 静 下山 哲 中村 京太 岩下 眞之 森脇 義弘 鈴木 範行 杉山 貢 五味 淳 野沢 昭典 木村 一雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement3, pp.27-30, 2005-07-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
8

症例は64歳の男性,狭心症の既往はなし.冠危険因子は高脂血症と家族歴があった.2週間前から発熱,咳嗽などの感冒様症状が出現し内服薬を処方されていたが改善しなかった.突然の呼吸困難にて発症し救急隊を要請したが,現場到着時には心静止であった.当院搬送後,心肺蘇生処置を継続したが効果なく死亡確認となった.病理解剖を行ったところ,肉眼的には,漿液性の心嚢水が貯留,両心室腔・右房の拡張,左室壁の肥厚を認めた.左室壁はほぼ全周性に心筋の混濁が認められたが,心筋の梗塞巣や線維化は認められなかった.組織学的には両室心筋に全層性の炎症細胞浸潤,巣状壊死,変性,脱落を認めた.臨床経過と合わせて劇症型心筋炎と診断した.一般に「突然死」と呼ばれている死亡原因には,急性心筋梗塞,狭心症,不整脈,心筋疾患,弁膜症,心不全などの心臓病によるものが6割を占め,そのほかに脳血管障害,消化器疾患などがある.突然死の中でも心臓病に起因するものが「心臓突然死(SCD)」と呼ばれているが,現在米国では心臓突然死によって毎年40万人もの人が命を落としており,その数は肺がん,乳がん,エイズによる死亡者の合計数よりも多いとされている.心臓突然死における急性心筋炎の頻度は不明であるが,しばしば可逆的な病態であり,急性期の積極的な補助循環治療により,完全社会復帰された症例も散見されるので,鑑別診断として重要である.
著者
漆山 哲生
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.89-93, 2019-07-31 (Released:2019-08-27)
参考文献数
9

日本の気候は温暖で湿潤のため,麦類赤かび病が発生しやすく,穀粒が赤かび病菌が産生するデオキシニバレノール(DON)等のかび毒に汚染される.安全で高品質な食料の安定供給を担う農林水産省にとって,麦類のかび毒のリスク管理は重要な課題である.当省は,効果の高い農薬による適期防除,適期収穫,乾燥調製の徹底等を内容とする指針を作成し,生産段階における麦類のかび毒低減を進めている.国産麦類のかび毒実態調査から,赤かび病の発生により玄麦のDON濃度の著しい変動があることや,DON暴露による未就学児の健康リスクが無視できるほど小さくないことが示されている.気候変動の影響等により赤かび病の発生が増える可能性もあるため,継続的な調査と低減対策の一層の徹底が必要である.
著者
古瀬 由佳 塚本 博之 湯澤 芳貴
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.236_1, 2017

<p> バレーボールで勝利するためには、相手より多く得点を得ることであるが、それ以上に重要なのは、連続得点を与えないことである。そのためには、レセプションからのサイドアウト率を高めることが必要である。通常は守備の要であるリベロを中心に、2人~4人でレセプションすることが多い。小・中学生などのバレーボール初級者は、セッター以外の5名でレセプションすることが多く、経験やレベルが上がると、より少ない人数でフォーメーションを組む傾向が強い。トップレベルでは2人でコートの全面をカバーしている例もある。そこで本研究は、関東大学女子1部の試合を例にとり、それぞれのレセプションフォーメションシステムとリベロ以外のどのポジションの選手が何人でレセプションに参加したのか、その目的や内容を明らかにすることで今後の指導の一助とすることとした。対象は、平成29年春季関東大学バレーボールリーグ戦全45試合とした。データは公益財団法人日本バレーボール協会JVIMS及びDATA VOLLEY 2007から算出されたものを参考とし、さらに実際の試合映像から分析を試みた。詳細については当日発表する。</p>
著者
Misato Morimoto Keita Fujikawa Shotaro Ide Midori Akagi Emiko Fujiwara Akinari Mizokami Atsushi Kawakami
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.5079-20, (Released:2020-12-15)
参考文献数
14
被引用文献数
2

A 41-year-old woman with systemic lupus erythematosus (SLE) was admitted to our hospital due to a fever at 35 weeks of pregnancy. Laboratory testing revealed a low platelet count and elevated liver enzymes. Emergency Caesarean section was performed due to the risk of SLE exacerbation or hemolytic anemia, elevated liver enzyme, and low platelet count syndrome. Based on the blood culture results, the patient was diagnosed with Listeria monocytogenes bacteremia. She was treated with ampicillin and eventually recovered, and the neonate did not have any complications. Pregnant women with SLE are at risk of complications. Listeriosis should be monitored for and, if found, managed appropriately.
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.771-793, 2014 (Released:2015-01-29)

概説:高次脳機能障害の定義—病巣と症候の整理—…石合 純夫 771脳出血による高次脳機能障害…前島伸一郎,岡本さやか,岡崎 英人,園田 茂 774脳梗塞による高次脳機能障害とその対応…平岡 崇 778くも膜下出血による高次脳機能障害…大沢 愛子 782脳炎・脳症による高次脳機能障害…岡﨑 哲也 787頭部外傷による高次脳機能障害…渡邉 修 790
著者
萩原 政夫 大原 慎 井手 史朗 内田 智之 井上 盛浩 三田村 敬子
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1459-1463, 2020

<p>当院血液内科における新型コロナウイルス院内感染症の発生に際して,無症状ないし極軽症(発熱のみなど)で軽快した10症例について,イムノクロマト法による抗COVID-19 IgG抗体を測定した。6名において感染証明後11~39日(平均26日目)時点において抗体陰性の結果が得られ,内2名においてPCR検査陰性確認後のそれぞれ約2,4週後に再度のPCR陽性を伴って肺炎を発症した。2回目の陽性または肺炎発症後においては抗体陽性に転じていた。血液疾患など免疫低下状態においては,COVID-19感染後の免疫応答が低いこともある可能性が示唆され,抗体検査を踏まえた慎重な経過観察が重要であると考えられる。</p>
著者
広瀬 統一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1325-1329, 2020-12-25

COVID-19感染拡大という未曽有の状況下において,女性アスリートのスポーツ傷害予防の重要性と課題が再確認された.体力・運動能力の維持,練習再開後の段階的負荷設定,継続的な傷害予防プログラムの実施を包括的に行うことが,傷害予防に貢献する.さらに緊急事態宣言発出下において,多くのアスリートはサポートスタッフとのコミュニケーションに課題を有していた.女性アスリートの傷害予防ひいては競技力の維持や向上には,スポーツ医科学支援者の積極的なアスリートとの対話が生命線であると考えられた.
著者
田並 尚恵
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1-2, pp.353-361, 2020

「大学全入時代」を迎えた日本の大学では,リメディアル教育をはじめ,学力の質を担保する取組みが行われている.現在,ソーシャルワーカーを養成している大学で,公民科目(現代社会,倫理, 政治・経済)をリメディアル教育に採用している大学は,ほぼ皆無である.ソーシャルワーカーに求められる知識や社会の理解は,高校までの学習を基礎に専門的な知識を積み上げるものであり,基礎的な知識や理解がないままに学んでも体系的な理解にはつながらない可能性がある.このような問題意識から,X大学 A学科では,現代社会のリメディアル教育を導入した.本稿は,2017年度と2018 年度に実施したリメディアル教育の取組みを紹介し,その効果を考察したものである.いずれの年度も入学前学習の課題として社会保障制度に関するワークシートを作成し,入学予定者を対象としたスクーリングのミニ講義で課題の内容を確認した.そして初年次教育科目(基礎ゼミナールⅠ)の初回に基礎学力テストを実施した.さらに,基礎ゼミナールⅠの授業でテストの振り返りと社会保障に関するグループワークを実施した後,確認テストを行った.2回のテスト結果を統計的に分析したところ, 2018年度は,確認テストの平均が上昇し,リメディアル教育の効果が確認された.ただし,2回のテストとも成績の低い学生が全体の15%程度おり,基礎学力不足の学生には別途支援の必要があると考えられる.
著者
富田 早苗 西田 洋子 石井 陽子 波川 京子
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1-2, pp.377-384, 2020

A大学では,2015年度から新たなカリキュラムに基づいた公衆衛生看護学実習を展開している.本研究は,保健師コースを選択した学生の3年間の学習到達度と全国保健師教育機関協議会が実施した全国調査との比較から A大学の保健師教育の現状と課題を明らかにすることを目的とした.調査は2015~2017年度に公衆衛生看護学実習(以下,実習)を行った4年次生を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った.調査項目は実習体験,保健師に求められる卒業時の学習到達度である.調査時期は,各年とも実習が終了した直後に行い,3年間の総計と全国調査との比較を記述的に行った.実習での技術体験では,本調査対象者は,家庭訪問,健康相談,健康診査において,主体的な体験割合が低く,地区活動計画立案,健康危機 / 災害と感染症の項目においても体験割合が低い傾向にあった.また,専門領域では,児童虐待防止対策,自殺対策,依存症対策,がん対策の体験割合が低い傾向にあった. 学習到達度では,「保健師としての責任を果たす」は高かったが,その他の項目は低い傾向にあった.3年間の調査結果から,A 大学対象者は,少しの助言で自立してできると判断した者が少ないことが明らかとなった.主体的な実習体験の拡充と,専門領域を意識できる学内講義・演習の充実が課題である.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1933年09月26日, 1933-09-26

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1938年10月24日, 1938-10-24

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1934年03月10日, 1934-03-10