著者
高澤 麻理絵 町田 治郎 上杉 昌章 古谷 一水 押木 利英子 田中 宏和 野原 友紀子 平井 孝明 松波 智郁 鈴木 奈恵子 岩島 千鶴子 廣田 とも子 脇口 恭生 本吉 美和 岸本 久美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.BbPI1161, 2011

【目的】Dynamic spine brace(以下DSB)は、梶浦らにより開発された脳性麻痺の側彎変形に対する体幹装具で、従来の硬性コルセットと比較し可撓性に富み、利用者の受け入れが良く、長時間の装着が可能という特徴を持つ。また介助者側からみた特徴としては、装具の着脱が行い易い、患児の体幹が安定するなどがあり介助量の軽減も報告がされている。今回、当院においてDSBを作製した患者に対し、介助者の主観的評価として満足度・介助負担感、機能的評価として側彎進行度・1回換気量について調査を行ったので報告する。<BR>【方法】対象は当院でDSBを作製した患者で、使用前と使用1M後、3M後に比較可能であった男児1名女児5名であった。GMFCSはレベル4が2名、レベル5が4名であり、装具使用開始の平均年齢は9歳5か月であった。評価項目は、介助者の主観的評価として、1) DSBへの満足度、2)介助負担感(装着・移乗・更衣動作・排泄)、3)動作や姿勢の変化点、その他の気づいたことを自由意見として聴取した。満足度と介助負担感は10点満点で、負担感は大変なほど点数が高くなり、満足度は、満足しているほど高くなる。介助者への聴取は同一検者が行った。機能的評価として、1) コブ角測定 ( 整形外科医師によるレントゲン画像読影 ) 、2) 1分間の平均1回換気量測定(IMI社製Haloscaleを使用)を行った。平均1回換気量は、分時換気量を呼吸数で割って求め、これを3試行し平均値をとった。主観的評価は、6人分を平均して、使用後1M後と使用3M後の2群に分けて比較した。機能的評価(コブ角、平均1回換気量)は使用前と使用1M後、使用1M後と使用後3Mにおいて対応のある2群の中央値の差の有無をウイルコクソン符号付順位和検定を用いて調べた。<BR>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者および保護者には事前に書面および口頭にて説明を行い、アンケートの提出をもって同意を得るものとした。<BR>【結果】主観的評価:1)DSBに対する満足度は使用1M後7.2点、使用3M後7.3点であった。満足度の主な減点理由として、全員から熱がこもる、汗をかくという意見があった。2)装着に関する負担感は、使用1M後3.5点、3M後3.3点で、装着する位置が難しい、装着動作が大変という意見があった。移乗介助の負担感は使用1M後5 点、3M後4.5点で、身体にフィットせず抱きにくいという反面、低緊張なので装具がある方が抱きやすいという意見もあった。更衣介助の負担感は使用1M後3M後ともに平均3.0点、排泄介助の負担感は使用1M後4.5点、3M後6.5点であった。排泄介助に関しては、1日に何度も着脱し汚れの配慮が必要との声があった。3)家族から聴取した動作や姿勢の改善は全例で認められ、臥位・座位姿勢の改善、座位時間の延長、座位で上肢が使いやすい、座位が自立した等があった。機能的評価:コブ角は使用前平均49.5度と使用後1Mで44度、3Mで45.9度であった。使用前と使用1M後、使用1M後と3M後で統計学的有意差は認められなかった。平均1回換気量は、使用前平均108.4 ml、使用1M後94.3 ml、 3M後133.3mであり、使用前と使用1M後間で有意な低下(p<0.05)、使用1M後と3M後間に有意な改善がみられた(p<0.01)<BR>【考察】DSB使用後の動作や姿勢に関する家族の評価は概ね良好であり、満足度も高い評価を得られたが、介助負担感(装着・排泄・移乗・更衣)については、先行研究のような長所のみでは必ずしもないことが明らかになった。装具適応については介助者に対しての事前の十分な説明や教育が必要であると思われた。今回の対象者は、全員が初めての装着であり負担感が少なからずあったと考える。さらに調査期間が3Mと短かったことから、もっと長期の使用があれば装具を常用することへの習熟や慣れが生まれて負担感は軽減する可能性があると考えた。機能的評価でも、コブ角は有意な改善が見られず、平均1回換気量に関しては使用前と使用1M後間で有意に低下し、その後の使用1M後と3M後間で有意な改善がみられた。このことから機能的改善も使用直後には見られず、改善がみられるには3M以上を要することが推察された。今後、機能改善の評価に適切な評価項目を吟味するとともに、追跡調査を続け長期間にわたるDSB使用に関する機能評価をする必要があると考えた。<BR>【理学療法学研究としての意義】脳性麻痺などの中枢神経系障害に起因する二次的な側彎変形に対して、新たに開発された装具の効果について検討を行った。重度重複障害児の側彎変形は児の生命やQOLに関わる重要な問題であるにもかかわらず科学的根拠を求める研究は少ない。本研究は重度重複障害児の側彎変形に対する試みであり、得られた知見は小児分野の理学療法学研究に寄与するものである。
著者
植田 知子 Tomoko Ueda
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-16, 2013-05-31

杉浦家は寛文3年(1663)創業の、呉服太物小間物類を取扱った京都の商家(屋号、大黒屋)である。同家には江戸期に作成された2種類の家法がある。1つは3代杉浦三郎兵衛利軌(法名、宗夕。1702~44)が記した「定目」で、もう1つは4代杉浦三郎兵衛利喬(法名、宗仲。1733~1809)が記した「家内之定」「家業之定」である。これらはこれまでに、岡光夫・宮本又次・藤田彰典氏らが商家の家訓として紹介しているが、三氏の紹介した家法にはその条目数や内容に違いが認められる。本稿はその理由について検討したものである。
著者
皆川 佳祐 藤田 聡 遠藤 六郎 雨宮 満彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.75, no.752, pp.837-844, 2009
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

In this study, vibration characteristics of mechanical structure having high natural frequency are investigated from the viewpoint of energy balance. Mechanical structures having high natural frequency in a nuclear power plant are generally designed statically and elastically. However it has been reported that fracture of ordinry piping is produced not by momentary large load but by cumulative fatigue damage. Therefore it is very imortant to grasp seismic performance dynamically by considering cyclic load. This paper deals with an investigation regarding seismic performance evaluation of high natural frequency mechanical structure. The energy balance equation that is one of valid methods for structural calculation is applied through the investigation. The main feature of the energy balance equation is that it explains accumulated information of motion. Therefore the energy balance equation is adequate for the investigation of the influence of cumulative load such as seismic response. In this paper, vibration experiment and simulation using sinusoidal waves and artificial seismic waves were examined in order to investigate relationship between natural frequency of structure and energy. As a result, we found that input energy decreases with an increase in the natural frequency.
著者
清登 典子 Kiyoto Noriko
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.128-122, 2001-10-31

一見すると叙景句と見える蕪村発句に、実は古典を踏まえての趣向が隠されており、その趣向を読みとることで、新しい解釈の可能性がひらけてくることについては、さきに「山の端や海を離るる月も今」の蕪村発句 ...
著者
鶴田 桜玉
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1941-02
著者
佐藤 功人 近藤 雄樹 清田 雄策
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2016-ARC-222, no.14, pp.1-7, 2016-09-29

データの保存に用いられる記憶媒体がディスク装置 (HDD) からフラッシュメモリ (SSD) へと移行し,Linux OS におけるストレージ装置のプロトコルスタックも従来の SCSI 規格に加えて SSD に特化した NVMe (Non-Volatile Memory Express) 規格が導入された.NVMe デバイスドライバでは,従来存在したマルチコア CPU で生じるコア間の排他制御競合によるボトルネックが解消されている.本報告では,高性能共有ストレージ装置へのアクセスインターフェースとして NVMe 規格を適用することで,ローカルの SSD と同様にボトルネックが解消することを定量的に示す.また,初期の NVMe デバイスドライバの実装方法では運用上のデメリットが発生するが,運用性を損なわずボトルネックを解消するために後に Linux に導入された,ブロックマルチキューについて述べる.
著者
川島 友李亜
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

【目的】<br>ソメイヨシノ(<i>Prunus yedoensis</i>)の開花日の変動は気温と密接な関係にあることが、これまで多数の研究で証明されている。また、近年の気候温暖化による春先の気温の変化に伴って、ソメイヨシノの開花時期はこの50年間に全国平均で5日早まっていることも報告されているが、今後さらに気温上昇が進行すると、サクラを初めとする果樹は自発休眠打破に必要な低温遭遇時間を不足し、発芽や開花の不揃い、生育異常現象が多発する可能性がある。本研究では高知市における気候の変化を明らかにするとともに、気候変動がサクラ(ソメイヨシノ)にどのような影響を及ぼしているかを明らかにする。特に、1961年以降の休眠時期及び開花時期の変化と気温上昇との関連性について調査し、地球温暖化との関連に着目して検討した。<br>【対象】<br>ソメイヨシノの開花日のデータは、全国の気象官署で生物季節観測として行われたもの、気象データはアメダスのデータを使用する。高知県では高知城公園(北緯33&deg;N、東経133&deg;W、海抜高度31m)のソメイヨシノが標本木とされており、開花宣言は標本木の花が5~6輪開いた状態の時に行われる。<br>【方法】<br>1886年から2013年までの高知市の気温変動について調査した上、開花日の経年変化、気温との開花日との相関関係の有無について検証した。<br>【結果】<br>高知市の気温は1980年と2012年を比較すると、夏季(8月)は+2.3℃、冬季(1月)は+0.5℃上昇していた。ソメイヨシノの開花日は1954年から2013年の期間において平均開花日は3月23日、最も早かったのは2010年で3月10日、最も遅かったのは1957年で4月2日であった。年度の推移に伴って1954年から2013年までの59年間で1年あたり、開花日はおよそ0.11日早まっていた。また、1989年までと1990年以降に分けて分析すると、前者は1年あたり0.067日、後者は1年あたり0.277日早まっていた。また、開花日と気温との関係性は3月の月平均気温と開花日の間に最も強い相関が見られた。<br>【考察】<br>高知市の気温上昇は1980年以降に顕著に表れ始めていることがわかった。また、開花日も同様に近年早期化が進んでいる。3月の月平均気温と開花日の間に最も強い相関が見られたことから、ソメイヨシノは開花する約1~2週間前の気温に最も影響を受けるということが予想される。
著者
松川 周 橋本 保彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.307-312, 1995-03-20

Q1 ウィーニングとは? ウィーニング(weaning)とは,もともと“離乳あるいは離乳させること”であり,機械的人工換気を受けている患者の換気条件を変えていって最終的に自発換気に移行させる過程が,乳児の離乳の過程を連想させることから,患者が人工呼吸器から離脱していく過程を“ウィーニング”と呼びならわすようになった.しかし,ここで注意しなければならないのは,乳児の離乳が時期が来なければ開始できないように,何らかの機械的人工換気の補助を受けている患者を人工呼吸器から離脱(ウィーニング)させる場合も,それなりの条件が整わなければ不可能な点である. 患者が機械的人工換気を必要とするのにはそれぞれに理由・原因があり,根本原因が解決されていなければ人工呼吸器からの離脱の試みは患者にとって侵襲そのものになってしまう.われわれはしばしば“人工呼吸から離脱する”あるいは“ウィーニングを図る”といった表現をしがちだが,より正確には“患者の状態が改善して機械的人工換気を必要とする度合いが少なくなるのを見定めて,換気条件をより自発換気に近づけていく”のがウィーニングであるといってもよいであろう.さらに踏み込んでいえば,患者が人工換気を必要とする要因を1つ1つ無くしていく治療過程そのものがウィーニングであるともいえる.
著者
酒井 英行
出版者
静岡大学人文学部
雑誌
人文論集 (ISSN:02872013)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.23-70, 2001-07-31

1 Sense of guilt of the hero for the girl in kobe is nothing but that for Naoko. 2 Hatsumi is the woman who makes the hero remember yearning in his boyhood, and feeling of fullness of those days is described by the vivid light of innumerable fireflys. 3 Through the relationship between Reiko and the hero, the relationship of reciprocal help, which is the most important theme of Noruuei no Mori, is described.
著者
山中 信夫
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.P81-119, 1976-03

Maurice and The Life to Come, Forster's so-called posthumous works, published respectively in 1971 and in 1972, seem to necessitate a revaluation of his whole work, especially his novels, even if it is only that those new publications clarify most obscurities in his novels. This general sentiment is frankly expressed by Colin Wilson in his review of Maurice: "The answer now sticks out a mile." In this short essay the writer intends to reread The Longest Journey in the light of Maurice and grasp its hidden structure. Forster's attitude towards Maurice is the first key. Here he plays a double role, that is, the irresolute father ultimately unable to recognize his illegitimate son for decency's sake and the doting mother never giving up hope for the day of redemption. This implies an ego divided between conventions and freedom, that barely manages to hold out in a muddle at the risk of self-disintegration. Although in maurice he struggles hard in order to integrate "a happy ending", which is a victory of freedom over conventions, in effect a glorification of homosexual love, Forster is not successful; the part of "a happy ending" is really a fantasy chapter forcibly ingrafted into a realistic whole. The explanation for his failure is found in the same mental structure behind Maurice as mentioned above, for similar utter disruptions between those two polarities can be inferred from some evidences in Maurice. It is, therefore, not without reason to assume as a working hypothesis such a mental structure of Forster's behind his novels as well as his concealed theme of homosexual love in disguise. This hypothesis seems quite tenable especially in the case of The Longest Journey, for the novel belongs, as Forster mentions, to a similar climate to that of Maurice. Forster's introduction to The Longest Journey in The World's Classics is well worth notice in this respect. It happenes to coincide in its date with his Terminal note added to Maurice, and, besides, its careful reading shows that the real theme of the novel issupposed to be a glorification of homosexual love in the disguise of illegitimacy. It is inferred mainly from the analysis of the episode on the Rings quoted there. The book itself confirms this supposition. Rickie striving to face Stephen's illegitimacy is a displacement in fiction of homosexual love. The relation between Rickie and Stephen is a very delicate one, but it is explained chiefly by the analysis of the word 'a voice', used twice each time Rickie is at a critical moment. Actually, 'a voice' stands for Stephen's, but Forster deliberately uses an indefinite article instead of a grammatical 'the'. This suggests that 'a voice' should be a voice of universal truth heard simultaneously within Rickie. In spite of Rickie's failure to face this reality of homosexuality, Forster cannot but add an ambiguous redemptive chapter of Stephen, which is a mild counterpart of the happy ending of Maurice.
著者
村川 堅固
出版者
第五高等學校龍南會
雑誌
龍南
巻号頁・発行日
no.200, pp.40-41, 1926-12-25
著者
佐野 克行 寺島 和光 檜作 和子 立花 克彦 田中 祐吉
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.57-59, 1998-01

過去6ヵ月間にファラスが急成長した10歳女児で,尿道口と腟開口部は正常な位置にあり,ファラスは径1.5cm,長さ4cmであった.X線検査で腟,子宮,及び卵管様構造を認めた.核型は46,XY(71.5%),45,X(26%),及びその他(2.5%)を持つモザイク型であった.両側性腺は性腺芽腫を持つ異常発生精巣組織であった.左側では巣状的未分化胚細胞腫が発生していた.両側性腺摘除及び陰核縮小形成術を行った
著者
斉藤 公明 玉田 和彦 西村 芳高 山辺 裕 郡 義隆 稲留 哲也 藤原 卓夫 片山 和明 森川 肇
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.331-339, 1982

12才で初潮があつたが,以後無月経となり,多毛,低声,筋骨のたくましさ,陰核肥大などの男性化徴候が進行した16才の女子についてテストステロン産生腫瘍を疑い,これが卵巣の男化腫瘍の1例であつたので報告する.本症の報告は本邦ではこれまでに20例に満たず,その内分泌学的病像については不明な点が多いが,本例では術前に各種負荷試験を行ない.テストステロン生合成系,副腎皮質ホルモン分泌,下垂体ホルモン分泌予備能について検討し若干の知見をえた.術前の基礎値では,血中テストステロンの異常高値(7.00ng/ml)と日内リズムの消失, 17-KSの軽度上昇と分画中のアンドロステロン,エチオコラノロン, DHEAの高値,およびプレグナントリオールの高値などテストステロン生合成系の亢進を認めた.デキサメサゾン, HMG負荷ではテストステロン上昇に自律性がみられたが,その生合成系亢進はデキサメサゾンによる抑制がみられ完全な自律性を欠くことが示唆された. ACTH,メトピロン負荷では副腎皮質ホルモン分泌は良好で,テストステロン上昇による影響はみられなかつた.下垂体ホルモン分泌予備能はほぼ正常に保たれていたが, LH, FSHはStein-Leventhal症候群に特徴的な反応を示し注目された.術後,ホルモン基礎値は急速に正常化し, retrospectiveにも本腫瘍がテストステロンを産生していたことが臨床的に証明された.
著者
小林実文 浅野利治絵
出版者
大日本図書
巻号頁・発行日
1975