著者
福田 正博
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.973-978, 1988-11-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
26

The behavior of surfactant aggregates in solutions was investigated by an ESR spin probe method. The following informations were obtained from analysis of spectra. 1) Two types of micelles were directly observed in commercially available sodium alkyl poly (oxyethylene) ether sulfate-alkyl poly (oxyethylene) ether mixed surfactant solutions. 2) Sodium dodecyl sulfate molecules (2 mM) incorporated into phospholipid bilayers (13.6 mM) formed clusters by themselves, causing phase separation of the bilayers. 3) Sodium 3- dodecyloxypoly (oxyethylene) -1-propane sulfonates interacted with an ESR spin probe even below the cmc. This was explained by the formation of ESR spin probe-induced micelles. 4) Butyl poly (oxypropylene) ether derivatives having polar dissociative functional groups on their terminal hydroxyl groups behaved in a manner similar to a reversed micelle or a W/O microemulsion system and were inverted to an O/W type through a transparent and viscoelastic gel stage with increasing a water content.
著者
杉山 賢次 平尾 明
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.543-549, 2006-11-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

As a general introduction to anionic polymerization, this paper will review the categorization of anionic initiators and vinyl monomers according to Q-e values, the nature of carbanions in solution, especially their interaction with counter ions, the controlling of stereochemistry from 1, 3-diene and alkyl methacrylate polymerizations, and the basics of ring-opening polymerization. Vinyl monomers are categorized into four groups according to Q-e values. The anionic polymerizable monomers with higher Q values than 0.2 depend on their e values relating to the electron density on vinyl groups. The polymerization of high reactive monomers can be initiated with weak nucleophiles, while strong nucleophiles are required to initiate the polymerization of low reactive monomers. On the other hand, the relationship between reactivities of monomers and their active chain ends is basically inverse order. In order to understand the kinetics and mechanisms of anionic polymerization, the equilibriums among of the contact ion pair, the solvent separated ion pair, and free ion are discussed in terms of the reactivity of polystyryl anions. The dependence of stereochemistry of 1, 3-diene monomer and alkyl methacrylate polymerizations on the counter cation, solvent, and additive is described.
著者
井村 隆介
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.707-714, 2016 (Released:2017-04-06)

日本は狭い国土に110もの活火山が分布している世界でもまれな国である。とりわけ南九州には、多くの活火山があるだけでなく、姶良カルデラや鬼界カルデラなど多くのカルデラ火山が存在する。カルデラは過去の巨大噴火によって生じた凹地形である。カルデラを作る噴火は、日本全体では1万年に1回程度の割合で起こってきた。日本で最後に起こったこの規模の噴火は7300年前の鬼界カルデラの噴火である。カルデラ噴火はめったに起こらないが、もし起これば世界中が深刻な事態に陥る自然現象である。日本列島、特に南九州の自然は、カルデラ噴火による環境攪乱と言うよりも、深刻な破壊とそこからの再生の繰り返しによって作られたものと言える。
著者
小柳津 和博
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学保育学部研究紀要 = BULLETIN OF SCHOOL OF EARLY CHILDFOOD EDUCATION AND CARE OHKAGAKUEN UNIVERSITY (ISSN:13483641)
巻号頁・発行日
no.22, pp.27-37, 2020-11-30

インクルーシブ保育において、重症心身障害児と障害のない周囲の子どもが関わり合い、育ち合うことの意義について検討した。重症心身障害児を含む集団において、関わり合い・育ち合う関係を継続させるには、子どもたちが互いに有益と感じる横並びの関係、仲間同士で共感できる関係、共に適応しあう関係を築くことが重要であると考えた。環境への接続が可能となるよう重症心身障害児の個の力を育てると同時に、接続できる集団を育てていく必要がある。互いに接続可能な状況を整えることによって、全ての子どもたちにとって個別最適な学びとなることが、インクルーシブ保育における関わり合いの持つ教育的価値である。
著者
小野沢 浩 加藤 仁志 鳥海 亮
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第30回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.302, 2011 (Released:2011-08-03)

【はじめに】 一般的に変形性膝関節症に対する杖処方は、膝関節面の保護や疼痛緩和を目的に行われる。今回、当施設に通所する両側変形性膝関節症(内側型)を呈した症例に対して、歩行時の痛みの評価からT字杖の免荷効果に着目した理学療法を展開した。その結果、動作指導後、T字杖歩行にて痛みの軽減を図ることができた症例であった。 【症例】 88歳女性。診断名は両側変形性膝関節症。介護区分は要支援1。通所回数は週1回。主訴は歩行時両膝が痛い、自信をもって歩きたい。膝痛は数十年前から出現、ここ数年間で痛みが増悪。杖歩行の経験はなく、屋内・屋外はつたい歩き、又は休憩を取りながら歩行していた。なお、発表にあたり口頭にて同意を得た。 【評価】 日常会話から、認知機能問題なし。リハ意欲強く、学習機能良好。歩行時荷重時痛あり(右>左)。痛みは、踵接地直後から立脚中期に両膝関節裂隙部に出現し、刺すような、重いような痛みであった。FTA右195°左190°、FBS 50点。握力右11kg左10kg。上肢・体幹・下肢MMT4~5。ROMは両股関節伸展-5°、両膝関節屈曲110°/伸展-5°。立位姿勢は骨盤軽度前傾、股関節軽度屈曲、膝関節軽度屈曲、大腿骨に対して頸骨が軽度内旋位。立位にて両大腿四頭筋・大腿筋膜張筋の筋緊張高い。痛みにより連続歩行時間5分程度。 【経過】 免荷効果による両膝関節の荷重時痛緩和を目的にT字杖歩行練習開始。どちらの手で杖を把持した方が良いかわからず、杖先接地面が定まらない歩行。FTAの結果から左把持と杖の長さを調節。杖先が吸盤型のT字杖では杖先接地良好。痛みの評価から、痛みの発生時期と正常歩行の鉛直床反力の変化に着目し、右踵接地に合わせた杖接地のタイミングを口頭と模範的に指導。2ヶ月後には連続歩行時間10分以上可能(施設内)。本症例より、「安心して歩けるような気がする。」という発言を頻回に聴取。 【考察】 T字杖の免荷作用に着目すると、19%の免荷効果が可能であると報告されている。しかし、この効果を発揮する場合、利用者がT杖歩行動作を十分に習得することが条件であり、杖処方時に十分な動作指導が必要であると考える。本症例の場合、歩行時の垂直分力が最も大きくなる踵接地時に免荷効果を発揮するため、右踵接地と同時に杖を接地するよう徹底して指導を行った。その結果、1歩あたりの荷重時間が延長できるようになり、T字杖の免荷効果によって、膝関節内側面にかかる踵接地時の垂直方向の分力が減少し、歩行時の荷重時痛が軽減されたと考えられた。また、そのことにより歩行距離が延長したと考えられた。
著者
長嶋 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.1-4, 2014-08-15

本稿ではエンタテインメントコンピューティングを包含する 「エンタテインメント科学」、さらにそれを包含する 「エンタテインメント学」 の必要性について考察する。筆者は昨年の EC 研究会にて、15 世紀から続く "entertain" の語源からその 3 つの意味、(1) ゲストをもてなす、(2) 人々を楽しませる、(3) 心の中に何かを持つ、をまず指摘した。続いて 「対象として」 だけでなく、エンタテインメントそれ自体を深く考察する中から新研究のアイデアを、という逆転の発想を提案し、人間の脳 / 心の活性化の視点から、デザイナのデザイン活動そのものをエンタテインメントとして支援する環境の構築事例について紹介した。そして、従来よりも人間を広汎に支援する 「エンタテインメント科学」、さらには心理学・美学・哲学など人文系のエンタテインメントも含めたより大きな学問領域としての 「エンタテイメント学」 が確立されていく可能性 / 必要性を提言した。本稿では、19-20 世紀以降の人間社会における精神性の歴史を美学的に分析した、21 世紀の新しい文化の発展を支えるエンタテインメント、という視点での検討について報告し、コンピューティングに囚われない 「エンタテインメント研究」 の発展を提言する。