著者
朝比奈,正二郎
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, 1993-03-25
著者
泉 桂子 佐々木 理沙
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.1-12, 2021

<p>現在マツタケは生育場所となるアカマツ林の荒廃と減少によりその生産量が減少しているが,季節の食材として珍重される。料理雑誌・漫画を資料に用い,マツタケの高級食材としての評価は家庭料理においていつ頃定着したのかを明らかにした。1950年代後半から1960年代の消費者にとってマツタケは一面では惣菜用のキノコであった。料理書では他のキノコの代替や節約料理の材料となり,洋食や中華料理にも用いられ,多様な調理方法,切り方や加熱法が見られた。レシピサイトを用いて家庭料理におけるマツタケの代替物を調査した。限られた資料からではあるがエリンギ単独,またはマツタケ味の吸い物の素(1964年発売)と組み合わせたマツタケ代替レシピが確認された。さらに,岩手県内の山村を事例として,マツタケの採取や生育環境づくり,その後の稼得機会の獲得,調理,贈与,保存の楽しみや技術について聴き取り調査を行った。採取者は高齢となってもマツタケ採取に熱中し,現金収入や共食,贈与を楽しみに採取のためアカマツ林の採取地に入り込んだり,環境整備を行ったりしていた。これら採取者の調理は和風料理であり,保存には冷凍や真空パックを用いていた。</p>
著者
市川 寛也
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 (ISSN:24352241)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.37-45, 2015 (Released:2021-05-28)

妖怪は、 時に民間伝承として、時に大衆文化の 中で 、様々に転生を繰り返しながら生きた文化として 再創造され続けてきた 。本稿は、そうした妖怪文化の現代的活用の一側面をコンテンツツーリズムの視点から明らかにすることを目的とするものである 。 本論では、事例分析のための枠組みを構築するために、「民俗文化/大衆文化」「既存のコンテンツの有無」という二つの軸を用いて 妖怪文化を活用したツーリズムの類型化 を試みた 。例えば、鳥取県境港市は水木しげる の キャラクターを活用しているという点において「大衆文化―既存のコンテンツあり 」の事例として位置付けられる。 従来の妖怪文化の活用は、大衆文化由来にせよ民俗文化由来にせよ、地域を象徴する「モチーフ」として用いられることがほとんどであった。そうしたキャラクターを消費することでツーリズムも成立していたわけだが、そこには本来の妖怪文化の担い手としての地域住民の関与はほとんどな い 。これに対して、近年では、地域住民が地域の妖怪文化を発掘、再創造するような事例が見られるようになった。そこでは、地域を解釈し、語り、楽しむための表現ジャンルとして妖怪が位置づけられている。 本論では 、 妖怪伝承の創造モデ ルを組み込んだプロジェクトとして NPO 法人千住すみだ川との協働事業として 《隅田川妖怪絵巻 PROJECT 》を構想し、その実践を通して妖怪文化の つくり手 としての地域住民の語り を引き出すプラットフォームの一つの形を提案した 。本稿の後半部では、その第一段階として 2014 年 3 月に公開したまち歩き用アプリケーション「南千住百物語」について、地域の物語が再創造されていく過程を 辿る 。 この実践の検証を通してコンテンツツーリズムのジャンルとしての妖怪に光を当てることにより、地域に根差した物語づくりの手法を開発することができると考える。
著者
畑中 千晶
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (キリスト教と文化) = HUMANITIES (Christianity and Culture) (ISSN:24346861)
巻号頁・発行日
no.52, pp.(213)-(235), 2020-12-15

After the impressive appearance of the comic version of The Great Mirror of Male Love (published by Kadokawa in 2016), this remarkable work of Ihara Saikaku, which has fallen into oblivion for a long time, started attracting the attention of readers who have been indifferent to classical literature. Moreover, the comic adaptation of Saikaku's novel has opened the way for other adaptations, such as new translations into modern language, TV programs, and even a dramatization. The aim of this paper, which has been inspired by the drama adaptation, is to suggest new sources of the chapter "3:2 Tortured to Death with Snow on His Sleeve" of The Great Mirror of Male Love. The paper questions the traditional interpretations, which relate this chapter to the Noh drama Tenko, by pointing at the feeble argumentation. Then it proceeds with the exploration of its possible connection with the Noh drama Matsumushi by referring to some symbolic expressions, which can be considered as allusions to the famous poem of the Chinese poet Po Chü-I (Bai Juyi): "in times of snow, the shining moon, and cherry blossoms, I think of you, my dear friend!"The shocking words in the title "Tortured to Death", can be consider as an imitation of the famous Noh play and farce. This allows us to suppose that the death of Haemon, the elder lover of the young boy Sasanosuke, was an accident caused by Sasanoske's childishness, rather than labeling the boy as a sadist.The paper ends up with the conclusion that the analysis of the adaptions of classical texts is akin to the investigation of their potential context. This methodology will open new horizons for the study of sources in the field of classical Japanese literature.
著者
Jimmy Che-To Lai Agnes Hiu-Yan Ho Claudia Wing-Kwan Wu Grace Lai-Hung Wong
出版者
National Center for Global Health and Medicine
雑誌
Global Health & Medicine (ISSN:24349186)
巻号頁・発行日
pp.2021.01049, (Released:2021-05-27)
参考文献数
22
被引用文献数
1

World Health Organization (WHO) calls for global hepatitis strategy to eliminate viral hepatitis by 2030. Yet many high-income countries were unable to achieve HCV elimination by 2030. Apart from the tremendous efforts and resources from the governments, many non-government organizations (NGOs) have been working very hard to contribute to HCV elimination. In Hong Kong, the Center for Liver Health of The Chinese University of Hong Kong (CUHK) has been working very closely with various NGOs to educate and screen subjects who previously use intravenous drugs. In this review article, we discussed in details the New Life New Liver Program, and the barriers to HCV elimination, with special highlight the role of NGOs in overcoming the barriers.
著者
那須 大毅 松尾 知之
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-78, 2014 (Released:2017-02-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では, ダーツ投げ動作の鉛直面におけるリリース変数 (リリース時のダーツ位置, 投射速度, 投射角) に着目し, 1) 各リリース変数のばらつきの大きさ, 2) リリース変数間の相互補完構造の度合いに関して, 熟練者 (8名) と初心者 (8名) の違いについて検討した. 各被験者は60投のダーツ投げ動作を実施し, ダーツおよび人差し指の動作を7台の赤外線カメラ (480Hz) で撮影, 座標データを取得した. 分析の結果, パフォーマンス結果のばらつきが小さかった熟練者は初心者と比べて, 1) 全てのリリース変数のばらつきが小さく, 2) リリース変数間の相補構造の度合いも大きかった. ただし一部の熟練者は, 影響が最も強い投射角のばらつきを非常に小さくすることで, パフォーマンス結果のばらつきを小さくしていた.
著者
廣部 祥子 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1030-1034, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
29

皮膚の表皮や真皮には免疫担当細胞が多数存在しており、これらの細胞にワクチン抗原を送達することができれば、高いワクチン効果が期待できる。近年、痛みを伴うことなく皮膚に貼るだけでワクチンを接種できるマイクロニードルを用いた経皮ワクチン製剤が、従来の注射ワクチン製剤と比較して、有効性だけでなく迅速大規模接種や開発途上国へのワクチン普及において優位性をもつことから注目されている。
著者
白井 剛
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.79-91, 2013-03-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
53
被引用文献数
1

アオサギArdea cinereaの繁殖地への執着性と個体の長期的繁殖履歴を明らかにするために,東京近郊の繁殖コロニーにおいて,幼鳥50個体と成鳥19個体に色足環を装着し,9年間にわたる追跡調査を行なった。幼鳥50個体のうち,38個体 (76.0%)については,その後出生コロニーでは観察されなかった。出生コロニーに戻ってきた12個体のうち,4個体 (33.3%) は2歳から,2個体 (16.7%) は3歳から,1個体 (8.3%) は4歳から繁殖を開始したが,残り5個体 (41.7%)はそこに滞在するものの繁殖は認められなかった。これら12個体のうち,2個体は9年後も生存していた。一方,成鳥19個体のうち18個体 (94.7%)は,翌年以降も再確認された。アオサギは,このように,同じ繁殖コロニーを毎年利用する傾向があった。毎年繁殖した場合,コロニー内の同じ場所に営巣することもあれば,違う場所に営巣することもあった。繁殖は,通常1年1回であったが,ときに (9%の巣で)2回続けて行なわれた。観察を行なった9年間では,22個体の雛を巣立たせたオスが最大の繁殖成功を示した。雌雄とも個体識別された4つがいの繁殖履歴を見ると,例外はあるが,どちらかがいなくなるまでつがい相手をかえない傾向があった。毎年,非繁殖期 (秋から冬)になると,繁殖コロニーでは見られなくなる個体が多い。そうした個体は,繁殖コロニーから離れた川沿いで目撃され,個体ごとに目撃場所が決まっていることが多かった。つまり,繁殖コロニーと非繁殖期の採餌場の移動を毎年繰り返している可能性がある。サギ類では,一般に巣立ち雛は長距離移動を行うことが知られている。今回のアオサギの追跡観察においても,幼鳥に足環を付けてから54日後に,出生コロニーから南西に1,580 km離れた久米島で確認された個体がいた。
著者
小野 武年 西条 寿夫
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.116-128, 2005 (Released:2006-07-14)
参考文献数
40
被引用文献数
2 5

近年, 理性的な情報処理に中心的な役割を果たしていると考えられてきた前頭葉が, 感情や情動発現においても重要な役割を果たしていることが注目されている。すなわち, 1) 前頭葉背外側部は, 情動や感情に中心的な役割を果たしている大脳辺縁系の活動を制御 (抑制, あるいは促進) することにより, その個体が生存する確率を上げるように機能している, 2) 眼窩皮質は, すべての外界環境情報を脳内に再現し, それにもとづいて生物学的な行動戦略を形成することに関与する, 3) 前部帯状回は, 前頭葉背外側部や眼窩皮質からの高次情報を受けて, 自己の行動を生物学的に評価し, 適切な行動を導くことに関与していることなどが示唆されている。本稿では, これら領域のヒトの神経心理学的な研究やサルを用いてニューロン活動を記録した研究を紹介し, これら前頭葉の機能について考察する。