著者
小馬 徹
出版者
一橋大学
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.80-99, 1978-09-30

論文タイプ||論説
著者
安藤義裕 葉田善章
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.439-441, 2014-03-11

地震等の災害時に一般の人がニュースよりも速く、多様な情報を入手することができる手段としてFacebookやTwitter等のSNSが注目されている。本論文ではTwitter社の公開APIを利用して自動的にデータを取得、解析し、SVM等の機械学習アルゴリズムを適用した災害時の行動予測モデルの構築について論じる。このモデルを利用したシステムでは一旦災害が発生するとTwitterのデータから自動的に災害の発生を検知し、事前に構築した災害の規模別モデルから震度やマグニチュードといった理論的な「数値」ではなく、「体感的」な災害の規模や人々の今後の行動及び心理状態の変化を予測することが一定の精度で可能となる。
著者
木村 正人
出版者
大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科
雑誌
空間・社会・地理思想 = Space, society and geographical thought (ISSN:13423282)
巻号頁・発行日
no.22, pp.139-156, 2019

本稿では、東京都渋谷区において現在進行している大規模再開発、ジェントリフィケーション過程について、公共領域の私有化による縮小と野宿者による抵抗運動に焦点を当てて考察する。その際、渋谷区が進める新宮下公園整備事業とその上位計画の沿革を概観するとともに、2000年代前半、宮下公園に集住していた野宿者による自治活動の取り組みを筆者自身の活動経験にもとづいて回顧し、路上共同体による生きる抵抗(プロテスト)の試みとして描く。抵抗は行政への要求運動に限られず、むしろ共に食べ、働き、寝る、共同生活の営みとしてあった。ほかに行き場を失った者たちが、寄り添いあって生きることがなぜ抵抗になるのか。それは大都市公共地の階級的転換が、集合的な生を孤立化し、規格に収まらない生を「法外な」者として拒絶する企てであるからにほかならない。公園が施錠管理されることによって、公園利用者は不法侵入者・不退去者に転化し、また公共地の私有化は、路上に体を横たえるなけなしの余地をも避難者から収奪する。渋谷の現況が指し示しているのは、改正された都市公園法に基づく公園単体の改造の問題ではなく、新自由主義グローバリズムと「所有者責任社会」の理念によって牽引された大都市再開発のひとつの理想化されたモデルなのである。
著者
齋藤 晋佑 姥浦 道生
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.445-450, 2012
被引用文献数
4

水害常襲地である日本では、水害を軽減するような都市づくりは重要な課題である。これまでは、そのために国が戦後から全国的に治水事業を行ってきた。しかし、都市化とそれに伴う資産価値上昇により、水害密度や一般資産被害額はむしろ高まってきており、市街地形態を含めたより根本的な対策が必要とされてきている。特に、近年頻発している内水氾濫や都市内河川の溢水は、破堤を前提としないため、その危険性が高い地域を空間的に限定しやすく、そのような土地利用コントロールを通じた対策が適している。他方で、近年は地方都市を中心に人口や世帯の減少が進行してきており、それに伴い開発圧力も減少してきていることから、選択的に都市化を進めていく可能性も高まってきている。そこで本研究では、出水や洪水等に対応する目的で定められた建築基準法39条に基づく災害危険区域制度の全国的な適用実態を明らかにすると共に、宮崎県を対象としてその開発に与えた影響を明らかにすることを目的とする。
著者
佐藤 正志
出版者
摂南大学経営学部
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.129-141, 2021-02

1911年、第5回内国勧業博覧会跡地の一部に、土居通夫をはじめ大阪財界が出資して大阪土地建物株式会社が設立された。同社は健全な娯楽ゾーンとして新世界や遊園地ルナパークを建設した。しかし、数年でそれらの経営が悪化すると、同社は新世界の「花街」化を進めた。1916 年には飛田遊廓の経営が加わり、花街・遊廓を経営基盤とする会社となった。こうした大阪土地建物会社の経営は、戦前の日本経済、企業あるいは企業家の本質・実態を可視化する事例を提供し、従来の経済史・企業史研究の分析視角に再考・再構築を迫るものである。
著者
岩田 功吉
出版者
法政大学
雑誌
沖縄文化研究
巻号頁・発行日
vol.27, pp.345-403, 2001-03-31
著者
米地 文夫 リヒタ ウヴェ
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-31, 2009-12

宮沢賢治の作品のなかでも最も有名なものの一つである「銀河鉄道の夜」の物語のなかに「ケンタウル祭」という不思議な名前の祭りが登場する。物語の中心が星座をめぐる夢の旅であるため、この名はケンタウルス星座に因むものと考えられてきた。しかしこの名は賢治の若き日の短歌が初出であり、その内容や時期から星座には関係なく、ギリシャ神話の半人半馬の怪物ケンタウロスのドイツ語ケンタウルスをそのまま祭の名に用いたものであることがわかった。この時期、賢治は盛岡高等農林学校で馬の飼育管理とドイツ語を学んでおり、ちゃぐちゃぐ馬ッこをはじめとする馬産地岩手の人と馬との祭から発想したのである。また、キメラに関心があった賢治は人間の上半身と馬体の下半身をもつケンタウルを、理性と本能的欲望との葛藤に悩む自分になぞらえた。岩手と同じく、馬を祝福することで春の農耕の始まりに豊饒を祈るドイツにもある民俗を賢治はおそらく学び、若い男性としての高揚感をケンタウル祭と表したのである。のちに少年のための物語「銀河鉄道の夜」にこの名の祭を組み込むが、静謐な物語にはなじまず、結局は、削除されたり「銀河の祭」や「星祭」という名が加えられて、ケンタウル祭のイメージは希薄になってゆくのであった。
著者
柏崎ナウマンゾウ研究会
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.161-176, 1991
被引用文献数
1

Palaeoloxodon naumanni (Makiyama) was found in the Upper Pleistocene Yasuda Formation at Kashiwazaki City, Niigata Prefecture, in the Japan Sea borderland. Juding from the fact it forms widely developed terraces and contains temperate-wet macroscopic plant remains, and from the thermoluminescence dating (Hashimoto and Habuki, 1989), the Yasuda Formation is considered to be the deposits of the last interglacial age. This fossil Naumann's elephant was described and several fossil remains were analyzed. In this paper, some morphological features of this Naumann's elephant and his life palaeoenvironment at a local area in the last interglacial age were discussed. 1) A pair of tusk and a pair of upper first molar were separately detected in two horizons of the Yasuda Formation. The individual with tusk is a possiblly mature male elephant of which hight of shoulder is over 2.5m, and one with molar is a possiblly mature elephant 15〜18 years old of which hight of shoulder is 1.5m〜2m. 2) From the distribution of the Yasuda Formation, these individuals seem to have been buried in the deepest area of valley. 3) The Yasuda Formation around this area was mainly deposited under fresh water conditions with a little effect of marine water. Unio douglasiana, Trapa incisa and T. macropoda flourished in this stagnant pool. 4) Predacious ground bettle (ex. Carabas insulicola) and Coprophagous bettle (Copris tripartitus) inhabited, and Styrax obbassia, Stewartia pseudo-camellia flourished in the hills or on the shore where Naumann's elephants were living. Fagus crenata and Quercus sp. flourished in the mountainous area. 5) The climate when Naumann's elephants were living, is considered to have been nearly same as that around present Kashiawazaki City, from fossil bettle, macroscopic plant remians and fossil pollen assemblages. 6) The absence of distinct marine fossils suggests the existence of some barieer disturbed the entrance of marine waters in present Japan Sea area.
著者
山崎 鎮親
出版者
相模女子大学
雑誌
相模国文 (ISSN:03029999)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.55-73, 2013-03
著者
浅川 千尋
出版者
天理大学人間学部総合教育研究センター
雑誌
総合教育研究センター紀要 (ISSN:1347975X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.102-106, 2012

ヨーロッパでは,いわゆる「動物保護先進国」が存在する。たとえばイギリス,フランス,オランダ,ドイツ,オーストリア,スイス,ギリシャ,ドイツ等である。これらの国では,原則犬や猫等の「殺処分」は行われていない。それに対して,日本では,年間20万匹・頭以上の犬と猫の「殺処分」がおこなわれている。今年の夏,この問題に関してヨーロッパに調査のため出かけた。本報告では,主にドイツの動物保護施設の訪問内容を紹介したい。
著者
藤原 道弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.35-41, 2001-01-01
参考文献数
36
被引用文献数
7

大麻(&Delta;<SUP>9</SUP>-tetrahydrocannabinol:THC)は身体依存, 精神依存, 耐性を形成するとされているが, 他の乱用薬物より比較的弱い.このことは動物実験においても同様である.むしろ大麻の危険性は薬物依存より急性効果の酩酊作用, 認知障害, 攻撃性の増大(被刺激性の増大)が重要である.カタレプシー様不動状態の発現には側坐核や扁桃体のドパミン(DA)神経の他にセロトニン(5-HT)神経の機能低下が密接に関与しており大麻精神病の症状の緊張性や無動機症候群に類似している.この症状はTHCの連用によって軽度ではあるが耐性を形成し, THCの退薬後はカタレプシー様不動状態は直ちに消失する.一方, 攻撃行動の発現はTHC慢性投与の15日後に発現し, 退薬時は直ちに消失することなく20日間かけて徐々に消失する.これはヒトにおけるTHCの退薬症候の過程に類似している.THCによる異常行動の発現にはカンナビノイド(CB<SUB>1</SUB>)受容体を介したDAや5-HTの遊離が関わっており初期2週間はCB<SUB>1</SUB>受容体によるDA, 5-HTの遊離抑制が関与している.これに対し慢性投与になると, シナプス前膜のCB<SUB>1</SUB>受容体の脱感作によるDAや5-HTの遊離とシナプス後膜の感受性増大が同時に発現することが主な原因として考えられる.空間認知記憶障害は, 作業記憶障害であり, その発現にはCB<SUB>1</SUB>受容体を介し, 海馬へ投射しているACh神経においてCB<SUB>1</SUB>受容体を介したAChの遊離阻害が重要な役割を果たしている.これらの作用は報酬系や依存の形成の解明に役立つものと考えられる.