著者
角田 忠信
出版者
東京医科歯科大学
巻号頁・発行日
1957

博士論文
著者
吉野 樹紀
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.1-10, 1999-08-10 (Released:2017-08-01)

筒井康隆の『夢の検閲官』について、「反転」という視点から、その言葉のしくみについて論述した。反転とは、途中まである一つの読みに寄り添っていた読者の読みが、ある時を境に反転させられることをいう。それは、筋の展開や、構造としてあるのではなく、表層の構造を支えている言葉のしくみに織り込まれている。その言葉のしくみに着目して読むことが、文学を教室で読むことにとって重要な課題なのである。
著者
上野 圭吾
出版者
国立感染症研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

病原性真菌<i>Cryptococcus gattii</i>は、健常人に感染し予後不良なクリプトコックス症を引き起こす。申請者は、本感染症の予後を改善する樹状細胞 (DC)ワクチンを開発し、その作用機構を解析している。昨年度は、DCワクチンが肺常在性記憶型Th17細胞 (lung TRM17)を誘導することや、lung TRM17の分化維持機構に必要な因子について、国際誌に報告した (Ueno et al., Mucosal Immunol, 2019)。lung TRM17の誘導前期 (ワクチン後2週目) と誘導後期 (ワクチン後15週目)について、IL-17A欠損マウスでの挙動を評価したところ、IL-17A欠損マウスではどちらの時期もlung TRM17の数は有意に少なかった。特に、誘導後期のIL-17A欠損マウスでは、lung TRM17に発現するCD127の発現量が有意に低下し、lung TRM17の数はワクチン非投与群の場合と同等であった。このことは、IL-17Aがlung TRM17の発達や維持に関与することを示唆している。その他、DCワクチンを事前にMHC-II阻害抗体で処理するとlung TRM17の発達が阻害されたことから、DCワクチンによる抗原提示活性がlung TRM17の発達に必要であることも明らかになった。上記の論文では、lung TRM17が好中球の活性化を介して本感染症を制御するモデルを示した。その後の研究では好中球の殺菌機構や分化制御機構についても国際誌に報告した (Ueno et al., Med Mycol, 2019: Sci Rep, 2018)。初年度で開発した新規経鼻 (IN) ワクチンについて、DCワクチン同様に感染予後を改善することが明らかになった (上野ら, 第62回 日本医真菌学会総会, 2018年)。
著者
秋吉 英雄 吉田 真明 川向 誠
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-07-18

一般的に藻食性魚類と記載されている魚種を網羅的に調べ,そのほとんどが雑食性魚で,藻食性に特化した魚類は非常に少数であると考えられた.雑食性魚類の特徴である無胃魚および長い腸は必須の構造であるが,胃腺を認めない胃様の腸膨大部がほとんどの海水魚種に存在していた.この膨大部の働きとして魚体の浸透圧調整機構に関与(海水飲)していると推察された.ゲノムインフォマティクス解析によって,腸管内微生物の遺伝子配列を解読.その系統的多様性と機能遺伝子の同定を行った.イソギンポ科の藻食性魚類であるヨダレカケ,藻食性+雑食性魚のホシギンポ,雑食性で藻食性でないヘビギンポ科のヘビギンポの腸内容物からDNAを抽出,16S rDNA V4-V5領域を増幅して次世代シーケンス(Illumina Miseq) により網羅的に配列を大量決定し,3種の腸内微生物叢を比較した.ホシギンポは,複数の微生物叢,ヘビギンポは単一の微生物叢であった.一方,藻食性魚類のヨダレカケは,多数の微生物叢を構成しており,Proteobacteria門,Spirochaetes門,Bacteroidetes門,Deferribacteres門,Verrucomicrobia門が見出され,特徴的な菌種ではTenericutes門等,反芻胃や無酸素の深海中などから発見される系統を認めた.これらの結果より,雑食性魚と藻食性魚の腸内微生物叢は明らかに異なっていた.ヨダレカケの腸内微生物の培養では,単離した各株の16S rDNA領域を増幅しDNA配列を決定し,Vibrio属,Shewanella属,Pseudomonas属の細菌と推定した.嫌気条件より得られたアガロースゲル分解細菌は,Vibrio alginolyticusと高い相同性を示し,珪藻分解性細菌を一群に持つPseudoalteromonas属,Bacillus sp.Vibrio sp.Shewanella sp.と高い相同性を示す株を得た.好気条件より得られた未知菌株はVibrio sp.V859,Vibrio sp.V639,Vibrio harveyi,Pseudoalteromonas sp.JL-S1と高い相同性を示した.
著者
Alexei KOCHETOV
出版者
The Phonetic Society of Japan
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.63-76, 2014-08-30 (Released:2017-08-31)

本論文は日本語の有声・無声阻害音の声道調節の特徴を64電極の電気的口蓋図によって解析した結果を示す。5名の研究協力者に種々の母音間で有声または無声の閉鎖音や摩擦音を発音してもらい電気的口蓋図を観測し解析した。その結果,調音点や調音様式が共通でも有声・無声子音間には体系的でかつ閉鎖音と摩擦音で異なる傾向が観測された。閉鎖音の場合,舌・口蓋接触面積は有声音の方が無声音より小さかったものの,摩擦音では逆に有声音の方が接触面積は広く中央の声道溝が狭かった。このような結果は他の言語での知見と一致しており,有声・無声対立に関わる声道調節機序が閉鎖音と摩擦音では異なるためと考えられる。
著者
井出 知之
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.72-84, 2011 (Released:2017-07-03)
参考文献数
46

この論文は日本の社会階層論における政治意識研究の研究動向を整理し,課題と展望を議論するものである。社会階層論の研究においては,社会構造とその変動の分析枠組みの一つである社会階層について論じるに留まらず,その政治変動への影響なども論じられてきた。そのために階層的地位に関する変数と政治意識に関する変数との関連が分析されてきたのである。本論文がこれらの社会的変数と政治的変数の関連をめぐる議論をまとめることで得られる結論は,社会階層構造とその変動が政治意識に反映される際に,系統的なズレが生じるということである。それは政治意識が政党や政権といった要因で攪乱されるということと,客観的な階層が主観的な階層に変換されていく過程でズレが生じるということである。これらの点をモデルの複雑化でなくシンプルな理論の面白さに生かすことが問われている。
著者
武部 匡也 岸田 広平 佐藤 美幸 高橋 史 佐藤 寛
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.169-179, 2017

<p>本研究の目的は、児童青年期の感情としての怒りの測定に特化した子ども用怒り感情尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生~中学3年生を対象に予備調査(<i>n</i>=101)および本調査(<i>n</i>=1,088)を実施した。その結果,1因子7項目の子ども用怒り感情尺度が作成され、「COSMIN」に基づいて検討したところ,十分な信頼性と部分的な妥当性が確認された。また,性別と発達段階で得点に差が認められ,男女ともに発達段階が上がるにつれて怒りを強く抱く傾向があること,そして,男子は女子に比べてその傾向が顕著であることが示唆された。さらに,項目反応理論による項目特性の分析では,子ども用怒り感情尺度は怒りを母平均よりも強く抱いている子どもに対して十分な測定精度を有していた。最後に,子ども用怒り感情尺度が怒りの認知行動療法に関する研究と実践の発展に貢献する可能性と本研究の限界,そして今後の課題が議論された。</p>
著者
居村 剛 坂東 玲芳 和田 泰男 福島 泰 Ryozo HAYAI 松浦 一 井上 博之 蔭山 哲夫 武田 美雄 市原 照由 加藤 和則
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.45-54, 1986-05-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

農業アレルギーの調査研究の一つの対象として, しいたけ栽培者を選び, その胞子による過敏性肺炎の3例を発見報告した, これらの3症例には, しいたけ胞子アレルゲンに対する血清沈降抗体がみられ, ことに, その1例において, しいたけ胞子および, 抽出アレルゲンによる誘発反応を試み, 陽性所見を得た. しいたけ農家群には, 高い自覚的呼吸器症状がみられるが, その原因は単一でなく, アレルギー機序は, その一部の原因であろうと考えられ1る. しいたけ胞子抽出アレルゲンの皮内反応陽性率は低く, そのアレルゲン性は高くないと考えられ, この疾患には, アレルギー素因が大きい要素を占める.この他, Mushroom worker's lung等との関連や, きのこ胞子類によるアレルギー疾患との関係も論じた.