著者
武田 英明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.441-446, 2011-11-01 (Released:2017-04-20)
参考文献数
7

インターネット時代において情報の同定のために識別子や典拠といったメタデータが重要になっている。本稿ではWebにおける情報の識別,構造化という問題を概観する。まず情報の識別にはWebで利用できる識別子が必要である。Webでの識別子はURIを持ち,関連情報を提供する仕組みが必要である。既存の識別子ではISBNはWeb上の識別子にならないが,DOIは該当する。情報の構造化には,キーワード・用語,統制語彙・典拠,タキソノミー,シソーラス,オントロジーと構造化の程度の違う仕組み(概念のシステム)が現在用いられている。統制語彙・典拠のレベルでは図書館からの件名標目や典拠の公開が盛んになっている。タキソノミーの例としては生物分類を挙げ,Webに適応する部分としない部分があることを指摘した。オントロジーとしては汎用な上位オントロジーや分子生物学で用いられるGene Ontologyなどを挙げた。全体的にはより構造化を強める方法へ進んでいる。今後は,識別子も概念のシステムもよりいっそう進み,競争が激しくなるであろう。
著者
渡邊 隆弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.434-440, 2011-11-01 (Released:2017-04-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1

図書館目録の集中機能を保障する典拠コントロールは,書誌コントロールの枠組みの見直しをはかる近年の議論の中でも,今後維持・強化していくべき機能としてとらえられている。また,次世代のウェブとして研究開発が続く「セマンティックウェブ」において,意味情報の共有を実現する「オントロジー」が重要な要素技術となっており,これには目録における典拠コントロールと相通じるところがある。本稿では,典拠コントロールの今日的位置づけ,名称典拠,主題典拠(および統制語彙)それぞれの最近の動向について整理するとともに,オントロジーについて典拠コントロールとの関わりも含めて述べる。
著者
細野 公男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.606-612, 1996-11-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
5

文献電子化への流れ, テキスト処理技術の進歩, 情報提供における利用者志向は, 従来の索引作業の役割やあり方に大きな影響を及ぼしている。本論文ではこのような背景を踏まえて, まず付与索引・抽出索引, 主題検索の特徴を述べると共に, 各種のアバウトネスの概念および索引作業との関連を紹介した。続いて, 付与索引・抽出索引および主題検索が現在抱えている問題点を明らかにした。前者では主題概念の表現力の不備と利用者アバウトネスの欠落が, 後者では主題概念の表現力の不備が大きな問題である。さらに, 索引作業が効果的に機能するために今後考慮すべき要件として, 利用者アバウトネスの取り込みと自動索引手法の高度化の必要性を示した。
著者
岡野 弘行
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.715-733, 1990 (Released:2012-03-23)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

社内データベースの構築における用語管理として, 索引および検索の実用面からみた自然語による情報検索システムと統制語によるシステムの現状および問題点, 解決すべき課題, 新しい技術及びその実例などについて報告した。特に統制語と自然語の併用方式を採用する例が多いことを指摘。固有名詞および同義語の整理に重点を置いて, シソーラスの作成および更新のやり方について解説。用語管理システムとしては, 会話型の同義語辞書処理システムおよび検索者の意見が端末からシステムへ転送される語彙選択支援システムを推賞し, 簡単に紹介。
著者
山崎 久道 高橋 正美 原田 智子 藤田 節子 横山 亮一 吉野 敬子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.824-842, 1993-09-01 (Released:2017-05-30)

シソーラスの評価をおもに,利用者の観点から行うための評価基準を開発した。これまでの,評価の試みや作成のガイドラインが,語の取扱いや表示に重点をおいているのに対して,情報源(おもにデータベース)と利用者との結節点としてシソーラスが機能しているかどうかの評価項目に重点をおいた。評価基準は,52項目からなり,1.シソーラスの作成方針と作成方法,2.シソーラスの仕様,3.語および語間の関係,4.シソーラスの表示,の4部分に大別される。評価基準を用いた評価の試行も行った。
著者
平岡 義博
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.26-31, 2017 (Released:2019-01-01)

科学捜査研究所の勤務経験から、科学鑑定と捜査本部の捜査に影響するバイアスについて考察し た。科学鑑定におけるバイアスとして、DNA 型鑑定のエレクトロフェログラムの閾値問題(閾値を 下げた場合、ピークとノイズを間違う可能性)、指紋鑑定における合致基準のグレーゾーンと「鑑定 可能」と「鑑定不能」のダブルスタンダード問題に言及した。いずれも捜査情報からのバイアスに影 響されやすく、結果として鑑定を誤る危険性が内在することを指摘した。 凶悪事件の捜査を担う捜査本部は、犯人検挙のため一丸となって組織力・行動力を発揮する体制 であるが、捜査情報や鑑識資料が希少なケースなどでは、犯人性を支持する情報が取捨選択されて 証拠固めされ、否定的情報が十分検討されない(被疑者検挙という目的しか見えない状態:捜査バ イアス)まま送致されることが、無罪判決や冤罪の遠因になっていると考えられる。こうしたバイ アスの危険性を認識し、これを最小限に抑える対策が必要である。
著者
鈴木 直 岩月 善之助
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.8, no.12, pp.385-388, 2005 (Released:2018-07-03)
参考文献数
5

Ephemerum crassinervium (Schwaegr.) Hampe is added to the moss flora of Japan. The species is closely related to E. minutissimum Lindb., but has differentiated costae throughout leaves. It was found on soil in a rice field, at about 100 m alt., Kakegawa-shi, Shizuoka-ken, central Japan. Description (in Japanese) and illustrations of the species are given.
著者
Israel Fernandez-Pineda David Marcilla Francisco Javier Downey-Carmona Sebastian Roldan Lucia Ortega-Laureano Jose Bernabeu-Wittel
出版者
The Editorial Committee of Annals of Vascular Diseases
雑誌
Annals of Vascular Diseases (ISSN:1881641X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.316-319, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
6
被引用文献数
7 30

The acronym FAVA (Fibro-Adipose Vascular Anomaly) has been recently given to a distinct vascular entity that is characterized by fibrofatty infiltration of muscle, unusual phlebectasia with pain, and contracture of the affected extremity. We report a new case of FAVA in a 10-year-old girl with pain in her right lower leg and equinus contracture. As in our case, FAVA typically presents in young females with calf involvement and limited ankle dorsiflexion with local pain. FAVA should be considered as a differential diagnosis when evaluating vascular anomalies in the lower extremities.
著者
重松 武史 牧尾 健司 中村 拓生 佐野 博之 上村 健登 西庵 良彦 宮本 孝
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.593-598, 2019 (Released:2019-10-30)
参考文献数
17

症例は75歳男性, 透析歴は17年. 2年前よりγ線滅菌PS膜によるOn-LineHDFを施行し, 安定した経過であったが, ある時期から開始直後に収縮期血圧が70mmHg台へと低下し気分不良を伴う透析困難症となった. まずPS膜の不適合を疑い, HDモードに変更し, CTA膜やEVAL膜 (いずれもγ線滅菌) と膜素材や抗凝固薬を変更したが改善には至らなかった. 治療初期に除水速度=0mL/hやECUMも試したが血圧低下を防ぐことはできなかった. BV計でBV波形を観察したところ, 治療開始直後に異常に上昇する波形が得られ, 膜の不適合が原因で血管透過性が亢進していると判断した. γ線滅菌膜ではなく高圧蒸気滅菌PS膜に変更したところ, 血圧低下や気分不良は消失し安定した治療が行えた. BV波形も異常波形ではなくなった. 今回は同一素材で滅菌法が異なる膜への変更が有効であり治療条件は滅菌法も意識することが重要である. また治療条件変更の有効性の判定に, BV計の波形観察が有用であった.
著者
ますとみ けい 村井 源
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.129-134, 2018-11-24

星新一のショートショート作品の終結部がもたらす特有の皮肉感や納得感に,物語の登場人物達が抱く「願望・欲望」が関与していることを確かめるため,星新一作品の終結部で起きる「オチ」のパターンと登場人物が抱く「願望・欲望」をそれぞれカテゴライズして書き下し,各カテゴリの出現数をカウントした.また特定のオチと願望・欲望が同時に出現する作品数をカウントし,カイ二乗検定の残差分析による出現傾向の分析を行った.結果,星新一作品の登場人物が抱きやすい願望・欲望は「金が欲しい」(金・物欲),「謎が知りたい」(好奇心),「不安な状況から脱したい」(解放) であること,また「金や物を欲する人物がいる物語では,人物同士の立場や優劣が逆転しやすい」など,起こりやすい願望・欲望とオチの組み合わせがあることが示唆された.
著者
間野 博行
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.1355-1359, 2014-06-10 (Released:2015-06-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

癌の発生に寄与する遺伝子のことをドライバー変異と呼び,近年肺癌において次々と同定されてきている.特に活性型チロシンキナーゼはその阻害薬も比較的簡便にデザインしやすいので重要である.肺腺癌においては活性型EGFR変異,EML4-ALK,ROS1融合型遺伝子,RET融合型遺伝子などが発見され,肺癌の個別化医療が可能になってきた.
著者
塩月 宏治 木村 喜代治 長林 久夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.301-306, 1994-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
2

This paper describes the relationship of the characteristics of water temperature and the conditions of water qualities in Lake Onogawa. The field observation was conducted from Augast, 1991 to October, 1992. As the results of these observations, the relationship of turbidity (TB) to 665nm absorption and potential of hydrogen (pH) to oxidation reduction potential (ORP) are discussed.
著者
田中 淳 上石 有吾 佐藤 威臣 横溝 和則
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.245-248, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
10

壮齢ヒノキ林に本数間伐率50%(材積間伐率35%)を実施した。また,間伐後の下層植生を評価するために外来牧草を播種し,植被率の変化を調査した。播種した範囲の相対照度は平均15.4%となり,間伐を実施する前と比較して,11.6%上昇した。播種した外来牧草の植被率は,播種1 ヶ月後には50%程度となったが,播種2 ヶ月後から衰退し始め,4 ヶ月後には10%未満となった。間伐を実施しない対象区の相対照度は平均4.1%であり,播種後3 ヶ月後にはほぼ枯死した。地表面侵食防止のための森林整備方法として,下層植生を早期に健全に生育させるためには,より強度の間伐を実施するか,耐陰性の高い草種の選定が必要である。
著者
川股 知之 渡辺 雅彦 成松 英智
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

難治性がん疼痛の新たな治療法として脊髄大麻受容体(CB1)に注目しその鎮痛機序とがん疼痛治療への応用について研究を行った.CB1は脊髄興奮性介在神経の軸索終末に特異的に発現しており,神経伝達物質放出抑制よって鎮痛に作用することが示唆された.骨がん疼痛状態では脊髄μオピオイド受容体は発現低下するがCB1発現に変化なく,CB1活性化により骨がん疼痛が減弱することが明らかとなった.CB1は骨がん疼痛治療の新たな標的として期待される.
著者
永坂 鉄夫
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.62-67, 1993-01-25