著者
大原 美保
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.5_2-5_16, 2015 (Released:2015-10-21)
参考文献数
21

東日本大震災後以降、多くの自治体が「災害・避難情報伝達手段の多層化」に取り組みつつある。災害・避難情報伝達手段には、受信者の状況に関わらず情報を伝達可能であるPUSH型の手段と、受信者側で何らかのアクションを行わないと情報を閲覧できないPULL型の手段があり、両者の効果的な活用が必要である。本研究では、首都圏の自治体へのアンケート調査を行い、自治体におけるPUSH型及びPULL型の災害・避難情報伝達に関する現状と今後の課題に関する分析を行う。前半ではまず、自治体での各種伝達手段の利用状況を概観する。後半では、近年普及が目覚ましい携帯電話を用いた情報伝達に着目し、PUSH型の手段である緊急速報メール(エリアメール)と、PULL型の手段である住民登録型のメールサービスを比較した上で、利用状況・発信内容の違いや今後の課題を明らかにする。
著者
水野 高昌 鈴木 久義 奥原 孝幸 上原 栄一郎 山口 芳文
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.273-283, 2011-06-15

要旨:作業療法士が行っている感情労働に焦点をあて,作業療法士の業務において求められている感情労働の構成概念を明確にすることを目的に研究を行った.医療施設および福祉施設に従事する100名を選択し調査対象とした.調査方法は郵送によるアンケート調査で無記名の自記式とし,回収されたデータはBerelson Bの内容分析によって分析した.分析の結果,対象者への感情労働は9カテゴリーが抽出された.対象者への感情労働として抽出されたカテゴリーは,先行研究に類似したものと「プログラムの工夫」など作業療法士独自のものも見られ,本研究によって作業療法士が感情労働を行っていることが示唆された.
著者
鈴木 公基 桜井 茂男 Suzuki Koki Sakurai Shigeo
出版者
筑波大学心理学系
雑誌
筑波大学心理学研究 (ISSN:09158952)
巻号頁・発行日
no.23, pp.153-160, 2001-03-01

In this study, the relation between the cognitive need for closure and quantity of information processing is investigated. Need for cognition (Cacioppo & Petty, 1982) and functional and dysfunctional impulsivity ...
著者
揚村 敬子 吉永 幸靖 藤村 直美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.437, pp.37-42, 2008-01-18
参考文献数
8
被引用文献数
3

視覚障害者は日常生活の中で目の見える人にほんの少し手助けしてもらえば済む問題に遭遇することがある.本研究では視覚障害者がそのような問題に遭遇したときに即座にかつ手軽に支援を受けることができるよう,インターネットの映像通信を利用した遠隔支援法を提案する.それと同時に多数のオンラインサポータを集い,巨大なボランティアネットワークで視覚障害者をサポートできる体制を考え,それを実現するためのシステムを構築する.本論文では先行研究や,独自に行った検証実験を通して視覚障害者にとって使いやすいシステムの考察を行う.

1 0 0 0 OA あめのひわし

著者
小西英夫 著
出版者
鶴書房
巻号頁・発行日
1944
著者
金箱 淳一 藤田 ハミド
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
日本ソフトウェア科学会大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.256-262, 2005

本研究では、色の要素(色相)と造形物の配色パターンに注目することで、楽曲作成の支援システムの構築を目標としている。ここでは、楽曲を感情表現と捉え、同様にブロック遊びにおいて構築された物の配色も一種の感情表現と捉える。これら両者と表現された感情との対応関係により、上記システムの実現にアプローチする。ここでは主に、色相と感情間の関係をアンケートにより抽出し、前者の関係と研究事例を利用して楽曲におけるドラムパターンの生成を行う。
著者
小峰 太 松村 英雄
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.343-352, 2012-10-10 (Released:2012-11-14)
参考文献数
65
被引用文献数
2

ここ10年ほどの間にレジン系装着材料で修復物,固定性補綴装置を接着する症例が増加している.この傾向は,ジルコニアセラミック修復システムの導入と,歯質,セラミックス,合金の接着に有効な種々の機能性モノマー,重合開始剤の開発によるところが大きい.本稿では,最近普及しつつあるセラミックスおよび金属製修復物と補綴装置の接着システムについて概観し,合着と接着の使い分けについても解説する.
出版者
京都府内務部
巻号頁・発行日
vol.明治23年 第11編上巻, 1898
著者
井樋 慶一
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

脳内最大のノルアドレナリン(NA)作動性神経核である青斑核(LC)を選択的に破壊する方法を開発しこのマウスモデルを用い不安様情動応答を対照動物と比較検討することにより、LCが不安情動の成り立ちに関与するという仮説を検証した。ドパミンベータ水酸化酵素プロモーター-ヒトインターロイキン2受容体(hIL2R)トランスジェニックマウスの青斑核にイムノトキシン(抗hIL2R-緑膿菌体外毒素)を微量注入することにより青斑核のみで選択的にNAニューロンを破壊した。このマウスのLC内イムノトキシン注入1週後にLC-NAニューロンの細胞体は消失し主要な投射領域でのTH免疫陽性軸索も著明に減少した。3週後にLC破壊マウスでは高架式十字迷路でopen arm滞在時間、open arm進入回数/総進入回数比が有意に減少したがclosed arm進入回数は対照群と有意差を認めなかった。open-fieldでは中央区画滞在時間、中央進入回数/区画間総横断回数比が有意に減少したが区画間総横断回数には対照群と有意差を認めなかった。強制遊泳試験ではLC破壊群で顕著に無動時間が延長した。実験終了後脳部位毎にカテコールアミン含量をHPLC-ECD法で定量したところ、嗅球、大脳皮質、海馬、小脳では対照と比較し90%以上のNA含量低下が認められた。視床下部では有意の変動が認めらなかった。その他の部位では領域により様々な程度のNA含量の減少が認められた。ドパミン、セロトニン含量に関してはいずれの領域においてもLC破壊群と対照群の間に著しい差異は認められなかった。これらの結果から、LC破壊3週後のマウスで不安様行動とうつ様行動が増加することが明らかとなった。マウスを用いた実験によりLC-NAニューロンが不安やうつ病と深く関わることがはじめて明確に示された。
著者
西村 義一 武田 志乃 金 煕善
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第49回大会
巻号頁・発行日
pp.301, 2006 (Released:2007-03-13)

【目的】ラクトフェリン(LF)は「牛乳の赤いタンパク質」として、スウェーデンで発見され、ヒトを含む哺乳類の乳、分泌液、成熟好中球の顆粒などに含まれる分子量約8万のタンパク質で、2~3個のシアル酸からなる糖鎖を持っている。LFは血液中の鉄蛋白であるトランスフェリンと同様、Fe3+を二個分子内にキレートする性質がある。先の学会で LF添加飼料で飼育したマウスにX線を全身すると照射後30日目の生存率はLF給餌群で85%、対象群で62%とLF給餌群で放射線抵抗性が観察された。またLFはヒドキシラジカルに対するラジカルスカベンジャーであり、放射線防護剤としての利用が期待できることを示した。一方、放射線照射後、腹腔内投与することで放射線防護効果のある物質が報告されているが、そのメカニズム等、詳細については明らかにされていない。今回はマウスX線全身照射後のLFの放射線防護効果に関する実験を行い、興味深い知見が得られたので報告する。【方法】8週齢のC3H/Heマウス、52匹に6.8Gy のX線を全身照射した後、半数のマウスにはLF4mg/匹を腹腔内投与した。投与後、マウスには完全精製飼料を与え、30日間の生存率を観察した。また、脾臓細胞のアポトーシスなどについても観察を行った。【結果】C3H/Heマウスに6.8Gy全身照射後、LFを腹腔内投与すると、LF投与群ではほとんど死亡せず、照射後30日目の生存率は92%であったのに対し、対照群では50%であった。また、マウスにX線を全身照射後、1, 2 ,4 hr後にLF腹腔内投与すると、脾臓細胞のアポトーシスと骨髄細胞の損傷を抑制した。一方、腹腔内マクロファージュについては有意な変化は認められなかった。
著者
武田 志乃 小久保 年章 小西 輝昭 酢屋 徳啓 及川 将一 鈴木 享子 寺田 靖子 早尾 辰雄 井上 達也 西村 まゆみ 島田 義也
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-150, 2012 (Released:2012-11-24)

【はじめに】原子力発電で利用されるウランは腎毒性物質として知られている。原発事故をはじめ、劣化ウラン弾汚染や原子力資源獲得競争による環境負荷の懸念などを背景に、ウランの毒性影響に関心がもたれ、放射線防護の観点から早急な対応が求められている。これまで我々は、標的臓器である腎臓のウランの挙動を調べ、ウランが近位直尿細管に選択的に蓄積し、組織損傷を引き起こしていることを示してきた。本研究では、微小ビームを用いたウラン局在量解析により、毒性発現および尿細管再生期における尿細管におけるウラン局在を調べた。【実験】動物の処置:Wistar系雄性ラット(10週齢)に酢酸ウラン(天然型)を背部皮下に一回投与(0.5 mg/kg)した。ウランの分析:腎臓中ウラン濃度は誘導結合プラズマ質量分析により測定した。腎臓内ウラン分布および局所量の解析は高エネルギー領域シンクロトロン放射光蛍光X線分析(SR-XRF)により調べた。下流部位近位尿細管の検出:SR-XRF測定試料の隣接切片について下流部位近位尿細管に特異的に存在するグルタミンシンターゼの免疫染色を行った。組織影響観察: TUNELおよびPAS染色した。【結果および考察】投与1日目ウランは下流部位近位尿細管に分布した。管腔側の刷子縁へのウラン沈着は認められず、尿細管上皮には腎臓平均ウラン濃度の50倍程度のウラン濃集部位が検出された。投与8日目では下流部位近位尿細管上皮の脱落が観察されたが、15日目になるとダメージ部位には再生尿細管が出現した。15日目の腎臓平均ウラン濃度は1日目の12%に減衰した。尿細管上皮のウラン濃集部位は減少したが、数ミクロン四方程度の微小領域に1日目と同等のウラン局所量の部位も検出された。このようなウラン濃集がばく露後どの程度持続するのか、今後明らかにする必要があると考えられた。
著者
大場 茂
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.147-154, 2015-06-30 (Released:2015-07-01)
参考文献数
11

The second lesson in this tutorial course of SHELXL includes restraints and constraints of the geometrical as well as the atom displacement parameters, and the strategy of the modeling and refinement of the disordered structures. Treatment of a troublesome disorder of pentane around the special position will be illustrated. The effect of randomly distributed solvents may be corrected either by a bulk solvent approximation or by using PLATON/SQUEEZE as a filter. Some examples of disordered inorganic structures are shown, where the atom occupation factors have been restrained to maintain the electric neutrality of the crystals.
著者
赤澤 薫 柏原 健一
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-7, 2019-04-30 (Released:2019-08-31)
参考文献数
8

誤嚥性肺炎と診断されて入院し,摂食嚥下リハビリテーション開始時には経口摂取不能であったが,入院前には3食経口摂取であったパーキンソン病(Parkinson's disease: PD)37 例について,3 食経口摂取再開に関連する要因を検討した.退院時に3 食経口摂取となった17 例はそうでない20 例に比べ,年齢が若く,Hoehn-Yahr 重症度が低値,退院時の運動FIM,入院時の認知FIM,退院時の認知FIM,運動FIM 効率が高値であった.また,嚥下機能と運動機能の改善度には相関関係を認めた.誤嚥性肺炎後のPD 患者でも,認知機能が高い患者では,運動機能の改善と経口摂取の再開に至りやすいと考えた.